監修:株式会社J-CAM 金融アドバイザー AFP認定者 倉本 佳光 Yoshimitsu Kuramoto
慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。その後、メリルリンチ日本証券株式会社マネージメント・コミッティーメンバー、岡三アセットマネジメント株式会社理事などを歴任。
執筆:BitLending編集部 更新日:2026年8月26日
ビットコインとNISAのどちらを選ぶべきか迷っている方は、最初に両者の違いを整理しておきましょう。2026年8月現在、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)の現物をNISA口座で直接購入することはできません。
NISAは投資商品ではなく、対象となる株式や投資信託などの利益を非課税にする制度です。一方、ビットコインは価格が変動する暗号資産です。そのため、正確には「NISA口座でどの商品を保有するか」と「NISAの外でビットコインを保有するか」を比べる必要があります。
この記事では、NISAで買えるものと買えないもの、税金、価格変動、損失、管理方法の違いを整理します。特定の配分を正解とせず、資金を使う時期や許容できる損失から、自分に合う優先順位を判断できるように解説します。
免責事項(投資助言ではありません)
本記事は、ビットコイン・NISAに関する情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買・投資行動を推奨するものではありません。暗号資産は価格変動が非常に大きく、短期間で大きな損失が発生する可能性があります。投資判断は必ずご自身の責任で行い、必要に応じて専門家へご相談ください。
利益相反に関する開示:本記事を掲載するBitLendingは、暗号資産レンディングサービスを提供しています。記事内には当社サービスへの導線が含まれる場合がありますが、特定の投資行動や暗号資産の貸出を推奨するものではありません。
ビットコインとNISAはどっちを優先する?
長期の資産形成と非課税制度の活用を主な目的にするなら、まずNISA対象商品を検討しやすいといえます。ただし、NISAを使えば必ず利益が出るわけではありません。NISA口座内でも、選んだ株式や投資信託の価格が下がれば元本割れします。
一方、ビットコインはNISAの非課税枠とは別に購入できます。値動きが大きく、税務記録やセキュリティ管理も必要ですが、BTC固有の特徴を理解し、生活に影響しない資金で保有を検討する人もいます。
どちらが一律に優れているのではなく、資金の使用時期、価格下落への耐性、投資目的、管理負担を同じ基準で比べることが重要です。
NISAを優先しやすい人
- 長期の資産形成を目的としている
- NISA対象の株式や投資信託などから選びたい
- 運用益の非課税メリットを活用したい
- 暗号資産の税務計算や秘密鍵管理を増やしたくない
NISAは元本保証制度ではありません。また、預金とは異なり、必要な時期に価格が下がっている可能性があります。数年以内に使う予定のお金を投資へ回すかどうかは慎重に判断します。
ビットコインを検討する余地がある人
- 大幅な価格変動が起こり得ると理解している
- 生活費や近く使うお金と分けられる
- 売買・交換履歴を保存し、税務上の損益を管理できる
- 取引業者、二段階認証、保管方法を自分で確認できる
ビットコインの仕組みや価値の根拠から確認したい方は、ビットコインの仕組みと価値・リスクも参考にしてください。
ビットコインはNISAで買えない
NISAで非課税になるのは、制度の対象として認められた株式や投資信託などです。ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産現物は、現在のNISA対象商品ではありません。
証券会社でNISA口座を開設していても、その口座内でBTCを選択して直接購入することはできません。暗号資産現物を購入する場合は、暗号資産取引サービスで別に手続きを行います。
楽天証券やSBI証券のNISAでもBTC現物は買えない
「楽天証券 ビットコイン NISA」「SBI ビットコイン NISA」と検索する方もいますが、証券会社のNISA口座と、同じ企業グループが提供する暗号資産サービスは別です。
同じIDやアプリから関連サービスへ移動できる場合でも、暗号資産現物がNISA口座に入るわけではありません。どの口座で、どの事業者を通じて購入するのかを確認してください。
ビットコイン関連株はNISAで買える場合がある
暗号資産交換業、マイニング、決済、半導体など、ビットコインと関係する事業を行う上場企業の株式がNISAの成長投資枠の対象になる場合があります。
ただし、関連株はビットコインそのものではありません。株価はBTC価格だけでなく、その企業の業績、財務、競争環境、資金調達などにも左右されます。「BTCの代わり」と決めつけず、企業への投資として確認する必要があります。
ビットコインETFが登場しても自動的にNISA対象にはならない
2026年の制度改正では、一定の暗号資産を投資対象とする投資信託・ETFの制度整備も示されています。ただし、法令上の整備、商品の設定・上場、証券会社による取扱い、NISA対象商品の判定はそれぞれ別の段階です。
海外にビットコインETFがあることや、国内で商品組成が可能になることだけを理由に「NISAで買える」とは判断できません。実際の対象商品は金融庁、投資信託協会、取扱証券会社の最新情報で確認します。
NISAとビットコインは何が違う?
