監修:株式会社J-CAM 金融アドバイザー AFP認定者 倉本 佳光 Yoshimitsu Kuramoto
慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。その後、メリルリンチ日本証券株式会社マネージメント・コミッティーメンバー、岡三アセットマネジメント株式会社理事などを歴任。
執筆:BitLending編集部 更新日:2026年8月27日
メタバースと仮想通貨(暗号資産)は別のものです。メタバースは人が交流したり遊んだりするデジタル空間、仮想通貨はその一部で決済や報酬、運営への投票などに使われるデジタル資産です。
メタバースを利用するために、仮想通貨が必ず必要なわけではありません。円やクレジットカード、通常のゲーム内通貨だけで利用できるサービスもあります。大切なのは、サービスごとに仮想通貨・ブロックチェーン・NFTが何のために使われているかを分けて確認することです。
本記事では、両者の関係、仮想通貨が必要な場面と不要な場面、ゲーム内通貨との違い、関連銘柄を見るポイント、利用前のリスクを順に解説します。
免責事項(投資助言ではありません)
本記事は、暗号資産に関する情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買・投資行動を推奨するものではありません。暗号資産は価格変動が非常に大きく、短期間で大きな損失が発生する可能性があります。投資判断は必ずご自身の責任で行い、必要に応じて専門家へご相談ください。
利益相反に関する開示:本記事を掲載するBitLendingは、暗号資産レンディングサービスを提供しています。記事内には当社サービスへの導線が含まれる場合がありますが、特定の投資行動や暗号資産の貸出を推奨するものではありません。
メタバースと仮想通貨の関係
メタバースは「活動する場所」、仮想通貨はそこで使われることがある「価値交換の手段」です。両者は関連しますが、同じものではありません。
ブロックチェーンやNFT、VRも役割が異なります。言葉を次のように分けると、関係を理解しやすくなります。
| 用語 | 主な役割 | 仮想通貨との関係 |
|---|---|---|
| メタバース | 交流、ゲーム、制作、イベントなどを行うデジタル空間 | 一部のサービスで決済や報酬に仮想通貨を使う |
| ブロックチェーン | 取引や保有の記録を複数の参加者で共有・検証する仕組み | 仮想通貨やNFTの記録基盤になることがある |
| 仮想通貨 | インターネット上で移転できるデジタル資産 | 決済、報酬、投票などに使われることがある |
| NFT | デジタルアイテムなどを個別に識別する記録 | 売買代金や手数料の支払いに仮想通貨を使う場合がある |
| VR | 仮想空間を立体的に体験するための技術・機器 | 仮想通貨やブロックチェーンとは別の技術 |
仮想通貨を使わず、運営会社が管理するポイントやゲーム内通貨だけで成り立つメタバースもあります。したがって、メタバースだから仮想通貨が必要、VRを使うからブロックチェーンを採用しているとは判断できません。
《出典》
暗号資産に関する制度・注意事項|金融庁
メタバースとは?
メタバースとは、利用者がアバターなどを通じて参加し、ほかの人と交流したり、ゲームやイベント、制作活動を行ったりするデジタル空間です。サービスによって体験できることや運営方法は異なり、すべてを一つの空間として行き来できるわけではありません。
代表的な利用場面には、次のようなものがあります。
- 友人やほかの利用者との交流
- ゲーム、ライブ、展示会などへの参加
- アバター用の衣装やアイテムの制作・利用
- 仮想空間内の土地や施設の利用
- 仕事、研修、共同制作
VRゴーグルは参加方法の一つです。パソコンやスマートフォンから利用できるサービスもあるため、「メタバース=VR」とは限りません。
仮想通貨を使うメタバースと使わないメタバース
ブロックチェーン型のメタバースでは、外部ウォレットを接続し、仮想通貨やNFTをサービス外へ移転できる場合があります。一方、運営会社のサーバー内だけでアイテムや残高を管理するサービスでは、円、クレジットカード、専用ポイントなどで利用できます。
どちらが優れているかは、利用目的によって異なります。外部へ移転できる設計には自由度がある一方、ウォレット管理や取引手数料、偽サイトへの対策など、利用者自身が確認すべきことも増えます。
メタバースで仮想通貨が使われる4つの場面
メタバースに仮想通貨を組み込む主な目的は、サービス内外で価値を移転できるようにすることです。ただし、仮想通貨の名称が付いていても、用途や必要性はプロジェクトごとに異なります。
仮想通貨そのものの基本から確認したい場合は、仮想通貨の仕組みと始め方の基礎を先に読むと理解しやすくなります。ビットコインの性質については、ビットコインの仕組み・価値・リスクで詳しく解説しています。
1. アイテムやサービスの支払い
アバターの衣装、ゲーム内アイテム、イベント参加、土地の利用などの支払いに仮想通貨を使う場合があります。ただし、同じサービスでも無料で利用できる範囲や、法定通貨で支払える範囲が設けられていることがあります。
支払いに使えることと、保有すれば価格が上がることは別の話です。必要となる数量、利用頻度、手数料、ほかの支払い方法も確認する必要があります。
2. ユーザーや制作者への報酬
アイテムの制作・販売、ゲーム内の活動、イベント運営などへの対価として仮想通貨を受け取れる場合があります。もっとも、報酬額は参加者数や市場価格、運営ルールに左右されます。「遊べば必ず利益が出る」「制作物が必ず売れる」という仕組みではありません。
3. プロジェクト運営への投票
一部のプロジェクトでは、仮想通貨の保有者が提案や投票に参加できます。この仕組みは一般にガバナンスと呼ばれます。ただし、投票権の範囲は規約や設計で決まり、株式会社の株主権と同じ法的権利を持つとは限りません。
4. 外部ウォレットを使った移転・取引
ブロックチェーン上の仮想通貨やNFTは、対応する外部ウォレットへ移したり、対応市場で取引したりできる場合があります。一方、技術的に移転できても、別のサービスで同じ見た目や機能を利用できるとは限りません。
移転できることと、使い道や価値が保証されることは別だと理解しておきましょう。
ブロックチェーンとNFTは何をしている?
