円安・円高でビットコインはどう動く?ドル円相関と2026年の日銀利上げ局面を解説
監修:株式会社J-CAM 金融アドバイザー AFP認定者 倉本 佳光 Yoshimitsu Kuramoto
慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。その後、メリルリンチ日本証券株式会社マネージメント・コミッティーメンバー、岡三アセットマネジメント株式会社理事などを歴任。
執筆:BitLending編集部 更新日:2026年9月15日
円安が進むとビットコインの需要が高まり、円高になると資産価値が目減りする——そんなふうに単純に語られがちですが、実際の値動きは為替だけで説明できるほど単純ではありません。円が動いた局面でビットコインが同じ方向に動くとは限らず、逆に動くこともあります。
この記事では、円安・円高がビットコインに与える影響を「円要因(国内の資産防衛需要)」と「ドル・グローバル要因(金融政策やリスク選好)」に分けて整理し、2026年に入って続く日本銀行の利上げ局面が、この関係をどう変えつつあるかを解説します。特定の値動きを予想したり、投資を推奨したりするものではありません。ビットコインの本質的な価値や、これまでの詳しい価格推移を知りたい場合は、本文内で該当する記事へご案内します。
免責事項(投資助言ではありません)
本記事は、ビットコインに関する情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買・投資行動を推奨するものではありません。暗号資産は価格変動が非常に大きく、短期間で大きな損失が発生する可能性があります。投資判断は必ずご自身の責任で行い、必要に応じて専門家へご相談ください。
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為替とビットコインの関係は、単純な一方向の法則ではない
「円安になればビットコインが上がる」「円高になれば下がる」という説明を目にすることがありますが、為替とビットコインの関係は、円だけを見ていては読み解けません。ビットコインの価格には、日本円と直接関係する「円要因」と、米ドルや世界的な金融政策・投資家のリスク選好によって動く「ドル・グローバル要因」の、性質の異なる2つの力が同時に働いています。
円要因とは、日本円の価値が変動したときに、国内の投資家が資産防衛のためにビットコインを含む外貨建て資産へ資金を移す、という需要面の動きです。一方でドル・グローバル要因とは、米国の金融政策や世界的なリスクオン・リスクオフの流れによって、ビットコインを含むリスク資産全体への資金の向かい方が変わる、という需給面の動きです。2つの要因が同じ方向に重なるときは分かりやすい値動きになりますが、逆方向に働くときは、円安・円高だけを見ていると実際の値動きと矛盾しているように感じられます。
円安が進むとビットコインはどうなるか
円安とは、外貨に対して日本円の価値が下がる現象です。円安が進行すると、国内でビットコインの需要が増えやすくなるといわれています。
円安でビットコインの需要が増えるとされる理由
円安が進むと、日本円で資産を持つ投資家は、その価値が目減りすることを懸念します。ビットコインは特定の国の通貨に紐づかない資産であるため、円の価値低下に対する資産防衛の選択肢の一つとして注目されやすくなります。これは「円安ヘッジ」と呼ばれる考え方で、外貨預金や外国株式などと同様に、通貨分散の一環としてビットコインが語られる理由です。
資産防衛の目的で保有するビットコインを、保有するだけでなく運用にまわす選択肢として、保有するビットコインを貸し出して利息を得るレンディングという方法もあります。
💡 用語解説:資産防衛・インフレヘッジとは? ▼ 開く
■ 資産防衛・インフレヘッジとは?
資産防衛とは、通貨の価値が下がる局面で、保有資産全体の実質的な価値を維持しようとする考え方です。インフレヘッジとは、その中でも物価上昇(インフレ)による目減りに備える目的を指します。
- 確認点:円安や物価上昇が進む局面で、外貨建て資産や実物資産へ資金の一部を振り分ける考え方です
- 注意点:資産防衛を目的にした資金移動であっても、価格が必ず上がることを保証するものではありません
この記事での読み方
この記事で「資産防衛需要」という場合、円安を理由にビットコインへ資金を移す動きそのものを指しており、その結果として価格が上昇することを保証する表現ではありません。
実際の事例で見る円安局面
2022年、米国の急速な利上げを背景に円安が進行し、同時期にビットコインの円建て価格が押し上げられる局面がありました。ただし、この局面では米国の金融引き締めという要因がドル建てのビットコイン価格自体にも影響していたため、円安だけを理由に説明できるものではありません。為替の動きとビットコインの値動きが重なって見えるときほど、両方の要因を分けて確認することが大切です。
円高が進むとビットコインはどうなるか
円高とは、外貨に対して日本円の価値が上がる現象です。円安とは逆に、円高が進む局面ではビットコインの需要が抑えられやすいといわれています。
円高でビットコインの需要が減るとされる理由
円高が進むと、日本円の実質的な価値が上がるため、資産防衛を目的に外貨建て資産へ資金を移す動機が弱まります。円安局面で資産防衛のために移動していた資金の一部が、円高局面では円建て資産に戻る動きが生じることがあります。ただし、これも円要因だけで説明できるとは限らず、同じタイミングでドル・グローバル要因が働いているケースも少なくありません。
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■ 円キャリートレードとは?