NISAとビットコインを正しく比べるには、制度と資産を分けて考えます。NISA自体に価格や利回りがあるわけではありません。NISA口座内で購入した商品によって、値動きや収益が変わります。
NISAは投資商品ではなく非課税制度
NISAは、対象となる上場株式や投資信託などから得られる売却益や配当・分配金を一定の条件で非課税にする制度です。2024年からのNISAには、つみたて投資枠と成長投資枠があります。
| 項目 | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
|---|---|---|
| 年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
| 主な対象 | 基準を満たす投資信託等 | 上場株式・投資信託等 |
| 非課税保有限度額 | 合計1,800万円(成長投資枠はうち1,200万円まで) | |
NISA口座で投資信託を購入しても、投資対象の株式や債券などが値下がりすれば評価額は下がります。「NISAだから安全」ではなく、商品の中身を確認することが大切です。
《出典》
新しいNISA|金融庁
ビットコインは価格が変動する暗号資産
ビットコインは、特定の国や中央銀行が発行する法定通貨ではなく、インターネット上で移転・保有できる暗号資産です。数量には最小単位があるため、1BTCを丸ごと購入する必要はありません。
価格上昇が注目される一方、短期間に大きく下落することもあります。交換業者で保管する場合と自分で秘密鍵を管理する場合では、負う管理リスクも異なります。
新NISAとビットコインの違いを比較
ここでは、NISA口座で保有する株式・投資信託等と、NISAの外で保有するビットコイン現物を比較します。選ぶ商品や取引方法によって条件が変わるため、一般的な違いとして確認してください。
| 比較項目 | NISA口座内の商品 | ビットコイン現物 |
|---|---|---|
| 位置付け | 非課税制度の対象商品 | 暗号資産 |
| 主な購入先 | 証券会社・銀行等 | 暗号資産交換業者等 |
| 値動き | 選んだ商品による | 大きく変動することがある |
| 利益への税金 | NISAの対象となる利益は非課税 | 現行では原則として雑所得 |
| 損失 | NISA外の利益との損益通算はできない | 現行では他の所得区分との通算や翌年以後への繰越に制限 |
| 主なコスト | 信託報酬・売買手数料等 | 売買手数料・スプレッド・送付手数料等 |
| 管理 | 金融機関の口座で管理 | 交換業者での保管または自己管理 |
| 投資上限 | NISAの年間・非課税保有限度額あり | NISA枠は使用しない |
どちらが儲かるかは商品・期間・税率で変わる
NISAそのものに利回りはないため、NISAとビットコインのどちらが儲かるかを一律には比較できません。NISA口座で何を買うか、いつ購入・売却するか、どの期間を比べるかで結果が変わります。
過去の一期間だけを切り取れば、BTCの上昇率が株価指数を上回る場合も、その逆もあります。過去の上昇率は将来の利益を保証せず、途中の下落幅や必要な時期に換金できるかも重要です。
NISAの損失とBTCの損失では税務上の扱いも異なる
NISA口座内で損失が出ても、特定口座や一般口座の利益と相殺できません。一方、現行の個人の暗号資産取引では、暗号資産取引内の年間損益を計算する必要がありますが、他の所得区分との損益通算や損失の繰越には制限があります。
現物取引の元本割れと、レバレッジ取引や借入投資で追加の支払いが生じる状態も分けて考えます。詳しくは、現物取引・レバレッジと借金リスクの違いをご確認ください。
どっちを優先するか決める5つの判断軸
