ビットコイン(BTC)の生誕から現在までの歴史と価格の推移を振り返る

数ある仮想通貨(暗号資産)の中で最初に誕生したビットコイン(BTC)は、その時価総額の高さからデジタルゴールドとも呼ばれます。仮想通貨(暗号資産)を本格的に運用するなら、まずは保有しておきたい銘柄の一つです。

2025年11月時点での史上最高額は2025年10月上旬に記録した約18,670,000円と注目度の高いビットコイン(BTC)ですが、誕生当初はほとんど通貨としての価値を持たないものでした。そこからどのように価格推移したのか、価格に影響を与える事件やきっかけを押さえておくと、今後の価格予想や運用に役立つ可能性があります。

そこで本記事では、ビットコイン(BTC)の生誕から現在までの歴史を価格の推移とともに振り返ります。記事後半では、ビットコイン(BTC)の価格が変動しやすいタイミングについても解説するのでぜひ参考にしてください。

この記事でわかること

ビットコイン

ビットコイン(BTC)とは?

ビットコイン(BTC)とは、インターネット上に突如現れたサトシ・ナカモト氏が2008年に発表した論文を基に開発された仮想通貨(暗号資産)です。ビットコイン(BTC)は「金融取引を中央管理者が存在しない状態で行う」という考え方がベースになっています。

ビットコインの登場によって人類は「金融機関を通さなくても当事者同士が直接安全に金融取引ができるようになった」ということができます。金融取引から第三者の介在が不要になったことで、取引にかかるコスト、つまり取引手数料が構造的に安くなるので、マイクロペイメント、つまり小額課金モデルを導入した新たなビジネスモデルの構築が可能になったということができます。従来の定額料金やサブスクリプションに代わり、ユーザーは実際に利用した分だけ支払う「使用料課金」が可能となります。これにより、ユーザーにとって費用対効果の高い支払いが実現可能となります。

ビットコイン誕生のストーリーはこちら ↓

ビットコインの登場がその後に与えた影響

ビットコインの成功により、ブロックチェーン技術は注目を集め、様々な用途への応用が検討され、金融取引だけでなく、データ管理、契約履行、アイデンティティ認証など、広範な分野での利用が可能とされました。

ビットコイン(BTC)の分散型仕組みは、イーサリアム(ETH)の開発者であるヴィタリック・ブテリン氏にも大きな影響を与えました。イーサリアムは、ビットコインが提供する単なる通貨の送金機能に留まらず、条件に従って資金を自動的に預けたり送金したりできるプログラムを自由に設計し、運用することができます。このイーサリアムで実行できる資金管理プログラムをスマートコントラクトと言います。

ビットコインによって始まった分散化のイノベーションは、イーサリアムのスマートコントラクトの登場により、さらに大きな可能性を持つようになりました。現在では、Web3と呼ばれる分散型インターネットの世界が広がっています。具体的には、NFT(Non-Fungible Token)やDeFi(分散型金融)の取引、Dapps(分散型アプリケーション)などが実装され、その可能性はますます拡大しています。

ヴィタリック・ブテリンとイーサリアム誕生のストーリーはこちら ↓

ビットコインと電子マネーは何が違うの?

ビットコイン(BTC)は仮想通貨(暗号資産)の一種です。しかし中には、仮想通貨(暗号資産)と聞くと電子マネーをイメージする方もいるかもしれません。両者は以下の点で異なるので、ビットコイン(BTC)の概要をつかむために具体的に見ていきましょう。

  • 発行する団体
  • 価格変動の有無
  • 利用可能な範囲

電子マネーは国が発行する法定通貨を元に、企業がデジタル上で作成しています。もちろん、中央で管理されているため分散型の仕組みではありません。一方の仮想通貨(暗号資産)は、あらかじめ決められた仕組みやルール、プログラムに則り発行されています。

価格変動の有無がある点も、仮想通貨(暗号資産)と電子マネーの違いです。電子マネーの利用可能金額は変化しませんが、仮想通貨(暗号資産)は市場動向や著名人の発言、銘柄自体のアップデートなどの要因や需給バランスによって変動します。

また、電子マネーの利用範囲は国の自治が及ぶ地域に限られるのに対し、ビットコイン(BTC)は決済手段に導入されていれば世界中で利用可能です。両替をする手間を省けるだけでなく、個人間送金のために金融機関を介す必要もありません。

ビットコイン(BTC)の特長

ビットコイン(BTC)の特長は以下の3つです。

  • 世界で最初に生まれた仮想通貨(暗号資産)
  • ブロックチェーンを使った取引
  • 発行枚数の上限がある

それぞれ詳しく見ていきましょう。

世界で最初に生まれた仮想通貨(暗号資産)

2025年11月現在、世界には約1万2千種類の仮想通貨(暗号資産)があります。その中でもビットコイン(BTC)は、世界で初めて誕生した仮想通貨(暗号資産)です。

詳しくは後述しますが、ビットコイン(BTC)はサトシ・ナカモト氏のブロックチェーン上で金融取引を行う仕組みに関する論文が基となり、2009年に稼働を開始しました。

