RWA(リアルワールドアセット)とは?仮想通貨との違い・仕組み・注目プロジェクトをやさしく解説

監修:株式会社J-CAM 金融アドバイザー AFP認定者 倉本 佳光 Yoshimitsu Kuramoto

慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。その後、メリルリンチ日本証券株式会社マネージメント・コミッティーメンバー、岡三アセットマネジメント株式会社理事などを歴任。
執筆:BitLending編集部 更新日:2026年8月24日

倉本 佳光

「RWA」という言葉を見聞きしたものの、仮想通貨(暗号資産)と何が違うのか判然としない、という方は多いのではないでしょうか。RWA(Real World Assets/現実資産)とは、不動産や米国債、コモディティなど現実世界に存在する資産をブロックチェーン上でトークン化する仕組み、またはトークン化された資産そのものを指す言葉です。

この仕組みが社会に広がっていくと、私たちの暮らしにも小さくない変化が及ぶ可能性があります。たとえば、これまでまとまった資金がなければ手が届かなかった一等地の不動産や海外の国債に、数千円・数万円といった少額から関わる機会が生まれつつあります。

平日の日中に窓口へ足を運ばなくても、夜でも休日でも売買できる仕組みが整えば、忙しい会社員や子育て中の方にとって資産形成の選択肢が一つ増えることにもなるでしょう。実際、大手金融機関が国債のトークン化に取り組んでいる背景には、こうした「誰もが少額から、いつでも」参加できる金融の姿を見据えた狙いがあります。

結論からいうと、「RWA」と一口に言っても、暗号資産として扱われるトークンと、有価証券(セキュリティトークン/ST)として扱われるトークンの2種類があり、どちらに該当するかによって規制・税制上の扱いが大きく変わります。この区分を知らないまま関わると、思わぬ落とし穴にはまりかねません。

この記事では、RWAの定義と仕組み、暗号資産型RWAトークンとSTの違い、実際にトークン化されている資産の具体例、注目されるプロジェクトを値踏みする視点、メリットとリスク、市場動向までを整理し、投資を煽ることなく「正しく値踏みする」ための判断材料をお伝えします。仮想通貨そのものの仕組みをまだ整理できていない場合は、先に仮想通貨初心者の始め方の解説を確認しておくと理解がスムーズです。

免責事項(投資助言ではありません)

本記事は、暗号資産に関する情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買・投資行動を推奨するものではありません。暗号資産は価格変動が非常に大きく、短期間で大きな損失が発生する可能性があります。投資判断は必ずご自身の責任で行い、必要に応じて専門家へご相談ください。

利益相反に関する開示:本記事を掲載するBitLendingは、暗号資産レンディングサービスを提供しています。記事内には当社サービスへの導線が含まれる場合がありますが、特定の投資行動や暗号資産の貸出を推奨するものではありません。

RWA(現実資産)を中心に不動産・債券・コモディティなど現物資産が並ぶイメージ

RWA(Real World Assets/現実資産)とは?仕組みをやさしく解説

RWA(Real World Assets)とは、日本語で「現実資産」と訳される言葉で、不動産、債券、美術品、貴金属など、現実世界に存在する物理的・法的な価値を持つ資産全般を指します。仮想通貨の文脈で「RWA」という場合は、こうした現実資産をブロックチェーン上でデジタルトークンとして表現する仕組み、つまりトークン化(tokenization)そのものを指すことが多くなっています。

「RWA」という言葉は、暗号資産として発行されるトークンと、有価証券(セキュリティトークン)として発行されるトークンの両方を含む、幅広い概念として使われている点に注意が必要です。この2つは日本の法律上まったく別の扱いを受けるため、次のセクションで詳しく整理します。

具体的にどのような資産がトークン化されているかは、後述の「何がトークン化されている?」で不動産・コモディティ・米国債などの例とあわせて紹介します。

RWAと仮想通貨(暗号資産)の関係

ビットコインやイーサリアムのような従来の暗号資産には現実資産の裏付けがありませんが、RWAトークンは不動産や米国債といった現実資産の価値によって裏付けられている点が根本的に異なります。ブロックチェーンは、この現実資産の権利や価値を記録・移転するための技術基盤として使われています。

身近な例では、法定通貨(円やドル)を裏付けとするステーブルコインも、広い意味ではRWAの一種と位置づけられます。ステーブルコインの種類や仕組みは、ステーブルコインの解説記事で詳しく紹介しています。

