監修:株式会社J-CAM 金融アドバイザー AFP認定者 倉本 佳光 Yoshimitsu Kuramoto
慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。その後、メリルリンチ日本証券株式会社マネージメント・コミッティーメンバー、岡三アセットマネジメント株式会社理事などを歴任。
執筆:BitLending編集部 更新日:2026年8月25日
テゾス(Tezos)は、ブロックチェーン自体をオンチェーン投票で改良できる仕組みを持つスマートコントラクト基盤で、ネットワーク上の通貨にはXTZ(tez)が使われます。
2026年8月25日時点では、EVMとMichelsonのアプリを一つの環境で動かす「Tezos X」が、今後を考えるうえで最も重要な開発材料です。公式ロードマップでは2026年5月に公開テストネットが始まり、メインネット有効化は2026年第3四半期の予定とされています。ただし、公式ページ上ではまだ「予定」とされているため、実装済みとは判断できません。
開発が続いていることは確認できますが、将来性を評価するには、技術の完成だけでなく、アプリ・利用者・資金が増え、その利用がXTZの需要へつながるかを見る必要があります。
この記事では、テゾスの特徴、将来性を支える材料、今後のリスク、ステーキングや購入前の確認点を順に解説します。暗号資産の基本から確認したい方は、仮想通貨を始める前の基礎知識と手順も参考にしてください。
《出典》
Tezos X|Tezos
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テゾス(XTZ)に将来性はある?
テゾスには継続的な開発という将来性がありますが、XTZの需要拡大まで確認できて初めて、暗号資産としての成長を評価できます。
注目点は、Tezos Xによって、Ethereum向けのEVMアプリとTezos独自のMichelsonアプリを同じ環境で利用できるようにする構想です。既存の開発ツールを使いたい開発者と、Tezosの技術を利用したい開発者の双方を取り込めれば、アプリや利用者が増える可能性があります。
一方、2026年8月25日時点の公式ロードマップでは、メインネット有効化は2026年第3四半期の「Planned」、一般的なプログラミング言語への対応は2026年後半の「In development」です。予定どおりに実装されるか、実装後に利用が増えるかは、今後確認すべき事項です。
| 評価段階 | 確認すること | 現在の見方 |
|---|---|---|
| 技術 | 開発・テスト・本番導入が進んでいるか | Tezos Xの公開テストネットは開始。メインネットは予定段階 |
| 利用 | アプリ・開発者・利用者・流動性が増えているか | 実装後の継続的な確認が必要 |
| XTZ需要 | 手数料、ステーキングなどを通じてXTZ需要が増えるか | 技術開発だけでは断定できない |
この3段階を分ければ、「開発が活発だから価格も上がる」と短絡せず、テゾスの進展を具体的に評価できます。
《出典》
Tezos X|Tezos
テゾス(Tezos/XTZ)とは
Tezosは、スマートコントラクトや分散型アプリケーション(DApps)を動かせるブロックチェーンです。ネットワーク上の通貨は「tez」、取引所などで使われる通貨コードは「XTZ」です。
特徴は、プロトコルの改良案をネットワーク参加者が投票し、承認された変更をハードフォークに頼らず有効化できることです。改良できる仕組み自体が組み込まれている点が、Tezosの技術的な軸です。
ただし、投票制度があるだけで、すべての変更が速やかに採用されたり、分裂や意見の対立が完全になくなったりするわけではありません。参加状況、提案内容、テスト、本番移行を個別に確認する必要があります。
オンチェーンガバナンスと自己修正
Tezosのプロトコル改良は、提案、検討、準備、最終投票、採用という段階を経ます。投票権を持つデリゲートが改良案を選び、条件を満たした案が有効化される仕組みです。
ブロックチェーンを止めずに改良を重ねやすいことは強みですが、将来性を見る際は、アップグレードの回数ではなく、処理性能、開発環境、ユーザー体験などの問題を実際に改善したかを確認することが重要です。
💡 用語解説:オンチェーンガバナンスとは? ▼ 開く
■ オンチェーンガバナンスとは?
