監修:株式会社J-CAM 金融アドバイザー AFP認定者 倉本 佳光 Yoshimitsu Kuramoto
慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。その後、メリルリンチ日本証券株式会社マネージメント・コミッティーメンバー、岡三アセットマネジメント株式会社理事などを歴任。
執筆:BitLending編集部 更新日:2026年8月25日
イーサリアム(Ethereum)は、スマートコントラクトを実行できるブロックチェーンです。そのネットワーク上で、ガス代の支払いやステーキングなどに使われる暗号資産をイーサ(ETH)といいます。
最初に結論を示すと、ETHには固定された発行上限がなく、ビットコイン型の半減期もありません。ただし、無条件に一定量が増え続けるわけではなく、PoSのバリデーター報酬として生まれる新規発行と、ネットワーク利用時のバーン(焼却)の差によって供給量が増減します。
この記事では、イーサリアムとは何かを初心者向けに整理したうえで、発行上限がない理由、現在の発行枚数・供給量の調べ方、半減期の有無、新規発行とバーンの関係、ビットコインとの違いを解説します。
| 確認したいこと | 結論 |
|---|---|
| ETHの発行上限 | 固定上限はありません |
| ETHの半減期 | ビットコイン型の定期的な半減期はありません |
| 新しいETHが生まれる仕組み | 主にPoSのバリデーター報酬として新規発行されます |
| ETHが減る仕組み | 取引手数料の基本手数料などがバーンされます |
| 供給量の方向 | 新規発行とバーンの大小により、増える時期と減る時期があります |
免責事項(投資助言ではありません)
本記事は、暗号資産に関する情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買・投資行動を推奨するものではありません。暗号資産は価格変動が非常に大きく、短期間で大きな損失が発生する可能性があります。投資判断は必ずご自身の責任で行い、必要に応じて専門家へご相談ください。
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イーサリアムの発行上限・発行枚数・半減期
ETHの供給を理解するときは、発行上限・現在の供給量・新規発行量を分けて考える必要があります。ETHには固定された発行上限がありませんが、供給量はプロトコルの発行ルールとバーンによって変化します。
「上限がない=無制限に同じペースで増え続ける」ではありません。ネットワークの利用状況やステーキングの状態によって、純供給量が増える場合も減る場合もあります。
ETHには固定された発行上限がない
ビットコインには2,100万BTCという発行上限があります。一方、ETHには「最大○枚まで」という固定上限が設定されていません。バリデーターがネットワークの合意形成に参加した対価として、新しいETHが発行されます。
ただし、新規発行量は固定ではありません。参加するバリデーターやステーキング総量など、プロトコルで定められた条件によって変わります。したがって、ETHの希少性は発行上限の有無だけでは評価できません。
現在の発行枚数・供給量は固定値ではない
「イーサリアムの現在の発行枚数」と検索する場合、実際に確認したいのは、その時点のETH総供給量または市場で流通している供給量です。ETHは新規発行とバーンが続くため、数値は時間とともに変わります。
記事中の古い固定値ではなく、取得時刻が表示される供給量トラッカーで確認することが重要です。供給量を見るときは、総供給量なのか流通供給量なのか、データ提供元がどちらを示しているかも確認してください。
《最新値の確認先》
ETH Supply|ultrasound.money
💡 用語解説:発行上限・供給量・新規発行量の違い ▼ 開く
■ 3つの数字は同じではありません
- 発行上限:プロトコル上、最終的に存在できる最大枚数
- 供給量:ある時点で存在するETHの量。定義により総供給量・流通供給量などがあります
- 新規発行量:一定期間にバリデーター報酬などとして新たに作られるETHの量
この記事での読み方
ETHには固定された発行上限がありません。現在の供給量は、新規発行で増える一方、バーンなどで減るため、時点によって変わります。
イーサリアムにビットコイン型の半減期はない
