監修:株式会社J-CAM 金融アドバイザー AFP認定者 倉本 佳光 Yoshimitsu Kuramoto
慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。その後、メリルリンチ日本証券株式会社マネージメント・コミッティーメンバー、岡三アセットマネジメント株式会社理事などを歴任。
執筆:BitLending編集部 更新日:2026年8月25日
トンコイン(Toncoin)は、The Open Network(TON)で使われてきた仮想通貨です。2026年6月15日、コミュニティ投票を経て、通貨名はToncoinから「Gram」、ティッカーはTONから「GRAM」へ変更されました。ブロックチェーン名は引き続きTONです。
名称変更によって新しい通貨へ交換されたわけではありません。残高やアドレス、スマートコントラクトはそのまま引き継がれています。一方、国内取引所や過去の資料では「トンコイン」「Toncoin」「TON」という旧表記が残る場合があります。
本記事では、検索時に広く使われている「トンコイン」「TON」という名称も併記しながら、現在の正式名称であるGramの特徴、Telegramとの関係、すごいところや使い道、将来性を判断する材料、購入前に確認したいリスクを解説します。
《出典》
Gram・TONの名称とロゴ|TON
Overview of TON whitepapers|TON Documentation
免責事項(投資助言ではありません)
本記事は、暗号資産に関する情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買・投資行動を推奨するものではありません。暗号資産は価格変動が非常に大きく、短期間で大きな損失が発生する可能性があります。投資判断は必ずご自身の責任で行い、必要に応じて専門家へご相談ください。
利益相反に関する開示:本記事を掲載するBitLendingは、暗号資産レンディングサービスを提供しています。記事内には当社サービスへの導線が含まれる場合がありますが、特定の投資行動や暗号資産の貸出を推奨するものではありません。
TON(トンコイン)とは?現在の名称はGram
TONは「The Open Network」の略称で、スマートコントラクトや分散型アプリケーションを動かせるレイヤー1ブロックチェーンです。そのネットワーク手数料やステーキングなどに使われるネイティブ通貨が、現在のGram(GRAM)です。
従来は通貨名がToncoin、ティッカーがTONだったため、日本では「トンコイン」「TON 仮想通貨」という呼び方が広く使われています。現在はTONがブロックチェーン名、Gramが通貨名、GRAMが通貨のティッカーです。
| 表記 | 意味 | 現在の扱い |
|---|---|---|
| TON | The Open Network | ブロックチェーン名 |
| Toncoin | 旧ネイティブ通貨名 | 旧称。検索や国内サービスで残る場合がある |
| TON | 旧ティッカー | 通貨記号としては旧表記 |
| Gram | 現在のネイティブ通貨名 | 正式名称 |
| GRAM | 現在のティッカー | 正式な通貨記号 |
💡 用語解説:ネイティブ通貨・ガス代・PoSとは? ▼ 開く
■ ネイティブ通貨とガス代
ネイティブ通貨は、そのブロックチェーンで基本となる通貨です。ガス代は、送金やスマートコントラクトの実行に必要なネットワーク手数料を指します。
この記事でのPoSの読み方
PoS(Proof of Stake)は、保有・預け入れられた通貨を基に検証者を選び、取引を承認する仕組みです。PoSの採用だけで価格上昇や資産の安全が保証されるわけではありません。
Telegramが開発を始め、現在はオープンソースのコミュニティが発展させている
TONの原型はTelegramの創業者らによって設計されました。しかし、Telegramは米国での法的手続きを受けて2020年に開発から離れ、その後はオープンソースのコミュニティが開発を引き継ぎました。
現在のTONとTelegramには強い連携がありますが、「TelegramがTONを直接管理している」と理解するのは正確ではありません。ネットワークの開発・運営主体と、Telegram上での利用導線は分けて捉える必要があります。
仮想通貨全体の分類やほかの主要銘柄との役割の違いは、仮想通貨の種類と役割の違いで確認できます。
《出典》
A Public Notice About the TON Blockchain and Grams|Telegram
The Open Network Primer|TON
TON仮想通貨のすごいところ
TONの特徴は、単に「処理が速く、手数料が安い」と説明できるものではありません。ネットワークの処理性能に加えて、TelegramからウォレットやMini Appsへ移動しやすいこと、決済・デジタル資産・分散型サービスを同じ基盤で扱えることが重要です。
TONのすごいところは、技術とTelegram上の利用導線を組み合わせられる点です。ただし、潜在利用者が多いことと、実際にGRAMを継続利用する人が多いことは同じではありません。