ブロックチェーンの変更案や投票結果を、ブロックチェーン上の仕組みを使って管理する方法です。
- 確認点:誰が提案・投票でき、どの条件で変更が有効になるかを確認します
- 注意点:仕組みがあることと、参加が十分に分散していることは同じではありません
この記事での読み方
Tezosではアップグレードを進める土台ですが、実際の採用状況と利用への効果まで確認して評価します。
Michelsonと形式検証
Tezosのスマートコントラクトでは、Michelsonという専用言語が使われます。公式ドキュメントでは、Michelsonはプログラムの性質を数学的に証明する形式検証を行いやすいよう設計されていると説明されています。
形式検証は、契約コードが一定の条件を満たすことを確認する手段ですが、すべてのバグ、設計ミス、運用上の事故を自動的に防ぐ保証ではありません。監査、テスト、権限管理なども必要です。
ベーキング、委任、ステーキング
Tezosでは、ブロックの作成と検証を「ベーキング」、その役割を担う参加者を「ベーカー」と呼びます。公式ドキュメントによると、ベーカーになるには最低6,000 tezのベーキングパワーに加え、ノード、ベーカープログラム、Data Availability Layerノードを継続稼働させる環境が必要です。
一般の保有者は、ベーカーへ委任したうえで、tezをロックせずに委任するか、一定量をロックしてステーキングするかを選べます。委任では保有者がtezをいつでも使用できますが、ステーキングでは一時的にロックされ、ベーカーの不正時にはステーク分も削減される可能性があります。
テゾスの将来性を支える3つの材料
Tezosの将来性を支える材料は、過去の値上がりや企業名ではなく、Tezos X、Etherlink、継続的なプロトコル改良の3点です。
いずれも技術面の材料であり、XTZ価格の上昇を保証するものではありません。実装後に開発者や利用者が増え、ネットワークの利用が継続するかまで確認する必要があります。
1.Tezos XによるEVMとMichelsonの統合
Tezos Xは、Ethereum向けのEVMとTezos独自のMichelsonを、一つの高性能な実行環境で扱う構想です。公式ロードマップによると、2026年5月に両インターフェースを備えた公開テストネットが開始されました。
2026年第3四半期にはEtherlinkのアップグレードとしてメインネットへ有効化する予定で、2026年後半にはRISC-Vへの移行を通じ、JavaScriptやPythonなど一般的な言語へ対応する開発も示されています。
既存のEVMアプリを大きく書き直さず導入でき、Michelsonとの相互利用が実現すれば、開発者の参加障壁を下げられる可能性があります。ただし、予定された機能の完成、安定稼働、利用拡大は別々に検証しなければなりません。
《出典》
Tezos X|Tezos
💡 用語解説:EVMとMichelsonとは? ▼ 開く
■ EVMとは?
Ethereum Virtual Machineの略で、Ethereum向けスマートコントラクトを実行する環境です。
- 確認点:EVM互換性があると、Ethereum系の開発ツールやコードを活用しやすくなります
- 注意点:互換性があるだけで利用者や流動性が移るとは限りません
Michelsonとの関係
MichelsonはTezos独自のスマートコントラクト言語です。Tezos Xは、EVM側とMichelson側のアプリを橋渡しすることを目指しています。
2.Etherlinkから利用者と流動性を取り込めるか
Etherlinkは、TezosのSmart Rollup技術を使ったEVM互換環境です。Ethereum向けのツールやウォレットを利用しやすくし、DeFiやゲームなどのアプリをTezosの技術基盤上で展開する入口になります。
今後の焦点は、対応アプリの数だけではありません。実際の利用者、取引、預け入れ資産、継続率が増えているかを確認する必要があります。アプリが公開されても、利用が少なければXTZ需要への波及は限定的です。
3.ガバナンスによって改良を続けられる仕組み