イーサリアムには、ビットコインのように一定のブロック数ごとに報酬が半分になる定期的な半減期はありません。現在のEthereumでは、PoSのバリデーター報酬としてETHが新規発行されます。
2022年9月のThe Mergeでは、PoWのマイニング報酬がなくなり、新規発行量が大きく減りました。この変化が「トリプル・ハルビング」などと表現されることはありますが、プロトコルに組み込まれた定期的な半減期ではありません。
半減期がある暗号資産とない暗号資産の違いは、半減期がある通貨とない通貨の供給設計で詳しく確認できます。
《出典》
マージ|ethereum.org
供給量は新規発行とバーンの差で変わる
ETH供給量の変化は、基本的に次の関係で捉えられます。
ETH供給量の変化 = 新規発行量 − バーンなどで失われる量
EIP-1559では、取引手数料のうち基本手数料(base fee)がバーンされ、流通から取り除かれます。ネットワーク利用が活発でバーン量が新規発行量を上回れば純供給量は減り、反対に新規発行量が上回れば増えます。
ETHは常にデフレになるわけではありません。供給動態を判断する際は、特定日の増減だけでなく、一定期間の新規発行量とバーン量を比較する必要があります。
《出典》
EIP-1559: Fee market change for ETH 1.0 chain|Ethereum Improvement Proposals
イーサリアムとは?EthereumとETHの違い
Ethereum(イーサリアム)は、取引記録だけでなくプログラムも実行できる分散型ブロックチェーンです。中央の管理者だけに依存せず、世界各地のノードが同じ状態を検証・共有します。
ether(イーサ)はEthereumのネイティブ資産で、通貨単位としてETHを使います。一般には資産であるETHも含めて「イーサリアム」と呼ばれますが、ネットワークがEthereum、そこで使われる資産がETHと分けると理解しやすくなります。
ETHは主に、取引手数料であるガス代の支払い、PoSのステーキング、アプリ内の決済や担保などに使われます。
イーサリアムは誰が作った?
Ethereumは、ヴィタリック・ブテリン氏が2013年に構想を示し、複数の共同創設者や開発者が立ち上げに関わりました。現在は単一企業の製品ではなく、開発者、研究者、ノード運営者、バリデーター、利用者などからなるコミュニティによって更新されています。
PoSで取引を検証する
Ethereumは2022年のThe Mergeで、PoWからPoSへ移行しました。現在はETHをステーキングするバリデーターが、ブロックの提案や取引の検証に参加します。
不正な行為や重大な運用ミスには、ステーキングしたETHの一部を失うスラッシングなどの仕組みがあります。報酬だけでなく、ネットワークを安全に保つための責任とリスクを伴う制度です。
イーサリアムの仕組みと主な使い道
Ethereumの大きな特徴は、スマートコントラクトを利用して、送金以外の処理もブロックチェーン上で実行できることです。この機能を土台として、金融、デジタル資産、ゲーム、本人確認など、さまざまなアプリケーションが開発されています。
ETHの需要は価格取引だけでなく、ネットワークを利用するためのガス代やステーキングにも生まれます。
スマートコントラクト
スマートコントラクトは、あらかじめ定めた条件に従って処理を実行するプログラムです。送金、交換、担保管理、デジタル資産の発行などのルールをコードとして公開し、ブロックチェーン上で動かせます。
「自動で動く契約」と説明されることがありますが、法律上の契約だけを意味する言葉ではありません。プログラムの誤りや設計上の問題があれば損失につながる可能性があるため、コードが存在するだけで安全性が保証されるわけでもありません。
dApps・DeFi
dAppsは、スマートコントラクトを利用して動く分散型アプリケーションです。なかでもDeFiでは、暗号資産の交換、貸し借り、ステーブルコインの発行などが、スマートコントラクトを通じて行われます。
利用者は秘密鍵の管理、接続先の確認、コントラクトのリスクを負います。銀行預金と同じ保護があるとは限らない点に注意が必要です。
トークン・NFT・RWA
Ethereumでは、ERC-20などの規格を利用して代替可能トークンを、ERC-721やERC-1155などの規格を利用してNFTを発行できます。共通規格を使うことで、対応ウォレットやアプリ間の互換性を持たせやすくなります。
