
イーサリアム(ETH)とは? 仕組みや将来性について解説
2025.12.10
数ある暗号資産の中で、イーサリアム(Ethereum:ETH)は現在もビットコイン(Bitcoin:BTC)に次いで時価総額2位のポジションを維持している代表的な銘柄です。
DeFi(分散型金融)・NFT・各種dApps・ステーブルコイン・RWA(現実資産のトークン化)まで、Web3.0の「ほとんどすべての土台」になっているブロックチェーンと言っても大げさではありません。
2025年12月には、世界最大の資産運用会社ブラックロックがステーキング型イーサリアムETF(iShares Staked Ethereum Trust ETF)の立ち上げに向けてデラウェア州でトラストを登録するなど、イーサリアムに対する機関投資家の関心も一段と高まっています。こうしたステーキング型のETFは、投資家が自らノード運用やETHのロックアップを行わなくても、現物価格の値動きに加えてステーキング報酬もまとめて享受できる点で画期的です。
ステーキング報酬
ステーキング報酬とは、投資家が保有するETHをロック(預ける)することで受け取れる「利息」のようなインカム収益のことであり、価格上昇によるキャピタルゲインだけでなく、保有しているあいだに継続的な収益を得たり、再投資によって複利的に残高を増やせたりする点が投資家にとって大きな旨みになります。
さらに米SEC(証券取引委員会)の委員によるラウンドテーブルでは、トークン化(資産のブロックチェーン上でのデジタル証券化)が「決済リスクや取引ギャップを減らし、市場インフラを効率化し得る重要なイノベーション」だと評価されているとの発言もあり、RWA文脈でイーサリアム/イーサリアム系ネットワークに対するポジティブな期待が強まっています。
ビットコインが「デジタルゴールド(価値保存資産)」としての色を強めているのに対し、イーサリアムは「インターネット時代の金融・アプリケーションのインフラ」という位置づけです。そのため、価格だけでなく、どのくらい多くの人・アプリ・資産がイーサリアム上で動いているかが、将来性を考えるうえで非常に重要になります。
本記事では、初心者の方や「スマートコントラクトって何?」という方でもイメージしやすいように、
- イーサリアムとは何か(ビットコインとの役割の違い)
- イーサリアムが暗号資産市場の中で占める立ち位置とコミュニティ規模
- イーサリアムの特徴・メリット/デメリット
- アップデート状況とロードマップから見たイーサリアムの今後
- 各種予測やシナリオから考えるイーサリアムの将来価格
- イーサリアムを効率的に運用する方法(レンディング)
といったポイントをわかりやすく解説していきます。
この記事でわかること
イーサリアム(ETH)
まずは、イーサリアム(ETH)の現在の価格や時価総額など、基本的なスペックを確認しておきましょう。以下のウィジェットは自動的に最新データに更新されます。
- ETH/JPY:487,310円
- 銘柄名(通貨単位):イーサリアム(ETH)
- 暗号資産時価総額ランキング:2位
- 過去24hの価格の変化:1,846.35円
- 時価総額:58,803,234,665,881円
- 過去24hの時価総額の変化:213,147,245,268円
- 過去24hの最高値:488,821円
- 過去24hの最安値:475,591円
- 最終更新:2025/12/15 17:56
- DATA by CoinGecko
イーサリアムは2025年12月時点でも、ビットコインに次ぐ時価総額2位の暗号資産として、数十兆円規模の市場価値を維持しています。
イーサリアム(ETH)の現在価格・リアルタイムチャート
続いて、日々の値動きをTradingViewのチャートでチェックしてみましょう。
イーサリアムの価格推移とこれまでの相場サイクル
イーサリアム(ETH)の現在価格だけでなく、過去の価格推移を知っておくと「今の水準が割高か・割安か」を考えるヒントになります。
ざっくりとした相場サイクルは、次のように整理できます。
- 2017年:ICOブームで急騰 → 2018年に大きく調整
- 2020〜2021年:DeFi・NFTブームとともに過去最高値を更新
- 2022〜2023年:金利上昇や規制懸念で大きな下落局面
- 2024〜2025年:Merge・L2・ETFなどの材料を織り込みつつ回復
このように、イーサリアムの価格はマクロ環境(株式・金利)や暗号資産市場の盛り上がりに大きく左右されてきました。今後の将来価格を考える時も、チャートだけでなく「なぜ値動きしているのか」という背景に目を向けるのが大切です。
