監修:株式会社J-CAM 金融アドバイザー AFP認定者 倉本 佳光 Yoshimitsu Kuramoto

慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。その後、メリルリンチ日本証券株式会社マネージメント・コミッティーメンバー、岡三アセットマネジメント株式会社理事などを歴任。
執筆:BitLending編集部 更新日:2026年9月2日

倉本 佳光

ステーブルコインは、米ドルや日本円など特定の資産に価格を連動させることで、ビットコインのような大きな値動きを抑えた暗号資産です。USDT・USDCといった米ドル建ての銘柄に加え、2025年10月には日本円建ての「JPYC」の発行が始まり、2025年3月にはSBI VCトレードが国内で初めてUSDCの取扱いを開始するなど、日本国内での使い方は2025〜2026年にかけて大きく広がっています。

この記事では、ステーブルコインの仕組み、USDT・USDC・JPYCという主要銘柄の違い、「USDTとUSDN」のような似た名前のトークンの見分け方、そして日本と米国それぞれの制度の現在地と今後の見通しを、一次情報にもとづいて整理します。特定の銘柄への投資を勧めるものではなく、ご自身でステーブルコインを値踏みするための判断材料をお伝えします。

免責事項(投資助言ではありません)

本記事は、仮想通貨に関する情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買・投資行動を推奨するものではありません。暗号資産は価格変動が非常に大きく、短期間で大きな損失が発生する可能性があります。投資判断は必ずご自身の責任で行い、必要に応じて専門家へご相談ください。

利益相反に関する開示:本記事を掲載するBitLendingは、暗号資産レンディングサービスを提供しています。記事内には当社サービスへの導線が含まれる場合がありますが、特定の投資行動や暗号資産の貸出を推奨するものではありません。

ステーブルコインのイメージ

ステーブルコインとは?仕組みと他の暗号資産との違い

ステーブルコインとは、米ドルや日本円などの法定通貨、あるいは金などの資産に価格を連動させることで、価格の安定を目指す暗号資産です。裏付けとなる資産を発行体が保有し、コインの価値をその資産に近づける仕組みを持つ点が、ビットコインなど価格が需給だけで決まる暗号資産との大きな違いです。

ステーブルコインも暗号資産の一種であり、裏付け資産の保有状況や発行体の信頼性によっては、価格が連動先からずれる「デペッグ」が起きることもあります。「安定している」と言われる仕組みを理解したうえで、絶対に値動きしない資産ではないことを踏まえて利用することが大切です。

ビットコインとの値動きの違い

ビットコインは需要と供給のバランスによって価格が決まるため、短期間で数十パーセント単位の値動きをすることも珍しくありません。一方でステーブルコインは、裏付け資産と同じ価値を保つよう設計されているため、通常時の値動きはごくわずかです。仮想通貨の基本的な始め方から確認したい方は、あわせて参考にしてください。

主要銘柄はどう違う?USDT・USDC・JPYC

ここでは、代表的な3銘柄を比較します。いずれも法定通貨や短期国債などの安全性の高い資産を裏付けとして発行体が保有する方式で、USDT・USDCは米ドル建て、JPYCは日本円建てという違いがあるため、送金・保有・運用のどの目的で使うかによって確認すべきポイントが変わります。

銘柄 発行体 連動先 発行方式 特徴
USDT(テザー) Tether社 米ドル 法定通貨担保型 時価総額最大のステーブルコイン。世界の暗号資産取引で幅広く利用されている
USDC(USDコイン) Circle社 米ドル 法定通貨担保型 2025年3月からSBI VCトレードで国内取扱いが始まり、発行体は2025年6月に米国上場
JPYC JPYC株式会社 日本円 資金移動業型 2025年10月発行開始の日本円建てステーブルコイン。1回あたり100万円の上限

《出典》
JPYC、資金移動業登録から丸1年──総流通量28億円の歩み|NADA NEWS

USDT・USDCをもっと詳しく知りたい場合

USDTの詳しい仕組みや安全性についてはUSDT(テザー)の仕組みと買い方で、USDCの特徴や価格動向についてはUSDC(USDコイン)とは何かで、それぞれ詳しく解説しています。

JPYCは、2025年8月18日付で資金移動業者(関東財務局長第00099号)として登録され、同年10月27日に発行・償還プラットフォーム「JPYC EX」を通じて正式発行が始まりました。2026年8月18日時点の総流通量は約28億円です。1回あたりの発行・償還には100万円の上限が設けられています。

《出典》
JPYC、資金移動業登録から丸1年──総流通量28億円の歩み|NADA NEWS

「USDN」とは?USDTとは別の銘柄です

ステーブルコインについて調べていると、「USDN」という表記を見かけて、USDT(テザー)と混同してしまうことがあります。しかし「USDN」という単一の確立した主要ステーブルコインは存在せず、この表記は発行体やブロックチェーンが異なる複数の小規模なプロジェクトで、それぞれ別に使われているティッカーです。