円キャリートレードとは、金利の低い日本円を借りて調達し、金利の高い他通貨建ての資産や、値上がりが期待される資産に投資する取引手法です。円安・低金利が続く局面で拡大しやすく、円高・金利上昇局面では巻き戻し(資金の返済・売却)が起こりやすくなります。
- 確認点:円キャリートレードの巻き戻しが起きると、投資先だった資産が世界的に売られやすくなります
- 注意点:ビットコインもリスク資産の一つとして、この巻き戻しの影響を受けることがあります
この記事での読み方
次に紹介する2024年8月の局面は、円高の進行と円キャリートレードの巻き戻しが重なった代表的な例です。
2024年8月の急落に見る、円高と複合要因
2024年8月5日、日本銀行の利上げと米国の雇用統計の悪化をきっかけに円キャリートレードの巻き戻りが進み、ドル円は1ドル141円台まで円高が進行しました。同じ日、日経平均株価は前日比12.40%、下落幅にして過去最大となる4,451.28円の下落を記録し、ビットコインの価格も同時に、2024年2月以来となる900万円割れまで急落しました。この値動きは、円高が直接ビットコインを下落させたというよりも、世界的なリスクオフの流れと、レバレッジを効かせた投資の巻き戻しが重なった結果と見るのが実態に近いと考えられます。
《出典》
2024年8月上旬の日本株市場の急激な相場変動に関する分析|金融庁
円キャリートレードとは?仕組み・巻き戻しが日本株とビットコインに与える影響を解説|CoinPost
この記事の内容を含め、下落局面全般で気をつけたいポイントはビットコインの危険性・7つのリスクで整理しています。
2026年、日銀の利上げ局面は為替とビットコインの関係をどう変えるか
ここまで見てきた円安・円高の一般的な傾向は、日本銀行が大規模な金融緩和を続け、構造的な円安圧力がかかりやすかった局面を前提にした説明です。しかし、この前提は2025年末以降、変わりつつあります。
日本銀行は2026年6月15日・16日の金融政策決定会合で、政策金利を0.75%から1.00%へ引き上げました。これは2025年12月の利上げに続くもので、日銀が緩和的なスタンスから利上げ局面へ移行しつつあることを示しています。2026年9月17日・18日の会合では、市場では0.25%の追加利上げ(1.25%への引き上げ)が織り込まれていますが、これは本稿の確認時点(2026年9月15日)での市場予想であり、会合の結果そのものではありません。
利上げ局面で何を確認すればよいか
日銀が利上げを続けると、理論的には円が買われやすくなり、これまで円安を追い風にしてきた資産防衛需要は弱まる方向に働きます。一方で、利上げのペースや市場の織り込み方によっては、既に説明した円キャリートレードの巻き戻りのように、ビットコインを含むリスク資産全体が短期的に売られる場面も想定されます。どちらの影響が強く出るかは、その時点の金融政策の内容と市場心理によって変わるため、断定はできません。
値動き全体の仕組みや、金融政策以外の要因も含めて確認したい場合は、ビットコインが上がる理由・下がる理由もあわせてご確認ください。
ビットコインが「デジタルゴールド」と呼ばれる理由
ビットコインが資産防衛の選択肢として語られるとき、しばしば「デジタルゴールド」という表現が使われます。特定の国や中央銀行の管理を受けない非中央集権的な仕組みと、発行上限が決まっている希少性が、金(ゴールド)と共通する特徴として挙げられるためです。
ただし、ビットコインと金では値動きの性質が異なる場面もあります。地政学的な緊張が高まる局面では、金が買われる一方でビットコインは値動きが大きくなりやすく、必ずしも同じ方向に動くとは限りません。ビットコインの希少性や本質的価値について詳しくは、ビットコインの本質的価値|希少性・国家・ETFから考えるで解説しています。
米ドル・他の暗号資産との相関性
ここまで説明した円要因とは別に、ビットコインの価格は米ドルの動向や米国の金融政策からも影響を受けます。
米ドルとビットコインの関係
米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げを行うと米ドルの調達コストが下がり、投資家がリスク資産へ資金を振り向けやすくなるため、ビットコインの価格が上昇しやすくなる傾向があります。反対に、FRBが利上げを行うと、この流れが逆方向に働きやすくなります。円とドル、どちらの金融政策がより強く効いているかは局面によって異なり、常に一定ではありません。
資産防衛としてビットコインとNISAのどちらを選ぶべきか比較したい場合は、ビットコインとNISAはどっち?もあわせてご確認ください。
他の暗号資産との相関性
ビットコインは、イーサリアム(ETH)をはじめとする他の暗号資産とも値動きが連動しやすい傾向があります。これは、ビットコインが暗号資産市場全体の値動きを左右する中心的な銘柄として扱われることが多く、市場全体のリスク選好が変わると、多くの銘柄が同じ方向に動きやすくなるためです。この相関の強さは常に一定の数値で表せるものではなく、市場の局面によって変動します。
よくある質問
円安・円高とビットコインの関係について、よくある質問にまとめて回答します。
円安になるとビットコインは必ず上がりますか?
