監修:株式会社J-CAM 金融アドバイザー AFP認定者 倉本 佳光 Yoshimitsu Kuramoto

慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。その後、メリルリンチ日本証券株式会社マネージメント・コミッティーメンバー、岡三アセットマネジメント株式会社理事などを歴任。
執筆:BitLending編集部 更新日:2026年9月15日

倉本 佳光

DAI(ダイ)とは、暗号資産などを担保として発行され、1DAIがおおむね1米ドルになることを目指すステーブルコインです。旧MakerDAOから名称を変更したSky Protocolでは、新しいステーブルコインとしてUSDSが導入されています。

DAIからUSDSへの移行は一律に必須ではありません。Ethereum上の公式コンバーターではDAIとUSDSを1対1で双方向に交換できますが、利用したい取引所やDeFiサービスの対応状況、ガス代、税務上の記録を確認してから判断する必要があります。

本記事では、DAIの意味と1ドル連動の仕組み、USDSとの違い、交換前の確認事項、国内取引所の取扱終了、sDAI・sUSDS・stUSDS、リスク、税金まで実務的に解説します。

免責事項(投資助言ではありません)

本記事は、DAI・USDSを含む暗号資産に関する情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買・投資行動を推奨するものではありません。暗号資産は価格変動が非常に大きく、短期間で大きな損失が発生する可能性があります。投資判断は必ずご自身の責任で行い、必要に応じて専門家へご相談ください。

利益相反に関する開示:本記事を掲載するBitLendingは、暗号資産レンディングサービスを提供しています。記事内には当社サービスへの導線が含まれる場合がありますが、特定の投資行動や暗号資産の貸出を推奨するものではありません。

DAIとは?読み方とUSDSとの関係

DAIは「ダイ」と読みます。暗号資産を担保にして発行され、1DAIがおおむね1米ドルになることを目標とするERC-20トークンです。銀行に預けた米ドルそのものではなく、Sky Protocolの仕組みと担保資産によって価値の安定を目指します。

MakerDAOは2024年にSkyへブランドを変更し、USDSを導入しました。DAIはUSDSへ置き換わって突然使えなくなったわけではありません。公式のEthereumコンバーターでは、DAIとUSDSを固定比率1対1で双方向に交換できます。

ステーブルコインには法定通貨を準備資産とするものなど複数の設計があります。全体像はステーブルコインの種類と裏付けの違いで確認できます。

《出典》
Dai|Sky Protocol Docs
USDS|Sky Protocol Docs

💡 用語解説:ステーブルコインとペッグとは? ▼ 開く

■ ステーブルコインとは?

法定通貨などの参照資産に対して、価格を安定させることを目指すデジタル資産です。

  • ペッグ:特定の通貨や資産に価格を連動させること
  • デペッグ:市場価格が参照価格から外れること

この記事での読み方

DAIとUSDSは1米ドル付近を目指しますが、市場価格や円換算額が常に固定されることや、元本が保証されることを意味しません。

DAI・USDS・sDAI・sUSDS・stUSDSの違い

DAIとUSDSは1米ドル付近を目指すステーブルコインです。一方、sDAI・sUSDS・stUSDSは、対応する仕組みに資産を預けたときに受け取るトークンであり、DAIやUSDSそのものとは役割が異なります。

名称 主な役割 確認したい点
DAI既存の米ドル連動型ステーブルコイン取引所・ウォレット・DeFiの対応状況
USDSSky Protocolが導入したステーブルコイン利用地域、対応ネットワーク、サービス規約
sDAIDAI Savings Rateを反映する従来のVaultトークンLegacy扱いだが、現在もサポートされているか
sUSDSSky Savings Rateを反映するUSDSのVaultトークン変動するレート、換金性、スマートコントラクト
stUSDSSKYを担保とする貸付から利回りを得る仕組みsUSDSとは異なる信用・流動性リスク

名称が似ていても、利回りの源泉と負うリスクは同じではありません。表示される利率だけでなく、元になる資産、引き出し条件、利用するコントラクトを確認しましょう。

これらが利用されるDeFiの仕組みと利用時の注意点もあわせて確認すると、違いを整理しやすくなります。

《出典》
sUSDS (Savings USDS)|Sky Protocol Docs
Spark Savings|Spark Docs

DAIが1米ドル付近の価格維持を目指す仕組み

DAIが1ドル付近を目指す仕組み

DAIは、対応する暗号資産などをVaultへ預け、担保価値に対して余裕を持たせた状態で発行されます。発行したDAIと手数料を返済すると担保を引き出せます。

担保価値が下がって定められた水準を下回ると、担保が清算される場合があります。これはDAIの債務を回収し、システム全体の健全性を維持するための仕組みです。清算条件は担保資産やVaultによって異なります。

