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倉本の国際経済の見どころ|国際経済の重要な出来事や抑えておくべきポイントを取り上げてわかりやすく解説

倉本の国際経済の見どころ   

株式会社J-CAM金融コンサルタントの倉本佳光が40年以上金融業に従事してきた経験を元に国際経済の重要な出来事や抑えておくべきポイントを取り上げてわかりやすく解説するコラムです。刻々と変化する相場のモメンタムをキャッチアップしていきます。

FOMCが方向転換? ハト派的声明でリスクオンムード?

FOMCが方向転換? ハト派的声明でリスクオンムード?

方向転換した?FOMCと日銀

 12月12日-13日に米国FOMCが開催され、3会合続けての金利据え置きが決定されました。今回行われたFOMCメンバーによる金利予測では2024年に複数回の利下げを行う見通しが示され、積極的な利上げキャンペーン終了を明確に示したものとなりました。

 FF(フェデラルファンド・レート)の誘導目標は5.25%-5.50%でFOMCメンバーによる金利予測中央値では「今後の利上げはない」との見通しが示されています。メンバーのうち8人が0.25%の利下げが3回未満とし、5人がそれ以上を予想しています。

Is Jerome Powell’s Fed Pulling Off a Soft Landing?

パウエル議長は「金利予測はあらかじめ決められた計画ではない」と強調し、物価上昇圧力が再度台頭しないようにするため、「追加利上げの選択肢を外す用意はない」とした一方、「利下げは視野に入り始めており、実社会で話題になっているのは明白で今回のFOMC会合でも議論した」と述べています。

今回のFOMCの結果を受けて市場関係者からは次のようなコメントが出ています。

  • FOMCは方向を転換した。今後利下げがあるかないかではなく、利下げがいつ行われるかがポイントになる
  • 想定しうる限りのハト派的な内容
  • FOMCの声明文と最新の経済予測はハト派的でリスクオン、声明文に「インフレはこの1年で緩和した」と評価する新たな文言が盛り込まれ、来年の金利予測は中央値で3回の利下げを示している
  • インフレは正しい方向に進んでいる。米金融当局は来年3回の利下げを見込んでいるものの今回の声明でタカ派的なトーンを維持した。投資家は新年も、ほぼ同じような展開を想定すべきだ。米金融当局は金融政策が景気を減速させ、インフレを冷やし始めるのにこれほど長く待つことを余儀なくされた。ようやくゴールが視界に入ってきたからといって、慎重さを忘れて前のめりになるようなことはしないだろう
  • 誰も将来のことはわからない、だからこそ機敏に行動し、金利が当面高止まりすることを心に留めておくことが重要

今回の声明文とパウエル議長の発言から、来年に向けての金融緩和を積極的に受け入れてリスクオンを示すものと、今後の景気減速や長期金利高止まりを想定したやや慎重なものが交錯した状況を示しています。しかし、米国金融市場ではFOMCの結果を受けて弱気派が皆無の状況となり、10年国債利回りは4.01%と大幅に低下し、NYダウ平均は512ドル高と高値を更新しました。

今後、金融当局はCPIと雇用情勢の変化を見ながら、米国の景気減速に留意した舵取りを行うことになります。ただ弱気派が皆無とも言える米国金融市場の現状には注意をしておく必要があると考えています。

 一方、日本では18日-19日に日銀の金融政策決定会合が開催されます。植田総裁は7月28日にYCC(イールド・カーブ・コントロール)の運用柔軟化を行い、10月31日にYCC運用の更なる柔軟化を行いました。そして12月7日の参議院財政金融委員会において今後の金融政策運営に関し「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになると思っている」と述べています。

 

 今回のFOMCの結果により日本銀行には金融政策の運営について幅を持つことが出来たと考えられます。今度の日銀会合では来年の金融政策正常化、マイナス金利解除に向けた何らかの示唆が行われるのではないかと予測しています。