仮想通貨で不動産は買える?不動産投資・決済の方法と税金、リスクを解説

監修:株式会社J-CAM 金融アドバイザー AFP認定者 倉本 佳光 Yoshimitsu Kuramoto

慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。その後、メリルリンチ日本証券株式会社マネージメント・コミッティーメンバー、岡三アセットマネジメント株式会社理事などを歴任。
執筆:BitLending編集部 更新日:2026年8月26日

倉本 佳光

仮想通貨(暗号資産)を使って不動産を買うことは可能です。ただし、どの物件でも自由に使えるわけではありません。売主や仲介会社が暗号資産決済に対応し、支払額を決める時点や送金方法などについて合意する必要があります。

また、「仮想通貨で不動産を買う」という言葉には、暗号資産を購入代金として支払う方法だけでなく、暗号資産を法定通貨へ換えて支払う方法や、不動産を裏付けとしたセキュリティトークン(ST)へ投資する方法も含まれます。不動産そのものを取得するのか、不動産から生じる収益を受け取る権利へ投資するのかによって、手続きやリスクは大きく異なります。

この記事では、日本で仮想通貨による不動産決済を検討するときの流れ、税金、価格変動、送金・詐欺リスクを整理します。特定の物件やサービスを推奨するのではなく、契約前に何を確認すべきかを判断できる状態を目指します。

免責事項(投資助言ではありません)

本記事は、暗号資産に関する情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買・投資行動を推奨するものではありません。暗号資産は価格変動が非常に大きく、短期間で大きな損失が発生する可能性があります。投資判断は必ずご自身の責任で行い、必要に応じて専門家へご相談ください。

利益相反に関する開示:本記事を掲載するBitLendingは、暗号資産レンディングサービスを提供しています。記事内には当社サービスへの導線が含まれる場合がありますが、特定の投資行動や暗号資産の貸出を推奨するものではありません。

ブロックチェーンの文字と高層ビル

仮想通貨で不動産を購入・投資する3つの方法

仮想通貨と不動産を組み合わせる方法は、大きく3つに分けられます。どの方法でも同じ不動産投資になるわけではなく、取得する権利、支払先、利用する事業者が異なります。

方法 資金の流れ 主な確認点
暗号資産で直接決済 買主から売主などのウォレットへ送金 受取人、使用銘柄、価格確定時点、送金先
換金を伴う決済 事業者が暗号資産を受け取り、法定通貨へ換えて売主へ支払う 換金レート、手数料、事業者の役割、返金条件
不動産ST・RWAへの投資 不動産に関係する受益権などをデジタル化した商品を購入 取得する権利、収益分配、発行体、適用される規制

暗号資産を送っただけで、不動産の所有権が自動的に移るわけではありません。現物不動産を取得する場合は、通常の不動産売買と同様に契約や登記などの手続きが必要です。一方、不動産STでは、一般に不動産そのものではなく、信託受益権などを裏付けとする有価証券へ投資します。

RWAと不動産STの仕組みや法的な区分は、RWAと不動産STの仕組みや法的な違いで詳しく解説しています。

《出典》
不動産セキュリティ・トークンに関連する近年の金融商品取引法の動向|金融庁職員による寄稿(意見部分は筆者個人の見解)

日本で仮想通貨による不動産決済はできる?

日本でも、売主と買主が合意し、仲介会社などが対応できれば、暗号資産を不動産代金の決済に利用できます。ただし、暗号資産が不動産取引の標準的な決済手段になっているわけではなく、物件ごとの確認が必要です。

実務では、売主が暗号資産を直接受け取る方法だけでなく、決済事業者などが暗号資産を受け取って日本円などへ換え、売主へ法定通貨で支払う方法も考えられます。後者の場合、買主にとっては暗号資産決済でも、売主側は法定通貨による代金受領になります。

暗号資産を不動産以外の支払いにどう使えるか確認したい場合は、仮想通貨を支払いや送金に使う場合の基本も参考にしてください。

売主・仲介会社との合意が前提

最初に確認すべきなのは、売主が暗号資産による支払いを受け入れるかどうかです。仲介会社が暗号資産決済を案内していても、すべての売主や物件で利用できるとは限りません。

契約前に、使用できる暗号資産、支払額を決める時刻と交換レート、手数料の負担、価格変動が起きた場合の扱い、送金が遅れた場合の対応を合意します。「何BTCを払うか」だけでなく「何円の売買代金を、いつのレートで換算するか」を明文化することが重要です。

