ビットコインが上がる理由・下がる理由|価格変動の仕組みと判断のポイント
監修:株式会社J-CAM 金融アドバイザー AFP認定者 倉本 佳光 Yoshimitsu Kuramoto
慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。その後、メリルリンチ日本証券株式会社マネージメント・コミッティーメンバー、岡三アセットマネジメント株式会社理事などを歴任。
執筆:BitLending編集部 更新日:2026年9月3日
ビットコインの価格は、大きく上昇する日もあれば、短期間で大きく下落する日もあります。「なぜ今日は上がったのか」「このニュースは価格にどれくらい効くのか」を、そのつど個別に追いかけるのは大変です。
この記事では、ビットコインの価格を動かす要因を需要・供給・マクロ経済・地政学・規制という切り口で整理し、目の前の材料が一時的なものか、構造的な変化かを見分けるための考え方をお伝えします。特定の価格を予想したり、投資を推奨したりするものではありません。半減期の仕組みそのものや、これまでの詳しい値動きの年表など、個別テーマを深く知りたい場合は、本文内で該当する記事へご案内します。
免責事項(投資助言ではありません)
本記事は、ビットコインに関する情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買・投資行動を推奨するものではありません。暗号資産は価格変動が非常に大きく、短期間で大きな損失が発生する可能性があります。投資判断は必ずご自身の責任で行い、必要に応じて専門家へご相談ください。
利益相反に関する開示:本記事を掲載するBitLendingは、暗号資産レンディングサービスを提供しています。記事内には当社サービスへの導線が含まれる場合がありますが、特定の投資行動や暗号資産の貸出を推奨するものではありません。
ビットコインが上がる・下がるとき、何が起きているのか
ビットコインの価格が動くのは、突き詰めれば「買いたい人(需要)と売りたい人(供給)のバランスが変わったとき」です。ニュースで報じられる個別の出来事は、そのバランスを動かす「きっかけ」であり、出来事そのものが価格を決めているわけではありません。
この記事では、価格を動かす要因を需要側・供給側・外部環境(マクロ経済・地政学・規制・業界内の出来事)に分けて整理します。そのうえで、ニュースに接したときに「これは価格に効く材料か、一時的な材料か」を自分で見分けるための判断基準もお伝えします。
ビットコインの価格を動かす需要側の要因
ビットコインの価格が上がるときは、多くの場合、買いたい人が売りたい人を上回っている状態です。かつては決済手段としての採用拡大や著名人の発言といった個別の出来事が話題になることもありましたが、現在は米国の現物ビットコインETFを通じた資金の出入りと、機関投資家・個人投資家による継続的な保有需要が、より安定的に効いている需要側の要因になっています。
常設の需給チャネルとなった現物ビットコインETF
米国では2024年1月10日、証券取引委員会(SEC)が複数の現物ビットコインETFの上場を承認しました。この承認は暗号資産全般を推奨するものではなく、証券に該当しない現物ビットコインを裏付けとするETP(上場投資商品)に限った承認である点に、SEC自身が声明の中で言及しています。とはいえ、この制度によって証券口座を通じた資金の出し入れが日常的に行われる仕組みが整い、承認から時間が経った現在では、一時的な新制度ではなく、需給に継続的に影響する常設のチャネルとして定着しています。ETFの仕組みや日本での取り扱い状況を詳しく知りたい場合は、ビットコインETFの仕組みや日本での状況もあわせてご確認ください。
機関投資家・個人投資家による保有の広がり
ETFを通じた資金だけでなく、上場企業や資産運用会社がビットコインを保有する動きや、個人投資家が少額から購入できる環境の整備も、需要側を下支えする要因です。ただし、こうした保有動向は投資家ごとの財務状況や戦略に左右されるため、特定の主体の保有ペースが今後も同じように続くとは限りません。
供給側の要因(半減期・発行上限とマネーサプライ)
需要が変わらなくても、供給が絞られれば相対的な希少性が増し、価格が上がりやすくなります。ビットコインの供給側の要因としては、新規発行ペースが減っていく「半減期」と、発行される総量そのものに上限がある「発行上限(2,100万枚)」という、性質の異なる2つの仕組みがあります。
半減期による新規発行量の減少
ビットコインは、約4年ごとに新規発行量(マイナーへの報酬)が半分になる「半減期」という仕組みを持っています。過去の半減期は2012年11月28日、2016年7月9日、2020年5月11日、2024年4月20日に実施されており、次回は2028年前後になる見込みです。新規発行される供給量が減ること自体は事実ですが、半減期を迎えれば需要の状況にかかわらず自動的に価格が上がるわけではなく、供給側の変化がここまで説明してきた需要側の要因と重なって初めて、価格に反映されます。
半減期後にどのような条件がそろうと価格が上がりやすく、どのような場合に上がりにくいのかを詳しく知りたい場合は、半減期の仕組みと価格が上がらない条件で解説しています。
💡 用語解説:マネーサプライ(M2)とは? ▼ 開く
■ マネーサプライ(M2)とは?
