株と仮想通貨はどっちが儲かる?10項目の違いと向いている人を比較
監修:株式会社J-CAM 金融アドバイザー AFP認定者 倉本 佳光 Yoshimitsu Kuramoto
慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。その後、メリルリンチ日本証券株式会社マネージメント・コミッティーメンバー、岡三アセットマネジメント株式会社理事などを歴任。
執筆:BitLending編集部 更新日:2026年8月12日
「株と仮想通貨はどっちが儲かるのか」と迷ったときは、過去の値上がり幅だけで決めないことが大切です。株式と仮想通貨(暗号資産)は、利益が生まれる仕組み、価格変動、税金、保有によって得られる権利が異なります。
長期の資産形成やNISAの活用を重視するなら、まず株式や株式に投資する投資信託を比較し、大きな価格変動を受け入れられる場合に限って暗号資産を余剰資金の一部で検討するのが、判断を整理しやすい順序です。
ただし、株式でも個別銘柄へ集中すれば大きく値下がりすることがあり、暗号資産でもビットコインと小規模な銘柄ではリスクが異なります。本記事では、どちらかを一律に推奨せず、利益の大きさ、損失への耐性、税引後の手取り、投資期間という同じ基準で違いを比較します。
免責事項(投資助言ではありません)
本記事は、株式・暗号資産に関する情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買・投資行動を推奨するものではありません。暗号資産は価格変動が非常に大きく、短期間で大きな損失が発生する可能性があります。投資判断は必ずご自身の責任で行い、必要に応じて専門家へご相談ください。
利益相反に関する開示:本記事を掲載するBitLendingは、暗号資産レンディングサービスを提供しています。記事内には当社サービスへの導線が含まれる場合がありますが、特定の投資行動や暗号資産の貸出を推奨するものではありません。
株と仮想通貨はどっちが儲かる?先に結論
どちらが儲かるかは、比較する期間と、どこまでの損失を受け入れられるかで変わります。短期間の大幅な値上がりだけに注目すれば暗号資産が目立つ局面がありますが、反対に短期間で大きく下落することもあります。
一方、株式は企業の利益成長に伴う値上がり益に加え、銘柄によっては配当を受け取れます。NISAの対象商品なら、制度の範囲内で売却益や配当・分配金を非課税にできる点も、税引後の利益を考えるうえで重要です。暗号資産については分離課税の導入が決まりましたが、施行前の現時点では従来の課税方法が続いています。
次の表は、どちらを先に検討しやすいかを目的別に整理したものです。これは利益を保証する判定ではなく、比較を始める順序の目安です。
| 重視すること | 先に比較しやすい選択肢 | 理由 |
|---|---|---|
| 長期の資産形成 | 分散された株式商品 | 企業利益を収益の基礎にでき、NISA対象商品もある |
| 配当や分配金 | 株式・株式投資信託 | 暗号資産の保有自体には株主配当と同じ権利がない |
| 大きな値上がり余地 | 暗号資産も候補 | 値動きが大きい一方、同程度以上の下落も想定する必要がある |
| 少額での経験 | どちらも候補 | 単元未満株や投資信託、暗号資産はいずれも少額購入の選択肢がある |
| 元本割れを避ける | どちらも適さない | 株式も暗号資産も元本保証ではない |
なお、「株式」といっても1社の個別株と、多数の企業へ分散する株式投資信託では値動きが異なります。「仮想通貨」も、ビットコインと流動性の低い小規模銘柄をひとまとめにできません。商品の違いを無視して、株式対暗号資産という名前だけで勝敗を決めないようにしましょう。
株式と仮想通貨(暗号資産)の違いを10項目で比較
株式は、株式会社が資金調達のために発行する有価証券です。株主は保有する株式に応じた権利を持ち、企業が配当を決定した場合には配当金を受け取れます。ただし、配当の有無や金額は保証されません。
暗号資産は、インターネット上で移転できる財産的価値です。ビットコインなど多くの暗号資産は企業の持分ではないため、保有しても株主としての議決権や配当請求権は得られません。
| 比較項目 | 株式 | 仮想通貨(暗号資産) |
|---|---|---|
| 保有するもの | 企業に対する持分 | ネットワーク上で移転できる財産的価値 |
| 主な利益 | 値上がり益、配当、株主優待など | 値上がり益、銘柄や利用方法に応じた報酬 |