契約から決済・登記までの流れ

一般的な検討手順は次のとおりです。実際の手順は物件、契約、利用する事業者によって異なります。

  1. 物件、売主、仲介会社、決済事業者の情報を確認する
  2. 暗号資産決済に対応するか、売主が何を受け取るかを確認する
  3. 本人確認、資金の出所確認、物件調査を行う
  4. 売買代金、換算レート、手数料、送金期限、返金条件を契約で決める
  5. 送金先アドレスとネットワークを照合し、必要に応じて少額で確認する
  6. 決済の完了を確認し、所有権移転登記などの手続きを進める
  7. 送金記録、契約書、決済時価、取得価額、手数料の資料を保存する

ブロックチェーン上の送金完了と、不動産の所有権移転は別の手続きです。送金履歴が残っていても、契約や登記の確認は省略できません。

暗号資産決済でも本人確認と登記は必要

宅地建物取引業者などの特定事業者には、犯罪収益移転防止法に基づく取引時確認や取引記録の保存などが求められます。暗号資産を利用する場合も、本人確認や資金の出所確認を避けられるわけではありません。

国土交通省は、不動産業におけるマネー・ローンダリング対策ページの「(6)不動産取引における暗号資産利用」に、2026年4月28日付の関係省庁による要請を掲載しています。この要請では、暗号資産は国境を越えて迅速に移転できるため、マネー・ローンダリングなどを目的とする不動産決済に利用される危険性が高いと当局が位置づけています。

また、暗号資産を法定通貨へ交換したり、その交換を仲介したりする行為は、取引の形態によって暗号資産交換業に該当する可能性があります。個別の取引では、仲介会社、司法書士、税理士などへ担当範囲を確認するとともに、決済に関与する事業者について必要な登録の有無を確認してください。

《出典》
暗号資産を用いた不動産取引について(要請)(令和8年4月28日)|国土交通省・金融庁・警察庁・財務省
不動産業におけるマネー・ローンダリング対策(犯罪収益移転防止法)|国土交通省

不動産と仮想通貨の価格変動のイメージ

仮想通貨を不動産決済に使うメリット

仮想通貨による決済には、保有資産を決済原資として使えることや、国境をまたぐ送金手段の選択肢になることなどの利点があります。ただし、送金が速くても、不動産の審査、契約、本人確認、登記まで同じ速さで終わるわけではありません。

保有する暗号資産を決済原資として使える

暗号資産を保有している人は、取引所で日本円へ換金して銀行口座へ出金する前に、決済へ利用できる場合があります。もっとも、決済事業者が途中で法定通貨へ換金する方式では、換金手数料やスプレッドを含めた総費用の確認が必要です。

海外送金の選択肢になり得る

暗号資産は、銀行送金とは異なる経路で国境を越えて移転できます。しかし、送金経路が変わっても、現地の不動産法、外資規制、税務、本人確認、登記、売主側の資金受領条件は残ります。

海外送金の速さと、海外不動産取引全体の簡単さは同じではありません。決済の一部分だけを見て優劣を判断しないことが大切です。

送金履歴を確認できる

パブリックブロックチェーンを使った送金では、トランザクションIDなどから送金状況を確認できます。一方、その記録だけでは、送金相手の本人性、売買契約の有効性、不動産の権利関係までは証明できません。契約書や本人確認資料、登記情報と組み合わせて確認する必要があります。

不動産決済前に確認したい税金と費用

暗号資産で不動産代金を支払う場合は、不動産取得に伴う税金や費用だけでなく、暗号資産を使用したことによる所得計算も確認します。日本円へ換金していなくても、税務上の計算が不要になるとは限りません。

暗号資産で支払うと利益計算が必要になる

国税庁は、保有する暗号資産で商品を購入した場合、暗号資産を譲渡したものとして、商品価額に相当する譲渡価額と暗号資産の譲渡原価などとの差額を所得金額として計算する考え方を示しています。

不動産代金へ暗号資産を使用する場合も、決済時の円換算額と、その暗号資産の取得価額との差額を確認する必要があります。利益が生じたからといってすべての人に確定申告が必要になるとは一律にいえないため、所得区分、ほかの所得、必要経費などを含めて個別に判断します。