マネーサプライとは、世の中に出回っているお金の総量のことです。M2は、現金や普通預金に加え、定期預金など比較的換金しやすい預金までを含む代表的な指標で、各国の中央銀行が公表しています。
- 確認点:中央銀行が金融緩和を行う局面では、マネーサプライが増加する傾向があります
- 注意点:マネーサプライの増減だけで、ビットコインを含む特定の資産価格の動きを一対一で説明できるわけではありません
この記事での読み方
ビットコインの発行上限は2,100万枚に固定されている一方、法定通貨のマネーサプライは中央銀行の金融政策によって増減します。この「供給が固定された資産」と「供給が増減しうる法定通貨」という対比が、次の項目で説明する希少性の視点につながります。
発行上限2,100万枚とマネーサプライの対比
ビットコインは、発行される総量の上限が2,100万枚に固定されているという設計上の特徴を持っています。新規発行のペースは半減期のたびに減っていき、上限に近づくほど供給の増加率はゼロに近づいていきます。主要中央銀行がマネーサプライを拡大させる局面では、法定通貨で見た資産の相対的な価値が薄まりやすくなるため、供給量が固定されているビットコインが「相対的に希少な資産」として意識されやすくなります。
ここで扱っているのは、あくまで価格が動く材料としての希少性という視点です。ビットコインが資産としてどのような本質的価値を持つのかという、より掘り下げた議論については、ビットコインの本質的な価値の考え方で詳しく解説しています。
マクロ経済・金融政策が価格に与える影響
ビットコインは、株式などと同様に、米国の金利政策やドルの流動性といったマクロ経済の動きに影響を受けやすい資産だとされてきました。金利が下がり、市場に資金が出回りやすくなる局面では、リスクを取りやすくなった投資家の資金が株式やビットコインのような値動きの大きい資産へ向かいやすくなる、というのが基本的な図式です。
金利との関係は固定されたものではない
もっとも、金利とビットコイン価格の関係は常に一定ではありません。2026年に入ってからの市場分析の中には、現物ビットコインETFを通じた資金フローの存在感が増したことで、ビットコイン価格がFRBの金融政策の結果を後追いするだけでなく、政策変更をあらかじめ織り込むように動く場面が増えているとの指摘もあります。こうした相関の変化はまだ確定した見方ではなく、今後の状況によって再び変わる可能性もあるため、「金利が下がれば必ず上がる」という単純な図式だけで判断しないことが重要です。
直近の相場動向を踏まえた分析を確認したい場合は、直近のマーケット分析と今後の見通しもあわせてご覧ください。
《出典》
Bitcoin Is Now Front-Running the Fed Rather Than Reacting to It, ETFs Are the Cause|CoinDesk
地政学・国際情勢が価格に与える影響
政情不安や自国通貨の信頼低下が起きた地域では、資産を自国通貨や銀行預金以外の形で持ちたいという需要が生まれることがあります。ビットコインは国境をまたいで持ち運びやすく、特定の国の金融システムに依存しない性質から、こうした場面で買われることがあります。
「安全資産」としての位置づけには限界がある
この傾向は、2013年のキプロスでの預金封鎖をきっかけとした資金移動など、過去に複数回見られてきたパターンです。ただし、ビットコインは金(ゴールド)のように常に安全資産として買われるわけではなく、市場全体のリスク許容度が下がる局面では、他のリスク資産と同様に売られることもあります。地政学リスクが高まったからといって、必ずビットコインが買われるとは限らない点には注意が必要です。
規制・法制度の変化が価格に与える影響