イーサリアムの価格に影響する5つの要因
イーサリアム(ETH)の今後の価格は、次のような要因に左右されます。
- ビットコイン(BTC)を中心とした暗号資産市場全体のトレンド
- イーサリアム上の利用状況(DeFi・NFT・RWA・L2などのオンチェーン需要)
- 各国の規制・税制(ステーキングやトークン化へのルール作り)
- 競合チェーン(他のL1・L2)とのシェア争い
- マクロ環境(金利・株式市場・景気)
短期的な値動きは読みにくいものの、中長期の「イーサリアム 今後」を考えるうえでは、「ネットワークが実際にどれだけ使われているか」「規制がどう整っていくか」といった本質的な指標をチェックしていくことが重要です。
最新AI予測|イーサリアムの今後10年
本記事のここまでで、イーサリアム(ETH)の特徴や将来性、これまでの価格推移について整理してきました。ここからは少し視点を変えて、最新AI予測にもとづく「イーサリアムの今後10年」を見ていきます。
PricePrediction、DigitalCoinPrice、Coin Price Forecastといった海外の暗号資産情報サイトでは、ディープラーニングや機械学習モデルを用いて、イーサリアム価格の長期予測データを公開しています。これらのAIモデルは、過去の価格推移やボラティリティ、出来高、市場トレンドなど多くの指標を組み合わせて、今後10年のETH価格レンジをシミュレーションしています。
もちろん、どのモデルも将来の価格を「保証」するものではありませんが、イーサリアムの今後の価格、長期的なイーサリアムの将来価格を考えるうえで、一つの参考材料になるのは確かです。以下では、それぞれのAI予測がどのような水準のイーサリアム価格を見込んでいるのか、モデルごとに一覧で確認していきましょう。
AI予想モデル①|PricePrediction|2025.12.10 更新
| 年 | 最低予想 | 平均予想 | 最高予想 |
|---|---|---|---|
| 2025 | ¥499,697 | ¥546,543 | ¥562,159 |
| 2026 | ¥772,210 | ¥794,072 | ¥919,056 |
| 2027 | ¥1,088,875 | ¥1,120,637 | ¥1,311,730 |
| 2028 | ¥1,480,002 | ¥1,536,033 | ¥1,872,432 |
| 2029 | ¥2,243,274 | ¥2,320,075 | ¥2,658,271 |
| 2030 | ¥3,064,373 | ¥3,180,377 | ¥3,914,492 |
| 2031 | ¥4,448,685 | ¥4,575,900 | ¥5,370,795 |
| 2032 | ¥6,338,040 | ¥6,521,076 | ¥7,809,347 |
| 2033 | ¥9,399,388 | ¥9,660,230 | ¥11,016,058 |
| 2034 | ¥13,417,360 | ¥13,900,371 | ¥15,982,578 |
※(2025年12月10日時点の為替レート(1ドル=156.5円)で計算)
Data by:PricePrediction|https://priceprediction.net/ja/price-prediction/ethereum
AI予想モデル②|DigitalCoinPrice|2025.12.10 更新
| 年 | 最低予想 | 平均予想 | 最高予想 |
|---|---|---|---|
| 2025 | ¥460,880 | ¥1,034,211 | ¥1,133,094 |
| 2026 | ¥1,116,926 | ¥1,294,000 | ¥1,340,634 |
| 2027 | ¥1,531,016 | ¥1,798,187 | ¥1,895,458 |
| 2028 | ¥2,001,461 | ¥2,207,129 | ¥2,388,206 |
| 2029 | ¥2,001,461 | ¥2,207,129 | ¥2,388,206 |
| 2030 | ¥2,468,476 | ¥2,783,268 | ¥2,835,674 |
| 2031 | ¥3,505,652 | ¥3,807,343 | ¥3,889,640 |
| 2032 | ¥5,067,705 | ¥5,198,456 | ¥5,448,211 |
| 2033 | ¥7,145,018 | ¥7,412,396 | ¥7,456,638 |