たとえばWavesブロックチェーン上の「Neutrino USD」や、Cosmosエコシステムの「Noble Dollar」など、名称に「USDN」を含むプロジェクトはいくつか存在しますが、いずれもUSDT・USDCのように広く使われ、時価総額や取扱い取引所の数で上位に入るステーブルコインではありません。

《出典》
Neutrino Index (XTN)|CoinMarketCap

似た名前のトークンで確認しておきたいこと

取引所やウォレットで「USDN」という表記を見かけた場合は、USDTの誤表記だと決めつけず、まず発行体名とどのブロックチェーン上のトークンかを確認してください。発行体が不明な場合や、時価総額・取扱い実績が極端に小さい場合は、USDT・USDCのように広く使われている銘柄と同じ感覚で扱わないことをおすすめします。

日本と米国の規制はどうなっている?

ステーブルコインの規制は、利用者を制限するための仕組みというより、発行体に裏付け資産の保有や情報開示を義務づけることで、利用者が安心して使えるようにするための土台です。日本と米国それぞれで、この土台となる制度が2023年以降に整備されてきました。

💡 用語解説:電子決済手段・資金移動業・信託型とは? ▼ 開く

■ それぞれの意味

「電子決済手段」は、改正資金決済法によって法的に定義された、デジタルマネー型のステーブルコインの区分です。発行・仲介には登録が必要になります。

  • 資金移動業型:資金移動業者としての登録を受けた事業者が発行する方式。1回あたりの送金額に上限が設けられる(JPYCが該当)
  • 信託型:信託会社・信託銀行が発行し、裏付け資産を信託財産として分別管理する方式。送金額の上限がない

この記事での読み方

方式の違いは、発行体がどのような義務を負うかに関わります。本文で紹介するJPYCは資金移動業型、2026年6月に発行が始まったJPYSCは信託型にあたります。

日本の制度:電子決済手段としての位置づけ

日本では、2022年に成立した資金決済法の改正により、ステーブルコインは「電子決済手段」として法的に定義され、2023年6月に施行されました。発行体・仲介業者はそれぞれ登録を受ける必要があります。

2025年3月には、SBI VCトレードが国内で初めて電子決済手段等取引業者としての登録を完了し、同年3月26日からUSDCの取扱いを開始しました。さらに2026年5月19日には、外国発行の信託型ステーブルコインを国内の電子決済手段として位置づける内閣府令改正が公布され、2026年6月1日に施行されています。

あわせて2025年6月6日に成立した改正資金決済法も2026年6月1日に施行され、信託型ステーブルコインの裏付け資産について、発行額の50%を上限に国債や定期預金でも運用できるよう緩和されました。発行体の収益基盤が広がることで、国内での発行体が増える土台になると見られています。

《出典》
【国内初】ステーブルコイン取扱いにかかる「電子決済手段等取引業者」登録完了のお知らせ|SBIホールディングス
令和8年6月施行!改正資金決済法の概要と実務対応|BUSINESS LAWYERS

米国の制度:GENIUS法という初めての連邦法

米国では2025年7月18日、トランプ大統領の署名により「GENIUS法」が成立しました。米国でステーブルコインを包括的に規律する、初めての連邦法です。発行できる主体を預金取扱機関の子会社・連邦認可の非銀行事業者・州認可事業者に限定し、発行額と同額の米ドルや短期米国債などの裏付け資産を保有する義務、月次開示と当局による定期監査を課しています。「米国政府が裏付けている」「公的保険がある」といった誤解を招く宣伝も禁止されました。

法律上の本格施行日は、成立から18か月後にあたる2027年1月18日、または規制当局が最終規則を公表してから120日後のいずれか早い方と定められています。規制当局による規則制定は2026年7月の期限に間に合わず、詳細ルールが出そろわないまま施行日を迎える可能性が指摘されていますが、施行日そのものが後ろ倒しになるわけではありません。この制度が本格運用されれば、USDT・USDCなど米ドル建てステーブルコインの透明性は、さらに高まっていく方向にあります。

《出典》
【アメリカ】GENIUS法、成立。ステーブルコイン発行に制限。裏付資産保有も義務化|Sustainable Japan
US regulators miss GENIUS Act’s one-year deadline for final stablecoin rules|The Block