暗号資産型RWAトークンとセキュリティトークン(ST)の違い

「RWAトークンに投資してみたい」と考えたとき、まず押さえておきたいのが、そのトークンが日本の法律上「暗号資産」として扱われるのか、「有価証券」として扱われるのかという区分です。この区分によって、購入できる場所、必要な手続き、税金の計算方法までが変わってきます。

日本の金融商品取引法では、値上がり益や配当のような収益分配を伴うトークンの多くが「電子記録移転有価証券表示権利等」という区分の対象となり、発行には第一種金融商品取引業の登録が必要になります。この区分に該当するトークンは、一般に「セキュリティトークン(ST)」と呼ばれ、暗号資産交換業とは異なる規制の枠組みで扱われます。

区分 暗号資産型RWAトークン セキュリティトークン(ST)
主な法律 資金決済法・金融商品取引法(暗号資産交換業) 金融商品取引法(電子記録移転有価証券表示権利等)
主な発行・取扱主体 暗号資産交換業者、海外の取引所など 第一種金融商品取引業の登録を受けた証券会社など
購入の入口(例) 暗号資産取引所の口座 証券会社の口座
税金の考え方(目安) 暗号資産の譲渡益と同様の扱いになるのが一般的 有価証券の譲渡益として扱われるのが一般的

税金の具体的な計算方法や税率は資産の種類や取引形態によって異なるため、詳しくは仮想通貨の税金の完全解説をご確認ください。

《出典》
セキュリティトークンの実体法上の位置付けおよび関連する法規制|PwC Japanグループ

2026年の金商法等改正とRWAの関係

2026年7月15日、暗号資産取引を資金決済法から金融商品取引法へ移管することなどを柱とする改正法が成立し、同年7月23日に法律第64号として公布されました。この改正はRWAを対象に定めたものではありませんが、暗号資産全般の規制が強化される流れの中で、「これは暗号資産なのか、有価証券なのか」という区分の重要性は今後さらに増していくと考えられます。施行時期は、公布から1年以内を目安に政令で定める見込みですが、本記事執筆時点(2026年8月)で確定発表は確認できていません。

日本と海外の規制の違いをより広く知りたい方は、仮想通貨の法整備最前線の解説もあわせてご確認ください。

《出典》
金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案 審議経過|参議院
金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案の概要|金融庁

💡 用語解説:電子記録移転有価証券(セキュリティトークン/ST)とは? ▼ 開く

■ 電子記録移転有価証券(ST)とは?

金融商品取引法上、ブロックチェーンなどの電子的な記録・移転手段を用いて発行される有価証券(またはそれに準じる権利)のことです。「セキュリティトークン(ST)」という呼び方も広く使われています。

  • 確認点:株式や社債、不動産の受益権などをトークン化したものが該当し、発行には第一種金融商品取引業の登録などが必要です
  • 注意点:暗号資産交換業者が扱う「暗号資産」とは異なる法律・異なる登録が必要なため、同じ「トークン」でも購入できる場所や手続きが変わります

この記事での読み方

法律用語そのものを覚える必要はありませんが、「RWAトークンには、暗号資産として買うものと、証券会社を通じて買うものの2種類がある」という点だけ押さえておけば、この先の内容が理解しやすくなります。

何がトークン化されている?RWAの具体例

RWAという言葉は抽象的に聞こえますが、実際にトークン化が進んでいる資産を見ると具体的にイメージしやすくなります。ここでは代表的な3つの分野を紹介します。

不動産・コモディティのトークン化

不動産は、物件を小口の権利に分割してトークン化することで、まとまった資金がなくても投資しやすくする取り組みが進んでいます。金や原油といったコモディティも、現物の保管・管理を裏付けとしてトークン化することで、より少額から、より簡単に取引できるようにする事例があります。不動産×仮想通貨の具体的な事例は、仮想通貨×不動産の解説記事で詳しく紹介しています。

米国債・MMFなど短期金融商品のトークン化

近年もっとも急速に拡大しているのが、米国債や短期金融商品(MMF)を裏付けとするトークン化ファンドです。Ondo Finance(米国債を裏付けとするトークンを発行)やBlackRockのトークン化ファンド「BUIDL」に続き、2025年12月にはJPモルガン・アセット・マネジメントが、パブリックなEthereumブロックチェーン上で自社初のトークン化MMF「MONY(My OnChain Net Yield Fund)」を立ち上げ、2026年5月には2本目のトークン化ファンドも発表するなど、世界的にシステム上重要な大手銀行(GSIB)による参入が本格化しています。