現実資産をトークンとして表現するRWAにも利用されていますが、トークンを保有することと、現実の資産に対する法的権利を持つことが常に同じとは限りません。発行体、契約、保管、償還条件の確認が必要です。
ガス代とETHの役割
Ethereum上で送金やスマートコントラクトを実行するときは、計算処理への対価としてガス代をETHで支払います。混雑状況や処理内容によって必要額は変わります。
支払ったガス代のうち基本手数料はバーンされ、優先手数料などはブロック提案者への報酬になります。現在のガス代を日本円で確認したい場合は、イーサリアムのガス代と日本円での計算方法を参照してください。
ビットコインとイーサリアムの違い
ビットコインとイーサリアムは、どちらもブロックチェーンを利用しますが、主な目的と供給設計が異なります。ビットコインは価値の移転・保存を中心に設計され、Ethereumはプログラムを実行する共通基盤として設計されています。
| 比較項目 | ビットコイン(BTC) | イーサリアム(ETH) |
|---|---|---|
| 主な役割 | 価値の移転・保存 | スマートコントラクトを実行する基盤 |
| 発行上限 | 2,100万BTC | 固定上限なし |
| 半減期 | 一定ブロックごとにあり | BTC型の定期半減期なし |
| 合意形成 | PoW | PoS |
| 新規発行 | マイニング報酬 | 主にバリデーター報酬 |
| バーン | 基本設計に手数料バーンなし | 基本手数料などをバーン |
| 供給量の見方 | 上限と半減期を中心に確認 | 新規発行量とバーン量を合わせて確認 |
発行上限があるBTCと、利用状況に応じて供給量が変動するETHでは、希少性の作り方が異なります。上限の有無だけで優劣を決めるのではなく、用途とリスクを含めて比較することが大切です。
購入対象として比較する場合の判断軸は、ビットコインとイーサリアムを選ぶときの違いで整理しています。
《出典》
Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System|Satoshi Nakamoto
イーサリアムとは|ethereum.org
イーサリアムのメリット
Ethereumの強みは、ETHを送るだけでなく、共通規格とスマートコントラクトを使って多様なアプリケーションを構築できる点です。
- プログラムを実行できる:金融、ゲーム、デジタル資産など幅広い用途に対応できます
- 共通規格がある:ERC規格により、ウォレットやアプリ間の互換性を持たせやすくなります
- 多数の開発者・利用者がいる:既存のツールや知見を利用しやすい環境があります
- 継続的に更新される:単一の完成形ではなく、拡張性・安全性・使いやすさの改善が続いています
- L2を利用できる:用途に応じて、Ethereumの安全性を活用するレイヤー2を選択できます
用途の広さと共通規格によるネットワーク効果が、Ethereumを評価するうえでの重要な強みです。
イーサリアムのデメリットとリスク
用途が広い一方で、Ethereumや関連サービスには複数のリスクがあります。ETHそのもの、Ethereumプロトコル、スマートコントラクト、L2、事業者のリスクを混同しないことが重要です。
- 価格変動:ETH価格は短期間で大きく上下することがあります
- 供給量の変動:固定上限がなく、新規発行とバーンの関係が変化します
- ガス代:ネットワーク混雑時にはL1の利用コストが高くなる場合があります
- スマートコントラクト:バグ、設計不備、管理鍵の悪用などで損失が生じる可能性があります
- 操作ミス・詐欺:誤送金、偽サイト、秘密鍵の漏えいは原則として取り消せません
- L2・ブリッジ:ネットワークごとに運営構造、出金条件、障害時の対応が異なります
- 競合・規制:他チェーンとの競争や各国の制度変更が利用・価格に影響します
Ethereumが安全でも、利用するアプリや事業者まで自動的に安全になるわけではありません。接続先、署名内容、資産の保管方法を個別に確認しましょう。
L1とL2ではリスクが異なる
EthereumのL1は、多数の参加者が検証する基盤です。L2は取引をまとめて処理し、その結果やデータをL1へ記録することで、処理能力や費用面の改善を目指します。
