バイナンス日本上陸
2023.08.03
早いもので今年も残すところ1ヶ月となった。
FTX事件から始まり、ドイツを破った逆転劇からのコスタリカ戦での敗退。日々のさまざまな出来事に一喜一憂してしまうが、世間を揺るがす大事件も国民的歓喜も明日になれば過去のものとなる。時間の流れには逆らえない。
抗おうとするのではなく、時には身を任せる事も大事なのではないかと思うことがある。田舎から上京している身としては、「また今度ね」の言葉が最後の言葉になる事が多々ある。あと何回会えるだろうかとも考えるが、こちらとて大人だからある程度覚悟はしている。逆らえないものは受け入れるしかない。だからこそ時間の使い方は大切にしていきたい。そんなタイミングで手に取った「限りある時間の使い方」(オリバー・バークマン=著)という本。イギリスのジャーナリストでガーディアン紙の記者として活動をしていた経歴を持つ人物が書いた本だが、実にイギリス人らしいリアリスティックな内容だと思った。
彼によると人生は4000週間しかないらしい。数値化すると余計に残酷な現実を突きつけられた気がするが、それだけ人生は短いのだ。私が順調に80代まで生きるとして、残すところ3/5といったところだろうか。
東京で生活をしていると日々の生活がとても忙しい。これだけタイムマネジメントをしていても時間が足りない。こう思うのはきっと私だけではないだろう。
業務を効率化するのは仕事で成果を上げる為だ。その先には経済的な豊かさと自由な時間の確保という自身の桃源郷がある。そこに向かうべく日々頭を抱えるのだが、業務の効率化、合理化の為のライフハックがかえって自分の時間を奪っている現実がある。タスクを最短でこなしてもまた次のタスクが舞い込む。幸か不幸か分からないが、スマホさえあればほとんどの仕事をこなせる時代になってしまった。デジタルデトックスをしようと田舎へ帰っても結局はスマホを触ってしまう。移動中でもそう。これではストレートネックのトレーニングをしているようなものだ。
二律背反。トレードオフ。何かを得るには何かを失わなければならない。
これまでの日本の教育では可能性を広げる事が良しとされてきた。だが、可能性を広げたとてそのほとんどは幻想に過ぎない。いくら年始に丹精込めてやりたい事リスト100なんか作ったところで、そのほとんどはファンタジーの世界に消える。イーロンマスクも忙しい。私も忙しい。団地のおばあちゃんも忙しい。
時間は有限で平等だ。だったらいっそのこと可能性を狭める事で自由になれるのではないだろうか。「選択しない勇気も必要である。」イギリス人の彼は著書でそう語っている。だいぶタイトルからそれてしまったが、11月30日夕方、大手暗号資産取引所バイナンスが日本に進出したというニュースが流れた。どうやらサクラエクスチェンジを買収したようだ。
今年9月にも日本進出に関して国内の規制に対応する形で正面からノックしている方針は示していたので特別驚かない。従業員も今や7500名ほどに膨れ上がった彼らにとっても、特段驚くような内容ではないかもしれない。
金融庁監督下になることで業界には良い影響も数多くあるだろうが、都合が悪くなる人たちも一定数居るだろう。だが全てを同時に予定通りに得ることは不可能なのである。
これも二律背反。トレードオフではなかろうか。できないことにフォーカスするよりも、できることにフォーカスし伸ばす方が案外スムーズに事は進むものだ。変化に対応できてこそ生き残れるというのはきっとこういうことなのだろう。