監修:株式会社J-CAM 金融アドバイザー AFP認定者 倉本 佳光 Yoshimitsu Kuramoto
慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。その後、メリルリンチ日本証券株式会社マネージメント・コミッティーメンバー、岡三アセットマネジメント株式会社理事などを歴任。
執筆:BitLending編集部 更新日:2026年8月26日
仮想通貨のマイニングとは、主にProof of Work(PoW)を採用するネットワークで、計算によってブロックの生成に参加する仕組みです。ビットコインでは、マイナーが取引をまとめたブロック候補を作り、条件を満たすハッシュを探します。有効なブロックがネットワークに受け入れられると、新規発行分と取引手数料からなる報酬を受け取れます。
ただし、すべての暗号資産をマイニングできるわけではありません。イーサリアムは2022年にPoWからProof of Stake(PoS)へ移行し、XRP LedgerもPoWマイニングを使っていません。また、マイニングを始められることと、費用を差し引いて利益が残ることは別です。
本記事では、ビットコインを軸にマイニングの仕組み、報酬、ソロ・プール・クラウドの違い、必要な機材と始め方を整理します。専門用語を暗記するのではなく、個人が機器や契約へ費用を投じる前に何を確認すべきか判断できる状態を目指します。
免責事項(投資助言ではありません)
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仮想通貨のマイニングとは?
マイニングは、主にPoWを採用するブロックチェーンで、有効なブロックを作るための計算作業です。「採掘」と訳されますが、地中から既存のコインを掘り出すわけではありません。
ビットコインでは、マイナーが未承認の取引をまとめてブロック候補を作り、ブロックヘッダーのハッシュがネットワークの定める条件を満たすまで、値を変えながら計算を繰り返します。条件を満たしたブロックが他の参加者に検証され、ブロックチェーンへ追加されることで、取引履歴の共有と二重支払いの防止に役立ちます。
その対価として、ブロックを生成したマイナーは報酬を受け取ります。この報酬設計によって、中央の管理者がマイナーを指名しなくても、参加者が計算資源と電力を使ってネットワークを支える動機が生まれます。
《出典》
Mining|Bitcoin Developer
Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System|Bitcoin.org
ビットコインのマイニングはどう進む?
ビットコインのマイニングは、単に計算速度を競うだけではありません。取引を選び、ブロック候補を作り、Proof of Workを見つけ、ネットワークから検証を受けるまでが一連の流れです。
1.取引を集めてブロック候補を作る
マイナーは、ネットワークへ送信された未承認取引から、次のブロックへ含める取引を選びます。さらに、自分が報酬を受け取るためのコインベーストランザクションを加え、取引データを要約したマークルルートなどを含むブロック候補を組み立てます。
💡 用語解説:ハッシュ・ナンス・難易度とは? ▼ 開く
■ マイニング計算を読む3つの用語
- ハッシュ:入力データから得られる一定の長さの値です。入力が少し変わるだけでも結果が大きく変わります
- ナンス:マイナーがブロックヘッダーのハッシュを変えるために試す値の一つです
- 難易度:有効と認められるハッシュを見つける難しさを示します
この記事での読み方
マイナーは答えを計算式から逆算するのではなく、条件を満たす結果が出るまで入力を変えて試行します。高いハッシュレートは試行回数を増やしますが、単独で必ずブロックを発見できる保証ではありません。
2.条件を満たすハッシュを探す
マイナーはナンスなどを変えながらブロックヘッダーを繰り返しハッシュ化します。ネットワークが定めるターゲットより小さいハッシュを見つけると、有効なProof of Workを提示できます。
計算能力が大きいほど多くの試行ができますが、特定のマイナーが必ず先に見つけるわけではありません。ネットワーク全体の計算能力に対して自分が占める割合が、発見機会に影響します。
ターゲットによって決まる難易度は固定ではありません。ビットコインでは2,016ブロックごとに、直前の期間でブロック生成にかかった時間が基準の2週間へ近づくよう難易度が調整されます。ネットワーク全体の計算能力が増えて2,016ブロックが2週間より早く生成されると、次の期間の難易度は上がります。