| 主な評価材料 | 業績、財務、事業環境、金利など | 需給、利用状況、技術、規制、投資家心理など |
| 価格変動 | 銘柄により異なる | 一般に大きく、銘柄差も大きい |
| 取引時間 | 取引所の立会時間内が基本 | 原則24時間365日 |
| 取引単位 | 東証の内国株は100株単位。単元未満株などの例外あり | 事業者の最低注文数量・金額による |
| NISA | 一定の上場株式・投資信託等が対象 | 暗号資産そのものは対象外 |
| 個人の課税 | 上場株式等の譲渡益は原則申告分離課税 | 現行は原則雑所得・総合課税。一定の暗号資産取引は改正法施行年の翌年1月から分離課税へ移行予定 |
| 主な管理先 | 証券会社の口座など | 交換業者の口座、自己管理ウォレットなど |
| 共通の注意点 | 元本は保証されず、価格下落によって損失が生じる | |
ビットコインの仕組みと価値の考え方を先に確認すると、企業の持分である株式との違いを整理しやすくなります。
取引時間と最低投資金額
東京証券取引所の現物市場は、午前9時から11時30分、午後0時30分から3時30分が立会時間です。国内の暗号資産取引サービスは原則24時間365日利用できますが、事業者のメンテナンスや障害、入出金停止などにより取引できない場合があります。
24時間取引できることは利便性である一方、夜間や休日も価格が動く負担でもあります。取引時間が長いから利益を得やすいとは限りません。
東証の内国株は100株単位が基本ですが、証券会社によっては単元未満株や少額から購入できる投資信託を扱っています。暗号資産も事業者によって最低注文数量、最低注文金額、手数料や売買価格の差であるスプレッドが異なります。そのため、「株式には数十万円が必要、暗号資産なら数百円でよい」と一律には比較できません。
配当とステーキング・レンディングは同じではない
株式の配当は、企業が利益や財務状況などを踏まえて決定し、株主へ支払うものです。配当を実施しない企業や、減配・無配になる企業もあります。
暗号資産の保有自体に、株式と同じ配当権はありません。一部の暗号資産では、ネットワークの維持に参加して報酬を得るステーキングがあります。また、保有する暗号資産を事業者などへ貸し出し、対価を受け取るレンディングもあります。
ステーキングはネットワーク参加、レンディングは貸借契約が報酬の基礎であり、配当とは収益源もリスクも異なります。報酬率だけを横並びにせず、価格下落、ロック期間、委託先や事業者のリスクを確認してください。
儲かりやすさは「利益の大きさ」だけでは比較できない
投資結果を比べるときは、値上がり率だけでなく、同じ期間にどこまで値下がりしたか、税金や手数料を差し引くといくら残るか、途中の下落に耐えて保有を続けられたかを確認する必要があります。
高いリターンを期待できることと、安定して利益を得やすいことは別です。価格変動が大きい資産は上昇時の利益が大きく見える反面、購入直後の急落や長期低迷によって元本の大部分を失うこともあります。
また、特定の上昇期間だけを切り取ると、購入時期によって結論が大きく変わります。過去の最高値からの上昇率や、特定の1年間の実績だけで、今後も同じ利益を得られるとは判断できません。
ビットコインに絞った相場要因は、ビットコイン価格を動かす要因と今後のリスクで確認できます。
株式は企業価値、暗号資産は需給や利用価値などを確認する
株式では、売上高、利益、資産・負債、競争力、配当方針など、企業が公表する情報を判断材料にできます。ただし、業績がよい企業でも、購入時の株価が割高であれば値下がりすることがあります。
暗号資産では、発行・供給の仕組み、ネットワークの利用状況、開発状況、流動性、保有の集中、規制やセキュリティなどを確認します。株式のPERや配当利回りと同じ尺度を、そのまま当てはめることはできません。
「価格が安い」「1枚数円だから上がりやすい」という理由だけでは、割安かどうかを判断できません。1単位の価格だけでなく、発行数量や時価総額、売買の厚みまで確認する必要があります。
分散された株式商品と個別株を分けて考える
「株式は暗号資産より安全」と一括りにするのも正確ではありません。1社の個別株へ資金を集中すれば、業績悪化、不祥事、上場廃止などの影響を強く受けます。複数の国・地域・業種へ分散する株式投資信託とはリスクが異なります。
同様に、暗号資産でもビットコインと、取引量が少なく発行主体や用途の確認が難しい銘柄では損失リスクが異なります。比較するときは「商品名」だけでなく、何へどの程度分散されているかを見ましょう。
税金とNISAで手取りはどう変わる?