| 2034 | ¥9,747,469 | ¥10,067,304 | ¥10,125,116 |
※(2025年12月10日時点の為替レート(1ドル=156.5円)で計算)
Data by:DigitalCoinPrice|https://digitalcoinprice.com/forecast/ethereum
月日が経つにつれ、各AIモデルはいずれもイーサリアム(ETH)の価格は長期的に上昇していくと予想しています。 10年後の2034年の最高価格の予想は、上記の試算ではPricePredictionが円換算で1ETHあたり約1600万円、 DigitalCoinPriceが約1000万円という水準になっています(あくまでモデル上の試算であり、実際の価格を保証するものではありません)。
PricePrediction
PricePrediction.netは多くの暗号資産を対象に、長期・短期ともにディープラーニングAIによる
イーサリアム価格のテクニカル分析・予測を公開している情報サイトです。
DigitalCoinPrice
DigitalCoinPriceは2017年以来、仮想通貨(暗号資産)情報サイトとして知られており、
イーサリアムを含む複数銘柄の価格予測やチャートを提供しています。
価格予測は様々なインジケータやオシレータをAIで分析して算出されています。
その他のAIモデルの予想も見ていきましょう。Coin Price Forecastは少し予想のフォーマットが異なり、 各年の6月末と年末の予想価格を公開しています。
AI予想モデル③|Coin Price Forecast|2025.12.10 更新
| 6月末価格 | 年末価格 | |
|---|---|---|
| 2025 | ¥391,407 | ¥567,939 |
| 2026 | ¥493,758 | ¥641,963 |
| 2027 | ¥786,413 | ¥828,824 |
| 2028 | ¥892,989 | ¥1,007,860 |
| 2029 | ¥1,060,914 | ¥1,127,583 |
| 2030 | ¥1,182,984 | ¥1,125,392 |
| 2031 | ¥1,209,745 | ¥1,293,473 |
| 2032 | ¥1,376,574 | ¥1,293,942 |
| 2033 | ¥1,337,606 | ¥1,408,344 |
| 2034 | ¥1,478,769 | ¥1,548,881 |
※(2025年12月10日時点の為替レート(1ドル=156.5円)で計算)
Data by:Coin Price Forecast|https://coinpriceforecast.com/ethereum-forecast-2020-2025-2030
Coin Price Forecast
2025年から2034年までの長期にわたる暗号資産、株式、商品の価格予測を提供するウェブサービスです。
自己学習技術やディープラーニング技術を用いて、時系列データ、ニュース、規制活動、市場の流動性といった
多様な要素を分析し、予測精度の向上を図っています。さらに、独自のトレンド分析により、市場の大きな波動や
サイクルを捉えたダイナミックな価格変動の予測が可能となっている点も大きな特徴です。
AIによるイーサリアム予測の特徴と注意点
各社のAIごとに考慮している要素やパラメータの重みが異なるため、イーサリアム将来価格の予想には大きな幅があります。 それでも共通しているのは、現在の価格よりも高い水準を想定した長期上昇シナリオになっている点です。
AIによるイーサリアム予測を活用する上での特徴と注意点
AI予測の最大の特徴は、大量のデータを高速で処理し、複雑なパターンや関係性を把握できる点です。 機械学習モデルは市場のトレンド、取引量、ボラティリティ、外部イベントなど多岐にわたる要因を考慮し、予測を行います。
しかし、AI予測には注意点も存在します。イーサリアム市場や暗号資産市場は非常に変動が激しく、 規制の変更、ハッキング、マクロ経済ショックなど、予期せぬイベントが価格に大きな影響を与えることがあります。 そのため、AIモデルも過去のデータに基づいて予測を行う以上、これまでにないタイプのイベントに対しては対応が難しい場合があります。
また、AI予測はあくまで予測であり、100%の確実性を持っているわけではありません。 投資家はAIの予測を一つの参考情報として利用し、テクニカル分析やファンダメンタルズ分析、ニュースチェックなど 他の分析手法と併用しながら総合的な判断を下すことが重要です。