スマートフォンで送金を確認しているイメージ

ステーブルコインはユーザーにとって何が良いのか

ステーブルコインの利点は、単に「値動きが少ない」というだけではありません。実際の使い道に照らすと、次のような具体的なメリットがあります。

  • 値下がりの不安なく資産を待避・保有できる:ビットコインのような値上がり益は狙えない代わりに、暗号資産のまま急な値下がりを避けたいときの避難先として使えます
  • 24時間365日、いつでも送受金できる:銀行の営業時間や休日に関係なく、ブロックチェーン上でいつでも送金・受け取りが可能です
  • 海外送金で時間短縮の余地がある:銀行を介した海外送金は着金までに数日かかり、手数料も高くなりがちです。送金額や利用するサービスによって差はありますが、ステーブルコインでは着金までの時間が短縮できる場面があります
  • 日本円のまま少額から扱える:JPYCの登場により、為替変動を気にせず、日本円建てのままブロックチェーン上でお金を扱う選択肢が増えました

レンディングなどで運用することもできますが、これは値動きの少なさとは別の話であり、元本が保証されるものではありません。具体的な利回りやリスクは後述します。

運用まで含めて検討したい場合

保有だけでなく運用まで検討する場合は、仮想通貨レンディングの仕組みと選び方もあわせて確認しておくと、サービスごとの違いを比較しやすくなります。

デメリットとリスク

ステーブルコインには、次のようなデメリット・リスクもあります。都合の良い面だけでなく、あわせて確認したうえで利用を判断してください。

デペッグ(価格崩壊)のリスク

裏付け資産の管理体制や需給によっては、連動先の資産から価格が乖離する「デペッグ」が起きることがあります。2022年5月には、裏付け資産を保有せずプログラムによる需給調整だけで価格を安定させる方式を採用していたステーブルコイン「TerraUSD(UST)」が、連動先の米ドルから大きく価格が乖離し、関連トークンとあわせて市場価値のほとんどを失う事態になりました。裏付け資産を保有する方式でも、発行体の裏付け資産の状況によっては一時的にデペッグが起きる可能性はゼロではありません。

《出典》
ステーブルコインUST、一時的にドル連動から逸脱──何が起きたのか?|CoinDesk JAPAN

発行体の信頼性・規制変化のリスク

ステーブルコインの安全性は、発行体がどれだけ裏付け資産を保有し、開示しているかに大きく左右されます。米国のGENIUS法や日本の電子決済手段の制度は、こうした開示・監査の義務を発行体に課す方向で整備が進んでいますが、制度が本格運用されるまでの間は、発行体自身の開示情報を確認する必要があります。

また、規制そのものが今後変更される可能性もあります。利用しているサービスが登録業者を通じたものかどうか、取扱いが継続しているかどうかは、時々確認しておくと安心です。

売却・利用時の税金

ステーブルコインを売却したり、他の暗号資産と交換したりして利益が生じた場合は、個人では原則として雑所得として課税されます。仮想通貨の税金の仕組みと確定申告の要否は、取引を始める前に確認しておきましょう。

ステーブルコインで利益を出す方法

ステーブルコインの運用方法としては、レンディング(貸し出して利息を得る)、ステーキング、DeFiでの流動性提供などがあります。中でもレンディングは、価格変動の少ないステーブルコインを貸し出す仕組みが分かりやすく、初心者でも比較的始めやすい方法とされています。

ただし、いずれの方法も元本が保証されるものではなく、貸出先の信用リスクやサービスの仕組みによって結果は変わります。具体的な利回りの目安やレンディングでの儲け方・リスクは、別記事で詳しく解説しています。

レンディングサービスを比較したい場合

複数のレンディングサービスを比較したい場合は、仮想通貨レンディングの比較ポイントとリスクもあわせてご確認ください。

今後の展望

ここまでの制度を踏まえ、日本・米国それぞれの制度がこの先どうなっていきそうか、そしてユーザーにとって何がどう便利になっていきそうかを整理します。確定している事実と、あくまで予定・見通しの段階にある情報は分けて示します。日付や金額などの数値は本記事の更新時点のものです。最新の状況は、各出典リンク先でご確認ください。

日本の制度は今後どうなっていきそうか

SBI新生信託銀行が発行する信託型の日本円ステーブルコイン「JPYSC」は、2026年6月24日にSBI VCトレードで提供が始まりました。現時点ではSBI VCトレードの口座内でのみ利用でき、外部ウォレットへの送付はまだできません。パブリックブロックチェーンへの展開は、関連する法整備や税務上の取り扱いの整理が前提となっており、2026年9月時点で具体的な時期は公表されていません。JPYCが資金移動業型で1回100万円の上限があるのに対し、JPYSCは信託型で送金額の上限がなく、企業間の大口決済など、より高額な用途での利用が想定されています。