同じ金額の利益が出ても、株式と暗号資産では現時点の課税方法が異なります。上場株式等の譲渡益は、原則として所得税等15.315%と住民税5%を合わせた20.315%の申告分離課税です。NISA口座で対象商品を購入した場合は、制度の範囲内で売却益や配当・分配金が非課税になります。
暗号資産については、2026年7月15日に成立した改正金融商品取引法等を前提として、一定の暗号資産取引を分離課税へ移すことが決まりました。対象は、暗号資産取引業者が取り扱い、登録簿に登録される「特定暗号資産」について、暗号資産取引業者に対して行う譲渡等です。税率は所得税15%・個人住民税5%の合計20%とされ、対象取引の損失は一定の要件で翌年以後3年間の繰越控除が可能になります。復興特別所得税を含む実際の負担と手続は、施行時の法令・案内を確認する必要があります。
ただし、改正金商法の施行日はまだ決まっておらず、分離課税の適用開始は「施行日の属する年の翌年1月1日以後」です。それまでは、個人の暗号資産利益は、事業所得等の原因となる行為に付随する場合などを除き、原則として雑所得・総合課税となります。成立済みの将来制度と、現在の取引に適用される制度を混同しないでください。
また、暗号資産そのものはNISAの対象ではありません。税引前の値上がり率だけでなく、取引時点で適用される課税方式と申告・記録の負担を含めて手取りを比較してください。
| 項目 | 上場株式等 | 暗号資産(個人) |
|---|---|---|
| 所得区分 | 譲渡所得等 | 現行は原則雑所得。適用開始後の特定暗号資産の対象取引は譲渡所得等 |
| 課税方式 | 申告分離課税 | 現行は原則総合課税。対象取引は将来、申告分離課税へ移行 |
| 税率 | 原則20.315% | 現行は他の所得と合算。対象取引は適用開始後20%(所得税15%・住民税5%。復興特別所得税を除く) |
| NISA | 対象商品で利用可能 | 暗号資産そのものは対象外 |
| 損失 | 一定の要件で上場株式等の配当等との損益通算・繰越控除が可能 | 現行は給与所得などと損益通算できず原則繰越不可。適用開始後の対象損失は一定の要件で3年間繰越可能 |
新しい分離課税はすべての暗号資産・すべての取引へ一律に適用されるわけではありません。対象外となる暗号資産の譲渡、暗号資産同士の交換、商品・サービスへの使用、ステーキングやレンディング報酬などは、施行時の対象範囲と所得区分を個別に確認する必要があります。
詳しい課税タイミングと計算方法は、税理士監修の暗号資産の税率・損益計算・確定申告で確認してください。
《出典》
株式・配当・利子と税|国税庁
令和8年度税制改正の大綱(暗号資産課税の見直し)|財務省
暗号資産等に関する税務上の取扱い及び計算書について|国税庁
NISAは「株式ならすべて非課税」という制度ではない
NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠を併用できます。ただし、対象となる商品や年間投資枠、非課税保有限度額には条件があります。通常の課税口座で購入した株式が自動的に非課税になるわけでもありません。
NISA口座で生じた損失は税務上ないものとされ、課税口座の利益との損益通算や繰越控除はできません。非課税という利点だけでなく、制度の対象商品と損失時の扱いも確認しましょう。
株式が向いている人・仮想通貨が向いている人
向き不向きは、年齢や職業だけでは決まりません。投資目的、使う予定のない期間、価格が下がったときに受け入れられる金額、税務や保管を管理できるかで考えます。
「どちらが上がりそうか」より先に、「どのような損失なら生活を変えずに受け入れられるか」を決めると、自分との相性を判断しやすくなります。
株式を先に比較しやすい人
- 長期の資産形成を目的としている
- NISAの活用を検討している
- 企業業績や財務情報を基に判断したい
- 配当や分配金を含めて考えたい
- 投資信託などを使って幅広く分散したい
ただし、個別株への集中投資や信用取引では損失が大きくなることがあります。「株式だから低リスク」とは限りません。
暗号資産を一部検討できる人
- 短期的な大幅下落を受け入れられる
- 生活資金と投資資金を明確に分けられる
- 暗号資産ごとの仕組みとリスクを確認できる
- 取引履歴や取得価額を記録できる
- 交換業者やウォレットの安全管理を自分で行える