DAIの価格安定性の裏側には、担保構成、清算、ガバナンスへの依存があります。「暗号資産担保型」という説明だけで完全に分散していると判断せず、担保の内訳やプロトコルの変更も確認する必要があります。

《出典》
CDP Manager|Sky Protocol Docs
Collateral Liquidation|Sky Protocol Docs

清算の考え方を数値例で確認

説明用の仮定として、100ドル相当の担保で60DAIを発行すると担保率は約166%です。仮に清算基準が150%で、担保価値が80ドルまで下がると、担保率は約133%となり清算基準を下回ります。

この数値は特定Vaultの現在条件ではありません。実際に担保を預けてDAIを生成する場合は、対象Vaultの清算比率、清算ペナルティ、安定化手数料を公式画面で確認してください。

DAIの特徴と利用目的

DAI・USDT・USDCの使い分け

DAI、USDT、USDCはいずれも1米ドル付近を目指しますが、価値を支える仕組みや発行主体が異なります。

比較項目 DAI・USDS USDT USDC
主な仕組みプロトコルと複数の担保資産Tetherの準備資産Circleの準備資産
主な利用目的DeFi、送金、決済、待機資金取引、送金、決済取引、送金、決済、DeFi
主な確認点担保構成、ガバナンス、対応サービス準備資産、発行体、流動性準備資産、発行体、対応地域

どれが常に優れているかではなく、利用先が対応しているか、どの価値維持リスクを受け入れるかで選びます。USDTはUSDTの準備資産と安全性、USDCはUSDCの仕組みとデペッグリスクで詳しく解説しています。

DAIからUSDSへ交換する前の確認事項

DAIを持ち続けるかUSDSへ移行するか

現在利用している取引所、ウォレット、DeFiサービスがDAIに対応しているなら、DAIを保有し続ける選択肢があります。一方、Sky Savings RateなどUSDSを前提とする機能を利用したい場合は、USDSへの交換を検討できます。

選択肢 判断しやすい状況 事前確認
DAIを維持現在の利用先がDAIに対応している取扱継続、入出庫、流動性
USDSへ交換USDS対応機能を利用したい地域制限、ネットワーク、ガス代、税務
売却・別の保管先へ送付取引所の取扱終了が予定されている期限、送付先対応、自動換金条件

「新しい名称だから交換する」のではなく、保有場所と利用目的から判断することが重要です。

DAIからUSDSへ交換する前のチェックリスト

  • Sky Protocolの公式ドメインとコンバーターであることを確認する
  • DAIとUSDSがEthereum上の正式なトークンであることを公式アドレスと照合する
  • ウォレットにガス代として使うETHがあるか確認する
  • 交換後のUSDSを利用するサービスが、居住地域と接続ウォレットに対応しているか確認する
  • 交換日時、数量、時価、ガス代、トランザクションIDを保存する
  • 初めて外部アドレスへ送る場合は少額で確認してから残額を送る

公式コンバーター自体はDAIとUSDSを1対1で変換し、変換手数料は課されません。ただし、Ethereumのネットワーク手数料や外部サービス側の費用まで無料になるわけではありません。ガス代の仕組みはEthereumのガス代が決まる仕組みで確認できます。

《出典》
USDS・DAI USDS Converter|Sky Protocol Docs

DAIからUSDSへ交換する基本手順

  1. Skyの公式サイトまたは公式ドキュメントから交換画面へ進みます。
  2. DAIを保有するEthereum対応ウォレットを接続します。
  3. 交換するDAIの数量を入力し、表示される受取USDSとガス代を確認します。
  4. 初回はDAIの利用承認を行い、その後に交換取引をウォレットで承認します。
  5. 取引完了後、ウォレット残高とブロックエクスプローラー上のトランザクションを確認します。

画面名称や操作順は変更される場合があります。ウォレットに表示されない場合も、未着と決めつけず、取引の成功状況、接続中のネットワーク、公式USDSコントラクトの登録状況を確認してください。

国内でDAIを買う・保有する前の注意点

国内取引所でDAIを扱う事業者はありますが、取扱状況は変化しています。購入先を選ぶときは、売買できるかだけでなく、DAIの預入・送付ができるか、対応ネットワーク、最低数量、停止予定を公式サイトで確認してください。

