監修:株式会社J-CAM 金融アドバイザー AFP認定者 倉本 佳光 Yoshimitsu Kuramoto

慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。その後、メリルリンチ日本証券株式会社マネージメント・コミッティーメンバー、岡三アセットマネジメント株式会社理事などを歴任。
執筆:BitLending編集部 更新日:2026年8月20日

倉本 佳光

「ビットレンディングは安全なのか」という疑問は、実は複数の異なる論点が混ざっています。金融庁への登録状況、資産を守るセキュリティ技術、そして貸し出した暗号資産が返ってこなくなる可能性がある「事業者の信用リスク」は、それぞれ別の話です。

結論からいうと、現行法上、暗号資産の貸借(レンディング)だけを行う事業には金融庁への登録義務がなく、これは法の抜け穴や違法な状態ではありません。ただし、それは「金融庁の直接の監督が及ばない」ことも意味しており、2026年7月にはレンディングを金融商品取引法の規制対象に含める改正法が成立しています。

この記事では、ビットレンディングが実際にどのようなセキュリティ技術で資産を守っているか、金融庁登録がなぜ不要とされているのか、そして今後の規制でどう変わる見込みなのかを、一次情報にもとづいて整理します。

免責事項(投資助言ではありません)

本記事は、暗号資産に関する情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買・投資行動を推奨するものではありません。暗号資産は価格変動が非常に大きく、短期間で大きな損失が発生する可能性があります。投資判断は必ずご自身の責任で行い、必要に応じて専門家へご相談ください。

利益相反に関する開示:本記事を掲載するBitLendingは、暗号資産レンディングサービスを提供しています。記事内には当社サービスへの導線が含まれる場合がありますが、特定の投資行動や暗号資産の貸出を推奨するものではありません。

ビットレンディングのセキュリティ体制|Fireblocks・MPC・TEEによる資産保護

ビットレンディングは、資産管理の技術基盤として、数千以上の金融機関が利用するブロックチェーンインフラプロバイダーであるFireblocks社のサービスを採用しています。秘密鍵を複数の断片(キーシェア)に分割し、ビットレンディングとFireblocks社が分散して保管したうえで、複数の関係者による確認プロセスを経なければ取引が承認されない仕組みになっています。特定の1人、あるいは1つのシステムだけで資産を動かせない構造にすることが目的です。

《出典》
お客様の資産を保護するセキュリティ体制|BitLending公式

MPC(秘密分散計算)とTEE(Intelの高セキュリティ領域)

この仕組みは、MPC(Multi-Party Computation:マルチパーティ計算)と呼ばれる技術によって実現されています。秘密鍵そのものを1か所にまとめて保管せず、複数の断片に分けて別々に管理することで、どこか1か所が攻撃を受けても、それだけでは資産を動かせないようにしています。あわせて、Intelの「Software Guard Extensions(SGX)」というTEE(Trusted Execution Environment)技術を用いた、外部から隔離された高セキュリティ領域(Fireblocks社が「金庫部屋」と呼ぶ領域)でカギの処理を行っており、モバイル環境にも同様の仕組みが実装されています。

取引所破綻時の影響を抑える「Off-Exchange」機能

「Collateral Vault Account(CVA)」という仕組みにより、取引に利用する暗号資産を実際の取引所へ都度移動させずに管理下へ置き続けることができ、取引所が破綻した場合のカウンターパーティリスクを大幅に抑える設計になっています。このほか、定期的な第三者によるレッドチーム演習(実際の攻撃を模した訓練)や、社内の誰であっても無条件には信頼しない「ゼロトラストモデル」の採用、複数人によるチェック体制なども整えられています。

暗号資産全体に共通するセキュリティの考え方(プロトコル・取引所・個人の3層で分けて理解する視点)については、暗号資産のセキュリティの仕組みとリスクの解説もあわせてご確認ください。