ブロックチェーンは取引や保有の記録を共有・検証するための基盤で、NFTはその上で個々のアイテムを識別するために使われます。ブロックチェーンやNFTを採用しているだけで、サービスや資産の価値、安全性が保証されるわけではありません。
ブロックチェーンの役割
ブロックチェーンを使うと、運営会社のデータベースだけに頼らず、仮想通貨やNFTの移転履歴を確認できます。しかし、画面表示、ゲーム機能、画像データ、利用規約などは運営会社のシステムに依存することがあります。
記録が残ることと、サービスが永続することは同じではありません。スマートコントラクトの不具合、ウォレットの管理ミス、偽サイトなど、ブロックチェーンの外側にもリスクがあります。
NFTの役割
NFTは、アバター用の衣装、ゲーム内アイテム、土地などに対応する識別情報をブロックチェーン上へ記録するために使われます。ただし、NFTを購入しても、作品の著作権や自由な商用利用権まで自動的に取得できるわけではありません。利用できる権利は、販売条件や利用規約の確認が必要です。
NFTの詳しい仕組みや暗号資産との違いは、NFTと仮想通貨の違いを初心者向けに解説した記事で確認できます。
ゲーム内通貨・仮想通貨・NFTの違い
| 種類 | 主な用途 | 管理・移転の特徴 |
|---|---|---|
| ゲーム内通貨 | サービス内の購入や機能利用 | 通常は運営会社が管理し、サービス外へ移せない |
| 仮想通貨 | 決済、報酬、投票など | 対応ウォレットへ移転でき、市場価格が変動する場合がある |
| NFT | アイテム等を個別に識別する記録 | 対応ウォレットへ移転できる場合があるが、利用先や権利は別途確認が必要 |
代表的なメタバース関連暗号資産
メタバース関連暗号資産は、プロジェクトごとに用途が異なります。ここでは価格上昇を期待するランキングではなく、暗号資産がサービス内で何を担うかを理解するための代表例として整理します。
| 暗号資産 | 関連サービス | 主な用途 | 確認上の注意 |
|---|---|---|---|
| MANA | Decentraland | サービス内のアイテム等に関わる決済や運営参加 | 利用条件や対応機能は公式サイトで確認する |
| SAND | The Sandbox | サービス内の取引、機能利用、運営参加など | 用途ごとの条件や対応ウォレットを確認する |
| AXS | Axie Infinity | プロジェクト運営への参加など | ゲーム内で使われるほかの資産と役割を分ける |
同じ「メタバース関連」でも、土地の購入、ゲーム報酬、投票など役割は一致しません。サービスの利用者が増えても、その活動に暗号資産が必要でなければ、需要が同じ割合で増えるとは限りません。
イーサリアムを基盤として使うサービスもあります。ネットワークとETHの関係は、イーサリアムの仕組みと発行構造で解説しています。また、ゲームを中心に理解したい場合は、ブロックチェーンゲームとNFT・仮想通貨の関係をご覧ください。
《出典》
Decentraland公式サイト|Decentraland
SAND|The Sandbox Documentation
関連銘柄を見る5つのポイント
メタバース市場の成長予測や銘柄名だけでは、暗号資産の価値を判断できません。次の5点を順に確認すると、サービスの人気と暗号資産の需要を混同しにくくなります。
- 実際の用途:決済、報酬、投票など、暗号資産を保有・使用する理由があるか
- 代替手段:円、クレジットカード、別の暗号資産でも同じ機能を利用できないか
- 発行と流通:追加発行、配布、ロック解除によって市場に出る量が増えないか
- 開発と継続性:運営主体、開発更新、利用状況、サービス終了時の扱いが示されているか
- 取得・保管方法:国内での取扱状況、対応ネットワーク、ウォレット、手数料を確認できるか
利用者数の増加と暗号資産価格の上昇を直結させないことが重要です。利用が増えても、暗号資産が使われない設計、供給量が増える設計、売却が集中する状況では、価格の動きは異なります。
利用前・購入前に知っておきたいリスク
メタバース関連の仮想通貨やNFTには、価格変動だけでなく、サービス運営やウォレット管理に関するリスクがあります。ブロックチェーン上に記録が残っても、サービス内で使い続けられるとは限りません。