所得計算や申告の全体像は、仮想通貨を使ったときの所得計算と確定申告で詳しく解説しています。

《出典》
暗号資産等に関する税務上の取扱い及び計算書について(令和7年12月)|国税庁

不動産取得に伴う税金・諸費用は別に発生する

暗号資産で支払ったことによる所得計算とは別に、不動産の取得では登録免許税、不動産取得税、仲介手数料、司法書士報酬などの確認が必要です。契約内容によっては印紙税が関係する場合もあります。

決済に使う暗号資産だけを用意すれば取引が完了するとは限りません。税金や諸費用を何で支払うのかも、事前に仲介会社などへ確認しましょう。

決済レートと取引記録を残す

税務計算や契約内容の確認に備え、次の資料を保存します。

  • 売買契約書と決済条件を示す書面
  • 支払った暗号資産の銘柄、数量、日時
  • 決済時に使用した交換レートと情報源
  • 暗号資産の取得価額を確認できる取引履歴
  • 送金先アドレス、トランザクションID、手数料
  • 決済事業者による換金明細や領収書

海外事業者を利用する場合は、外貨建ての売買代金をどの時点の為替レートで円換算するかも確認が必要です。

コンピュータ画面に表示された仮想通貨と不動産取引のイメージ

主なリスクと契約前のチェックポイント

仮想通貨による不動産決済には、暗号資産の価格変動や誤送金だけでなく、物件、契約、事業者、権利関係に関するリスクがあります。関係省庁も、暗号資産を不動産決済に利用する取引をマネー・ローンダリングなどに悪用される危険性が高いものと位置づけ、厳格な取引時確認や疑わしい取引の届出などを求めています。ウォレットの安全対策だけで不動産取引全体の安全が確保されるわけではありません。

価格変動と決済レートのずれ

暗号資産の価格は短時間でも変動します。契約時と送金時の価格が異なると、必要数量が変わったり、買主と売主のどちらが価格変動を負担するかで問題になったりします。

契約では、円などの法定通貨で売買代金を定めたうえで、換算に使う取引所、価格、時刻、許容する変動幅、送金期限、不足・超過時の精算方法を確認します。

誤送金・ウォレット・秘密鍵のリスク

暗号資産は、一度送金が確定すると、送金者の操作だけで取り消したり組み戻したりすることは通常できません。銀行振込の組戻し手続きのように金融機関へ依頼できる仕組みとも異なります。送金先アドレス、使用するネットワーク、メモやタグの要否を複数人で照合し、事業者が認める場合は少額のテスト送金を行います。

フィッシングメールや偽サイトによって送金先を書き換えられることもあるため、メールだけで届いたアドレスへ高額送金しないことが重要です。公式の連絡先を使い、別の経路でも送金先を確認してください。

事業者、物件、権利、資金の流れを確認する

契約前には、少なくとも次の点を確認します。

  • 事業者:会社の実在性、所在地、免許・登録、責任者、問い合わせ先
  • 決済事業者:暗号資産の交換や交換の媒介を行う場合、取引形態に応じて暗号資産交換業の登録が必要か、登録を確認できるか
  • 物件:登記情報、所有者、抵当権などの負担、現況、重要事項説明
  • 権利:現物不動産の所有権か、受益権や収益分配を受ける権利か
  • 資金の流れ:誰のウォレットへ送金し、誰が換金し、売主は何を受け取るか
  • 契約条件:価格確定、手数料、キャンセル、返金、送金遅延時の扱い

「必ず値上がりする」「元本保証」「今すぐ送金が必要」などと判断を急がせる案件には注意が必要です。詐欺的な勧誘の特徴は、仮想通貨投資詐欺の手口と確認方法でも解説しています。

海外不動産では現地法と税務も確認する

海外不動産では、外国人による所有制限、現地の税金、登記制度、為替、資金移動規制、紛争時の準拠法などを確認します。暗号資産で送金できることは、日本居住者がその物件を適法に取得・保有できることを意味しません。

国境を越える取引では、日本の外為法に基づく報告の要否にも注意が必要です。関係省庁の2026年4月28日付要請では、海外から3,000万円相当額を超える暗号資産などを受領した場合に「支払又は支払の受領に関する報告書」の提出義務があることが周知されています。

これとは別に、非居住者が日本国内の不動産またはこれに関する権利を取得した場合は、原則として取得後20日以内に、日本銀行を経由して財務大臣へ報告します。2026年4月1日以降は、居住用を含め、不動産自体の取得は目的を問わず報告対象へ拡大されました。非居住者による不動産取得報告には3,000万円という下限はなく、金額や面積の大小にかかわらず確認が必要です。3,000万円基準は、海外からの支払い・受領に関する報告と混同しないでください。

