ビットコイン(BTC)はデジタル時代の金とも称され、その希少性が価値の一因となっています。

しかし、その希少性はどのように保証されているのでしょうか?

この記事では、ビットコイン(BTC)の発行枚数に設定された上限、その上限に達する予定時期、上限到達後に予想される影響、そして他の仮想通貨(暗号資産)における発行上限の有無について解説します。また、法定通貨のマネーサプライとビットコイン(BTC)価格の密接な関係性についても解説して行きます。

ビットコイン(BTC)の未来を探る鍵となるこれらの要素を掘り下げていきましょう。

ビットコインのイメージ

ビットコイン(BTC)の発行枚数に上限はある?

ビットコイン(BTC)は、その発行枚数が2100万枚という上限によって知られています。この上限は、ビットコイン(BTC)の創設者であるサトシ・ナカモトによって設定されており、本人の意向により今後変更される可能性は低いです。

発行上限がある理由は、「ビットコイン(BTC)の希少性を保つ」、「価値のインフレを防ぐため」です。

発行枚数に限りがあることでビットコイン(BTC)は価値を保ち続け、信頼できる通貨として機能しているのです。

現在の発行状況と2100万枚の意味

2025年6月現在、ビットコインの発行枚数は約1980万枚に達しており、2,000万枚に達するのは、2026年3月頃と見込まれています。

ただ残り5%未満の100万枚が発行されるにはさらに100年以上が必要であり、これは「半減期」という仕組みが影響しています。

インフレを抑制するために必要な半減期の存在

ビットコインにはインフレを防ぐための措置として「半減期」という概念が導入されています。

半減期とは、ビットコイン(BTC)の新規発行数を半分に減らすことで、物価上昇を抑制するメカニズムのことです。

この半減期は約4年ごとに設定されており、ビットコイン(BTC)の供給量を調整する重要な役割を果たしています。半減期が来ると発行枚数が通常の半分に減少し、一枚当たりの希少価値が大きく上昇すると考えられています。

直近の半減期は2024年4月に発生し、ビットコインの新規発行量は、約10分ごとに6.25BTCから3.125BTCへと減少しました。

このように一枚当たりの希少価値が高まることから半減期はBTC価格に中長期で強い影響を与えてきました。

毎回「半年〜1年後に価格が最高値を更新する」アノマリーパターンが存在しており、投資家心理にも強く影響を与えていることがわかります。

以下は過去の半減期と価格変動の推移です。

回数 実施日 報酬(BTC) 直後1年の価格変動 備考
第1回 2012年11月28日 50 → 25 約12ドル → 約1,100ドル(約90倍) 2013年バブルの起点
第2回 2016年7月9日 25 → 12.5 約650ドル → 約2万ドル(約30倍・翌年末) 2017年バブルの起点
第3回 2020年5月11日 12.5 → 6.25 約8,500ドル → 約6.9万ドル(8倍) 2021年バブルを形成
第4回 2024年4月20日 6.25 → 3.125 約63,000ドル → 現在(2025年6月)約67,000ドル付近 今後の展開注目中

ビットコイン(BTC)の半減期について更に詳しく知りたい方は参考記事へ

ビットコインをマイニングしている様子

ビットコイン(BTC)の発行上限の時期は?

ビットコイン(BTC)は、その発行枚数が約2100万枚と決まっています。

現在では約1980万枚発行されており上限の約2100万枚に達する時期は、2140年頃になると予測されています。

現在までに、ビットコイン(BTC)の約94%が既に発行されており、残りの6%を発行するにはさらに100年以上が必要だと見込まれています。

なぜ、残りの6%を発行するのに100年以上の時間がかかるのかというと、過去に行われたマイニングが関係しているとされています。

数年前まで、ビットコイン(BTC)といえばマイニングを行い、マイニングを行った報酬を受け取る流れが一般的でした。

しかしマイニングを行うには環境を作る必要がある点や、ある程度知識が必要になる理由から運用を行う考え方が一般的になってきています。

マイニングについて詳しく知りたい方は参考記事へ

ビットコインのマイニングマシンのイメージ

発行上限に達した場合何が起きるか

ビットコイン(BTC)の発行上限に達するという事象は、約100年後の未来に起こり得るものですが、その時が来た場合ビットコイン(BTC)のシステムと市場にはどのような影響があるのでしょうか。

ここでは、発行上限到達後のビットコイン(BTC)に関して、二つの重要なポイントを解説します。

希少性が高まる

希少性が増すと、価格に与える影響は需要と供給のバランスによって大きく変わります。

供給が限られている状況で需要が増すと、価格が上がるのはよくある話です。

例えば、ビットコイン(BTC)のような仮想通貨(暗号資産)では、発行量が上限に達すると新たなビットコイン(BTC)を生み出すことができなくなります。

これにより、発行された枚数のみで取引を行わないといけません

そのため、既存のビットコイン(BTC)の希少性が高まり、価格が上昇すると予想されます。

他の仮想通貨(暗号資産)の価値が変動する可能性がある

ビットコイン(BTC)が発行上限に達した後は、供給がストップし、発行したビットコイン(BTC)で活用をする必要があるので価値も上昇することでしょう。

それに伴い、ビットコイン(BTC)を保有することも難しくなるので、他の仮想通貨(暗号資産)で運用を行う可能性もあります。

また、発行上限が設定されている他の仮想通貨(暗号資産)の価値が上昇する可能性があります。

ビットコイン(BTC)の発行上限に達する前に、多くのユーザーが他の仮想通貨(暗号資産)の購入を検討すると予想されます。

ネットワークのセキュリティリスクが上昇する可能性がある

発行上限に達した場合、マイニング報酬がなくなる可能性があります。

そのためマイニングをする人の意欲が低下し、結果としてネットワークのセキュリティが弱まる恐れがあります。ビットコインのセキュリティに関する情報も、常日頃からチェックしておきましょう。