GMOコインは2026年4月30日、DAIの取扱廃止を発表しました。同社の発表では、Binance Japanも2026年4月7日にDAIの取扱いを一時終了したと案内されています。したがって、過去にDAIを扱っていた取引所を現在の購入先として判断することはできません。

取扱終了時は、売買停止日、外部送付の停止日、期限後の自動換金条件を分けて確認しましょう。自己管理へ移す場合は、秘密鍵や復元フレーズを自分で管理する責任も生じます。保管方法はウォレットの種類と管理方法で解説しています。

《出典》
ダイ(DAI)の取扱廃止に関するお知らせ|GMOコイン

円建てのDAI価格はドル円相場でも動く

DAIが米ドル建てで1ドル付近を維持していても、円換算額はドル円相場によって変動します。円高になればDAIの円価格が下がり、円安になれば上がる場合があります。

購入・売却時には、ドル円に加えて、販売所のスプレッド、取引手数料、送付手数料も確認しましょう。

DAIとUSDSの主なリスク

DAI・USDSを利用するときのリスク

DAIとUSDSは価格の安定を目指しますが、元本保証ではありません。ペッグ乖離、担保資産、ガバナンス、スマートコントラクト、流動性、利用サービス、送金ミスなど複数のリスクがあります。

DAI・USDS自体のリスクと、それを預ける取引所・DeFi・レンディング事業者のリスクは別に評価する必要があります。

1米ドルから外れるデペッグ

市場の混乱や担保資産への不安、流動性の低下が重なると、DAIの市場価格が1米ドルから外れる場合があります。2023年3月にはSilicon Valley Bankをめぐる不安からUSDCがデペッグし、当時USDCへの依存度が高かったDAIも影響を受けました。

過去に価格が戻ったことは、将来も必ず回復する保証ではありません。市場価格だけでなく、担保構成、交換経路、取引所での流動性を確認しましょう。

《出典》
Stablecoins: A Deep Dive into Valuation and Depegging|S&P Global

利回り商品では追加のリスクが生じる

USDSをsUSDSやstUSDSなどへ預けると、ステーブルコインの保有に加えて、Vaultのスマートコントラクト、利回りの源泉、流動性、引き出し条件に関するリスクが加わります。利率は変動し、Sky.moneyや連携先が保証するものではありません。

レンディングを利用する場合も事業者の信用リスクや返還条件が加わります。仕組みと確認項目は暗号資産レンディングのリスクと選び方で確認できます。

《出典》
Sky Savings Rate・stUSDS・Vaults|Sky.money
Spark Savings|Spark Docs

DAIとUSDSの将来性を判断するポイント

DAIとUSDSの将来性は、価格上昇の予想ではなく、1米ドル付近を維持できているか、十分な流動性があるか、対応サービスが増減しているかという利用基盤から判断します。

  • ペッグ:市場価格と公式交換経路が安定しているか
  • 担保:担保構成とリスク情報が継続的に開示されているか
  • 採用:取引所、ウォレット、DeFiでの対応が増えているか
  • 流動性:必要な数量を過度な価格差なく交換できるか
  • 規制・地域:日本居住者が利用できるサービスと機能は何か

Sky ProtocolがUSDSを中心とする機能を展開する一方、DAIは既存サービスとの互換性を持っています。ただし、国内取引所での取扱終了は、DAIからUSDSへの移行が実務上進んでいることを示す確認材料です。

