日本の仮想通貨規制をわかりやすく解説|金商法移管とステーブルコインの今後
監修:株式会社J-CAM 金融アドバイザー AFP認定者 倉本 佳光 Yoshimitsu Kuramoto
慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。その後、メリルリンチ日本証券株式会社マネージメント・コミッティーメンバー、岡三アセットマネジメント株式会社理事などを歴任。
執筆:BitLending編集部 更新日:2026年9月3日
日本では、ビットコインなどの暗号資産を保有・売買すること自体は禁止されていません。ただし、資産の種類とサービスの内容によって、適用される法律や事業者に必要な登録が異なります。
2026年7月15日には、暗号資産取引に関する規制を資金決済法から金融商品取引法(金商法)の枠組みへ移す改正法が成立しました。主要部分は公布から1年以内に施行される予定で、暗号資産レンディングを含む事業者規制や不公正取引規制が整備されます。
一方、日本円に連動するJPYCなど一定のステーブルコインは、法律上「暗号資産」ではなく「電子決済手段」に該当します。本記事では、金融庁とJVCEAの役割、交換業とレンディングの違い、円建てステーブルコインの法的位置づけを整理し、利用前に何を確認すべきかを解説します。
免責事項(投資助言ではありません)
本記事は、暗号資産に関する情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買・投資行動を推奨するものではありません。暗号資産は価格変動が非常に大きく、短期間で大きな損失が発生する可能性があります。投資判断は必ずご自身の責任で行い、必要に応じて専門家へご相談ください。
利益相反に関する開示:本記事を掲載するBitLendingは、暗号資産レンディングサービスを提供しています。記事内には当社サービスへの導線が含まれる場合がありますが、特定の投資行動や暗号資産の貸出を推奨するものではありません。
日本の暗号資産法制を先に整理
日本の制度を理解するには、「仮想通貨に法律があるか」ではなく、何を扱い、事業者がどの業務を行うのかを分けて考えることが大切です。暗号資産、円やドルに連動する電子決済手段、デジタル証券では、適用法と必要な登録が異なります。
| 対象・業務 | 主な制度 | 利用者が確認すること |
|---|---|---|
| ビットコインなどの暗号資産 | 資金決済法。2026年成立法の施行後は金商法の枠組みへ移行予定 | 銘柄の性質、価格変動、取扱事業者 |
| 暗号資産の売買・交換 | 暗号資産交換業の登録 | 金融庁・財務局の登録一覧、行政処分 |
| 法定通貨連動型ステーブルコイン | 電子決済手段、資金移動業・信託等の制度 | 発行者、仲介事業者、発行・償還条件 |
| 暗号資産レンディング | 現行の契約関係に加え、2026年成立法で登録規制を整備 | 貸借契約、返還条件、信用リスク、制度の施行状況 |
| 権利や証券を表すトークン | 金商法上の電子記録移転有価証券表示権利等 | 権利内容、取扱事業者の登録 |
登録制度は利用者保護の土台ですが、価格や元本を国が保証する制度ではありません。暗号資産の基本から確認したい場合は、暗号資産の仕組みと始め方も参考にしてください。
資金決済法から金商法へ何が変わる?