当初こそ通貨的価値をほとんど持っていなかったビットコイン(BTC)ですが、1BTC=約14,465,876円、時価総額は288.6 兆円越えと投資対象として注目を浴びています。その注目度の高さから大企業が決済手段に採用する事例も多く、日本ではビックカメラ、世界的企業ではスターバックスやPayPalなどでビットコイン決済の利用が可能です。加えて、中央アフリカ共和国やエルサルバドル、スイスのルガーノ市では法定通貨として採用されており、公共料金の支払いや各種サービスの支払いに利用可能で、用途の幅は広がりつつあります。

blockchain ブロックチェーン

ブロックチェーンを使った取引

ビットコイン(BTC)はブロックチェーンを使った取引です。ブロックチェーンは中央管理者を必要とせず、P2Pネットワークによってつながっているコンピューターで分散して取引を管理する仕組みで、分散型台帳技術(DLT)とも呼ばれます。一部の参加者がマイニングという仕組みを通じて報酬と引き換えにコンピュータリソースを取引の検証の為に提供することでビットコイン(BTC)台帳を常に適切な状態に保っています。

P2Pネットワークとは? Peer-to-Peer Network

P2P(ピアツーピア)とは、コンピュータ同士が直接通信してデータをやり取りする仕組みのことです。サーバーを介さずに、ネットワーク上の各コンピュータ(ピア)が対等な立場で接続し合うため、情報の共有やファイルの転送が迅速に行えます。これにより、中央の管理者が不要になり、効率的で分散型のネットワークが構築されます。

ブロックチェーンを使った取引には、以下に挙げるメリットがあります。

  • 取引の透明性が高い
  • 不正が事実上不可能
  • システムの安全性が高い

各メリットを解説します。

1つ目のメリットは、取引の透明性が高い点です。ブロックチェーンでは取引記録を、ブロックと呼ばれる単位にまとめてそれぞれをつなぎ合わせる仕組みです。

中央集権型で管理されるシステムと異なり、それぞれのブロックはアクセス許可を持つネットワーク参加者なら誰でも見ることが可能なので、透明性の高い取引が実現します。

2つ目のメリットは、不正を行うのが事実上不可能な点です。ブロックチェーン上の取引はブロックをつなぎ合わせて管理され、その連結には入力データを一定の長さの文字列に変換するハッシュ関数が用いられます。

ブロックチェーンで特徴的なのは、現在のブロックは過去のブロックのハッシュ値が受け継がれている点です。仮に過去の記録を改ざんする場合、過去から現在にかけてのハッシュ値を全て、改ざん前のものと適合させる必要があります。膨大な計算が必要となり、実行するには計算能力の51%以上を占有しなければならず、現実的ではありません。

3つ目のメリットは、システムの安全性が高い点です。中央のサーバーでデータを管理する場合、不具合が起きると全体に影響が波及する可能性があるでしょう。

ブロックチェーンは各取引内容が分散管理され、ネットワークは同期されているため、システムダウンのリスクが大幅に抑えられています。これまでビットコイン(BTC)に大きなシステムトラブルはなく、安定したネットワークのもと、ビットコイン(BTC)は稼働しています。

発行枚数の上限がある

ビットコイン(BTC)は、発行上限の枚数が2,100万枚に定められています。国が発行する法定通貨には発行上限がない点が、ビットコイン(BTC)との大きな違いの一つです。

ビットコイン(BTC)は約10分に1度、ブロック承認作業を行うマイナーに支払われる報酬として新たに発行されます。ビットコイン(BTC)誕生当初の新規発行枚数は50BTCでしたが25BTC、12.5BTCと半減され、2024年4月20日に4回目の半減期を迎え3.125BTCです。新規発行枚数は約4年に1度訪れる半減期で半分になるため、2140年までに徐々に2,100万枚へと近付いていきます。

ビットコイン(BTC)には発行上限があり、無限に発行されるわけではないため、通貨の価値が保たれやすい構造です。実際、これまでに訪れた半減期の後は軒並みビットコイン(BTC)の価格が上昇しています。

ビットコインの歴史と価格の推移

ビットコイン(BTC)の歴史と価格推移、市場価値の移り変わり

ビットコイン(BTC)の歴史と過去15年の価格の推移を、2008年から時系列を追って見ていきましょう。

ビットコインの論文
Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System|Satoshi Nakamoto 2008

2008年のビットコイン:サトシ・ナカモトが論文を発表

ビットコイン(BTC)は、2008年にインターネット上に現れたサトシ・ナカモトと呼ばれる人物の出稿した論文「Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System」がベースです。

この論文では、金融取引が第三者機関を介して行われることに関する問題点や脆弱性に触れつつ、完全なP2P(Peer to Peer)により利用者同士でオンライン決済を可能にするシステムの概要が記されています。当時は画期的だったこの考え方は、今では多くの仮想通貨(暗号資産)に影響を与えています。Web3領域の開発プラットフォームに利用されるイーサリアム(ETH)の開発者のヴィタリック・ブテリン氏も、10代の頃ビットコイン(BTC)に出会い、その仕組みに魅了されました。