Tezosは、プロトコル変更をオンチェーンで提案・投票・有効化できます。市場や開発環境の変化に合わせて改良できることは、長期運用するネットワークにとって重要です。
一方、アップグレードが頻繁であること自体を価値と考えるのではなく、処理速度、手数料、開発体験、セキュリティ、データ可用性など、利用拡大を妨げている問題を解消できたかで評価しましょう。
NFTはTezos上で利用されてきた分野の一つですが、現在の将来性はNFTだけでは測れません。NFTの仕組み自体を確認したい場合は、NFTと暗号資産の関係で基礎を整理できます。
テゾスの今後を慎重に見るべきリスク
Tezosの技術開発が続いていても、それだけで利用者やXTZ価格が増えるとは限りません。
将来性を考える際は、強気材料と同時に、競争、需要、ステーキング、過去の採用実績という4つのリスクを確認する必要があります。他の暗号資産を含めた比較軸は、国内取引所で扱われる主な暗号資産の比較も参考になります。
開発の進展がXTZ需要へ直結するとは限らない
ブロックチェーンの機能が増えても、アプリの利用にXTZがどの程度必要なのか、手数料やステーキングによる需要がどの程度生まれるのかは別の問題です。
技術ニュースを見るときは、「何ができるようになったか」に加え、「誰が使い、XTZがどこで必要になるか」まで確認することが重要です。
L1・L2間の競争が激しい
スマートコントラクト基盤にはEthereum、Solanaをはじめ多くの競合があり、EVM互換環境にも複数の選択肢があります。処理性能や手数料が優れているだけでは、開発者、利用者、資金が移るとは限りません。
開発支援、ウォレット、取引所、ステーブルコイン、アプリ、流動性などを含むエコシステム全体の使いやすさが競争力を左右します。
ステーキング報酬が価格下落を補うとは限らない
ステーキングではtez建ての報酬を受け取れますが、XTZの市場価格が下落すれば、法定通貨換算の資産価値は減少する可能性があります。また、ステーキング中のtezは一時的にロックされ、ベーカーの不正時にはスラッシングの影響を受けます。
表示される報酬率だけでなく、価格変動、ロック期間、解除待ち、ベーカーの実績と条件を合わせて確認してください。
過去の提携と現在の利用状況は分けて考える
Tezosには、企業やスポーツ団体がNFTなどで利用した実績があります。これらは採用例として参考になりますが、過去に提携した事実だけでは、現在も利用が続いていることや、ネットワーク全体が成長していることまでは証明できません。
提携ニュースを評価するときは、開始時の発表だけでなく、サービスの継続、利用量、後続プロジェクトまで確認します。
テゾスの将来性を判断する5つの確認ポイント
短期的に変動する価格やランキングを固定値で追うより、次の5項目を同じ条件で継続確認する方が、Tezosの変化を捉えやすくなります。
| 確認ポイント | 見る内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| Tezos Xの進捗 | テストネット、本番導入、機能追加、障害対応 | 予定と実装済みを分ける |
| アプリと開発者 | 新規アプリ、更新継続、開発ツールの利用 | 公開件数だけでなく継続性を見る |
| 利用者と流動性 | アクティブ利用、取引、DeFi資金 | 一時的なキャンペーン増加を分ける |
| XTZ需要 | 手数料、ステーキング、アプリ内利用 | チェーン利用とトークン需要を混同しない |
| ガバナンス | 提案、投票参加、アップグレード結果 | 改良回数より解決した課題を見る |
一つの指標だけで「将来性あり」と判定せず、技術・利用・XTZ需要の3段階を同時に確認することが基本です。
《出典》
Tezos X|Tezos
Governance and self-amendment|Tezos Documentation
XTZの価格を動かす主な要因
XTZの価格はTezos固有のニュースだけでなく、ビットコインを中心とする暗号資産市場全体、金融市場のリスク選好、取引所の流動性などにも影響されます。
- 開発:Tezos Xなどの本番導入、障害、延期
- 利用:アプリ、利用者、取引、DeFi流動性の増減
- 市場:暗号資産市場全体の上昇・下落