日本では2017年に暗号資産交換業の登録制が始まり、2020年施行の改正では顧客資産管理や広告・勧誘などの規制が強化されました。2023年6月には、法定通貨連動型ステーブルコインを主な対象とする電子決済手段の制度が施行されています。
さらに2026年7月15日、暗号資産取引に係る規制を資金決済法から金商法へ移す改正法が成立しました。暗号資産を有価証券と同一に扱うのではなく、有価証券とは別の金融商品として性質に応じた規制を設けるものです。
2026年成立法の主な変更点
- 情報提供:暗号資産の発行・取引に関する情報を利用者が確認しやすくする
- 事業者規制:交換や媒介に加え、暗号資産レンディングを含む業務を規制対象として整備する
- 不公正取引規制:暗号資産取引における不公正な行為を規制する
- 利用者保護:事業者の業務・資産管理などに関するルールを整える
成立日と施行日は同じではありません。主要部分は公布から1年以内に施行される予定で、登録要件や資産管理方法などの詳細は政令・内閣府令で定められます。詳細が公表されるまでは、確定事項と見込みを分けて読む必要があります。
また、金商法の枠組みへ移ることだけで個人の暗号資産所得に対する課税方法が自動的に変わるわけではありません。現行の申告方法は、暗号資産の税金と確定申告の解説で確認してください。
《出典》
国会提出法案等|金融庁
金融庁・JVCEA・登録事業者の役割
金融庁と財務局は、暗号資産交換業者などの登録・監督を行います。利用者は、サービス名だけでなく運営法人名を確認し、金融庁の登録一覧で一致するかを調べることが重要です。
金融庁自身も、登録一覧への掲載は暗号資産の価値を保証・推奨するものではないと注意喚起しています。登録の有無と、投資対象やサービスが安全かどうかは別の判断です。
《出典》
暗号資産交換業者登録一覧|金融庁
JVCEAは自主規制団体
JVCEA(一般社団法人日本暗号資産等取引業協会)は、暗号資産交換業、電子決済手段等取引業、資金移動業などの自主規制団体です。金融庁そのものではなく、会員事業者に対する自主規制規則、審査、指導、苦情対応などを担います。
事業者を調べるときは、「金融庁・財務局の登録」と「JVCEAの会員区分」を混同せず、それぞれの公式一覧を確認します。国内取引所のサービス内容を比べる場合は、暗号資産取引所の比較ポイントも参考になります。
登録があっても損失や返還が保証されるわけではない
暗号資産交換業者には、利用者の金銭・暗号資産を自己の資産と分けて管理することや、利用者の暗号資産を原則として安全性の高い方法で管理することなどが求められます。ただし、銀行預金と同じ預金保険が付くわけではなく、価格下落、送付ミス、詐欺、事業者破綻時の損失が一律に全額補償されるものでもありません。
「登録済みだから安全」と結論づけず、契約、資産管理、返還条件、セキュリティ対策まで確認しましょう。
暗号資産・ステーブルコイン・デジタル証券の違い
ブロックチェーン上で移転できるトークンが、すべて法律上の暗号資産になるわけではありません。名称ではなく、価値の表示方法、償還義務、保有者の権利、利用方法で区分されます。
| 区分 | 主な特徴 | 例 |
|---|---|---|
| 暗号資産 | 法定通貨・通貨建資産・電子決済手段などを除き、不特定の者への支払いや売買等に利用できる電子的な財産的価値 | BTC、ETHなど |
| 電子決済手段 | 法定通貨建てで、額面による償還を前提とするデジタルマネー型の資産など | 一定の円・ドル連動型ステーブルコイン |
| 前払式支払手段 | 原則として発行者や加盟店で商品・サービスの支払いに使う前払いの価値 | 電子マネー、プリペイド型トークンなど |
| セキュリティトークン | 株式、社債、受益権など金商法上の権利をデジタル化したもの | デジタル証券 |
同じ「ステーブルコイン」という呼び名でも、法定通貨建てか、暗号資産や商品価格への連動を目指すものかによって、法律上の区分は一律ではありません。
《出典》
資金決済に関する法律|e-Gov法令検索
円建てステーブルコインはどう規制される?