アカウントを守る仕組み|多要素認証となりすまし対策

資産管理の技術がどれだけ堅牢でも、ログイン時のアカウント乗っ取りやなりすましは、利用者自身の設定と行動で防ぐべき領域です。ビットレンディングでは、パスキー認証(生体認証や端末情報を利用する方式)、Google認証システムによるワンタイムパスワード、SMS認証といった複数の認証方式を用意しており、これらを組み合わせた多要素認証(MFA)の設定が不正アクセス対策の基本になります。

《出典》
多層的なアカウント保護|BitLending公式

不正ログインの検知となりすまし対策

高額な資産の出金時には「LIQUID Auth Face」という顔認証を行うほか、ログイン時のメール通知、なりすましメールを防ぐDMARCの導入、公式メールにロゴを表示するBIMIへの対応など、複数の仕組みでアカウントの異常を検知・防止する体制を整えています。これらはサービス側の対策であり、強力で使い回していないパスワードの設定、多要素認証の有効化、公共の端末でのログインを避けることは、利用者自身が実行して初めて効果を発揮します。本人確認(KYC)の基本的な仕組みについては、KYCの基本と重要性の解説で詳しく取り上げています。

金融庁の入り口

暗号資産レンディングに金融庁登録は必要か?

「ビットレンディングは金融庁に登録されていない」という指摘を見て、不安に感じる方もいるかもしれません。結論として、暗号資産の貸借(レンディング)だけを行う事業は、現行の資金決済法上、金融庁への暗号資産交換業の登録が義務づけられていません。これは法の抜け穴ではなく、レンディングという契約の法的な性質にもとづくものです。以下で、その理由と、2026年に成立した規制強化の内容を順番に整理します。

現行法(資金決済法)でレンディングに登録が不要とされる理由

資金決済法上、暗号資産交換業として金融庁への登録が必要になるのは、主に次の行為を「業」として行う場合です。

  • 暗号資産の売買、または他の暗号資産との交換
  • 上記の媒介・取次ぎ・代理
  • 利用者のために暗号資産を管理すること(カストディ業務)

レンディングは、民法上の「消費貸借契約」(借りたものと同種・同等・同量のものを返す契約)にあたり、この定義に直接は該当しません。ただし、サービス提供にあたって利用者の暗号資産を預かる(カストディ)行為や、交換にあたる行為が付随して発生する場合には、結果として登録が必要になるケースがあります。

《出典》
事務ガイドライン第三分冊:金融会社関係「16.暗号資産交換業者関係」|金融庁

💡 用語解説:消費貸借契約・分別管理とは? ▼ 開く

■ 消費貸借契約とは?

借りたものをそのまま返すのではなく、借りたものと同じ種類・同じ量のものを後で返す約束をする契約です。

  • 確認点:お金の貸し借りと同じ考え方で、暗号資産のレンディングもこの契約にあたります
  • 注意点:貸した時点で、貸した暗号資産の所有権は一時的に借り手(事業者)へ移ります

■ 分別管理とは?

事業者自身の資産と、利用者から預かった資産を明確に分けて管理する義務のことです。

この記事での読み方

暗号資産交換業者による「預かり」には分別管理の義務がありますが、レンディングは消費貸借契約であり所有権が移るため、この分別管理義務の対象外という扱いになります。次の項目で詳しく説明します。

取引所のレンディングも「分別管理の対象外」という共通の立て付け

これは、ビットレンディングに限った話ではありません。金融庁の登録を受けた正規の暗号資産交換業者(取引所)が提供するレンディングサービスも、暗号資産交換業としての「預かり」ではなく、利用者と事業者の間の消費貸借契約という法的な立て付けになっています。

区分 分別管理義務 破綻時の扱い
通常の預かり(取引所での保管) 対象(自己資産と分けて管理する義務がある) 利用者の資産として保全される
レンディング(消費貸借契約) 対象外 利用者は一般債権者として扱われ、全額が返還されない可能性がある

そのため、各社のレンディング規約には「分別管理の対象外である」「預金保険等の対象ではない」旨が明記されているのが一般的です。万が一事業者が経営破綻した場合、貸し出した暗号資産は利用者の個別資産としてではなく事業者の財産の一部として扱われ、他の債権者と同じ立場で弁済を受けることになります。