難易度が上がるのは、ネットワーク全体の計算能力が増えたときです。自分の機器の性能が変わらなければ、全体に占める自分の割合はその分だけ下がり、一定期間に得られると期待されるBTC報酬も減ります。機器購入時の収益試算がそのまま続くとは限らない主な理由の一つです。
3.ブロックが検証され、チェーンへ追加される
条件を満たしたマイナーはブロックをネットワークへ送信します。他のノードは、Proof of Work、取引形式、二重支払いの有無などを検証します。有効と判断されたブロックは各ノードのブロックチェーンへ追加され、その次のブロック生成が始まります。
この仕組みを理解すると、マイニングが「送金データを目視で承認する作業」ではなく、公開されたルールに従ってブロックを提案し、ネットワークから検証される過程だと分かります。
マイニング報酬と半減期の関係
ビットコインのマイニング報酬は、新規発行されるブロック補助金と、そのブロックに含まれる取引手数料から構成されます。報酬はマイナーが計算を続け、ネットワークの安全性を支える経済的な動機になります。
ブロック補助金は約21万ブロックごとに半分になります。2024年4月20日の第4回半減期後は、1ブロック当たり3.125 BTCです。ただし、ブロックを見つけた際の受取総額は、含まれる取引手数料によって変わります。
半減期で新規発行分が減っても、BTC価格や取引手数料が同じ割合で上がる保証はありません。そのため、現在の報酬額だけを見て将来の採算を判断しないことが重要です。次回の時期と仕組みは、次の半減期とマイナーへの影響で確認できます。
ビットコインの発行上限と、ブロック補助金が最終的に小さくなる設計については、ビットコインの発行上限とマイニング報酬も参考にしてください。
ソロ・プール・クラウドマイニングの違い
個人がマイニングへ関わる方法は、大きくソロ、プール、クラウドに分けられます。違いは、機器を自分で持つか、計算能力を共同利用するか、事業者との契約を通じて参加するかです。
| 方式 | 仕組み | 主な注意点 |
|---|---|---|
| ソロ | 自分の機器だけでブロック発見を目指す | 報酬発生の間隔が非常に長くなることがある |
| プール | 参加者の計算能力を集め、ルールに従って報酬を分配する | 手数料、分配方式、運営者リスクを確認する |
| クラウド | 事業者との契約を通じて採掘能力や報酬を得る | 契約変更、出金条件、事業者破綻、詐欺に注意する |
ソロマイニング
ソロマイニングは、自分で機器とノード環境を用意し、単独でブロック発見を目指す方法です。ブロックを発見できればプールの分配を受けずに報酬を得られますが、ネットワーク全体に占める計算能力が小さい場合、長期間報酬が発生しないことがあります。
プールマイニング
プールマイニングでは、複数の参加者が計算能力を集め、プールがブロックを発見した場合に貢献度や分配方式に基づいて報酬を受け取ります。ソロより受取額のばらつきを抑えやすい一方、プールへ参加すれば採算そのものが改善するとは限りません。
手数料だけでなく、PPSやPPLNSなどの分配方式、最低出金額、支払頻度、障害時の対応、運営主体を確認する必要があります。
クラウドマイニング
クラウドマイニングは、事業者が運営する設備について採掘能力などの契約を結び、契約条件に応じた報酬を受け取る方式です。自宅に機器を置かずに済みますが、実際の設備、計算能力、費用控除、契約変更条件を利用者が直接確認しにくい場合があります。
「機器不要」「自動で利益」といった説明だけで契約しないでください。中途解約、出金、保守費、収益悪化時の契約終了、運営会社の実在性まで確認する必要があります。
マイニングに必要な機材と始め方
マイニングを始める前に、対象の暗号資産が現在もPoWを採用しているか確認します。そのうえで、アルゴリズムに対応する機器、電源、通信、冷却、ウォレット、参加先を準備します。
ソフトをパソコンへインストールする前に、機器代と継続費用、安全に稼働できる電源・排熱環境を確認することが先決です。
1.対象通貨とアルゴリズムを確認する
暗号資産によって、PoWを使うか、どのハッシュアルゴリズムを使うかが異なります。ビットコインはSHA-256を採用しており、現在はSHA-256計算に特化したASICが中心です。GPUで採掘できるPoW通貨もありますが、ビットコイン用ASICを別のアルゴリズムへそのまま転用できるとは限りません。