価格変動と売却のしにくさ
関連暗号資産の価格は、サービスの利用状況だけでなく、暗号資産市場全体の動き、供給量、取引参加者の偏りなどにも左右されます。取引量が少ない場合、希望する価格やタイミングで売却できないこともあります。
サービス終了と仕様変更
運営終了、対応ネットワークの変更、ゲームルールの変更などによって、仮想通貨やNFTの使い道が縮小することがあります。NFT自体をウォレットに保有できても、対応する画像や機能が運営側のサーバーに依存していれば、従来どおり利用できない場合があります。
ウォレット、偽サイト、秘密鍵の管理
外部ウォレットを接続するときは、公式URL、接続先ネットワーク、署名内容を確認してください。秘密鍵や復元用フレーズを他人へ伝えると、資産を移されるおそれがあります。
ウォレットの種類や取引所との違いは、ウォレットの選び方と安全な管理方法で詳しく確認できます。
💡 用語解説:秘密鍵と復元用フレーズ ▼ 開く
■ 何を守る必要がある?
秘密鍵は資産を動かす権限に関わる情報で、復元用フレーズはウォレットを復元するための単語列です。
- 確認点:運営やサポートを名乗る相手にも入力・送信しない
- 注意点:紛失した場合、運営会社が復元できないウォレットがある
この記事での読み方
外部ウォレットを利用する自由度と、自分で管理する責任はセットです。サービスを試すだけなら、ウォレット接続が本当に必要かも確認しましょう。
税金と法的な権利
仮想通貨の売却やほかの暗号資産との交換、NFTの売買などでは、税務上の確認が必要になることがあります。取引履歴や取得価額を後から確認できるように保存しておきましょう。詳しい確認場面と計算方法は、仮想通貨の税金と確定申告の解説をご覧ください。
また、NFTの保有は、著作権や商標権の取得を当然に意味しません。購入前に、利用規約、ライセンス、商用利用の可否を確認する必要があります。
メタバースと仮想通貨のよくある質問
最後に、両者の違いや利用条件について、初心者が迷いやすい点を短く整理します。
メタバースを利用するには仮想通貨が必要ですか?
必ずしも必要ではありません。無料で参加できるサービスや、円、クレジットカード、通常のゲーム内通貨を使うサービスもあります。仮想通貨が必要になるのは、対応アイテムの購入、外部ウォレットへの移転、運営への投票など、サービスが指定した機能を使う場合です。
メタバースとVRは同じですか?
同じではありません。メタバースは人が活動するデジタル空間やサービスを指し、VRはその空間を立体的に体験するための技術・機器です。パソコンやスマートフォンから利用できるメタバースもあります。
ゲーム内通貨と仮想通貨は同じですか?
通常は異なります。一般的なゲーム内通貨は運営会社のサーバー内で管理され、サービス外へ移せません。仮想通貨は対応するブロックチェーン上で移転でき、市場で価格が変動する場合があります。ただし、名称ではなく、実際の利用条件を確認する必要があります。
NFTを持てばデジタルアイテムの著作権も得られますか?
NFTを保有するだけで、著作権や自由な商用利用権を自動的に取得できるわけではありません。NFTに付随する権利は、販売条件、ライセンス、サービスの利用規約によって異なります。
メタバースの利用者が増えれば関連暗号資産も値上がりしますか?
利用者の増加だけでは判断できません。暗号資産がサービス内でどれだけ必要とされるか、供給量がどう変化するか、利用者が別の支払い方法を選べるか、市場で売買しやすいかなど、複数の条件が価格に影響します。
まとめ
メタバースと仮想通貨は別のものです。メタバースは人が活動するデジタル空間で、仮想通貨は一部のサービスで決済、報酬、運営への投票などに使われます。仮想通貨を使わずに利用できるメタバースもあります。
ブロックチェーンは取引や保有の記録、NFTはアイテム等の識別に役立ちますが、それだけで価値や安全性、サービスの継続が保証されるわけではありません。
関連銘柄を見るときは、メタバースという名称ではなく、実際の用途、代替手段、発行と流通、開発の継続性、保管方法を確認することが大切です。利用する場合は、公式URL、ウォレットの署名内容、取引履歴の保存も忘れずに確認しましょう。