いいえ、必ず上がるわけではありません。円安は資産防衛の需要を通じてビットコインの価格を押し上げる方向に働くことがありますが、米ドルの金融政策や市場全体のリスク選好など、他の要因が逆方向に働けば、円安局面でも価格が上がらないことがあります。
円高になるとビットコインはどうなりますか?
円高が進むと、資産防衛を目的とした資金移動の動機が弱まり、ビットコインの需要が抑えられやすくなるといわれています。ただし、2024年8月の急落のように、円高そのものよりも円キャリートレードの巻き戻りなど複合的な要因が値動きの主因になることもあります。
なぜ円安でビットコインの需要が増えるといわれるのですか?
円安が進むと日本円の価値が目減りするため、投資家が資産価値を守る目的で、特定の国の通貨に紐づかないビットコインへ資金の一部を移す動きが生じやすくなるためです。この考え方は「円安ヘッジ」と呼ばれています。
ビットコインとドル円は相関していますか?
常に一定の相関があるわけではありません。米国の金融政策や市場のリスク選好によって、ドル円とビットコインが同じ方向に動く局面もあれば、そうでない局面もあります。相関の強さは時期によって変動します。
ビットコインの価格はドル建てと円建てでどう違いますか?
ドル建て価格は世界の主要な取引所で基準となる価格で、円建て価格はそこにドル円の為替レートを掛け合わせたものです。そのため、ドル建て価格が変わらなくても、ドル円の為替レートが動けば円建て価格は変動します。
米ドルとビットコインにはどんな関係がありますか?
米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策が米ドルの調達コストを左右し、それが投資家のリスク資産への資金配分に影響することで、ビットコインの価格にも波及することがあります。
円安ヘッジとしてビットコインを買うのは適切ですか?
資産防衛の選択肢の一つとして語られることはありますが、ビットコインは価格変動が大きく、円安局面でも下落することがあります。円安ヘッジになるかどうかを保証するものではないため、他の資産と同様にリスクを踏まえた判断が必要です。保有した後の運用まで検討したい場合は、レンディングの比較ポイントとリスクも参考になります。
日銀の利上げはビットコインにどう影響しますか?
日銀が利上げを進めると、円が買われやすくなり、円安を背景にした資産防衛需要は弱まる方向に働きます。一方で、利上げのペースによっては円キャリートレードの巻き戻りを通じて、ビットコインを含むリスク資産全体が短期的に売られることもあります。
円キャリートレードとは何ですか?ビットコインとどう関係しますか?
金利の低い日本円を借りて、金利の高い他通貨建ての資産などに投資する取引手法です。円高・金利上昇局面で巻き戻り(資金の返済・売却)が起こりやすく、その際にビットコインを含むリスク資産が世界的に売られることがあります。
ビットコインと金(ゴールド)はどちらが資産防衛に向いていますか?
どちらが優れているかを一概に言うことはできません。金は地政学リスクの高まる局面で買われやすい一方、ビットコインは値動きが大きく、同じ局面でも異なる動きをすることがあります。目的やリスク許容度に応じて、性質の違いを理解したうえで検討することが大切です。
為替とビットコインの関係は今後も続きますか?
円やドルの金融政策、投資家のリスク選好が変われば、これまで語られてきた関係性も変化していく可能性があります。2026年の日銀の利上げ局面のように、前提そのものが変わることもあるため、その時点の状況を確認することが重要です。
円安・円高以外に、ビットコインの価格を動かす要因はありますか?
あります。需要側の要因(ETF資金の動きなど)、供給側の要因(半減期など)、規制や業界内の出来事など、為替以外にも複数の要因が価格に影響します。これまでの具体的な値動きを振り返りたい場合は、ビットコインの価格推移と歴史で確認できます。
まとめ
円安・円高とビットコインの関係は、「円が動けばビットコインも同じ方向に動く」という単純な法則では説明できません。円要因(国内の資産防衛需要)とドル・グローバル要因(金融政策やリスク選好)を分けて確認し、2026年に入って続く日銀の利上げ局面のように前提そのものが変わりつつある点も踏まえることで、目の前の値動きに振り回されにくくなります。
これから仮想通貨を始める場合は仮想通貨の始め方もあわせてご確認ください。本記事の内容は投資判断を保証するものではありません。ご自身の状況に合わせて、慎重にご判断ください。