2.機器・電源・排熱・騒音対策を準備する
機器はハッシュレートだけでなく、消費電力に対する効率で比較します。ASICは大きな電力を継続して使い、強い排熱と騒音が発生する機種があります。家庭用コンセントの電圧や回路容量で安全に使えるとは限らないため、仕様を確認し、必要に応じて有資格者へ相談してください。
- 本体と電源装置が要求する電圧・容量
- 換気、冷却、吸排気経路
- ファンの騒音と設置場所
- 安定した有線通信環境
- 故障、停止、火災を想定した監視方法
3.報酬を受け取るウォレットを用意する
自分で管理できる受取アドレスを準備し、対象通貨とネットワークが一致していることを確認します。アドレスの入力ミスや秘密鍵・シードフレーズの紛失は、資産を失う原因になります。保管方式の違いは、報酬を受け取るウォレットの仕組みで確認できます。
4.プールとソフトウェアを選び、少額で動作確認する
プールの公式案内から対応ソフト、接続先、設定形式を確認します。検索広告や第三者のダウンロードページだけを頼らず、配布元、署名やハッシュ、更新履歴を確かめてください。古いマイニングソフトは提供終了や改変版の流通があり得るため、固定的な「おすすめ一覧」から選ぶのは避けます。
設定後は、ハッシュレート、消費電力、温度、エラー、プール側の認識、報酬表示を確認します。予想値との差が大きい場合は、長時間運転へ移る前に原因を調べます。
イーサリアムやXRPはマイニングできる?
2026年8月時点で、Ethereum MainnetとXRP LedgerはどちらもPoWマイニングの対象ではありません。「暗号資産だからマイニングできる」とは限らず、各ネットワークの現在の合意方式を確認する必要があります。
| ネットワーク | 主な合意方式 | PoWマイニング |
|---|---|---|
| Bitcoin | Proof of Work | 行われている |
| Ethereum Mainnet | Proof of Stake | 2022年9月に終了 |
| XRP Ledger | XRP Ledger Consensus Protocol | 行われていない |
イーサリアムはPoSへ移行し、マイニングを終了した
Ethereum Mainnetは、2022年9月15日のThe MergeによってPoWからPoSへ移行しました。現在は、ETHをステークするバリデーターがブロックの提案と検証を担い、旧来のEthereum Mainnetのマイニングは有効なブロック生成方法ではありません。
「イーサリアム マイニング やり方」と検索して見つかる古いGPU設定やClaymore Dual Minerなどの情報は、現在のEthereum Mainnetには適用できません。Ethereum Classicなど別ネットワークの採掘と混同しないようにしてください。
XRP Ledgerはマイニングを使わない
XRP Ledgerは、競争的な計算でブロックを生成するPoWではなく、バリデーターの提案と検証を通じてトランザクションの順序と結果へ合意する独自のコンセンサスプロトコルを使用します。そのため「XRPをマイニングして新規発行分を得る」という方法はありません。
バリデーターを運用することと、マイニング報酬を得ることも別です。XRP Ledgerのバリデーターは、ビットコインのマイナーのようなブロック補助金を受け取る仕組みではありません。
マイニングのメリットとデメリット
マイニングには、PoWネットワークの維持へ直接参加できる面がある一方、機器と電力を継続的に投入する必要があります。報酬だけでなく、費用、安全性、運営者への依存まで含めて比較します。
| 観点 | 内容 |
|---|---|
| メリット | PoWネットワークのブロック生成と安全性維持へ参加できる |
| メリット | 条件が整いブロックまたはプール報酬を得られれば、暗号資産で収入を受け取れる |
| デメリット | 機器代、電気代、冷却・通信・保守費が発生する |
| デメリット | 価格、難易度、報酬、機器効率の変化で採算が悪化する |
| デメリット | 排熱、騒音、故障、電源設備の安全管理が必要になる |
| デメリット | プールやクラウドでは運営者・契約相手のリスクを負う |
報酬の円換算額が電気代を上回っても、機器代や冷却費を回収できなければ最終的な利益は残りません。個人の採算計算は、個人マイニングの電気代と損益分岐点で詳しく確認できます。