投資の世界では、「過去の成績が将来の成績を保証するものではない」とよく言われます。 AIによるイーサリアム価格予測も同様に捉えるべきであり、投資判断の一助として活用しつつ、 最終的な判断はご自身のリスク許容度と運用方針に基づいて行うことが望ましいです。
《参考》 イーサリアムをただウォレットに寝かせておくのは損?保有枚数を複利で増やす方法
イーサリアムとは?ビットコインとの違いと役割
イーサリアム(ETH)とは、ヴィタリック・ブテリン氏を中心とする開発者コミュニティによって開発された、スマートコントラクト機能付きのブロックチェーン・プラットフォームです。プラットフォーム上で利用される暗号資産が「イーサ(ETH)」であり、ネットワーク利用料(ガス代)やステーキングの担保など、エコシステムを動かす燃料として使われています。
ビットコインが「送金・価値保存」に特化した比較的シンプルなブロックチェーンであるのに対し、イーサリアムは「お金の動くアプリケーション」を誰でも作れる土台という位置付けです。DeFi、NFT、ゲーム、ステーブルコイン、RWA(不動産・国債など実物資産のトークン化)など、多種多様なプロジェクトの多くがイーサリアム、またはイーサリアム互換チェーンの上で動いています。
イーサリアム・コミュニティの規模と存在感
イーサリアムは単なる1つの通貨ではなく、「人とアプリと資産」が集まる巨大なエコシステムです。ユニークアドレス数、アクティブアドレス数、開発者数、DeFiの預かり資産(TVL)など、多くの指標で他のスマートコントラクト・プラットフォームを上回る規模を維持しています。
この大きなコミュニティとエコシステムこそが、イーサリアムの価値を支える重要な要素です。
イーサリアムを使い始めるにはウォレットが必要
イーサリアム上のアプリ(Dapps)を利用するには、「ウォレット」と呼ばれるアプリやブラウザ拡張機能を通じて自分のアドレス(口座のようなもの)を作るのが一般的です。代表例がメタマスク(MetaMask)で、NFT購入やDeFi利用の入口として広く使われています。
メタマスク(MetaMask)の詳しい使い方や注意点については、こちらの解説記事もあわせてご覧ください。

ビットコイン(BTC)との主な違い
ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)は、いずれも時価総額トップ2の主要銘柄ですが、役割や設計思想はかなり異なります。ざっくりまとめると、
- ビットコイン:デジタルゴールド(価値保存・マクロヘッジ・準備資産)
- イーサリアム:スマートコントラクト・プラットフォーム(アプリ・金融インフラの土台)
というイメージを持つと分かりやすいでしょう。
発行上限とマネー設計の違い
ビットコインの発行上限は2,100万枚と決められており、4年ごとの半減期を経て新規発行量が減っていく「デジタルゴールド」型の設計になっています。一方、イーサリアムにはビットコインのような明確な発行上限はありません。
その代わり、コンセンサスアルゴリズムをPoSに移行し、トランザクション手数料の一部をバーン(焼却)する仕組みを取り入れることで、ネットワークの利用状況に応じて実質的なインフレ率をコントロールしています。
送金スピードとネットワークの使われ方
ビットコインは1ブロックあたり約10分の間隔でブロックが生成されるのに対し、イーサリアムは十数秒程度でブロックが作られます。そのため、L1だけを比べてもイーサリアムの方が送金・決済完了までの時間が短い傾向があります。
さらに、Arbitrum や Optimism、Base などのレイヤー2(L2)ネットワークが普及したことで、少額決済やゲーム、NFT取引などは多くがL2側で処理されるようになっており、ユーザー体験はより高速かつ低コストになっています。
コンセンサスアルゴリズム(PoW と PoS)の違い
ビットコインは現在もProof of Work(PoW)を採用しており、マイナーが計算資源を投入してブロック承認を行います。一方、イーサリアムは2022年の大型アップデート「The Merge」を経て、Proof of Stake(PoS)へ完全移行しました。
PoSでは、ETHをステーキングしたバリデータがブロック提案と検証を行い、その見返りとして報酬を得ます。これによりエネルギー消費が大幅に削減され、同時にステーキング利回りという「イールド付きの暗号資産」としての性質も加わりました。

5種のコンセンサスアルゴリズム
仮想通貨(暗号資産)のマイニングとは?
