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倉本の国際経済の見どころ|国際経済の重要な出来事や抑えておくべきポイントを取り上げてわかりやすく解説

倉本の国際経済の見どころ   

株式会社J-CAM金融コンサルタントの倉本佳光が40年以上金融業に従事してきた経験を元に国際経済の重要な出来事や抑えておくべきポイントを取り上げてわかりやすく解説するコラムです。刻々と変化する相場のモメンタムをキャッチアップしていきます。

日銀政策 金融正常化の機運高まる

日銀政策 金融正常化の機運高まる

米国では3月5日にISM非製造業景気指数(2月)の発表があり、52.6%と前月の53.4%から鈍化しました。内訳を見ると新規受注は前月の55.0%から上昇し56.1%となりましたが、雇用が50.5%から48.0%と大きく悪化し50%を下回りました。ISM発表担当者から「調査回答者の大半は景況感についてほぼ肯定的だが、インフレ、雇用、地政学的リスクを懸念している」とコメントがあったものの、雇用の悪化が注目される発表となっています。

さらに同日発表された1月の製造業受注は前月比-3.6%と2020年4月以来の最大の下落となり、また1月の耐久財受注改定値も前月比-6.2%と速報値の-6.1%から下方修正され、合わせて景気後退を印象づける内容となっています。

これらの発表から米国債券市場では国債利回りが低下したものの、米国株式市場ではアップル、テスラなどの懸念材料の発表や上下院でのパウエルFRB議長による議会証言を懸念した利益確定売りもあり、NYダウ平均-404ドル、S&P500-52、NASDAQ-267と大幅な下落となりました。

米国では今月19-20日にFOMC(連邦公開市場委員会)が予定され、政策金利の引き下げに対する思惑が交錯する目まぐるしい動きとなっています。

日本銀行金融政策決定会合 

一方、国内でも18-19日に日本銀行金融政策決定会合が予定されており、ここに来て日銀および市場関係者からの発言が熱を帯びてきています。

昨年、日本銀行は植田和男総裁が就任してから徐々に長短金利操作においてイールド・カーブ・コントロール(YCC)の運用を徐々に柔軟化し、マイナス金利政策の解除に向けた体制を整えてきていると考えられます。

2024年に入り、1月23日の記者会見において植田総裁はマイナス金利政策の解除に関して「物価目標の達成が見通せる状況になれば検討する」と述べ、「金融政策の不連続性は回避できる」と発言しました。また金融政策決定会合に関して「日銀の展望レポート発表のない回でも政策変更はあり得る」としました。

さらに2月8日内田真一日銀副総裁が「2%の物価目標が実現する確度は少しずつ高まっている。仮にマイナス金利政策を解除しても緩和的な金融政策は維持していく。」と植田総裁の発言をフォローする形で講演を行いました。

こうした日銀の総裁、副総裁の発言により今後の金融政策決定会合に向けて関係者の発言が相次いでいます。

2月28日、吉川洋東京大学名誉教授(日銀参与)は「国内の消費者物価上昇率が2年間も2%を上回るインフレ状態にある中で金融政策を正常化すべき時」と発言し、さらに「今後の景気悪化に備える必要性もある」と述べています。

翌29日に高田創日銀審議委員は「2%の物価目標実現が見通せる状況になってきた。出口対応に向けた検討が必要」とし、「原材料価格高騰の財価格への転嫁、賃上げコスト上昇分のサービス価格への転嫁、予想物価上昇率の底上げという3つの段階を経て、賃金や物価の上がらないと考える規範がようやく転換する変曲点と迎えている。」発言しています。

3月1日には門間一夫元日銀理事が「最も包括的な判断が出来る時期として、マイナス金利解除は4月しかない」とコメントしました。これは4月に日銀短観、経済物価情勢展望リポート、金融システムリポートの発表があり、日銀支店長会議も開催される点を上げています。

一方、MUFG(三菱UFJフィナンシャル・グループ)の関浩之市場本部長は、市場関係者として3月の金融政策決定会合でのマイナス金利解除を予想すると述べています。

マイナス金利政策解除の時期がいつになるのかはわかりませんが、マイナス金利政策の解除は時間の問題と思われます。

 日本銀行の金融政策決定会合は今月18日-19日に開催されます。長期にわたり続けてきた大規模金融緩和政策と世界で唯一行われているマイナス金利政策の政策変更は、今後の日本経済を大きく左右するものだけに世界からの注目を集めています。