ここまでご紹介したサトシ・ナカモトは、名前から日本人ではないかと推測できますが、実際の国籍や1人なのか、それとも複数人からなる開発者グループなのか、そもそも本名なのかなど多くのことが分かっていません。サトシ・ナカモトの行ってきた活動や、本人ではないかと憶測される人物の詳細はこちらの記事で解説しているので、気になる方はぜひ参考にしてください。

ビットコインのジェネシスブロックのイメージ

2009年のビットコイン価格:ビットコイン(BTC)の稼働が開始

1BTC=約0.07円
(1BTC=約0.00076ドル|当時のドル円レート[1ドル=約93.5円]で計算)

サトシ・ナカモトによる論文の発表後、2009年1月3日に初めてのブロックである「ジェネシスブロック・(Genesis Block)」が生成され、ビットコイン(BTC)の稼働が開始されました。

当時はまだ市場が存在しておらず、ビットコインは「価格がついていない=ほぼ無価値」と考えられていた時期です。

しかし、同年12月、初期の取引レートが登場します。

2009年12月:初めて“価格”がつく

ビットコイン(BTC)売買サービスのNew Liberty Standardにより、マイニングにかかる電気代を考慮して1ドル=1,392.33BTCと値付けられました。この価格は、当時の日本円(1ドル=約93.5円)にして1BTC=約0.07円です。

指標 金額
1BTCあたりのドル価格 約0.00076ドル
1BTCあたりの円価格 約0.07円

つまり、ビットコイン1枚は「1円にも満たない」時代でした。

背景にある象徴的なメッセージ

ブロックにはテキストデータを含めることも可能で、サトシ・ナカモトは同日の英タイムズ誌の見出しを引用し、ジェネシス・ブロックに以下のように記しています。

The Times 03/Jan/2009 Chancellor on brink of second bailout for banks(2009年1月3日のThe Times紙の見出し:イギリス財務大臣、銀行への2回目の救済の瀬戸際に瀕している)

これは、当時の金融危機(リーマンショック後)の状況を示す見出しであり、「中央集権的な金融システムに対する批判・問題提起」と解釈されることが多い象徴的なメッセージです。

時期 出来事 価格状況
1月3日 ジェネシスブロック生成 市場がなく価格は存在しない
1年間 マイニング中心の実験段階 実質価値は「0」に等しい
12月 New Liberty Standardが初の価格算出 1BTC ≒ 0.07円

ビットコインは、技術的な実験として生まれ、電気代を基準とした試算値から「価格」を持ち始めたことにより、後に世界的な価値形成が始まる土台が作られました。

2010年のビットコイン価格:初めて商取引が成立

1BTC=約4円〜34円
(1BTC=約0.05〜0.39ドル|当時のドル円レート[1ドル=約87.7円]で計算)

2009年に誕生したビットコインは、当初は実験的なコミュニティ内のみでやり取りされ、現実世界での価値交換は行われていませんでした。しかし2010年は、ビットコインが「ただのデジタルデータ」から「通貨として認識される存在」へと進化した転換点となる年でした。

2010年は、ビットコイン(BTC)を使った商取引が初めて行われた年です。同年5月22日、プログラマーのラースロー・ハネツ(Laszlo Hanyecz)氏が、ピザ2枚をビットコイン(BTC)で決済しました。当時はビットコイン(BTC)がほとんど無価値だったこともあり、10,000BTCで決済されていますが、現在価格(1BTC=約14,465,876円)で換算するとピザ1枚あたり約億円です。

初めて商取引が成立したことを祝い、毎年5月22日は世界中の仮想通貨(暗号資産)愛好者から「ビットコインピザデー」として親しまれています。

初期取引市場の整備と取引価格の形成

2010年には、ビットコインの市場形成が徐々に進行しました。

また、世界初の仮想通貨(暗号資産)取引所であるMt.Gox(マウントゴックス)で取引が行われたのもこの年です。2010年11月には1BTC=約34.2円を記録し、12月31日の終値は、1BTC=約26.3円でした。

出来事 影響
3月 BitcoinMarket.com が開設(初のBTC取引市場) 市場価格形成が始まる
7月 仮想通貨取引所 Mt.Gox が運営開始 個人が売買しやすい環境が整備
年後半 コミュニティ拡大・取引量増加 価格が段階的に上昇

2010年におけるビットコイン価格水準

2010年後半には「価値が上昇する資産」という認識が広がり始めました。

指標 金額換算
1BTCあたりのドル価格 約0.05〜0.39ドル
1BTCあたりの円価格(1ドル=約87.7円換算) 約4円〜34円

ビットコインに「経済的リアリティ」が宿った年

2009年はビットコインに価値が「計算上」生まれた年ですが、2010年はビットコインの価値が「社会の中で」認められ始めた年ということができます。

観点 内容
技術面 P2P電子通貨としてネット上で機能し続けることが確認された
経済面 初めて “ビットコイン=価値交換の媒体” として認識された
社会文化面 「ピザデー」を通じ、コミュニティ文化が誕生した
2011年マウントゴックス事件

