民放が2チャンネルしか無いという神様のいたずらによって上京するまで「月9」が何なのかも知らず、流行りのバラエティ番組も2ヶ月遅れての視聴を強いられ、プロ野球キャンプのメッカでありながらジャイアンツの試合すら満足に見られない野球部人生を送っていた宮崎県出身の私にとって、たまにテレビで見る在京キー局のグルメ番組はこの上ない楽しみだった。

石ちゃんの発する「まいう〜」よりも、シズル感たっぷりに紹介される番組の演出のほうがグルメ免疫のない純粋なティーンエイジャーにとっては麻薬がごとく胃袋に刺さった。

初めは何の気なしに見ていた番組も、ある日ふとこう思ってしまった。

「高円寺ってどこ? 行けねーじゃん」

世の中に無理な物理的条件が存在することを知った瞬間だった。大学受験で上京する際にはグルメ雑誌を持参して行ったのを未だに覚えている。受験よりも行列ができる人気店に並ぶ方が私にとっては重要だった。

月日が経ち神奈川県民となり、行動範囲が広がるにつれて行くべき場所は二俣川の免許センターだけではなくなった。これは紛れもなく日々の積み重ねでライフスタイルに昇華された財産だと強く思う。そして、こういう人種にとって「旬」とはこの上なく痒い言葉だ。

都内から1時間半。先日足を運んだのは茨城県大洗町。

目的はアクアワールドではない。この時期に押さえておきたい絶品グルメのお店。

その店の名は「ご馳走 青柳」。

これまでのCEXによる単なるユーザー獲得の競い合いではなく、マスアダプションを見据えた上でいかに自由な発想を描くか。クリプトウィンターは日本にとってはチャンスになりうる気がしてならない。

店舗名に「ご馳走」とつけるとはなんとも奥ゆかしい…。

その昔、大切な客人を迎え入れる際、準備の為に馬を走らせて食材調達に奔走した様子から豪華な料理を意味する「ご馳走」という言葉になったそうだ。それに対する感謝を表す言葉として「ご馳走さま」が使われるようになったのが江戸時代。

歴史は奥が深い。

そんな「ご馳走 青柳」で提供しているのは「どぶ汁」。

 



どぶ汁は大量のあん肝を乾煎りして七つ道具と呼ばれる、あん肝、卵巣、エラ、ヒレ、胃袋、皮、身を鍋に投入し野菜と味噌で味を調整する。完全無水なのでとても濃厚で上品な味わいだ。熟練の大将が目の前で作ってくれる特別感も嬉しい。締めのおじやまで存分にあんこうを堪能できる。

青柳のどぶ汁を食べれば他は食べられなくなる。

わざわざ時間をかけてでも行くべきに相応しいお店だ。

大将は年齢のこともあるのでいつまでやるかわからないと仰っていたが、来年の予約もさせて貰った。ちなみに来年1,2月の土日はすでに満席だったので早めに予約する事をオススメする。どうしても気になる方は今年のキャンセル待ちを狙う手もある。可能性は低いがフットワークに自身がある方はお店に伝えるだけ伝えても良いかもしれない。


cryptowinter

さて、今回のテーマはクリプトウィンターと日本のチャンスについて。

先週FireBlocksというブロックチェーンセキュリティ企業が主催するカンファレンスに出席してきた。「規制環境下でいかにデジタル資産ビジネスを安全に構築していくか」というのがテーマだった。

最近クリプト関連外の企業を対象にしたWeb3ビジネス構築のセミナーなども増えてきているように感じる。

先日のクラーケンのステーキング問題でもそうだが、アメリカは明らかにクリプトに関してネガティブな方向へ進んでいる。対して日本はというと、ダメージを受けていないに等しい。Web3が巷で囁かれ始めて1年ほど経ち、政府の口からも「Web3」と度々聞くようになった。昨年2月に自民党のWeb3PT(旧NFT政策検討PT)が発表した提言書、「NFTホワイトペーパー」は皆さんの記憶にも新しいはずだ。

https://www.taira-m.jp/2022/03/nft.html (引用:衆議院議員 平将明氏公式サイト)

デジタルエコノミーでの成長路線を目指す日本にとってクリプトは無視できない領域だ。

ロシア・ウクライナ間の戦争が始まるとクリプトがマネロンやテロ資金供与の抜け穴に使われる可能性が指摘され、金融庁を中心としてトラベルルールが制定された。また財務省は外為法を改正し暗号資産を資本取引規制の対象に加えた。

北朝鮮のハッカー問題が国連で話題になれば外務省もクリプトを勉強する事となった。デジタル庁や経済産業省でも同様に、各省庁がクリプトの知見を急ピッチで深めているように感じる。

果たして日本はGAFAに代表する巨大なITテック企業が市場の圧倒的なシェアを握ったWeb2時代から脱却し、ブロックチェーン技術による分散型のウェブ社会(Web3)で世界をリードすることができるのだろうか。

最近ではNTTドコモがWeb3領域に6,000億円の投資をすることや、トヨタがWeb3ハッカソン(新規事業創出イベント)に協賛をするなど、大企業もWeb3に前のめりになっている。大企業が動く為には政府の号令が必要不可欠だ。その意味でも日本は官民一体となってユースケースを創りに行っているとも捉えることができる。

ちなみに先のトヨタが協賛につくWeb3ハッカソンのテーマは「企業内プロジェクト向けDAO支援ツールの開発」とのこと。なにやらよくわからない方も多いと思うがWeb3活用の環境整備といったところだろうか。

「Web3と言えば何?」という質問に私も皆さんも回答ができないように、まだこの業界は具体的なプロダクトもイノベーションも生まれていない。ハッカソンというのが現在のフェーズであり、ここ数年で様々なWeb3プロダクトが生まれることになるだろう。

「産業が新しい段階はノーレギュレーションのほうがイノベーションは進む」登壇していた自民党の塩崎あきひさ衆議院議員はそう語っていた。

この日はステイクテクノロジーズのCEOである渡辺氏が率いる日本発のパブリックブロックチェーン「アスターネットワーク(ASTR)」が、Coin Market Cap時価総額ランキングで100位に上昇したタイミングでもあった。彼らが日本から世界へ戦うロールモデルを創ると公言しているように、業界に関わる人間にとってはここ数年が大事なポイントとなるだろう。

半減期のアノマリーに従うならば市場の盛り上がりはすぐそこまで来ている。日本の現状としては税制含め企業にも個人に対しても厳しい規制が強いられているが、規制を回避することに焦点を当てていては良いプロダクトは生まれない。

これまでのCEXによる単なるユーザー獲得の競い合いではなく、マスアダプションを見据えた上でいかに自由な発想を描くか。クリプトウィンターは日本にとってはチャンスになりうる気がしてならない。