DAIの知名度だけでなく、USDS側へ機能・流動性・利用導線がどこまで移るかを継続して確認する必要があります。

《出典》
USDS|Sky Protocol Docs
Sky.money

DAI・USDSのよくある質問

DAIの意味、USDSへの移行、取引所、ウォレット、費用、税金について、実際に判断するときの疑問を整理します。

Q. DAIとは何ですか?何と読みますか?

A. DAIは「ダイ」と読みます。暗号資産などを担保に発行され、1DAIがおおむね1米ドルになることを目標とするステーブルコインです。

Q. 1DAIはいくらですか?

A. 米ドル建てでは1DAIがおおむね1米ドルになることを目指します。日本円での価格はドル円相場、取引所の需給、スプレッドなどによって変動します。

Q. DAIは必ず1米ドルを維持しますか?

A. いいえ。1米ドル付近を目指す仕組みはありますが、市場の混乱、担保資産、流動性などの影響で一時的または継続的に価格が外れる可能性があります。

Q. DAIとUSDSは何が違いますか?

A. どちらもSky Protocolに関係する米ドル連動型ステーブルコインですが、DAIは従来から使われているトークン、USDSはSkyへのブランド変更後に導入されたトークンです。対応するサービスや利用できる機能が異なります。

Q. MakerDAOとSky Protocolは同じものですか?

A. MakerDAOのエコシステムは2024年にSkyへブランドを変更しました。ただし、名称変更後もDAIが直ちに無効になったわけではなく、DAIとUSDSは公式コンバーターで相互変換できます。

Q. DAIは廃止され、使えなくなるのですか?

A. Sky Protocolの公式文書ではDAIとUSDSの双方向変換が提供されており、DAIが一律に無効になるとは案内されていません。ただし、個別の取引所やサービスがDAIの取扱いを終了する場合はあります。

Q. DAIをUSDSへ交換する必要はありますか?

A. 一律に必須ではありません。現在の利用先がDAIに対応しているか、USDS向け機能を利用したいか、保管先が取扱いを継続するかを確認して判断します。

Q. DAIとUSDSはどちらを保有すべきですか?

A. 既存の取引所やDeFiとの互換性を重視する場合はDAI、Sky Savings RateなどUSDSを前提とする機能を利用する場合はUSDSが候補です。安全性や利回りだけで一律に優劣を決めることはできません。

Q. DAIからUSDSへはどこで交換できますか?

A. Ethereum上のSky Protocol公式コンバーターで交換できます。偽サイトを避けるため、検索広告やSNS上のリンクをそのまま開かず、Skyの公式サイトと公式ドキュメントから接続先を確認してください。

Q. DAIとUSDSの交換比率と手数料はいくらですか?

A. Sky Protocolの公式コンバーターでは、DAIとUSDSを固定比率1対1で双方向に交換でき、変換手数料は課されません。ただし、利用時にはEthereumのガス代が別途必要です。

Q. 交換手数料が無料でもガス代はかかりますか?

A. はい。公式コンバーターが変換手数料を課さなくても、Ethereum上で承認や交換の取引を実行するためのガス代がかかります。混雑状況によって必要額は変動します。

Q. 取引所にあるDAIをそのままUSDSへ交換できますか?

A. 取引所がUSDSへの交換や出庫に対応しているとは限りません。取引所内の交換機能、DAIの送付可否、対応ネットワーク、送付期限を確認し、自己管理ウォレットへ送る場合はアドレスとネットワークを照合してください。

Q. 国内取引所がDAIの取扱いを終了した場合はどうすればよいですか?

A. 公式告知で売買停止日、外部送付の停止日、期限後の換金方法を確認します。別の取引所やウォレットへ送る場合は受取側のDAI対応とネットワークを確認し、期限に余裕を持って手続きしてください。

Q. DAI・USDSの正しいコントラクトアドレスはどこで確認できますか?

A. Sky Protocolの公式ドキュメントや公式のデプロイメント一覧で確認します。ウォレットやDeFiへ追加するときは、トークン名やロゴだけで判断せず、ネットワークとコントラクトアドレスを照合してください。

Q. sDAI・sUSDS・stUSDSは何が違いますか?

A. sDAIはDAI Savings Rate、sUSDSはSky Savings Rateを反映するVaultトークンです。stUSDSはUSDSをSKY担保の貸付に利用する別の仕組みで、sUSDSより信用・流動性リスクが増えます。sDAIはLegacy扱いですが、Sparkの現行文書では引き続きサポートされています。

Q. DAIをUSDSへ交換すると税金がかかりますか?

A. 日本では暗号資産同士の交換が所得計算の対象になる場合があります。DAIとUSDSの1対1交換についても自動的に非課税と決めつけず、交換日時、数量、円換算額、ガス代を記録し、個別の扱いは税務署や税理士へ確認してください。暗号資産税務の全体像は暗号資産の交換と税金の基本で解説しています。

《出典》
暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)|国税庁

まとめ|DAI保有者が確認する順番

DAIは、暗号資産などを担保にして1米ドル付近の価格維持を目指すステーブルコインです。Sky ProtocolではUSDSが導入されていますが、DAIからUSDSへの交換は一律に必須ではありません。

  1. 保有しているDAIのネットワークと保管場所を確認する
  2. 取引所や利用サービスがDAIの取扱いを継続するか確認する
  3. USDS向け機能を利用する必要があるか判断する
  4. 交換する場合は公式URL、ガス代、対応地域、税務記録を確認する

DAIとUSDSの判断では、名称の新旧より、実際の利用先・費用・リスクを確認することが大切です。