ビットコインとイーサリアムのイメージ

他の仮想通貨(暗号資産)にも発行上限はあるのか

ビットコイン(BTC)以外にも発行上限がある仮想通貨(暗号資産)も存在します。

またその逆である発行上限のない仮想通貨(暗号資産)も存在します。

どのようなものがあるか見ていきましょう。

発行上限のある仮想通貨(暗号資産)

下表が発行上限のある仮想通貨(暗号資産)です。

※仮想通貨(暗号資産)に関する詳しい情報は、表の各仮想通貨(暗号資産)を選択してください。

発行上限を設定している仮想通貨(暗号資産)は、その希少性により価値が保たれ、インフレを防ぐ効果があるとされています。

このような仮想通貨(暗号資産)は、ビットコイン(BTC)やリップル(XRP)などの代表的な例に限らず、多数存在します。

発行上限があることで、通貨の新規発行が制限され、市場における供給過多による価値の低下を防ぐことが可能になります。

発行上限のない仮想通貨(暗号資産)

発行上限のない仮想通貨(暗号資産)は、発行上限のあるものと比較してインフレによる価値減少のリスクがあるものの、NFT市場の成長迅速な送金処理能力などの要因により、今後も需要が高まる可能性があります。

NFTについて

NFTは、今後も成長が見込まれる分野です。

クリエイティブ産業が発展する中で、NFTの役割はますます重要になっています。

デジタルアートの需要が拡大するにつれて、NFTはアーティストやクリエイターにとって重要な収益源となり、ユーザーにとっては独自性とコンテンツを所有する喜びを提供するものとなっています。

NFT市場は、2030年には約60億USD規模になると予測されており、日本では特に若い世代を中心にNFTユーザーが増加しています。

さらに、日本の仮想通貨(暗号資産)取引はアジア随一の伸び率を示しており、国内外の有名企業や著名人もNFT市場に参入していることから、その活況は続くと考えられます。

NFTについて詳しく知りたい方は参考記事へ

イーサリアム(ETH)

発行上限のない仮想通貨(暗号資産)の代表としてイーサリアム(ETH)と呼ばれる仮想通貨(暗号資産)があります。

イーサリアム(ETH)は、初期の発行量7,200万枚から始まり、現在では約1億1,300万枚に増加しています。

この仮想通貨(暗号資産)は発行上限が設定されておらず、その主な理由は「ネットワークの成長と拡張性を支え、無限に供給可能にするため」とされています。

この設計により、将来的にもネットワークの利用者が増加することを見越して、通貨の供給を持続可能にしています。

実際に、時代の進展とともにインターネットの普及率は大幅に上昇し、現在では老若男女問わず、インフラがあまり整っていない地域でも利用されています。

今後インフラが整備され、新しいインターネット接続デバイスが登場すれば、さらなる利用者数の増加が期待できるでしょう。

イーサリアム(ETH)について詳しく知りたい方は参考記事へ

法定通貨のマネーサプライのイメージ

ビットコイン価格と法定通貨のマネーサプライの関係

マネーサプライ(M2)とは

マネーサプライ(M2)は、現金通貨、預金通貨(普通預金など)、準通貨(定期預金など)を含む、流動性の高い通貨の合計を指します。

これは、経済にどれだけの「お金」が供給されているかを示す指標であり、中央銀行の金融政策や政府の財政出動により大きく増減します。

特にコロナ禍以降、各国が大規模な財政支出と量的緩和を実施したことで、世界的にM2が急拡大しました。米国では2020年〜2021年の間にM2が急増し、過去にないペースでマネーが市場に供給されました。

M2とビットコイン価格の相関

近年の統計データでは、M2の増加から70〜105日(約2〜3か月)後に、ビットコイン価格が上昇する傾向が観測されています。 この相関には、以下のような因果関係があると考えられます:

  1. マネーサプライの増加 → 実質金利の低下

    • 流通するお金が増えると、金利が抑制され、通貨価値が希薄化しやすくなる。
  2. 法定通貨の購買力低下 → 投資家が「価値の保存手段」を模索

    • インフレや通貨の信用低下へのヘッジとして、ビットコインのような供給量が限定された資産に資金がシフト。
  3. 過剰流動性の資産市場への流入

    • 株式、不動産、暗号資産などのリスク資産に、余剰マネーが投資として流れ込む。

このように、M2の拡大は間接的にビットコインの買い圧力を高める構造を持ち、特に低金利・高インフレ環境下ではその傾向が強まります。

今後の見通し

2025年も主要国のマネーサプライ(M2)は引き続き増加基調にあります。日本や欧州のように緩和的な金融政策を維持する国がある一方、米国でも選挙年という背景から財政出動(≒マネーの拡大)が意識されています。

こうした中、中長期的にビットコイン価格には再び上昇圧力がかかる可能性があります。

ただし、価格の動きはM2だけでは決まりません。特に以下のマクロ経済要因にも注視が必要です:

  • FRBの政策金利の動向
    高金利が続くと、流動性が引き締められ、ビットコインなどリスク資産にとって逆風となります。
  • ドル指数(DXY)
    ドルが強くなると、新興市場や仮想通貨市場から資金が流出しやすくなります。
  • インフレ率と景気後退懸念
    スタグフレーション的な環境では資産選好の変化が起きやすく、ビットコインが防衛的資産として選好される可能性もあります。

マネーサプライ(M2)の拡大は、ビットコインにとって長期的な上昇の土台となるファンダメンタルズ要因です。ただし、短期的には金利・為替・インフレといった他のマクロ要因と複雑に絡み合うため、総合的な視点での分析が必要です。