2011年のビットコイン価格:マウントゴックス事件

1BTC=約24円〜2,550円
(1BTC=約0.3〜31.91ドル|当時のドル円レート[1ドル=約79.8円]で計算)

2011年は、ビットコイン(BTC)が「一般に取引される資産」としての存在感を確立した年です。インターネットコミュニティを中心に取引量が増加し、1BTCは数十円台からスタートし、需要の拡大に伴い一時は2,000円台を超える価格まで急騰しました。

同年6月には、米タイムズ誌による特集掲載をきっかけに知名度が爆発的に上昇し、投資対象としての注目が高まります。これによりビットコイン(BTC)は初めてのバブル相場を経験し、投資家や技術者以外の層にも認知が広がりました。

しかし、同年「マウントゴックス事件」が発生します。当時最大規模の仮想通貨取引所であった Mt.Gox(マウントゴックス)において、取引所システムがハッキングされ、多数のビットコインが不正流出しました。この事件は、取引インフラの未成熟さを浮き彫りにし、市場に大きな動揺を与えることとなりました。

その結果、急騰していた価格は急落し、2011年末には1BTCあたり数百円台まで下落し、年末の終値は約377円でした。これはビットコインが「ボラティリティ(価格変動幅)の大きい資産」として広く認識されるきっかけにもなりました。

時期 出来事 価格の動き
年初 個人取引が拡大し始める 数十円台
初夏 メディア報道 → 投資家参入 〜約2,550円まで高騰
夏以降 Mt.Gox事件(ハッキング) 市場が動揺
年末 信頼低下・売り圧力増加 数百円台まで急落

2012年のビットコイン価格:初めての半減期とコインチェック創業

1BTC=約320円 〜 約1,070円
(1BTC=約4〜13.45ドル|当時のドル円レート[1ドル=約79.79円]で計算)

2012年は、ビットコイン(BTC)にとって供給量と市場基盤の両面が大きく進展した年です。日本では、後に大手国内仮想通貨取引所となるコインチェック(Coincheck)を運営する企業が創業し、国内で暗号資産に触れられる環境が徐々に整備され始めました。これにより、ビットコインは海外コミュニティ中心の資産から、日本国内でも認知が広がり始める契機となりました。

また、2012年はビットコインの供給バランスに決定的な影響を与える初めての半減期(2012年11月28日)が発生した年でもあります。これにより、マイニング報酬はそれまでの50BTC から 25BTC へ半減し、ビットコインの新規供給ペースが抑制されました。供給量の減少は、希少性を背景とした長期的な価格上昇のメカニズムの基礎となります。

さらに、WordPress向けのビットコイン決済プラグインが登場したことで、オンライン上でビットコインを決済手段として利用する動きが加速しました。こうした「実際に使える通貨」としての期待感が高まったことにより、市場価格は再び1BTC = 1,000円台へと回復しました。

主要イベント 意味 市場への影響
コインチェック運営会社の創業 国内取引市場の土台形成 日本での認知が拡大
初めての半減期(報酬50BTC → 25BTC) 新規供給量の減少 長期的な価格上昇要因
BTC決済プラグインの普及 「使える通貨」としての実需 1BTC ≈ 1,000円台に回復

2013年のビットコイン価格:時価総額が1000億円を突破

1BTC=約1,200円 〜 約117,000円
(1BTC=約13〜1,200ドル|当時のドル円レート[1ドル=約97.6円]で計算)

2013年は、ビットコイン(BTC)が「代替資産」として初めて世界的な注目を集めた年です。ユーロ圏のキプロスで発生した金融危機により、国内銀行が預金封鎖を実施したことを背景に、個人資産の退避手段としてビットコインへ資金が流入しました。この動きをきっかけに、ビットコインの時価総額は初めて1,000億円を突破します。

同年後半には、中国市場がビットコイン普及を加速させました。中国版Googleとも呼ばれる大手検索エンジン百度(Baidu)が、一部サービスにおいてビットコイン決済を採用したことで、ビットコインは国際的な支払い手段としての注目度を一段と高めます。その結果、価格は1BTC ≈ 15,000円に到達しました。

さらに、ビットコインは日本国内でも認知が進み、NHKによる特集番組などの大手メディア露出を追い風に、年末にかけて価格は約117,000円(約1,200ドル)にまで高騰します。この動きは、ビットコインが投資対象としてだけでなく、国際金融システムの代替手段としての可能性を示した象徴的な出来事でした。

時期 出来事 価格推移への影響
3月 キプロス危機・預金封鎖 資金逃避先としてBTCに注目
百度がBTC決済を導入 アジア圏での需要が拡大 → 約15,000円へ
年末 NHK特集など国内外のメディア報道 期待感が加速 → 約117,000円まで上昇
暗号資産取引所のハッカー事件