《出典》
金融審議会「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」報告(2025年12月10日)|金融庁

金融庁の規制議論と2026年成立の改正法|今後どう変わるか

この「登録がなくても分別管理義務も及ばない」という状態について、金融庁は利用者保護の観点から規制強化の議論を進めてきました。金融審議会「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」は2025年12月10日の報告で、レンディング事業者が借り入れた資産に管理規制が及ばないこと、利用者が事実上リスクを取ってリターンを追求していることを問題視し、金融商品取引法の規制対象とすべきと結論づけました。

日付 できごと
2025年12月10日金融審議会のワーキング・グループが、レンディング事業を金融商品取引法の規制対象に含めるべきとする報告を公表
2026年4月10日金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案が国会に提出
2026年7月15日参議院本会議で可決、改正法が成立
2026年7月23日法律第64号として公布
今後(時期未定)公布から1年以内を目安に、政令で定める日から施行される見込み

今回の改正では、不特定多数の利用者を対象とする(対公衆性のある)レンディング事業について、再貸付先の貸し倒れなどに関するリスク管理体制の整備、預かった暗号資産を安全に管理する体制の整備、利用者へのリスク説明義務や広告規制といった規制が課される見込みです。一方、機関投資家間の取引など対公衆性のない借入れは、業規制の対象としないとされています。既存事業者への経過措置の日数や具体的な施行日は、本記事執筆時点(2026年8月)では確定しておらず、今後の政省令の公布を待つ必要があります。

ビットレンディング公式でも、この規制動向について「現時点でサービスが直ちに終了したり、不当に不利益な変更をする予定はない」との考えを示しています。レンディングとあわせて議論されているステーキングとの制度上の違いは、ステーキングとは?仕組み・報酬・レンディングとの違いの解説で確認できます。改正後の税務上の扱いについては、仮想通貨レンディングの税金・確定申告ガイドで解説しています。

《出典》
金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案の概要|金融庁
暗号資産レンディング事業の規制に関する金融庁の議論について|BitLending公式

ビットレンディングは「怪しい」のか?よくある不安と実際のリスク

「ビットレンディング 怪しい」といった検索結果を見て不安になった方のために、よく指摘される点について事実関係を整理します。結論として、指摘されている論点の多くは「違法である」ということではなく、「暗号資産交換業ほど厳格な規制の対象になっていない」という制度上の位置づけの話です。ただし、それは実際のリスクが小さいことを意味しません。

利率の高さ・サービス開始からの年数への不安

暗号資産のレンディングは、預貯金の金利と比べて高い利回りが提示されることが一般的で、その水準の高さ自体を不安に感じる方は少なくありません。利回りは市場環境や運用方針によって変動するため本記事では具体的な数値の断定は避けますが、利回りが高いということは、それだけ利用者がリターンを求めてリスクを取っている状態であることの裏返しでもあります。また、サービスの運営年数の長さだけで安全性を判断するのも早計です。運営会社の情報や実際の運用体制など、確認できる材料をもとに判断することが重要です。投資詐欺全般の見分け方は、暗号資産投資詐欺に騙されないためのポイントで詳しく解説しています。

「金融庁未登録」という指摘について

前章で整理したとおり、レンディング単体の事業には現行法上、暗号資産交換業としての登録義務がありません。「未登録=違法」ではありませんが、暗号資産交換業者のような分別管理義務や、金融庁による直接の監督は及んでいないという点は事実です。この位置づけの詳しい根拠は、前章の金融庁登録の要否についての解説をご確認ください。

破綻・信用リスクとその開示|運用の分散と四半期レポート

レンディングが消費貸借契約である以上、貸し出した暗号資産の所有権は一時的に事業者へ移り、万が一事業者が経営破綻した場合、利用者は一般債権者として扱われ、貸し出した暗号資産が全額返還されない可能性があるという信用リスクは残ります。これは預金保険のような制度で保護される仕組みではありません。