ユースケースの違い
ビットコインはETF化や企業のバランスシート組み入れを通じて、長期の価値保存・インフレヘッジ資産としての役割を強めています。一方、イーサリアムはDeFi・NFT・ゲーム・RWAなど、「ブロックチェーン上で何かを動かしたいときの標準インフラ」として利用されており、日々膨大なトランザクションやスマートコントラクトが実行されています。
イーサリアムの特徴・仕組み
ここからは、イーサリアム(ETH)の特徴と仕組みを、初心者向けに5つのポイントで整理します。
- スマートコントラクトによる「自動で動く契約」
- dApps(分散型アプリケーション)の土台
- 独自トークン(ERC規格)を簡単に発行できる
- DeFi・NFT・RWAの中心となるインフラ
- 半減期はないが、バーンにより供給が調整される
それぞれ詳しく見ていきましょう。
スマートコントラクトによる「自動で動く契約」
イーサリアム最大の特徴はスマートコントラクトです。スマートコントラクトとは、「もし○○が起きたら△△を実行する」という条件付きの契約を、ブロックチェーン上で自動実行できる仕組みです。
例えば、
- あるNFTを購入したら、自動で所有権を移転し代金を送金する
- 担保を預けたら、自動で借入限度額までステーブルコインを借りられる
といった動作を、人の手を介さずプログラムで実行できます。一度ブロックチェーンに記録された契約は改ざんが極めて困難で、「誰かを信頼しなくても、ルールそのものを信頼できる」点が大きなメリットです。
dApps(分散型アプリケーション)の土台
スマートコントラクトを組み合わせることで、イーサリアム上には数多くのdApps(分散型アプリケーション)が構築されています。中央の管理者や運営サーバーに依存せず、ブロックチェーン上でコードとルールが公開・共有されているアプリのことです。
代表的なdAppsには、以下のようなものがあります。
- Uniswap(分散型取引所:DEX)
- Aave・Compound(レンディング・借入プロトコル)
- OpenSeaやFoundation(NFTマーケットプレイス)
こうしたdAppsの多くがイーサリアム、またはイーサリアム互換チェーン(L2など)上に展開されており、「イーサリアム=Web3.0アプリの標準インフラ」という構図を作っています。
独自トークン(ERC規格)を簡単に発行できる
イーサリアムでは、スマートコントラクトを利用して独自トークン(ERCトークン)を発行できます。有名な規格として、
- ERC-20:一般的な「代替可能トークン」(ポイントや株券のように1つ1つが同じ性質を持つ)
- ERC-721 / ERC-1155:NFT(非代替性トークン)用の規格
などがあります。トークンは、
- プロジェクト独自のガバナンストークン
- ゲーム内アイテムやポイント
- 不動産・国債・株式などのRWA(現実資産)のデジタル証券
など、さまざまな用途に利用されており、多くのプロジェクトがイーサリアムのERC規格に準拠することで互換性・利便性を高めています。
DeFi・NFT・RWAの中心インフラ
DeFi(分散型金融)の世界では、レンディング、分散型取引所、ステーブルコイン、デリバティブなど、さまざまなプロトコルの総預かり資産(TVL)が2025年にかけて再び拡大し、1,500億ドルを超える水準に達したとされています。そのうち、およそ半分〜6割程度がイーサリアム・イーサリアム系L2に集中しているとのデータもあり、依然としてDeFiの中心的な役割を担っています。
NFTやゲーム、ステーブルコイン、さらにはRWA(現実世界資産のトークン化)プロジェクトも多くがイーサリアムを採用しており、「新しい金融・証券インフラの実験場」としての役割が強まっています。
半減期はないが、バーンにより供給が調整される
ビットコインには「4年に1度の半減期」があり、新規発行量が段階的に減っていく設計になっています。一方、イーサリアムにはビットコインのような明確な半減期スケジュールはありません。
その代わり、EIP-1559と呼ばれる仕組みによって、トランザクション手数料の一部が自動的にバーン(焼却)されます。PoS移行後はステーキング報酬によるインフレと、EIP-1559によるバーンが拮抗し、ネットワークの利用状況によっては実質的に供給量が減少(デフレ)する期間もあります。
このように、イーサリアムは「一定のインフレ+バーン」という柔軟な設計で、長期的な価値維持を図っています。
イーサリアム(ETH)のメリット
イーサリアム(ETH)の主なメリットは、次の4つに整理できます。