暗号資産を検討できることと、資産の大部分を暗号資産に配分してよいことは別です。値動きが大きい資産ほど、金額を抑える考え方が重要になります。
どちらも急いで始めないほうがよい人
- 生活費、教育費、納税資金など近く使うお金を投じようとしている
- 借入金やクレジットで投資しようとしている
- 短期間で必ず利益を得たい
- 損失が出ると眠れない、仕事に集中できない
- SNS上の人物から特定の銘柄や業者を勧められている
投資は、今すぐ始めなければならないものではありません。商品の仕組みや損失条件を説明できない段階では、購入を見送ることも判断の一つです。
株式と仮想通貨の両方に投資する場合の考え方
株式か暗号資産の一方だけを選ぶ必要はありません。ただし、「両方を持てば必ず分散になる」とも限りません。市場が不安定な局面では、株式と暗号資産が同時に下落することもあります。
先に資産ごとの役割と損失上限を決め、値上がり後の勢いで配分を増やさないことが重要です。たとえば、長期の資産形成を担う部分と、大きな値動きを許容する部分を分けて管理します。
具体的な配分比率に万人共通の正解はありません。収入の安定性、保有期間、金融資産全体、家族構成などによって適切な範囲は変わります。
少額購入と積立でも価格下落は避けられない
少額で始めれば、損失額を限定しながら値動きや取引記録を経験できます。しかし、購入単価が小さいこと自体は、投資先の価格変動を小さくしません。
積立は購入時期を分散する方法であり、利益を保証する仕組みではありません。投資先の価格が長く下落すれば、積立を続けても評価損が生じます。
購入金額や一括購入との違いは、ビットコインを少額で始める場合の購入金額と注意点で詳しく確認できます。
暗号資産を保有しながら報酬を得る場合
暗号資産には、保有後にステーキングやレンディングを利用する方法があります。ただし、表示される報酬率は価格下落を防ぐものではありません。暗号資産の数量が増えても、円換算価格がそれ以上に下落すれば、資産額は減ります。
ステーキング報酬の仕組みとリスクでは、ネットワーク参加による報酬を解説しています。
貸し出しによる報酬を検討する場合は、暗号資産レンディングの仕組みと元本リスクを確認してください。レンディングでは、価格変動に加えて、貸出先・事業者の信用、返還条件、資産を動かせない期間なども判断材料になります。
初心者が始める前に確認する5項目
株式と暗号資産のどちらを選ぶ場合も、利益の予想より先に損失時の対応を決めておきます。特に暗号資産では、価格変動だけでなく、利用する事業者、送付先、パスワードや秘密鍵の管理にも注意が必要です。
- 余剰資金か:生活費や近く使う予定のある資金を除外する
- 最大損失を受け入れられるか:割合ではなく円額でも確認する
- 現物取引か:初心者は損失が拡大し得るレバレッジ取引を同列に扱わない
- 記録を残せるか:購入日、数量、取得価額、手数料、売却・交換履歴を保存する
- 登録と相手を確認したか:暗号資産では金融庁・財務局の登録業者一覧と公式URLを確認する
金融庁への登録は、値上がりや事業者の信用性を保証するものではありません。登録業者が扱う暗号資産でも価格下落やサービス上のリスクは残ります。
また、「必ず値上がりする」「元本保証で高配当」「出金には追加送金が必要」などと説明された場合は、その場で送金しないでください。SNSやマッチングアプリで知り合った相手から投資を勧められた場合も、相手が示すリンクや登録番号をうのみにせず、公的な一覧から確認します。
口座開設、購入方法、保管までの全体像は、暗号資産を始める前の口座・購入・保管の確認事項で確認できます。
まとめ|どちらがよいかは目的・期間・損失許容度で決める
株と仮想通貨のどちらが儲かるかは、特定の期間の値上がり率だけでは決められません。株式には企業の持分としての権利やNISAを利用できる商品がある一方、企業や商品によっては大きく値下がりします。暗号資産には大幅な値上がりを見せる局面がある一方、急落、税務、保管、事業者などのリスクがあります。
長期の資産形成、税制、分散を重視するなら株式側を先に比較し、暗号資産は大きな損失を受け入れられる余剰資金の範囲で検討すると、目的とリスクを整理しやすくなります。
少額で購入できることは、資産自体が安全であることを意味しません。仕組み、損失条件、税引後の手取りを説明できない場合は、急いで購入せず、判断材料を確認するところから始めましょう。