Telegram Mini AppsとTON Connectを利用できる
TelegramのMini Appsは、メッセージアプリ内でゲーム、決済、各種サービスを利用できる仕組みです。Telegramのブロックチェーンガイドラインでは、暗号資産を扱うMini Appsについて、TON BlockchainとTON Connectを使うことが定められています。
これにより、TONは一般的なブロックチェーンよりも既存サービスから利用者を迎え入れやすい立場にあります。一方で、Mini Appsの利用が一時的な特典やゲーム報酬に偏れば、継続的なGRAM需要につながらない場合があります。
短い確定時間と少額のネットワーク手数料を目指す設計
TONはPoSとシャーディングを用い、多数の取引やアプリケーションを処理できるよう設計されています。公式サイトは短い取引確定時間と少額の平均手数料を特徴として示しています。
ただし、手数料は常に無料ではありません。送金、トークン交換、スマートコントラクトの実行など、処理内容によって必要額が異なります。また、処理性能が高いことだけでネットワーク障害、アプリの不具合、価格変動まで防げるわけではありません。
スマートコントラクト基盤の代表例と比較したい場合は、イーサリアムの仕組みと役割も参考になります。
《出典》
The Open Network|TON
Blockchain nodes overview|TON Documentation
TON DNS・TON Storageなどを組み合わせられる
TONはブロックチェーンだけでなく、人が読みやすい名称をアドレスなどへ結び付けるTON DNS、分散型ファイル保存のTON Storage、TON SitesやTON Proxyなどの機能を備えています。
送金専用の通貨ではなく、アプリやデジタルサービスの基盤を目指している点がTONの特徴です。ただし、機能が存在することと、多くの人に継続利用されていることは分けて評価します。
《出典》
Web3 services|TON Documentation
TON DNS|TON Documentation
Gramは何に使われる?
Gramは投資対象として売買されるだけでなく、TON上の送金手数料、スマートコントラクトの実行、ステーキング、サービス内の決済などに使われます。将来性を考える際は、価格だけでなく、これらの用途から継続的な需要が生まれているかを確認することが重要です。
- ネットワーク手数料:GRAMの送付やスマートコントラクトの実行に使う
- ステーキング:検証者やステーキングサービスを通じてネットワーク運営に関わる
- アプリ・決済:TON上のアプリやTelegramと接続するサービスで支払いに使う
- デジタル資産:NFTや収集可能なTelegram Giftsなどの取引に利用される
- ガバナンス:ネットワークに関する投票へ用いられる場合がある
《出典》
The Open Network|TON
Wear Collectible Gifts, Move Gifts to the Blockchain and More|Telegram
Telegram StarsやTON上のトークンとは同じではない
Telegram内には、デジタル商品などの購入に使われるTelegram Starsや、TON上で発行されたさまざまなトークンも存在します。これらはGRAMと同じものではありません。
名称やロゴだけで判断せず、取引所・ウォレットの表示、ネットワーク、トークンアドレスを確認してください。TON公式ドキュメントでは、TON上の代替可能トークンをJettonと呼び、検証済みかどうかを確認する仕組みを案内しています。
《出典》
Telegram Stars: Pay for Digital Goods and More|Telegram
Token overview|TON Documentation
トンコイン(Gram)の将来性を判断する5つの材料
TON仮想通貨の将来性は、Telegramの利用者数や短期的な値上がりだけでは判断できません。大きな利用者基盤へ接続できても、ウォレットやアプリの利用が定着しなければ、GRAMの需要へ十分に結び付かないためです。
評価するのは「利用できる可能性」ではなく、利用が継続し、ネットワーク手数料やステーキング、決済需要へ循環しているかです。
1.Telegramからウォレット・Mini Appsへ利用者が定着するか
Telegramとの接続はTONの大きな強みです。ただし、Telegram利用者の全員がウォレットを開設したり、GRAMを保有したりするわけではありません。月間アクティブウォレット、継続利用者、Mini Apps内の実取引などを確認します。
2.決済とステーブルコインの利用が増えるか
TON上ではGRAMだけでなく、USDTなどのステーブルコインも利用できます。送金件数、決済への採用、ステーブルコイン残高などは実需を測る材料になります。ただし、ステーブルコイン利用の増加がそのままGRAM価格の上昇を意味するとは限りません。手数料需要などへどう還元されるかも確認します。