- エコシステムが大きく、流動性が高い
- 送金・決済が比較的速い(L2でさらに高速化)
- 信頼性・セキュリティが高い
- 汎用性が高く、進化を続けている
送金・決済が比較的速い(L2でさらに高速化)
イーサリアムはL1のブロック生成が十数秒で行われるため、ビットコインと比べると送金・決済の完了までの時間が短くなっています。加えて、ArbitrumやOptimism、BaseなどのL2が主流になったことで、少額送金やアプリ利用は数秒〜数十秒レベルで完了するケースも多くなりました。
大きなエコシステムと高い流動性
イーサリアムは、DeFiやNFT、ステーブルコイン、RWAトークンなど、多数のプロジェクトが集まることでネットワーク効果と流動性を獲得しています。2025年時点でも、DeFi TVLの過半数をイーサリアムが占めるというレポートもあり、依然として「メインストリームのスマートコントラクト基盤」であることがうかがえます。
信頼性・セキュリティが高い
イーサリアムは長年にわたって運用されてきた実績があり、ノード数も多く、PoSへの移行後も高い分散性を維持しています。さらに、バグ報奨金プログラムや複数クライアント実装など、プロトコルレベルでのセキュリティ強化が継続的に行われている点も安心材料です。
汎用性が高く、アップデートで進化し続けている
イーサリアムは「The Merge」(PoSへの移行)や「Dencun(EIP-4844)」、2025年5月の「Pectra」アップグレードなど、計画的なロードマップに沿ってアップデートを重ねています。これらのアップデートは、手数料の低下、スケーラビリティ向上、ステーキングの柔軟性改善、ウォレットの使いやすさ向上などにつながっています。
単なる「暗号資産」というより、進化を続けるインターネットインフラに近い存在だとイメージすると分かりやすいでしょう。
イーサリアムのデメリット・リスク
メリットが多い一方で、イーサリアム(ETH)には押さえておくべきリスクやデメリットもあります。主なポイントは次のとおりです。
- ネットワーク混雑時の手数料高騰(スケーラビリティ問題)
- スマートコントラクトのバグ・ハッキングリスク
- 規制動向(特にステーキングやRWA)の影響
それぞれ簡潔に見ていきましょう。
ネットワーク混雑時の手数料高騰(スケーラビリティ問題)
イーサリアムはL1の処理能力に限りがあるため、NFTブームや人気トークンの売買が集中すると、トランザクション詰まりやガス代(手数料)の高騰が発生します。スケーラビリティ問題と呼ばれるこの課題に対し、DencunやPectraといったアップグレードでL2向けのデータ領域拡張や効率化が進められていますが、完全に解決したわけではありません。
規制動向(特にステーキングやRWA)の影響
イーサリアムは、ステーキングやDeFi、RWAトークンなど、既存の金融規制との境界に位置するユースケースが多いのが特徴です。そのため、各国の証券規制・投資家保護ルールの影響を受けやすい側面があります。
米SECの一部の関係者は、トークン化について「決済の高速化や決済リスクの低減など、金融インフラを効率化し得る技術」と評価しつつも、投資家保護や実務上の論点から慎重な姿勢も示しています。
ブラックロックをはじめとする運用会社によるステーキング型ETH ETFの動きも進んでいますが、ステーキング報酬をどう規制上位置付けるかは今後も議論が続くと見られます。規制が強まれば短期的な価格変動要因となり得る点には注意が必要です。
イーサリアムの今後と将来性(ロードマップとユースケース)
結論から言えば、技術的な課題や競合の存在はあるものの、イーサリアムの将来性は依然として高いと評価されるケースが多いと言えます。その根拠となるポイントを3つに整理します。
- 継続的なアップデート(Merge・Dencun・Pectraなど)による性能向上
- DeFi・NFT・RWA・ステーブルコインを支える基盤としての地位
- 企業・機関投資家の関心(ETF・ステーキング・RWAプラットフォーム)
アップデートとロードマップ:MergeからPectra、その先へ
イーサリアムは、明確なロードマップに沿って段階的なアップグレードを続けています。
- The Merge(2022年):PoWからPoSへ移行し、省エネ化とインフレ率の低下を実現
- Shanghai / Capella(2023年):ステーキングしたETHの引き出しを解禁
- Dencun(2024年):EIP-4844(プロト・ダンクシャーディング)によりL2向けデータを効率化し、L2手数料を大幅に低減