2014年のビットコイン価格:マウントゴックス破綻と市場の信頼低下

1BTC = 約33,000円 〜 約92,000円
(1BTC = 約320〜870ドル|当時のドル円レート[1ドル = 約105.85円]で計算)

2014年は、ビットコイン(BTC)市場において大きな転換点となった年です。世界最大級の仮想通貨取引所であった Mt.Gox(マウントゴックス)が、過去のシステム脆弱性を突かれたビットコインの不正流出問題により経営破綻に追い込まれました。不正流出したビットコインは約85万BTCにのぼり、当時の市場に深刻な動揺を与えました。

この事件を受け、年初には約92,000円だったビットコイン価格は急速に売りが強まり、40,000円台まで下落しました。市場参加者の間では「ビットコインは本当に安全なのか?」という信頼不安が広がり、価格は低迷期に入ります。

しかし、2014年は暗号資産市場にとって後退だけの年ではありません。同年、米マイクロソフトがビットコイン決済に対応したほか、日本では後に大手取引所となるbitFlyer(ビットフライヤー)が創業し、国内の暗号資産取引基盤が整い始めました。市場の課題が露呈した一方で、ビットコインが「実用される支払い手段」として前進した年でもあります。

観点 内容 市場への影響
2月 Mt.Gox破綻 信頼低下 → 価格下落
企業導入 Microsoft がBTC決済に対応 実需拡大の象徴
国内基盤 bitFlyer創業 日本市場の環境整備が進行

2015年のビットコイン価格:セキュリティ課題が浮き彫りとなり、規制整備が進んだ年

1BTC = 約18,000円 〜 約56,000円
(1BTC = 約152〜465ドル|当時のドル円レート[1ドル = 約121.05円]で計算)

2015年初頭、欧州大手の仮想通貨取引所 Bitstamp がハッキング被害を受け、約500万ドル相当のビットコイン(BTC)が不正流出しました。この事件により、仮想通貨(暗号資産)市場におけるセキュリティリスクが改めて問題視され、取引所に求められる安全性の水準が引き上げられることとなりました。

同年には、ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)が仮想通貨事業に対する規制枠組みであるBitLicense(ビットライセンス)を導入しました。これは仮想通貨(暗号資産)事業者が営業を行うための許認可制度であり、消費者保護とマネーロンダリング対策を目的としたものです。

現在では「信頼性の証」として扱われるBitLicenseですが、導入当初は要件が非常に厳しく、多くの仮想通貨(暗号資産)関連企業がニューヨーク州から撤退するきっかけにもなりました。この動きは、暗号資産業界が自由な実験段階から、制度的な成熟段階へ移行し始めたことを示しています。

価格面では、前年度に発生したマウントゴックス破綻による市場心理の影響も残り、2015年のビットコイン(BTC)は概ね1BTC = 3〜4万円台で推移しました。市場は落ち着きを見せつつ、次の成長期に向けた基盤の整備が進んだ年と言えます。

観点 内容 市場への影響
取引所 Bitstampでハッキング被害 セキュリティ強化が優先課題に
規制 BitLicense 導入 「信頼の枠組み」が形成され始める
価格 3〜4万円台で推移 大きな上昇はないが、市場は安定化へ

2016年のビットコイン価格:2度目の半減期を迎え、価格回復の兆しが現れた年

1BTC = 約39,000円 〜 約105,000円
(1BTC = 約360〜980ドル|当時のドル円レート[1ドル = 約108.79円]で計算)

2016年は、ビットコイン(BTC)の価格が再び上昇基調へ転じた年です。同年5月には、仮想通貨(暗号資産)に関する定義や取り扱いを明文化した改正資金決済法が世界に先駆けて日本で成立し、取引所の登録制などが導入される基盤が整いました。これにより、ビットコインは「法的な位置づけが明確となった資産」として認識され始めます。

さらに、2016年7月には2度目の半減期が到来し、マイニング報酬は25BTC → 12.5BTCに減少します。供給量の伸びが抑えられたことで、希少性が意識され、価格は1BTC = 7万円台を記録しました。

しかし、同年8月には海外仮想通貨取引所Bitfinexがハッキングを受け、約12万BTCが不正流出。市場心理は悪化し、価格は一時5万円台まで下落します。

ただし、この売り圧力は長期化せず、ビットコインは徐々に信頼を回復。年末には1BTC = 10万円台まで価格が回復し、翌年に訪れる歴史的な上昇相場の序章となりました。

観点 内容 市場への影響
法整備 改正資金決済法が成立 国内取引環境の信頼性向上
半減期 報酬が 25BTC → 12.5BTC に減少 希少性 → 価格上昇
セキュリティ Bitfinexハッキング 一時的な急落
年末 市場回復 10万円台を回復 → 2017年の大相場へ
メインストリーム化バブル

2017年のビットコイン価格:ビットコイン史上初の「メインストリーム化バブル」

1BTC = 約110,000円 〜 約2,200,000円
(1BTC = 約998〜19,783ドル|当時のドル円レート[1ドル = 約112.16円]で計算)