プロジェクト・主体 裏付け資産 特徴
Ondo Finance 米国債など 米国債を裏付けとするトークンを暗号資産の形で発行する代表的なプロジェクト
BlackRock「BUIDL」 マネー・マーケット・ファンド(MMF) Securitizeを通じてトークン化。一部の暗号資産取引所で証拠金・担保としても採用
JPモルガン「MONY」 米国債・米国債担保レポ取引 公開ブロックチェーン上でのトークン化MMFをGSIBとして初めて提供。機関投資家向けプラットフォーム経由でアクセス

ステーブルコインの利回り運用との違いが気になる方は、ステーブルコインは儲かる?の解説記事もあわせてご確認ください。

《出典》
J.P. Morgan Asset Management Launches Its First Tokenized Money Market Fund|J.P. Morgan Asset Management

日本国内の動き|国債トークン化とProgmatの取り組み

日本国内でも、三菱UFJ信託銀行を中心に設立されたProgmatが、国債のトークン化に向けた取り組みを進めています。2026年4月には「トークン化株式」「トークン化法」に関する中間整理が公表され、同年5月には大手銀行・証券会社による専門コンソーシアムが正式発足し、2026年9月末までに実証実験の検証を完了、10月には税制・法務論点を含む報告書を公表する予定とされています。トークン化された国債とステーブルコインを組み合わせ、約定と同時に決済が完了する仕組みの実現が構想されており、みずほフィナンシャルグループや野村ホールディングスなど他の大手金融機関でも並行して実証実験が進められています。

《出典》
「トークン化株式」及び「トークン化法」に係る「中間整理」の公表について|Progmat, Inc.

💡 用語解説:オンチェーン/オフチェーンとオラクルとは? ▼ 開く

■ オンチェーン・オフチェーン・オラクルとは?

RWAの仕組みを理解するうえで、現実世界(オフチェーン)とブロックチェーン(オンチェーン)をどうつなぐかがポイントになります。

  • オンチェーン:ブロックチェーン上で記録・処理される情報や取引のこと
  • オフチェーン:不動産の登記や銀行口座の残高など、ブロックチェーンの外にある現実世界の情報や取引のこと
  • オラクル:オフチェーンの情報(価格や資産の状態など)をオンチェーンへ届ける仕組み・サービスのこと

この記事での読み方

RWAトークンの価値が現実資産の価値と正しく連動しているかどうかは、最終的にはオフチェーンの情報を正確にオンチェーンへ届けるオラクルの信頼性にかかっています。次のセクションで紹介する「値踏みの軸」でも、この点がポイントの一つになります。

注目されるRWA関連プロジェクト・トークンの見方

「RWA銘柄のランキングを知りたい」という検索も多く見られますが、本記事では特定の銘柄への投資を推奨する順位付けは行いません。価格や時価総額による序列は変動が激しく、記事公開後すぐに実態と合わなくなるためです。代わりに、プロジェクトを役割ごとに分類し、値踏みする際に確認したい軸を紹介します。

役割分類 代表例 値踏みの際に確認したい点
トークン化ファンドそのもの Ondo Finance、BlackRock「BUIDL」、JPモルガン「MONY」 裏付け資産の種類と開示状況、運用主体の実在性・登録状況
インフラ・オラクル提供 Chainlink など 価格情報や資産状態をどれだけ正確・迅速にオンチェーンへ反映できるか
DeFiプロトコルとの接続 MakerDAO/Sky Protocol など RWA由来の利回りをどう担保・分配の仕組みに組み込んでいるか
日本発の基盤整備 Progmat(三菱UFJ信託銀行ほか) 国内の規制・実務にどこまで対応した設計になっているか

銘柄そのものの選び方の基本的な軸は、仮想通貨の種類一覧と選び方の解説もあわせて参考にしてください。

怪しい勧誘・詐欺的な案件との見分け方

「トークン化で高利回りを保証する」といった勧誘の中には、裏付け資産の実態や運用体制が不透明なまま資金を集めるものも存在します。値踏みの際は、次のような点を確認する姿勢が有効です。

  • 裏付け資産の種類・保管方法・監査状況が具体的に開示されているか
  • 運営会社・発行体の実在性、金融当局への登録状況を確認できるか
  • 「元本保証」「必ず値上がりする」など、根拠のない断定的な文言を使っていないか
  • 極端に高い利回りだけを前面に押し出していないか

詐欺的な勧誘の具体的な手口や見分け方は、仮想通貨投資詐欺に騙されないためのポイントの解説で詳しく取り上げています。

流動性・透明性・グローバルなアクセスを表現したイラスト

RWAトークン化のメリット

RWAトークン化の最大のメリットは、不動産や未公開資産のように従来は取引しにくかった資産を、小口化・分割して流通させやすくする「流動性の向上」にあります。まとまった資金がなくても、少額から資産の一部に関わる機会が広がります。