個人が始める前のチェックポイント
機器の購入やクラウド契約を行う前に、次の項目を確認します。一つでも不明なままなら、先に情報を集め、費用を払わずに試算する段階へ戻りましょう。
- 対象通貨:現在もPoWを採用し、使用する機器のアルゴリズムに対応しているか
- 設備:必要な電圧、回路容量、換気、防音、通信を安全に確保できるか
- 採算:機器代、電気代、冷却費、プール手数料、保守費を差し引いているか
- 変動:価格下落、難易度上昇、報酬減少、機器停止でも継続できるか
- 相手方:プールやクラウド事業者の運営主体、契約、出金条件を確認したか
- 保管:報酬の受取先と秘密鍵・シードフレーズを安全に管理できるか
- 記録:受取日時、数量、取得時の円換算額、費用を記録できるか
- 撤退条件:どの条件で停止し、機器や契約をどう処理するか決めているか
国税庁は、マイニングなどで取得した暗号資産について、取得時点の価額を基に所得を計算し、マイニングに要した費用を必要経費へ算入する考え方を示しています。所得区分や経費の範囲は活動実態により変わるため、マイニング報酬を含む暗号資産の税金を確認し、必要に応じて税理士へ相談してください。
マイニングに関するFAQ
初心者が混同しやすい、参加可否、機材、通貨ごとの違いを簡潔に整理します。
マイニングは日本で違法ですか?
自分の機器を使って暗号資産のマイニングを行うこと自体が、一律に違法とされているわけではありません。ウェブサイトの閲覧者に知らせず、その端末でマイニングを行わせたプログラムについては、最高裁判所が2022年1月20日、不正指令電磁的記録には当たらないとして有罪判決を破棄し、第1審の無罪判決を維持した例があります(Coinhive事件)。ただし、これは当該プログラムの動作内容、端末への影響の程度、利用方法などを踏まえた個別の判断であり、他人の端末や設備を無断で利用するあらゆる行為が適法という意味ではありません。不正アクセス、電力設備の不正使用、虚偽の説明による資金集めなどは、それぞれ別の法令の問題になり得ます。事業として運営する場合や他人から資金を集める場合は、契約内容と適用法令を専門家へ確認してください。
普通のパソコンでもマイニングできますか?
ソフトウェアを動かせる場合はありますが、ビットコインではASICが中心であり、一般的なパソコンのCPUやGPUで採算の合う計算能力を得るのは現実的ではありません。GPUで採掘できる別のPoW通貨もありますが、対応アルゴリズム、難易度、電気代を通貨ごとに確認する必要があります。
イーサリアムは現在もマイニングできますか?
Ethereum Mainnetは2022年9月15日にPoSへ移行したため、現在はPoWマイニングできません。古いEthereumマイニングソフトの案内を、そのまま現在のEthereum Mainnetへ適用しないでください。
XRPはマイニングできますか?
XRP LedgerはPoWを使用しておらず、XRPをマイニングして新規発行分を受け取る仕組みはありません。バリデーターの運用も、ビットコインのマイニング報酬とは異なります。
マイニングとステーキングの違いは何ですか?
マイニングは、主にPoWで計算作業を通じてブロック生成へ参加する仕組みです。ステーキングは、PoSで暗号資産をステークし、プロトコルのルールに従って検証へ参加する仕組みです。必要な資源、報酬条件、損失リスクはネットワークごとに異なります。
まとめ|仕組みと費用を理解してから判断する
仮想通貨のマイニングとは、主にPoWネットワークで有効なブロックを作るための計算を行い、ブロック生成とネットワークの安全性維持へ参加する仕組みです。ビットコインでは報酬として、ブロック補助金と取引手数料を受け取れます。
一方、すべての暗号資産をマイニングできるわけではありません。Ethereum MainnetはPoSへ移行し、XRP LedgerもPoWを使っていません。通貨名と「マイニング」を組み合わせた古い手順を見つけても、現在のネットワークへ適用できるか公式情報で確認してください。
個人が始めるときは、「技術的に動かせるか」ではなく、機器代・電気代・安全対策・相手方リスクを含めて継続できるかで判断することが重要です。設備を持たずに保有中の暗号資産を活用するレンディングを比較対象に含める場合も、安全な代替手段とは決めつけず、マイニングとは異なるレンディングの仕組みとリスクを確認してください。