「NISAを何割、BTCを何割」と固定する前に、次の5項目を確認します。家計、年齢、収入、扶養状況、投資経験によって適切な判断は変わります。
1. そのお金をいつ使うか
生活費、納税資金、数年以内の教育費や住宅費など、使う時期が決まっているお金は、価格下落時に売却を迫られる可能性があります。NISA対象商品であってもBTCであっても、元本割れして困る資金かどうかを先に確認します。
2. どの程度の下落に耐えられるか
評価額が大きく下がった場面を想定し、生活への影響だけでなく、心理的に保有方針を維持できるかも考えます。値上がり時の利益だけでなく、下落途中の行動まで決めることが重要です。
3. 何を目的に保有するか
老後など長期の資産形成を目的に、分散された投資信託を選ぶ場合と、BTC固有の価格変動や希少性に着目して保有する場合では、判断の前提が異なります。目的を一文で説明できない場合は、商品を決める前に情報を整理しましょう。
4. 税務・保管管理を続けられるか
ビットコインは売却だけでなく、他の暗号資産との交換や決済で課税関係が生じる場合があります。また、交換業者のアカウント管理、二段階認証、送付先確認なども必要です。NISA口座では金融機関が口座を管理しますが、商品の価格変動リスクは残ります。
5. NISA枠と余剰資金を分けて考えられるか
BTCをNISAの外で購入しても、NISAの年間投資枠や非課税保有限度額は減りません。ただし、NISA枠が残っていることやBTCが少額から買えることは、投資資金を増やす理由にはなりません。
ビットコインの購入額や一括・積立の違いは、ビットコインを少額で始める前の金額と買い方で詳しく解説しています。
2026年の暗号資産税制改正|現在と将来を分けて確認
暗号資産の税制を比較するときは、現在適用されている取扱いと、成立・公布後に施行を待っている制度を分ける必要があります。
現在は原則として雑所得
国税庁の現行案内では、個人がビットコインなどの暗号資産を売却または使用して得た利益は、事業所得等に付随する場合を除き、原則として雑所得です。給与など他の所得と合算して所得税を計算する総合課税が基本となります。
「最大約55%」は、所得税の最高税率、復興特別所得税、住民税を含めた高所得部分の概算です。すべての人の暗号資産利益へ55%が一律にかかるわけではありません。
《出典》
暗号資産等に関する税務上の取扱い及び計算書について|国税庁
No.1524 暗号資産を使用することにより利益が生じた場合の課税関係|国税庁
20%の申告分離課税は対象と適用開始日の確認が必要
2026年度税制改正大綱では、金融商品取引法等の改正を前提に、登録された暗号資産取引業者が取り扱う一定の暗号資産について、所得税15%・住民税5%の申告分離課税とする措置が示されました。
関連する改正法は2026年7月23日に公布され、原則として公布から1年以内に政令で定める日に施行されます。税制改正大綱では、一定の暗号資産の譲渡等に関する改正を、改正金商法の施行日の属する年の翌年1月1日以後に適用するとしています。
法改正が公布されたことと、すべてのBTC取引がすでに20%課税になったことは同じではありません。実際の取引時には、施行日、対象となる暗号資産、取引業者、取引の種類を最新の法令・国税庁資料で確認してください。
《出典》
金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案 審議経過|衆議院
令和8年度税制改正の大綱|財務省
NISAまたはビットコインを始める前の確認手順
どちらを選ぶ場合も、口座を開設する前に目的、資金、費用、損失時の対応を確認します。手続きの手軽さやキャンペーンだけで決めないようにしましょう。
NISAを利用する場合