各国の規制は、ビットコインを取引・保有しやすくする方向にも、しにくくする方向にも働きます。規制の強化は一律に価格の下落要因というわけではなく、その内容が需要側・供給側のどちらに、どのような形で影響するかによって結果が変わります。
規制強化が供給・需要に波及した事例
2021年5月21日、中国の国務院金融安定発展委員会は、ビットコインのマイニングと取引に対する取り締まりを強化する方針を示しました。これを受けて、当時中国国内に集中していたマイナー(採掘事業者)の一部が他国へ拠点を移す動きが起き、供給側の一時的な混乱要因になりました。この出来事はすでに決着した過去の事実であり、現在の中国における規制方針とは分けて理解する必要があります。
日本の税制・ETF制度は今後どう変わるか
日本国内では、暗号資産の譲渡益は現在、雑所得として他の所得と合算した累進課税(最大55%程度)の対象です。財務省が公表した令和8年度税制改正の大綱では、登録された暗号資産交換業者を通じて行う「特定暗号資産」の譲渡等について、他の所得と分離して20%(所得税15%、個人住民税5%)の税率で課税する方針が示されています。適用の開始時期は、金融商品取引法の改正が施行される日が属する年の翌年1月1日以後の譲渡等からとされており、金商法改正そのものの施行日自体は2026年9月時点でまだ確定していません。
あわせて、日本国内での暗号資産の現物ETF解禁についても、2028年ごろを見込む報道があります。米国で2024年に現物ビットコインETFが承認されたのに対し、日本の制度整備はまだ先の段階にあることは、投資環境の違いとして押さえておくとよいでしょう。規制の全体像をより詳しく知りたい場合は、日本と海外の規制の違いもあわせてご確認ください。
《出典》
令和8年度税制改正の大綱|財務省
仮想通貨(暗号資産)ETF、日本で28年にも解禁 資産運用の裾野広がる|日本経済新聞
仮想通貨業界内で起きる出来事の影響
取引所の破綻やハッキング、特定の銘柄で発生した信用不安は、ビットコイン自体に直接関係がない場合でも、業界全体への信頼低下を通じて価格に波及することがあります。個別の事件そのものより、こうした「信用収縮が業界全体に広がる」という構造を理解しておくことが重要です。
過去に業界全体へ波及した主な事例
2014年2月24日、大手取引所だったマウントゴックスが全取引を停止して閉鎖し、その後の調査でユーザー保有分・自社保有分をあわせて約85万BTCが失われていたことが明らかになりました。この事件はビットコインという技術そのものが破られたのではなく、特定の取引所の管理体制の問題として広く整理されています。
また2022年5月には、プログラムによる需給調整だけで価格を安定させる方式を採用していたステーブルコイン「TerraUSD(UST)」と関連トークン「LUNA」が、5月2日を境に連動先から価格が乖離し始め、5月16日までに市場価値のほとんどを失う事態となりました。ビットコイン自体の技術や仕組みに起因する問題ではありませんが、暗号資産市場全体の信用不安を通じて、ビットコイン価格にも影響が及びました。こうした過去の事例は、いずれもすでに決着した出来事であり、現在の取引所やステーブルコインの状況をそのまま示すものではありません。
複数の取引所へ資産を分散する、裏付け資産や運営体制を確認するなど、こうしたリスクへの向き合い方については、ビットコインのリスクの全体像で詳しく解説しています。
《出典》
マウントゴックス事件とは?ビットコイン返済が続く事件の経緯をわかりやすく解説|BeInCrypto Japan
What Happened to Terra (LUNA)?|Corporate Finance Institute
価格変動の要因をどう見分けるか