2017年は、ビットコイン(BTC)が暗号資産コミュニティの枠を超え、一般層にも広く認知される「メインストリーム」な資産へと成長した年です。前年から続いた価格上昇トレンドを背景に、年初は約11万円で取引されていました。

スケーラビリティ問題とビットコインキャッシュ(BCH)の誕生

当時、ビットコインは利用者増加に伴い、取引処理が遅延するスケーラビリティ問題が深刻化していました。この対応をめぐり、「ブロックサイズを大きくする派」と「Lightning Networkなどのオフチェーン拡張派」でコミュニティが対立します。

議論が収束しなかった結果、2017年8月1日にビットコインはハードフォークし、ビットコインキャッシュ(BCH)が誕生しました。BCHは、ブロックサイズを拡張することで取引処理能力(TPS)の向上を狙った通貨です。

この分裂は市場に一時的な不安を与えたものの、ビットコインの基盤技術が成長段階にあることを改めて示し、暗号資産におけるガバナンスと合意形成の難しさを象徴する出来事となりました。

ICOブームと世界的な投資資金の流入

2017年を象徴するもうひとつの動きがICO(Initial Coin Offering)ブームです。新規プロジェクトが独自トークンを発行して資金を調達するモデルが急速に拡大し、 暗号資産市場全体に大量の投資資金が流れ込みました。

この動きにより、新規投資家の参入が加速し、ビットコインの価格は夏頃には30~50万円台に到達します。

先物上場と大手メディア露出による「大衆化」

秋以降、ビットコインは国内外のメディアでの露出が増加し、認知は一気に拡大。さらに、米シカゴ・オプション取引所(CBOE)とシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)がビットコイン先物取引の上場を発表したことで、ビットコインは機関投資家も参加可能な金融資産へと格上げされました。

この期待感が市場に追い風を与え、年末には1BTC ≈ 200万円(約20,000ドル)を突破。史上初となるメインストリーム化バブルが形成されます。

項目 何が起きたか 価格への影響
BCH誕生(ハードフォーク) スケーラビリティ問題をめぐる対立が顕在化 市場が成熟段階へ入り始める
ICOブーム 投資資金が大量流入 需要増 → 価格上昇
CME/CBOE の先物上場 機関投資家の参入余地拡大 年末にかけて価格が急騰

2018年のビットコイン価格:バブルは崩壊し、暗号資産“冬の時代(Crypto Winter)”が到来

1BTC = 約350,000円 〜 約1,530,000円
(1BTC = 約3,200〜13,850ドル|当時のドル円レート[1ドル = 約110.43円]で計算)

2017年にかけてビットコイン(BTC)を中心に熱狂的な価格上昇が起こりましたが、2018年はその反動が訪れた年です。過度な投機が収束し、暗号資産市場は急速な調整局面に入りました。

また、世界的な規制強化の流れも価格下落に追い打ちをかけました。Facebook・Google・Twitterといった主要プラットフォームは、詐欺的なICO案件の増加を懸念し、暗号資産関連広告の配信を一時的に禁止。市場に対するネガティブな印象が広がりました。

さらに日本国内では、コインチェックのNEM(XEM)流出事件(約5億XEM)、およびZaifにおけるBTC / MONA / BCHの不正流出事件が相次ぎ発生。取引所のセキュリティ体制に対する不信感が高まり、投資家の売りが強まりました。

これらの要因が重なり、市場全体の投機熱は急速に冷却。年初には1BTC ≈ 150万円前後で推移していた価格は徐々に下落し、年末には1BTC ≈ 40万円台まで下落しました。この時期は一般的に「Crypto Winter(暗号資産の冬)」と呼ばれ、市場心理が大きく後退した期間として知られています。

項目 内容 市場への影響
広告規制 Facebook・Google・Twitterが暗号資産広告を禁止 市場の新規流入が鈍化
国内流出事件 Coincheck / Zaif が相次ぎハッキング被害 セキュリティ不信が広がる
市場心理 過熱したバブルが収束 価格は約150万円 → 40万円台へ下落
フェーズ転換 投機市場から「基盤整備の時代」へ エコシステムは再構築段階へ

2019年のビットコイン価格:ジェネシスブロック誕生から10周年を迎える

1BTC = 約400,000円 〜 約1,500,000円
(1BTC = 約3,700〜13,800ドル|当時のドル円レート[1ドル = 約109.03円]で計算)

2019年は、ビットコイン(BTC)の最初のブロック「ジェネシスブロック」が生成されてから10周年となる節目の年でした。市場全体としては、前年度のCrypto Winter(暗号資産の冬)から徐々に回復基調へと向かうタイミングにあたります。

年初のビットコイン価格は1BTC ≈ 30万円台と低水準でスタートしましたが、投資マインドの改善や企業参入の増加を背景に、6月には100万円を突破し、7月には約137万円まで急騰しました。

しかし、中国政府が暗号資産関連サービスに対する規制姿勢を強めたことにより、市場には再び不安が広がり、ビットコイン価格は80万円台へと調整局面に入りました。2019年は、回復の兆しと価格変動の大きさが共存したボラティリティの高い一年であったと言えます。