- Pectra(2025年):ウォレットのユーザビリティ改善、ステーキング上限の引き上げ(32ETH→最大2,048ETH)、L2との連携強化などを包括的に実施
その先のロードマップとしては、Single Slot Finality(単一スロットファイナリティ)やステートレス化など、セキュリティを保ちつつ最終確定時間を短縮し、より多くのトランザクションを安全に処理するための研究開発が続いています。
DeFi・NFT・RWA・ステーブルコインを支える基盤
DeFiのTVL(総預かり資産)は2025年にかけて回復しており、その多くがイーサリアムまたはイーサリアム系L2に乗っています。NFTやオンチェーンゲーム、ステーブルコインのトランザクションも増加傾向にあり、イーサリアムは「オンチェーン経済」の中心的なインフラとして機能し続けています。
また、RWA(不動産、国債、社債などのトークン化)においても、スマートコントラクトの柔軟性やセキュリティの高さからイーサリアム/イーサリアムL2を採用するプロジェクトが増えています。SEC関係者がトークン化の潜在的なメリット(決済スピード向上やリスク低減など)に言及していることも、長期的にはイーサリアムにとって追い風になり得ます。
ブラックロックのステーキングETF申請と機関マネー
2025年11月、ブラックロックは「iShares Staked Ethereum Trust ETF」をデラウェア州に登録し、ステーキング型イーサリアムETFへの参入意欲を示しました。これは、スポットETH ETFに続いて「ステーキング利回りまで含めてETF化する」という流れであり、実現すれば年金や401kといった伝統的な投資商品からもイーサリアムのステーキング利回りへアクセスできるようになる可能性があります。
もちろん、ETF申請がすべて承認されるとは限らず、ステーキングの取り扱いを巡る規制・税制の議論も続くでしょう。ただし、世界最大級の資産運用会社が本格的にイーサリアム・ステーキングへ関心を示していることは、「インフラ銘柄としてのETH」への信頼感を示す材料と見る向きもあります。
イーサリアムの将来価格はどうなる?シナリオ別の見方
ここからは、本記事のキーワードでもある「イーサリアム 価格」「イーサリアム 今後」「イーサリアム 将来価格」について、現在の状況と将来シナリオを整理します。あくまで予測であり、特定の価格を保証するものではない点にはご注意ください。
現在の価格水準とこれまでの値動き
2025年12月時点で、イーサリアムは1ETHあたり3,000ドル前後で推移しており、一時の最高値(約4,800〜5,000ドル)からはまだ距離があるものの、2022〜2023年の底値圏からは大きく回復した水準です。
過去には、
- 2017年:ICOブームで高騰後、急落
- 2020〜2021年:DeFi・NFTブームとともに最高値圏へ
- 2022〜2023年:金利上昇や規制懸念で大きく調整
- 2024〜2025年:PoS・L2・ETFなどの材料を織り込みつつ、波を伴いながら回復
といったサイクルを経験しており、今後もマクロ(金利・景気)と暗号資産市場の循環の影響を強く受けると考えられます。
アナリスト・レポートの価格予測例
イーサリアム将来価格の予測一覧(2025〜2030年の一例)
| 年 | 予測機関・レポート | 予想レンジ(ドル) | 前提・コメント |
|---|---|---|---|
| 2025年末 | シティグループ | 約4,300〜6,400 | DeFi・ステーブルコイン・トークン化の利用拡大を前提としたベース/強気シナリオ |
| 2025年末 | スタンダードチャータード銀行 | 約7,500 | ステーブルコイン市場の拡大と、企業・機関によるETH保有増加を想定 |
| 2030年 | 複数のリサーチサイト | 約10,000〜17,000 | RWA・L2の定着、オンチェーン経済の拡大を前提とした長期シナリオ |
あくまでこれらは「イーサリアム 将来価格」のシナリオ例であり、実際の価格を保証するものではありません。投資判断は、複数の情報源を参考にしつつ、ご自身のリスク許容度に合わせて行ってください。
複数のリサーチ会社や金融機関が、2030年頃までのETH価格予測を公表しています。例えば、
- シティグループ:年末目標4,300ドル、強気ケースで6,400ドル/ETH
- スタンダードチャータード銀行:2025年末7,500ドル、2028年に25,000ドルという強気シナリオを提示