この信用リスクに対して、ビットレンディングでは借り受けた暗号資産の運用先を複数に分散したうえで、その運用手法や運用実績を四半期ごとに、会員限定の運用レポートとして開示しています。運用先を1か所に集中させず分散していること、実績が定期的に開示されていることは、利用者が事業者の運用実態を継続的に確認できる材料になります。ただし、これはリスクをゼロにするものではなく、レンディングという契約の性質上、リターンを求める以上残るリスクであることに変わりはありません。暗号資産業界全体の補償・保証制度の現状については、暗号資産の保証事情の解説で詳しく取り上げています。

利用前に自分で確認しておきたいポイント

「安全か危険か」を誰かの意見で決めるのではなく、公式情報をもとに自分で確認できる状態にしておくことが、後悔しない判断につながります。利用を検討する際に確認しておきたいポイントを整理しました。

  • セキュリティ体制:資産管理の技術的な仕組みは、お客様の資産を保護するセキュリティ体制のページで確認できます
  • アカウント保護の設定:多要素認証など自分側で設定できる対策は、アカウントセキュリティのページを参照し、必ず有効化しておきましょう
  • 運営会社の情報:特定商取引法に基づく表記など、運営主体が明確に開示されているかを確認します
  • 規制動向の最新情報:金融庁の審議会のページで、レンディング規制の施行時期など最新の進捗を確認できます
  • 他社レンディングとの比較:複数のサービスを比較したい場合は、仮想通貨レンディング完全ガイドで比較の基準を確認できます

《出典》
金融審議会「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」|金融庁

よくある質問

ここまでの内容を、よくある質問の形で簡潔に振り返ります。

ビットレンディングは金融庁に登録されていますか? 無登録は違法ですか?

レンディング単体の事業には、現行の資金決済法上、暗号資産交換業としての登録義務がなく、これは違法ではありません。ただし、2026年7月に成立した改正法により、レンディングが将来的に金融商品取引法の規制対象に加わる見込みです。詳しくは「暗号資産レンディングに金融庁登録は必要か?」で解説しています。

元本や利息は保証されますか?

保証されません。レンディングは消費貸借契約であり、預金保険のような保護制度の対象外です。事業者が経営破綻した場合、利用者は一般債権者として扱われ、貸し出した暗号資産が全額返還されない可能性があります。

セキュリティ対策は暗号資産取引所と同じ水準ですか?

技術的な資産保護の仕組み(Fireblocks社のMPC・TEE技術など)は、金融機関でも採用される水準のものを利用しています。一方で、暗号資産交換業者に義務づけられる分別管理のような制度的な保護とは仕組みが異なる点に注意が必要です。

今後の法改正で何がいつ変わりますか?

2026年7月15日に改正法が成立し、同年7月23日に公布されました。全面施行は公布から1年以内が目安とされていますが、レンディング規制に関する具体的な施行日や経過措置の内容は、本記事執筆時点(2026年8月)では確定していません。最新情報は金融庁の公式ページで確認できます。

「怪しい」と言われるのはなぜですか?

主に「利率の高さ」「金融庁未登録」「サービス開始からの年数」の3点が指摘されがちです。これらはいずれも違法性を意味するものではありませんが、暗号資産交換業ほど厳格な制度的保護がない状態であることは事実であり、その点を理解したうえで利用を判断することが重要です。

まとめ:ビットレンディングの安全性をどう考えるか

ビットレンディングの安全性は、「安全」か「危険」かの二択では判断できません。セキュリティ技術の水準、金融庁登録が不要とされる法的な理由、それでも残る事業者の信用リスクという3つの論点を分けて理解したうえで、公式情報をもとに自分で確認することが、後悔しない判断につながります。

2026年7月に成立した法改正により、レンディングは今後、金融商品取引法の規制対象に加わる見込みです。制度が整うまでの間も、運用の分散状況や定期的な情報開示など、確認できる材料をもとに判断する姿勢が引き続き重要です。