また、この年は日本国内において大きな制度上の更新がありました。金融庁が国際的な用語整合性を踏まえ、法律上の呼称を「仮想通貨」から「暗号資産(Crypto Asset)」へ変更。これにより、暗号資産が金融領域における正式な資産クラスとして認識され始める転換点となりました。

項目 内容 影響
10周年 ビットコイン誕生から10年 市場の信頼性・文化として成熟
中盤の上昇 1BTC ≈ 30万円 → 100万円超へ 投資家・企業参入が回復基調に
中国の規制 情報統制・取引管理強化 市場心理が悪化し再び調整へ
用語変更 「仮想通貨 → 暗号資産」へ法的に統一 資産クラスとしての位置づけが明確に

2020年のビットコイン価格:3年ぶりに過去最高値を更新

1BTC = 約400,000円 〜 約3,100,000円
(1BTC = 約3,800〜29,000ドル|当時のドル円レート[1ドル = 約106.78円]で計算)

2017年末の大相場をピークに下落基調が続いていたビットコイン(BTC)ですが、2020年をきっかけに再び上昇トレンドへ転換します。年初は1BTC ≈ 80〜100万円台で推移していましたが、コロナショックにより市場全体が動揺し、3月には一時的に50万円台まで下落しました。

しかし、世界的な金融緩和政策と機関投資家の資産防衛ニーズを背景に、ビットコインは「デジタル・ゴールド」として注目を集め、価格は急速に回復します。

3度目の半減期(2020年5月)

2020年5月には、ビットコインにとって3回目の半減期が訪れ、マイニング報酬は12.5BTC → 6.25BTCに減少しました。新規供給量がさらに制限されたことで、需給面から中長期的な上昇圧力が強まります。

PayPalの暗号資産サービス開始

2020年10月、大手決済サービスであるPayPalがビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)などの売買・保有サービスを開始したことは、業界にとって大きな転換点となりました。

1億人規模の利用者が暗号資産にアクセスできるようになったことで、ビットコインは一般消費者層と国際決済インフラに本格的に接続する段階に進みます。

こうした継続的な需要増加と市場回復を受け、ビットコインは年末にかけて300万円に迫る勢いで上昇し、3年ぶりに過去最高値を更新しました。

要因 内容 価格への影響
金融緩和 コロナショック後、各国が大量の資金供給 BTCが「資産保全手段」として再評価
3度目の半減期 報酬が12.5BTC → 6.25BTCに減少 供給減 → 価格上昇圧力が強まる
PayPal参入 暗号資産の一般利用者層へ拡大 需要増 → 大口買いが加速
機関投資家 マイクロストラテジーなどが大量購入 「投資資産としての信頼」が上昇
過去最高額を更新するビットコイン

2021年のビットコイン価格:金融資産として世界に認知が広がった年

1BTC = 約3,100,000円 〜 約7,600,000円
(1BTC = 約29,000〜69,000ドル|当時のドル円レート[1ドル = 約109.80円]で計算)

2020年に始まった上昇トレンドは、2021年に入っても継続しました。年初には1BTC ≈ 300万円で推移し、2月には500万円、3月には600万円を突破するなど、価格は力強く上昇し続けました。

その背景には、企業や機関投資家のビットコイン(BTC)採用が本格的に進んだことがあります。米テスラがビットコインの購入と決済対応を発表し、MicroStrategyなどの上場企業が資産保全目的でビットコインを大量購入したことにより、ビットコインは「投機対象」から金融資産としての地位を確立し始めました。

さらに2021年6月には、中米エルサルバドルが国家としてビットコインを法定通貨に採用。これは、ビットコインの歴史上初となる国家レベルの承認であり、世界中の注目を集めた大きな転換点となりました。

そして同年11月には、ビットコイン実装史上最大級のアップグレードであるTaproot がメインネットに導入されました。このアップデートにより、

  • プライバシーの向上
  • 署名方式の効率化
  • スマートコントラクト機能の拡張
などが実現し、ビットコインは決済・資産保全だけでなく「応用できるプラットフォーム」としてのポテンシャルを高めました。

こうした世界的な認知拡大と実需の広がりを背景に、ビットコインは11月に過去最高値となる約770万円(69,000ドル)を記録しました。

項目 内容 影響
企業参入 テスラ・MicroStrategy など 「ビットコイン=企業が持つ資産」へ
国家採用 エルサルバドルが法定通貨として採用 通貨としての歴史的承認
技術進化 Taproot アップグレード ビットコインの利便性と用途が拡張
市場価格 約300万円 → 約770万円 過去最高値を更新

2022年のビットコイン価格:LUNA(ust)ショック|ステーブルコイン崩壊

1BTC = 約2,000,000円 〜 約6,100,000円
(1BTC = 約15,480〜47,000ドル|当時のドル円レート[1ドル = 約131.56円]で計算)