- 複数のリサーチサイト:2030年のETH価格を約1万〜1万7,000ドル程度のレンジで予測する中立シナリオを提示
一方で、より保守的な予測や、規制・競合チェーンの台頭を理由に悲観的な見通しを示すレポートも存在します。重要なのは、予測の幅が非常に大きく、「シナリオ次第で結果が大きく変わる」という点です。
強気・中立・弱気の3つのシナリオ
将来価格を考える際は、自分なりにシナリオを分けて考えるのがおすすめです。例えば、
- 強気シナリオ:DeFi・NFT・RWA・ステーブルコイン・ステーキングETFなどが順調に拡大し、ETHは「インターネット金融インフラ」としてますます使われる。L2の普及でユーザー体験も改善し、企業や国レベルの利用も進む。
- 中立シナリオ:技術アップデートは計画通り進むが、競合チェーンとのシェア争いも続く。市場全体の拡大とともにETHも成長するが、急激な価格上昇ではなく、長期的な右肩上がりにとどまる。
- 弱気シナリオ:規制の急激な強化や重大なスマートコントラクトのバグ・ハッキング、他チェーンへの乗り換えなどにより、Ethereum以外のプラットフォームへ資金と開発者が流出する。
どのシナリオになるかは誰にも断言できませんが、イーサリアムの技術ロードマップとエコシステムの成長が続く限り、「ゼロになる」といった極端なシナリオは比較的考えにくいと見る向きも多いようです。
初心者が意識したいポイント
イーサリアムの将来価格を考えるうえで、初心者の方が特に意識したいポイントは次の3点です。
- 短期の値動きではなく、「イーサリアムが何に使われているか」を見る
- DeFi TVLやアクティブアドレス数、L2の利用状況など、オンチェーン指標も参考にする
- 一括投資ではなく、時間分散(積立)やポートフォリオ分散を意識し、リスクを取りすぎない
その上で、「イーサリアムが今後も金融・インターネットインフラとして使われ続けるだろうか?」という視点から、長期的な価値を判断するのが良いでしょう。
イーサリアムへの投資はどんな人に向いている?
ここまで見てきたイーサリアムの今後・将来価格を踏まえると、ETHへの投資が向いているのは次のようなタイプの方です。
- 短期売買よりも、中長期で「インフラ銘柄」としての成長を狙いたい人
- DeFi・NFT・RWAなど、イーサリアム上のサービスに実際に触れてみたい人
- ステーキングやレンディングなどで、保有量をコツコツ増やしたい人
「ステーキングやレンディングでコツコツ増やしたい」と考えている方は、 イーサリアムを預けて増やせるBitLendingのレンディングはこちら も参考になります。自分で頻繁に売買するのが難しい場合でも、長期目線での運用を検討しやすくなります。
逆に、「短期間で何倍にもなる爆発力だけを求めている」「価格チャートしか見ない」というスタイルの場合は、イーサリアムよりもボラティリティの大きいアルトコインに目が行きがちです。ただし、その分リスクも大きくなるため注意が必要です。
イーサリアムは、値上がり益とネットワークの実需(手数料・ステーキング・トークン化など)の両面から評価される銘柄であり、「今後のWeb3.0やオンチェーン経済の成長を信じるかどうか」が投資判断の軸になります。
まとめ
今回は、「イーサリアムとは?」という基本から、イーサリアムの今後・価格・将来価格まで、初心者の方にもイメージしやすいように整理しました。
- イーサリアムはビットコインに次ぐ時価総額2位の暗号資産で、スマートコントラクト付きブロックチェーンとしてDeFi・NFT・RWAなどの土台になっている
- アドレス数・開発者数・DeFi TVLなど、コミュニティとエコシステムの規模は依然として最大級
- Merge・Dencun・Pectraなどのアップデートで、スケーラビリティやユーザビリティ、ステーキングの柔軟性が継続的に改善されている
- ブラックロックのステーキング型ETF申請や、SECによるトークン化への言及など、RWA・機関投資家文脈でのポジティブな材料も増えている
- 一方で、スケーラビリティ問題や規制・競合チェーンなどのリスクもあり、将来価格には幅広いシナリオが存在する
長期的にイーサリアムの将来性に期待するのであれば、短期の値動きだけに振り回されるのではなく、「何に使われているか」「どんなアップデートが控えているか」に目を向けることが大切です。
そして、自分で頻繁に売買するのが難しい場合は、BitLendingのようなレンディングサービスを活用して、プロの手を借りながら無理のない範囲で長期運用するという選択肢も検討してみてください。