- 資金を使う予定と投資期間を確認する
- つみたて投資枠・成長投資枠のどちらを使うか確認する
- 商品の投資対象、値動き、信託報酬等を確認する
- NISA口座の損失は他口座と損益通算できないと理解する
- 積立額や売却条件を家計に合わせて決める
ビットコインを購入する場合
- 生活費や近く使う資金と分ける
- 金融庁・財務局の登録業者か確認する
- 販売所と取引所の違い、手数料、スプレッドを確認する
- 二段階認証を設定し、送付先を毎回確認する
- 購入・売却・交換・送付の履歴を保存する
口座開設から購入までの流れは、暗号資産交換業者での口座開設と購入手順をご覧ください。実際のコストを比べる場合は、取引所ごとの売買・送付コストの比較も確認できます。
ビットコイン積立とNISAのつみたて投資枠は別の仕組み
どちらも定期購入に使われるため混同されやすいですが、BTC積立は暗号資産交換業者等でビットコインを定期購入するサービスです。NISAのつみたて投資枠ではありません。
購入頻度やスプレッドを詳しく比較したい方は、ビットコイン積立の頻度と手数料をご確認ください。
NISAとビットコインのよくある質問
NISAでの購入可否、証券会社、関連株、ETF、税制について、検索されることの多い疑問へ簡潔に回答します。
NISAでビットコインを直接買えますか?
いいえ。2026年8月現在、ビットコイン現物はNISA対象商品ではありません。暗号資産交換業者等のサービスを利用して、NISA口座とは別に購入します。
楽天証券やSBI証券のNISAでビットコインを買えますか?
証券会社のNISA口座でBTC現物を直接購入することはできません。同じ企業グループに暗号資産サービスがあっても、NISA口座とは別のサービスです。
ビットコイン関連株はNISAで買えますか?
NISAの成長投資枠の対象となる上場株式であれば購入できる場合があります。ただし、関連企業の株式はBTC現物とは異なり、企業業績や財務などの影響も受けます。
ビットコイン投資信託やETFはNISAで買えますか?
商品が国内で組成・上場されたことだけで、自動的にNISA対象になるわけではありません。金融庁や投資信託協会の対象商品情報と、証券会社の取扱状況を確認する必要があります。
イーサリアムはNISA対象ですか?
いいえ。イーサリアムを含む暗号資産現物は、現在のNISA口座で直接購入できません。
BTCを買うとNISAの投資枠が減りますか?
減りません。BTC現物はNISAの外で購入するため、NISAの年間投資枠や非課税保有限度額を使用しません。ただし、家計全体の投資額はまとめて管理する必要があります。
新NISAとビットコインはどちらが儲かりますか?
一律には判断できません。NISAは制度であり、口座内で選んだ商品と比較期間によって収益が変わります。過去のBTC上昇率だけで将来の利益を判断しないことが重要です。
暗号資産の税金はすでに20%になりましたか?
すべての暗号資産取引がすでに20%課税へ変わったわけではありません。一定の暗号資産を対象とする申告分離課税が示されていますが、施行日、対象、取引時点の最新制度を確認してください。
まとめ|制度と資産を分けて優先順位を決める
- ビットコインやイーサリアムの現物は、現在のNISA口座で直接購入できない
- NISAは非課税制度であり、収益やリスクは口座内で選ぶ商品によって変わる
- ビットコイン関連株・投資信託・ETFとBTC現物は別の投資対象である
- 暗号資産の20%分離課税は、施行日と対象取引を確認する必要がある
- 優先順位は、使用時期、損失許容度、目的、管理負担、余剰資金から判断する
「NISAかBTCか」を利回りだけで決めず、制度と資産の違いを理解したうえで、損失時にも続けられる選択かを確認しましょう。