ブロックチェーン上の記録は改ざんが極めて困難なため、資産の保有状況や取引履歴の透明性が高まる点もメリットの一つです。また、地理的な制約が小さくなることで、従来は特定の国・地域の投資家しかアクセスできなかった資産に、より広い範囲から関われる可能性が広がります。

オンチェーン利回り商品とレンディングの違い

トークン化された米国債やMMFは、現実資産の運用収益をオンチェーンで分配する仕組みである一方、仮想通貨(暗号資産)レンディングは、保有する暗号資産を貸し出すことで利息を得る仕組みであり、利回りの原資も裏付け資産もまったく異なります。どちらも「保有しているだけでは生まれない収益を得る」という点は共通していますが、リスクの所在や規制上の位置づけは別物として理解しておく必要があります。運用手段の一つとして仮想通貨レンディングの仕組み自体を詳しく知りたい方は、仮想通貨レンディング完全ガイドをご覧ください。

RWAトークン化の課題とリスク

RWAが抱える最大の課題は、多くの国や地域でまだ法的な枠組みが明確に整っていないことです。どの法律が適用され、どの当局が監督するのかがプロジェクトによって曖昧なケースもあり、トラブル時の救済手段がはっきりしない可能性があります。

市場の受け入れという観点では、RWAという概念自体への理解がまだ十分に広がっておらず、投資家教育や実績の積み重ねによって信頼性を高めていく途上にあります。技術面では、大量の取引を処理するスケーラビリティの確保や、プライバシー保護のための技術(レイヤー2ソリューション、シャーディング、ゼロ知識証明など)の発展が引き続き課題となっています。

詐欺・スマートコントラクトリスクと規制の過渡期リスク

トークン化の裏側で使われるスマートコントラクトにバグや脆弱性があれば、資産の移転や償還に支障が生じるおそれがあります。DeFi(分散型金融)プロトコルと組み合わされたRWA商品では、こうした技術的なリスクがDeFi特有のリスクと重なる場合もあります。DeFiの仕組みやリスクは、DeFiとは?の解説記事で詳しく紹介しています。

加えて、法整備が発展途上にある現在は、規制の変更によってサービスの提供条件や取扱いが変わる可能性がある「過渡期特有のリスク」があることも踏まえておきましょう。

よくある質問

質問 回答
RWAと銀行はどのように関係していますか? JPモルガン・アセット・マネジメントやBlackRockなど海外の大手金融機関が、米国債などを裏付けとするトークン化ファンドの提供を始めています。日本でも、三菱UFJ信託銀行が中心となるProgmatが、国債のトークン化に向けた実証実験を進めています。
個人投資家はRWAにどうやって関わればよいですか? 大きく分けて、暗号資産として扱われるRWAトークンを取引所で購入する方法と、証券会社を通じてセキュリティトークン(ST)を購入する方法の2つのルートがあります。どちらも国内での取扱い状況やご自身の理解度に応じて慎重に判断してください。
RWAは仮想通貨(暗号資産)と何が違うのですか? ビットコインなど従来の暗号資産には現実資産の裏付けがありませんが、RWAトークンは不動産や米国債など現実資産の価値に裏付けられている点が異なります。また同じRWAトークンでも、暗号資産として扱われるものと、有価証券(ST)として扱われるものがあります。
RWAは危険な投資なのですか? RWAという仕組み自体が危険というわけではありませんが、法整備が発展途上にあることや、裏付け資産の開示が不十分なプロジェクトも存在することには注意が必要です。発行体の実在性や規制上の位置づけを確認する姿勢が重要です。
パソコンでデータをまとめる人のイラスト

まとめ|RWAとどう向き合うか

RWAは、不動産や米国債などの現実資産をブロックチェーン上でトークン化する仕組みであり、大手金融機関の参入や市場規模の拡大が続く一方、法整備は発展途上にあります。関わる際は、値上がりへの期待だけで判断するのではなく、裏付け資産の透明性、暗号資産なのか有価証券(ST)なのかという規制上の区分、発行体の信頼性、流動性という4つの観点を判断材料として整理することをおすすめします。

RWAトークン化ファンドの利回りは魅力的に見えることがありますが、現物の暗号資産を保有したまま収益機会を得る方法としては、仮想通貨レンディングという選択肢もあります。それぞれの仕組みとリスクを理解したうえで、ご自身に合った関わり方を選んでいきましょう。詳しくは仮想通貨レンディング完全ガイドもあわせてご覧ください。