また、SBI VCトレードとアプラスは、2026年5月25日から29日にかけて、大阪市内の飲食店・家電量販店の一部でUSDCを使った店舗決済の実証実験を実施しました。QRコードを使ってウォレットからUSDCで支払う仕組みで、国内在住者に加え海外からの旅行者による利用の認知拡大が目的とされていますが、一般の店舗への本格展開の時期は2026年9月時点で公表されていません。

《出典》
SBIグループおよびStartale Groupによる、国内初の信託型円建てステーブルコイン「JPYSC」の提供開始に関するお知らせ|SBIホールディングス
USDCで「うなぎ」と「家電」──SBI VCトレードとアプラス、大阪で店舗決済の実証実験|NADA NEWS

米国の制度は今後どうなっていきそうか

米国のGENIUS法は、2027年1月18日に本格施行される予定です。規制当局による詳細ルールの制定は2026年7月の期限に間に合っておらず、細部が固まりきらないまま施行日を迎える可能性が指摘されていますが、施行日自体が変更されたわけではありません。施行後は発行体の裏付け資産開示・監査がより厳格に運用される見通しで、USDT・USDCなど米ドル建てステーブルコインの透明性が一段と高まる方向にあります。これは日本を含む海外の利用者にとっても、「発行体を信頼できるかどうか」を判断しやすくなる材料になります。

あわせて、Visa・Mastercard・Stripeなど国際決済大手が、決済の高速化・低コスト化を目的にステーブルコイン基盤への統合を進めているとの報道もあります。ただし2026年9月時点ではあくまで米国を中心とした取り組みであり、日本の消費者が直接その恩恵を受けられる段階ではありません。

ユーザーにとってどう便利になっていきそうか

日本円建て(JPYC・JPYSC)と米ドル建て(USDT・USDC)の両方が、規制の裏付けを持って使えるようになりつつあることで、目的に応じてステーブルコインを使い分けられる方向に進んでいます。送金・決済の面では、銀行送金に代わる選択肢として、より速く・低コストな手段としての利用が広がっていく可能性があります。

日米双方で発行体への情報開示義務が強化される方向にあるため、「よく分からないまま使う」状態から「開示情報を確認して使う」状態へ変わっていくことが期待されます。値上がりを期待して保有するのではなく、制度・インフラとしての使いやすさが増していく過程として捉えることをおすすめします。

よくある質問

ここまでの内容を、よくある質問の形で簡潔に整理します。

ステーブルコインとは、簡単にいうと何ですか?

米ドルや日本円などの資産に価格を連動させることで、価格変動を抑えるように設計された暗号資産です。裏付け資産をどのように保有しているかによって仕組みが異なり、裏付け資産の透明性や開示状況が銘柄の信頼性を判断するポイントになります。

ステーブルコインとビットコインは何が違いますか?

ビットコインは需要と供給で価格が決まるため値動きが大きく、ステーブルコインは特定の資産に価格を連動させることで値動きを抑えている点が異なります。ただしステーブルコインも暗号資産の一種であり、絶対に値崩れしないわけではありません。

「USDN」とはどんな銘柄ですか?

USDTのような単一の主要銘柄ではなく、Neutrino USDやNoble Dollarなど、発行体やブロックチェーンが異なる複数の小規模なプロジェクトがそれぞれ使っているティッカーです。USDTと見かけて混同した場合は、発行体名とブロックチェーンを確認してください。

JPYCは日本円と同じように使えますか?

JPYCは日本円建てのステーブルコインで、資金移動業者として登録されたJPYC株式会社が発行しています。ブロックチェーン上でのやり取りが前提となるため、現金や銀行口座の日本円とまったく同じ使い勝手というわけではなく、1回あたりの発行・償還には100万円の上限があります。

ステーブルコインで儲けることはできますか?

レンディングなどの運用方法はありますが、値動きが少ない分、値上がり益を狙う投資とは性質が異なります。元本保証はなく、貸出先の信用リスクもあります。

まとめ

ステーブルコインは、米ドルや日本円などの資産に価格を連動させることで、価格の安定を目指す暗号資産です。USDT・USDCという米ドル建ての主要銘柄に加え、2025年10月にはJPYCの発行が始まり、2025年3月にはUSDCの国内取扱いも始まるなど、日本円・米ドルの両方でステーブルコインを使える環境が整いつつあります。

「USDN」のような似た名前のトークンに惑わされず、発行体・裏付け資産・規制の状況を確認することが、ステーブルコインを正しく値踏みする第一歩です。日本の電子決済手段の制度、米国のGENIUS法とも、発行体への情報開示を強化する方向で整備が進んでおり、今後は「よく分からないまま使う」のではなく、開示情報を確認しながら選べる環境に近づいていくと見られます。値上がりを期待した投資判断ではなく、ご自身の目的に合った使い方をご検討ください。