ただし、L2ごとにシーケンサー、証明方式、管理権限、出金方法が異なります。「Ethereum上のサービス」というだけで、L1と同じ性質を持つとは限りません。
イーサリアムの今後を判断するポイント
ETHの今後を考えるときは、短期的な価格予測だけでなく、ネットワークが利用されているか、アップグレードが実行されているか、供給動態がどう変化しているかを確認する必要があります。
2025年5月にはPectra、2025年12月にはFusakaがメインネットで稼働しました。Ethereum公式ロードマップでは、次のGlamsterdamが2026年第4四半期の予定として掲載されています。ただし、将来のアップグレード内容や時期は変更される可能性があります。
《出典》
イーサリアム・ロードマップ|ethereum.org
Fulu-Osaka(Fusaka)|ethereum.org
価格ではなく確認したい5つの指標
- ネットワーク利用:取引、手数料、アプリ利用が継続しているか
- 供給動態:新規発行量とバーン量のどちらが多いか
- L2との関係:L2の成長がL1の安全性やETH需要とどう結び付くか
- ステーキング:参加状況がセキュリティや分散性にどう影響するか
- 技術・競争・規制:更新の進捗、競合チェーン、制度変更に重大な変化がないか
発行上限がないことだけで将来性を肯定・否定することはできません。利用需要、供給量、技術面の進展、リスクを組み合わせて判断しましょう。
最新イベントや価格シナリオは、毎週更新しているイーサリアムの最新動向と今後の価格シナリオで確認できます。
ETHを貸し出して運用する場合の注意
レンディングは、保有する暗号資産を事業者などへ貸し出して利用料を受け取る仕組みです。Ethereumのコンセンサスに直接参加するステーキングとは、仕組みも主なリスクも異なります。
検討する場合は、利率だけでなく、返還条件、事業者の信用リスク、資産管理方法、中途解約、税務上の扱いを確認してください。詳しくは暗号資産レンディングの仕組みとリスクで解説しています。
イーサリアムに関するよくある質問
発行上限、発行枚数、半減期について、検索されやすい疑問を簡潔に整理します。
イーサリアムの発行上限は何枚ですか?
ETHには、ビットコインの2,100万BTCのような固定された発行上限はありません。ただし、新規発行量はプロトコルのルールに基づき、バーンによって既存のETHが供給から取り除かれる仕組みもあります。
イーサリアムの現在の発行枚数は何枚ですか?
ETHの供給量は、新規発行とバーンによって常に変化します。そのため、記事に固定された数値ではなく、取得時刻と定義が表示される供給量トラッカーで最新値を確認してください。「総供給量」と「流通供給量」が区別されている場合もあります。
イーサリアムに半減期はありますか?
ビットコインのように、一定のブロック数ごとに報酬が半分になる定期的な半減期はありません。The Mergeで新規発行量は大きく減りましたが、定期半減期とは異なる仕組みです。
発行上限がないとETHの価値は下がりますか?
発行上限がないことだけで価格の方向は決まりません。新規発行量、バーン量、ネットワーク利用、投資需要、市場環境、競合、規制など複数の要因が価格へ影響します。
ETHは常にデフレ資産ですか?
常にデフレとは限りません。一定期間のバーン量が新規発行量を上回れば純供給量は減りますが、新規発行量が上回れば増えます。期間を区切って両方の数値を確認する必要があります。
EthereumとETHは同じものですか?
厳密には異なります。Ethereumはスマートコントラクトを実行できるブロックチェーンで、ether(ETH)はそのネットワークでガス代やステーキングなどに使われるネイティブ資産です。
まとめ
イーサリアムは、スマートコントラクトを実行できるブロックチェーンで、ETHはそのネットワーク上で使われるネイティブ資産です。
- ETHには固定された発行上限がない
- ビットコイン型の定期的な半減期はない
- 現在の供給量は新規発行とバーンによって変化する
- バーン量が新規発行量を上回る期間は純供給量が減り、逆なら増える
- 発行上限の有無だけで希少性や将来価格を判断しない
- 利用需要、供給動態、技術、競争、規制、価格変動を合わせて確認する
ETHの供給設計は「上限のある資産」ではなく、「発行とバーンの均衡が変化する資産」として理解することが重要です。