- 需給:取引所の取扱い、流動性、ステーキング参加
- 規制・運用:各国の制度、取引所やサービスの対応
過去の高値や安値だけから、今後の価格を推測することはできません。チャートを見る場合も、値動きの背景がTezos固有の変化なのか、市場全体の変化なのかを分けて考えましょう。
XTZの購入・ステーキングで注意すること
XTZを検討するときは、取扱いの有無だけでなく、取引方法、費用、保管、送付、ステーキング条件まで確認します。取引所の取扱銘柄や条件は変わるため、購入時点の公式ページを確認してください。
- 取扱形式:販売所か取引所か、売買価格の差はどの程度か
- 費用:売買、入出金、暗号資産送付にかかる費用
- 送付:対応ネットワーク、アドレス、最小数量などの条件
- 保管:二段階認証、秘密鍵・復元情報の管理
- 記録:購入、売却、交換、報酬の履歴を保存できるか
複数のサービスを比較する場合は、国内取引所の手数料と選び方を確認し、特定の取引所名だけで決めないようにしましょう。
ステーキングと委任を混同しない
Tezosでは、委任とステーキングで資産の状態やリスクが異なります。公式ドキュメントによると、委任したtezはロックされず、保有者が引き続き使用できます。一方、ステーキングしたtezは一時的にロックされ、解除後も利用可能になるまで待機時間があります。
ステーキングでは、選んだベーカーが不正を行った場合に、ステーク分がスラッシングの影響を受ける可能性があります。報酬率だけでなく、ロック、解除条件、ベーカーの実績、スラッシングを確認してください。
一般的な仕組みやサービスごとの違いは、ステーキング報酬の仕組みとリスクで確認できます。暗号資産を貸し出すレンディングとは仕組みが異なるため、比較する場合はステーキングとレンディングの違いを確認することも大切です。
売買や報酬の履歴を保存する
XTZの売買、他の暗号資産との交換、ステーキング報酬などは、後から取得価額や損益を確認できるよう履歴を保存しておきましょう。税務上の扱いは取引内容や個別事情によって異なります。
基本的な考え方と記録項目は、仮想通貨の売却益・報酬にかかる税金で確認できます。判断が難しい場合は、税務署または税理士へ相談してください。
テゾスに関するよくある質問
テゾスの特徴、将来性、購入、ステーキングについて、よくある疑問へ簡潔に回答します。
テゾスは何に使われる仮想通貨ですか?
Tezosは、スマートコントラクトやDAppsを動かすブロックチェーンです。XTZ(tez)は、ネットワーク手数料、ステーキング、ガバナンスなどに使われます。
テゾスに将来性はありますか?
Tezos XやEtherlinkなど開発面の材料はあります。ただし、技術の完成だけでなく、アプリ・利用者・流動性が増え、その利用がXTZ需要へつながるかを確認する必要があります。
Tezos Xが始まるとXTZ価格は上がりますか?
価格上昇は保証されません。Tezos Xが予定どおり実装されても、利用者、資金、XTZ需要が増えるかは別の問題です。暗号資産市場全体の値動きにも影響されます。
XTZは日本の取引所で購入できますか?
国内で取扱いのある取引所はあります。ただし、取扱銘柄、売買形式、手数料、送付条件は変更されるため、購入時点で各取引所の公式情報を確認してください。
テゾスはステーキングできますか?
できます。Tezosではベーカーへ委任したうえでtezをステーキングできますが、ステーク分は一時的にロックされ、スラッシングの可能性もあります。ロックしない委任とは条件が異なります。
まとめ
Tezosは、オンチェーンガバナンス、Michelson、ベーキングといった独自の仕組みを持ち、現在も開発が続いています。2026年8月25日時点で最も重要な材料は、EVMとMichelsonを統合するTezos Xです。
一方、公式ロードマップ上のメインネット有効化は予定段階です。また、実装されても、アプリや利用者が増え、XTZ需要へ結び付くとは限りません。
テゾスの将来性は、「技術が進んだか」「実際の利用が増えたか」「XTZ需要につながったか」の3段階で判断しましょう。ステーキングを検討する場合も、報酬率だけでなく、価格変動、ロック、解除待ち、スラッシングを確認することが大切です。