日本側と現地側の双方で税務や法務が関係する場合があるため、国名と取引条件が決まった段階で、該当国の制度に詳しい専門家へ確認してください。

《出典》
非居住者による本邦の不動産等取得に係る報告制度 よくあるご質問(FAQ)|財務省
外国為替の取引等の報告に関する省令の一部を改正します(令和8年2月20日)|財務省

スマートフォンと仮想通貨で不動産投資するイメージ

仮想通貨による不動産決済の事例

事例を確認するときは、「暗号資産で支払える」という宣伝文だけでなく、誰が暗号資産を受け取り、売主へ何が支払われるかを見ることが重要です。サービスの提供国、対象物件、対応銘柄、本人確認、手数料などは変更されるため、契約時点の公式条件を確認してください。

海外事例|TEKCEの決済の流れ

海外不動産会社TEKCEは、公式ページで暗号資産による不動産購入の手順を案内しています。2026年7月7日更新の案内では、対象国で物件を選んだ後、KYCと暗号資産決済に関する契約を行い、買主が同社のウォレットへ暗号資産を送ります。

受け取った暗号資産は市場価格で法定通貨へ換えられ、売買契約の条件に従って売主の銀行口座へ送金されます。つまり、この例は買主は暗号資産を使う一方、売主には法定通貨が届く方式です。

同社は2017年以降、ビットコイン、イーサリアム、USDTによる支払いを含む2,500件超の取引を完了したと説明しています。ただし、これは事業者の公式公表値であり、日本居住者の利用可否や個別物件の安全性を保証するものではありません。

《出典》
Pay with Cryptocurrency|TEKCE

国内事例は現在の提供条件を個別に確認する

国内でも過去に、ビットコインによる不動産決済サービスの開始が発表された例があります。しかし、開始時の発表が残っていても、現在も同じ名称・条件で提供されているとは限りません。

古い紹介記事だけを根拠に送金せず、運営会社の公式サイトで現在の提供状況を確認し、対象物件、決済事業者、手数料、本人確認、契約書、送金先を問い合わせてください。継続状況を確認できないサービスは、現在利用できるサービスとして扱わない方が安全です。

不動産ST・RWA投資とは何が違う?

不動産STは、ブロックチェーンなどの電子的な仕組みを使って、不動産信託受益権などを裏付けとする有価証券を発行・移転する仕組みです。暗号資産を決済に使って一棟や一室の所有権を取得する方法とは異なります。

比較点 不動産の暗号資産決済 不動産ST・RWA投資
主な目的 不動産の購入代金を暗号資産で支払う 不動産に関係する商品・権利へ投資する
取得するもの 契約と登記に基づく不動産の所有権など 信託受益権などを裏付けとする有価証券等
主な取扱主体 売主、仲介会社、決済事業者など 証券会社、発行体、信託銀行など
主なリスク 物件、契約、価格変動、送金、登記 発行体、裏付け資産、流動性、権利内容、商品価格

「不動産に投資できる」という説明だけで判断せず、最終的に何の権利を取得するのかを契約締結前交付書面や商品説明書で確認してください。暗号資産、不動産ST、その他の権利では、取扱事業者や適用される法制度も異なります。

《出典》
金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針|金融庁

ビットコインとビルが並んでいるイメージ

まとめ|決済手段より契約・税金・権利を先に確認する

仮想通貨で不動産を購入することは可能ですが、売主や仲介会社などが対応し、決済条件に合意することが前提です。暗号資産を利用しても、不動産の契約、本人確認、物件調査、登記、税務上の確認が不要になるわけではありません。

検討時は、次の順番で確認しましょう。

  1. 現物不動産を買うのか、不動産STなどの権利へ投資するのか
  2. 誰が暗号資産を受け取り、売主には何が支払われるのか
  3. 支払額を決めるレート、時刻、手数料、返金条件
  4. 物件、売主、仲介会社、決済事業者、送金先の確認
  5. 暗号資産を使用したことによる所得計算と不動産取得費用

仮想通貨決済は不動産取引の選択肢の一つであり、取引全体を自動的に安全・迅速にする仕組みではありません。決済の便利さだけでなく、取得する権利と契約条件を基準に判断することが大切です。

《参考サイト》

海外不動産投資ポータルサイト「WorldInvest」