トランプ大統領の就任と新たな方針の発表

1月20日(月)米国トランプ新大統領の就任式が行われました。トランプ大統領は早速多くの大統領令を発布し、新大統領のパワーを誇示し、バイデン政権の進めてきた政策の大転換を強く打ち出しています。

主な大統領令の内容

バイデン政権の政策からの転換

  • バイデン前政権の78の大統領令の撤回
  • 国務長官主導の「アメリカ第一主義」
  • 気候変動対策の国際的枠組みである「パリ協定」からの離脱
  • グリーン・ニューディール政策の終了とEVの義務化の撤廃

国内エネルギー政策の変更

  • 国家エネルギー緊急事態の宣言
  • アラスカ資源開発規制の撤廃

外交政策の見直し

  • WHOからの脱退
  • アメリカの対外援助の見直し

移民・国籍に関する政策の変更

  • 移民の受け入れプログラムの見直し
  • 国籍の出生地主義の見直し
  • 国境管理の厳格化

安全保障と防衛に関する政策

  • アメリカ国民を侵略から守る
  • アメリカの領土を守る軍の役割明確化
  • 外国のテロリストや安全保障上の脅威からアメリカを守る
  • 麻薬カルテルを外国テロ組織に指定

社会政策と文化的変更

  • 政府が認める性別は男性と女性の2つの性のみ
  • 「多様性」や「公平性」などの政府の行き過ぎたDEIプログラムを廃止

その他の政策変更

  • 「政府効率化省」の設置
  • 言論の自由の回復と政府による検閲の廃止
  • 「TikTok禁止法」の75日間の執行を猶予
  • 「メキシコ湾」を「アメリカ湾」に、北アメリカ最高峰の山「デナリ」を「マッキンリー」に名称変更
アメリカファースト政策

トランプ大統領がサインした新たな文書

「アメリカ第一主義」による貿易政策

トランプ大統領は「アメリカ第一主義」に基づいた貿易政策を打ち出し、国際的な貿易慣行の見直しに着手しました。

南部国境の非常事態宣言

アメリカ南部の国境における非常事態が宣言され、移民政策のさらなる強化が進められることが明らかになりました。

風力発電プロジェクトのリース停止

トランプ大統領は風力発電プロジェクトに対する新規リースを停止する方針を打ち出しました。

かねてより標榜していた多くの政策が正式に打ち出され、トランプ大統領を支持する人々はスピードあふれる展開に今後への期待感をさらに膨らませています。

株式市場の反応

その代表例が株式市場と言えるでしょう。1月20日の株式市場は休場となり、取引が再開された21日のNY株式市場は、この日にホワイトハウスで発表されたAIインフラに対する4年間で5,000億ドル(約77兆7,000億円)という巨額の投資計画に反応しました。

NYダウ平均が+537ドル、S&P500が+52、NASDAQが+136と大幅高となり、翌22日もその勢いは続き、続伸しています。

米国経済界では新政権の打ち出す政策により「親ビジネス的環境が整う」と歓迎されており、そうしたムードが株式市場の楽観を後押ししていると考えられます。

ただ、既にS&P500の予想PERは約25倍という割高な水準に達しています。現在の米国10年国債利回りは4.6%台であり、投資先として十分魅力的な水準となっています。

米国10年国債利回りの上昇は、経済の堅調さだけでなく、新政権の政策の不透明感からの影響もあります。また、減税政策の方針により財政赤字の縮小は難しく、国債の増発が債券利回りを押し上げる圧力になると見られています。

もし米国10年国債利回りが5%台へ上昇するならば、多くの投資家資金が株式から債券へシフトする可能性が高く、今後の米国財政状況の注視が必要です。

JPモルガン・チェースCEOのコメント

JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOは、現在の株式市場について次のようにコメントしています。

「米国株式市場に過熱の兆しがある。資産価値はややインフレと思う。この価値を正当化するには、かなりの良い結果が必要になる。われわれ全員がそれを望み成長を促す戦略が、その実現を後押しすると思うが、マイナス要因もあり、それが予想外の結果をもたらす可能性もある。」

ダイモンCEOは新政権に対して好意的な姿勢を示しながらも、株式市場の動向については慎重なコメントを発しています。特に過熱感のある市場における不透明な要因に注目しており、今後の市場動向が注目されます。