3.第三者のアプリと開発者が定着するか
特定のゲームやキャンペーンだけでなく、決済、金融、コミュニティ、デジタル所有権など複数分野でアプリが継続利用されるかが重要です。アプリ数だけでなく、利用者、取引、手数料、開発更新の継続性を見ます。
4.ネットワークが安定し、十分に分散して運用されるか
バリデーター数、ステークの偏り、障害履歴、アップデート状況はネットワーク運用を判断する材料です。PoSを採用していることだけで分散性や耐障害性が保証されるわけではありません。
5.規制と取引環境が維持されるか
国内外の規制、取引所での取扱い、入出庫対応、流動性は購入・売却のしやすさに影響します。名称変更直後は新旧表記が混在するため、GRAM、Toncoin、旧ティッカーTONが同じ対象を指しているか、各サービスの公式説明で確認してください。
Gramの主なリスク
Gramには価格変動だけでなく、Telegramへの依存、ネットワーク運用、スマートコントラクト、ウォレット管理、詐欺など複数のリスクがあります。
TONのブロックチェーンが正常に動いていても、GRAMの価格、利用したアプリ、秘密鍵まで安全になるわけではありません。リスクを分けて確認することが大切です。
価格と流動性が大きく変動する
GRAMは暗号資産であり、需給、市場全体の動向、規制、TelegramやTONに関するニュースなどで価格が大きく変動します。過去の上昇や単日の価格から将来性を断定できません。
購入前に、売買価格の差であるスプレッド、注文板の厚さ、取引量、希望額を売却できるかを確認します。短期間で古くなるため、本記事では固定の価格や時価総額順位を判断根拠にしません。
Telegramとの結び付きは強みである一方、依存要因でもある
Telegramの方針やMini Appsのルールが変われば、TON上のアプリやウォレットへの利用導線も影響を受けます。Telegramの利用者増加とGRAMの価格上昇を直接結び付けず、実際のウォレット利用やオンチェーン活動を確認します。
偽トークン・偽ウォレット・送付ミスに注意する
Telegram上のメッセージや広告から偽サイトへ誘導される、似た名称のトークンを購入する、誤ったネットワークへ送るといった危険があります。公式URLを自分で確認し、初回送付は少額で試し、シードフレーズや秘密鍵を入力する相手を慎重に確認してください。
VPNは通信経路を保護する手段の一つですが、偽サイトへの入力、端末のマルウェア、シードフレーズの漏えい、誤送付を防ぐものではありません。詐欺の典型例は、仮想通貨詐欺を見分ける確認ポイントで確認できます。
日本でGramを購入・保管する前の確認事項
国内サービスでは、名称変更後も「Toncoin」「トンコイン」「TON」と表示される場合があります。取扱状況やサービス条件は変わるため、特定の取引所だけを前提にせず、購入時点の公式情報を確認してください。
名称だけでなく、取扱銘柄、売買方式、スプレッド、入出庫対応、送付ネットワークをセットで確認します。
- 登録:金融庁の暗号資産交換業者登録一覧に掲載された事業者か
- 表記:GRAM、Toncoin、旧ティッカーTONのどれで表示されているか
- 売買方式:販売所と板取引のどちらに対応しているか
- 費用:売買手数料だけでなくスプレッドや送付手数料も確認したか
- 入出庫:外部ウォレットへの送付・受取が可能か、停止中ではないか
- ネットワーク:送付元と送付先がTONネットワークに対応しているか
仮想通貨の購入自体が初めての場合は、仮想通貨を始める基本手順を先に確認してください。取引コストを比較する場合は、取引所の手数料とスプレッドの比較も参考になります。
《出典》
暗号資産交換業者登録一覧|金融庁
取引所保管と自己管理ウォレットの違いを理解する
取引所で保管する場合は、取引所のセキュリティ対策、出庫制限、障害、事業者リスクの影響を受けます。自己管理ウォレットでは自分で資産を操作できますが、シードフレーズや秘密鍵を失うと復旧できない場合があります。
どちらかを一律に安全と決めず、利用目的、金額、送付頻度、自分で鍵を管理できるかを踏まえて選びます。ウォレットを初めて使う場合は少額送付を行い、アドレスとネットワークが正しいことを確認してから残りを送ります。
まとめ|TONはTelegramとの実利用を確認して評価する
トンコイン(Toncoin)は、2026年6月1日にGramへ名称が、旧ティッカーTONはGRAMへ変更されました。現在はTONがブロックチェーン名、Gramがそのネイティブ通貨名です。
TONは、短い取引確定時間、少額の手数料を目指す設計、Telegram Mini Appsとの接続、TON DNSやTON Storageなどを組み合わせられる点に特徴があります。
将来性を判断する際は、Telegramの利用者数ではなく、ウォレット、決済、アプリ、ネットワーク手数料、ステーキングへ実利用が継続的に結び付いているかを確認しましょう。同時に、価格変動、Telegramへの依存、分散性、規制、ウォレット管理、詐欺のリスクも評価する必要があります。
GRAMの売却、交換、報酬受領などに伴う税務は、仮想通貨の売却・交換に関する税金で確認してください。