働きながらもらえない年金!? 在職老齢年金制度の見直しが注目を集める
2024.11.22
経済アナリストの森永卓郎氏(67)が20日、ニッポン放送「垣花正 あなたとハッピー!」に出演され、在職老齢年金制度について私見を話されました。
在職老齢年金制度とは
厚生労働省は、高齢者の手取りを増やすと同時に、働き控えを是正して人手不足対策につなげ、人手不足を補うため、老齢厚生年金の月額と月給が合計50万円を超えると、年金が減額される「在職老齢年金制度」を見直し、減額する対象者を縮小する調整に入ったとのニュースが流れました。
出典:ニッポン放送『垣花正 あなたとハッピー!』
森永卓郎氏の指摘
この件について森永氏は「私が言いたいのは、ずっと年金保険料を払い続けてきて。どうなってるかっていうと、月収プラス厚生年金の月額の合計が50万円を超えると、超える分の半額がカットされるわけですよ。つまり、いっぱい稼ぐと年金がズルズル減っていくっていう構造になっている」と指摘されました。
22歳から45年間厚生年金を払い続けている森永氏は、65歳になったタイミングで年金受給の申請をしたそうですが、「1円ももらえてないんです。それが在職老齢年金制度の影響っていうか、結果なんですけれども…」とぼやかれました。
さらに「私が言いたいのは、年金というのは税金と違って“あなたのために払ってるんですよ、だから将来あなたに返ってくるんです”って厚生労働省はずっと言い続けてるんです。それを信じてずっと年金を払ってきたのに、1円も払わねえってのは何なのか?」と苦言を呈しました。
「確かに、“お前金持ちだからちょっと我慢しろ”はそれなりの正義はあるので…しょうがないかなとは思うんですけど。1円も払わないっていうのは筋が通らねえだろと。私が言いたいのは筋を通せってこと」と主張し、「金よこせっていうんじゃなくって、毎月うまい棒10本でもいいんですよ」とも話されていました。
制度見直しの背景
在職老齢年金制度は賃金と厚生年金の合計額が月50万円を超えると、厚生年金が減額または支給ゼロになる仕組みです。基準額が47万円だった2022年度の対象者は65歳以上で50万人に上り、働く年金受給権者の16%になります。
高齢者の働く意欲がそがれ、減額基準に該当しないように労働時間を抑える制度だとの指摘もあります。少子高齢化の加速もあって人手不足は深刻です。60代後半の就業率は13年の38.7%から23年には52.0%まで上昇しています。労働市場における高齢者の存在感は高まっており、今回の年金改正では「在職老齢年金の見直し」が焦点の一つとなっています。
厚生労働省の提案
厚生労働省は減額が始まる基準額について、現行の50万円から62万円や71万円に引き上げる案を検討しています。減額を完全に廃止する案も年金部会に提示するようですが、今回の制度改正では見送られる公算が高いと思われます。
見直しによる影響
この制度を見直すと働く高齢者の年金給付が増えるものの、将来世代の給付水準が低下するとの課題も出てきます。この制度を廃止すると年4500億円が必要になると言われています。そのため給付減額の縮小を進める一方、年金財政を安定させる方策として厚生労働省は高所得の会社員が払う厚生年金保険料の上限を上げる案を検討しています。
若い世代や企業への影響
現在、在職老齢年金制度に該当している方ばかりでなく、これから年齢を重ねる若い方々、そして人材として高齢者を採用する企業側からも注目される年金制度の検討事項です。
今回の検討結果そして今後の方向性が注目されています。