日本では2023年6月1日に改正資金決済法が施行され、法定通貨建てで額面償還を前提とするステーブルコインは、主に「電子決済手段」として規律されるようになりました。
発行の仕組みには、銀行によるもの、資金移動業者によるもの、信託を利用するものなどがあります。また、電子決済手段の売買・交換、仲介、利用者のための管理などを業として行う場合は、業務に応じた登録が必要です。
円との価格連動を目指していても、日本円そのものや銀行預金ではありません。発行者、裏付け資産、発行・償還条件、利用できるブロックチェーンを確認する必要があります。
《出典》
暗号資産・電子決済手段関係|金融庁
令和7年資金決済法改正に係る政令の公布及びパブリックコメントの結果等について|金融庁
💡 用語解説:資金移動業型と信託型とは? ▼ 開く
■ 発行の法的な仕組みが異なります
資金移動業型は資金移動業者が発行し、信託型は信託財産を裏付けとして発行する仕組みです。
- 確認点:誰が発行し、円への償還義務を負うか
- 注意点:同じ円連動型でも送金上限、資産管理、利用条件が同じとは限らない
この記事での読み方
「円ペッグ」という名称だけで判断せず、発行方式と償還条件を公式情報で確認するための区分です。
JPYCは資金移動業型の電子決済手段
JPYC株式会社は2025年8月18日付で資金移動業者の登録を取得し、同年10月27日に日本円建てステーブルコイン「JPYC」と発行・償還プラットフォーム「JPYC EX」の提供を開始しました。JPYCは日本円と1対1での価値連動を目指す電子決済手段で、発行・償還には本人確認や利用条件があります。
利用時は、公式サイトで対応チェーンと正しいコントラクトアドレスを照合し、同名の偽トークンへ送付しないことも重要です。JPYC・USDC・USDTの違いは、ステーブルコインの種類と仕組みで詳しく解説しています。
《出典》
国内初、日本円建ステーブルコイン発行へ―資金移動業者の登録を取得|JPYC株式会社
日本円ステーブルコイン「JPYC」および「JPYC EX」を正式リリース|JPYC株式会社
制度整備が進んでもリスクはなくならない
法定通貨連動型ステーブルコインには、発行者の信用、償還停止、利用サービスの障害、スマートコントラクト、秘密鍵管理、対応チェーンの取り違えなどのリスクがあります。市場で売買する場合は、円との価格差が生じることもあります。
貸出やDeFiで運用するときは、発行者リスクに加えて貸出先やプロトコルのリスクを負います。運用による収益とリスクは、ステーブルコインの運用方法とリスクで確認してください。
暗号資産レンディングと金融庁規制の現在地
暗号資産交換業は、暗号資産の売買・交換やその媒介、一定の管理などを行う業務です。一方、レンディングは、利用者が事業者へ暗号資産を貸し出し、契約に基づいて貸借料を受け取る仕組みです。
そのため、暗号資産交換業者の登録一覧だけで、レンディング事業者の適法性や安全性を一律に判定することはできません。まず、どの業務について何の登録が必要かを区別する必要があります。
暗号資産レンディングの契約と比較ポイントも確認し、預け入れではなく貸借であること、返還条件、貸出先の信用リスクを理解してから判断しましょう。
2026年成立法とBitLendingの対応
2026年7月15日に成立した改正法では、暗号資産レンディングサービス事業者についても、金融庁への登録を求める制度が整備されました。ただし、主要部分は公布から1年以内に施行される予定で、2026年9月3日時点では登録要件、手続き、資産管理方法などの詳細が下位法令で確定するのを待つ段階です。
BitLendingは2026年7月17日、サービスを継続する方針と、関係法令・当局の方針に基づいて必要な手続きへ対応する方針を公表しました。これは登録取得済みという意味ではありません。現在の制度と、施行後に必要となる登録を分けて確認することが大切です。
運営体制やサービス固有の確認事項は、BitLendingを利用する前の安全性チェックも参照してください。
日本と海外の規制は何が違う?
暗号資産規制は国・地域ごとに異なります。EUではMiCAによる包括的な制度、米国では複数の法制度と当局による規制、香港では暗号資産取引プラットフォームやステーブルコインに関する制度が整備されています。
ただし、海外でライセンスを取得していることと、日本居住者へ適法にサービスを提供できることは同じではありません。海外登録の有無だけでなく、日本向け提供に必要な登録と公式な利用対象地域を確認してください。
| 確認軸 | 確認する内容 |
|---|---|
| 監督当局 | どの国・地域の当局が、どの法人を監督しているか |
| 日本向け提供 | 日本居住者を受け入れているか、日本で必要な登録があるか |
| 資産管理 | 顧客資産の保管方法、破綻時の取扱い、返還請求先 |
| 紛争対応 | 準拠法、裁判管轄、苦情・補償制度 |
| 機能制限 | 入出金、送付、レバレッジ、取扱銘柄の地域制限 |
無登録の海外所在業者に対して金融庁が警告を出すこともあります。国名や取扱銘柄数だけで優劣を決めず、金融庁の公開情報を確認しましょう。
《出典》
暗号資産・電子決済手段関係|金融庁
暗号資産サービスを利用する前のチェック項目
法制度を調べる目的は、「規制されているから安心」と判断することではなく、利用する資産とサービスに応じた確認点を見落とさないことです。
- 運営法人:サービス名ではなく、契約相手となる法人名と所在地を確認する
- 業務内容:売買、交換、仲介、管理、貸出、発行、償還のどれに当たるかを確認する
- 登録:該当業務に必要な登録と、金融庁・財務局の公式一覧を照合する
- 契約:資産の所有関係、返還・償還条件、手数料、停止条件を読む
- 資産管理:分別管理、秘密鍵管理、外部委託、事故時の対応を確認する
- 価格・信用リスク:登録制度では価格下落や事業者破綻がなくならないと理解する
- 送付先:ネットワーク、アドレス、メモ・タグ、対応銘柄を照合する
- 本人確認:KYC、トラベルルール、出金先制限を確認する
- 制度の時点:法案、成立、公布、施行、経過措置を区別する
公式の登録一覧、契約書面、事業者の最新告知を組み合わせて確認することが基本です。本人確認の目的と手順は、暗号資産取引におけるKYCの解説で確認できます。
日本の仮想通貨規制に関するよくある質問
日本の暗号資産法制について、誤解しやすい点を簡潔に整理します。
日本でビットコインを保有することは違法ですか?