ここまで見てきたように、価格は需要側・供給側・マクロ経済・地政学・規制・業界内の出来事という複数の要因が重なって動きます。個別のニュースに接したときは、次の4つの視点で「一時的な材料」か「構造的な変化」かを見分けることをおすすめします。
- 需要側か供給側か、複数の要因が重なっていないか:単一の材料だけで大きく動いているのか、複数の要因が同じ方向を向いているのかを確認します
- 制度・仕組みの変化か、一過性の出来事か:規制や制度の変更のように今後も影響が続く変化なのか、単発のニュースなのかを見極めます
- 価格の変動が出来高を伴っているか:取引量を伴わない値動きは、材料に対する市場の反応が限定的である可能性があります
- その材料はすでに市場に織り込まれていないか:事前に広く報道されていた内容であれば、実際の発表時点ではすでに価格へ反映されていることがあります
情報に接するときに心がけたいこと
特定のニュース一つだけで「これから上がる」「これから下がる」と判断するのではなく、この記事で紹介した複数の要因のどれに当てはまるかを確認し、他の要因と矛盾していないかをあわせて見ることが、値動きに振り回されにくい情報との付き合い方につながります。価格の予想を当てることよりも、材料を仕分けられるようになることを優先してください。
こうした判断軸を踏まえたうえで、値動きの少ない資産で運用する選択肢も含めて検討したい場合は、仮想通貨レンディングの仕組みと選び方も参考にしてください。
よくある質問
ここまでの内容を、よくある質問の形で簡潔に整理します。
価格が急騰・急落する前兆はありますか?
確実な前兆と言えるものはありません。ただし、ETF資金フローの偏りや規制当局の発表予定など、複数の材料が重なるタイミングでは値動きが大きくなりやすい傾向があります。事前に確実に予測できるものではない点にはご注意ください。
上がる要因と下がる要因、どちらが強く影響しますか?
需要側・供給側のどちらか一方だけで説明できることは少なく、複数の要因が同時に働いた結果として値動きが決まります。特定の要因だけを見て「これで上がる・下がる」と単純に判断しないことが大切です。
ニュースで一時的に動いた価格は元に戻りますか?
需給に構造的な変化を伴わない一過性の材料であれば、時間の経過とともに価格が元の水準へ戻ることもあります。一方、規制の変更や供給構造の変化のように構造的な要因が絡む場合は、値動きがそのまま定着することもあります。この記事で紹介した判断基準を参考に、材料の性質を見極めることが重要です。
なぜ同じような材料でも、上がるときと上がらないときがあるのですか?
材料そのものの強さだけでなく、その時点の市場参加者の心理、他の要因との重なり方、すでに市場に織り込まれているかどうかによって反応が変わるためです。同じニュースでも、相場の地合いや他の材料の有無によって影響度は変わります。
ビットコインは今後も上がり続けますか?
将来の価格を確実に予測することはできません。本記事は価格を予想するものではなく、値動きの材料を見分ける視点をお伝えするものです。ご自身で情報を判断する際の材料として、本記事の内容をお役立てください。
まとめ
ビットコインの価格は、需要側(ETF資金・機関投資家や個人投資家の関心)、供給側(半減期・発行上限とマネーサプライとの対比)、そして金融政策・地政学・規制・業界内の出来事という外部環境の要因が重なり合って動いています。個々のニュースを追いかけるだけでなく、それがどの要因に当てはまり、一時的な材料か構造的な変化かを見分ける視点を持つことで、値動きに振り回されにくくなります。
これまでの値動きを具体的に振り返りたい場合はビットコインの価格推移の歴史を、これから仮想通貨を始める場合は仮想通貨投資の始め方の基礎もあわせてご確認ください。本記事の内容は投資判断を保証するものではありません。ご自身の状況に合わせて、慎重にご判断ください。