いいえ。日本でビットコインなどの暗号資産を保有・売買すること自体は禁止されていません。ただし、暗号資産の売買・交換などを業として行う事業者には、業務に応じた登録が必要です。
暗号資産は金商法上の有価証券になるのですか?
2026年成立法は、暗号資産を有価証券と同一にするのではなく、有価証券とは別の金融商品として金商法の枠組みで規律するものです。権利や証券を表すセキュリティトークンは、別途、有価証券に関する規制の対象となります。
金融庁登録事業者なら損失は補償されますか?
いいえ。登録は事業者へ一定の体制や利用者保護措置を求める制度ですが、暗号資産の価値や元本を金融庁が保証するものではありません。価格下落、詐欺、送付ミス、事業者破綻時の損失が必ず全額補償されるわけでもありません。
JVCEAは金融庁と同じ機関ですか?
いいえ。金融庁は行政機関で、JVCEAは金融庁の認定を受けた自主規制団体です。事業者を確認するときは、金融庁・財務局の登録一覧とJVCEAの会員情報をそれぞれ確認します。
円建てステーブルコインは暗号資産ですか?
一律ではありません。日本円建てで額面償還を前提とするJPYCなどは、資金決済法上の「電子決済手段」に該当し、暗号資産とは区別されます。一方、円への連動を目指すという名称だけでは法的区分を判断できません。
JPYCは日本円や銀行預金と同じですか?
いいえ。JPYCは日本円と1対1での価値連動を目指し、額面での償還が設計された電子決済手段ですが、日本銀行券や銀行預金そのものではありません。発行・償還条件、対応チェーン、秘密鍵管理などを確認して利用します。
海外取引所を日本から利用してもよいですか?
海外でライセンスを取得していても、日本居住者への提供に必要な登録があるとは限りません。金融庁の登録一覧や無登録業者への警告、事業者の対象地域を確認し、準拠法や資産返還、苦情対応の違いも理解する必要があります。
BitLendingは金融庁に登録されていますか?
2026年9月3日時点で、BitLendingは暗号資産交換業者として売買・交換サービスを提供する事業者ではありません。2026年7月に成立した改正法では暗号資産レンディング事業者にも登録が求められる見込みですが、主要部分は施行前で、具体的な登録要件などは下位法令で定められる段階です。BitLendingは必要な手続きへ対応する方針を公表しています。
金商法への移管で暗号資産の税金も変わりますか?
金商法の枠組みへ移ることだけで、個人の暗号資産所得に対する課税方法が自動的に変わるわけではありません。税制改正は別の手続きを経て決まるため、国税庁や税制改正に関する最新の公式情報を確認してください。
日本の仮想通貨規制のまとめ
日本では、暗号資産、電子決済手段、デジタル証券などの性質に応じて法制度が設けられています。金融庁への登録やJVCEAの自主規制は利用者保護の土台ですが、価格や元本、返還を一律に保証するものではありません。
2026年7月15日に成立した改正法により、暗号資産取引の規制は金商法の枠組みへ移る予定です。暗号資産レンディングも新たな登録規制の対象となる見込みですが、施行前の現在と施行後の制度を混同しないことが重要です。
円建てステーブルコインは、日本のデジタル金融制度が実際の発行・償還サービスへ進んだ例です。ただし、円との連動だけで安全性を判断せず、発行者、法的区分、償還条件、対応チェーン、利用サービスを確認しましょう。