2021年に過去最高値を記録したビットコイン(BTC)ですが、2022年はその反動として下落トレンドへと転じた年でした。 年初は1BTC ≈ 400万円台で推移していたものの、世界的な金融引き締めや相次ぐネガティブニュースの影響により、 年末には200万円台まで価格が下落しました。

きっかけ①:米国の金利上昇(金融引き締め)

米FRB(連邦準備制度理事会)がインフレ抑制のために政策金利を引き上げたことで、 市場全体の資金がリスク資産から流出。ビットコインは“投機資産” と見なされ、売り圧力が強まりました。

きっかけ②:LUNA / USTショック(ステーブルコイン崩壊)

2022年5月、米ドルと連動を保つはずのステーブルコインUSTのペッグが外れ、 関連プロジェクトであるLUNAが暴落しました。これにより市場には 「暗号資産の設計リスク」に対する不信感が広がり、資金流出が加速しました。

きっかけ③:テスラによるビットコイン売却

2021年に約15億ドル分のビットコインを購入したテスラは、2022年7月にその75%を売却。 企業がビットコインを手放したという事実は市場心理に強い影響を与え、価格下落の一因となりました。

きっかけ④:FTX破綻(市場に最大級の衝撃)

同年11月には、世界有数の暗号資産取引所であったFTXが経営破綻。 内部不正・流動性不足が暴かれたことにより、市場には深刻な信用不安が広がりました。

これら複数の要因が積み重なった結果、2022年はビットコインの価格が大きく下落した 「Crypto Winter(暗号資産の冬)」が再び訪れた年となりました。

時期 出来事 影響
1〜3月 FRBが金融引き締めへ転換 リスク資産として売られる
5月 UST / LUNA崩壊 暗号資産設計への不信感が拡大
7月 テスラがBTCの75%売却 企業による売り → 下落加速
11月 FTX破綻 取引所の信頼危機 → 市場心理が冷却

2023年のビットコイン価格:現物ビットコインETF承認への期待が高まった年

1BTC = 約2,300,000円 〜 約6,000,000円
(1BTC = 約16,500〜44,000ドル|当時のドル円レート[1ドル = 約140.67円]で計算)

2022年はLUNAショックやテスラの売却、FTX破綻などの影響から市場全体が低迷しましたが、2023年はその反動として回復基調へ転換した年でした。年始のビットコイン(BTC)価格は200万円台でしたが、徐々に投資家心理が改善し、年末には約600万円まで上昇しています。

転換点:GrayscaleがSEC訴訟で勝利(2023年8月)

回復の大きなきっかけとなったのが、Grayscaleと米国証券取引委員会(SEC)との訴訟です。Grayscaleは、自社のGrayscale Bitcoin Trust(GBTC)を現物ビットコインETFへ転換する申請がSECに拒否されたことに対し、法的措置を取っていました。

Grayscaleは「SECは同様のビットコイン先物ETFを承認しているにもかかわらず、現物ETFを認めないのは合理的な説明を欠く」と主張。アメリカ合衆国控訴裁判所はこれを認め、SECの拒否決定を取り消すよう命じました。

この判決は、市場において「現物ビットコインETF承認は現実味を帯びてきた」という強い期待を生み、投資マインドを大きく押し上げました。

現物ビットコインETF承認期待が市場を押し上げる

この裁判結果以降、BlackRock、Fidelity、ARK Investなど大手金融機関が相次いでETF申請を提出。「伝統金融(TradFi)」がビットコイン市場に本格参入する舞台が整いつつあるという認識が広がりました。

この期待の高まりが買い需要を後押しし、ビットコイン(BTC)は2023年後半から明確な上昇トレンドへ。結果として、年末には約600万円まで価格が回復しました。

事象 内容 価格への影響
Grayscale訴訟勝利 SECのETF拒否判断が覆る ETF承認期待 → 買い需要増加
大手金融機関参入 BlackRock / Fidelity などが申請 「ビットコイン=公式な投資対象」の認識が拡大
市場心理の反転 「恐怖 → 期待」へ転換 200万円台 → 600万円台へ回復

2024年のビットコイン価格:現物ビットコインETFが承認され、半減期に向けて価格は過去最高を更新

1BTC = 約6,300,000円 〜 約11,000,000円
(1BTC = 約42,000〜73,000ドル|当時のドル円レート[1ドル = 約150円]で計算)

2024年はビットコイン(BTC)の歴史において、金融資産としての地位が一段と確立された年となりました。年始、米国証券取引委員会(SEC)は複数の現物ビットコインETFを正式に承認。これにより、ビットコインは株式や債券と同様に、証券口座を通じて直接購入できる資産となり、特に機関投資家による市場参加が大きく進展しました。

ETF承認はビットコイン市場にも透明性と制度的裏付けを与え、需要を大幅に押し上げました。承認後の数ヶ月で、ビットコインは力強い上昇トレンドへ突入し、過去最高値を更新。市場センチメントは強気に傾き、長期保有を志向する投資家が増える動きが見られました。

半減期を迎えたことで、供給面からも価格上昇圧力が強まる

2024年には、ビットコインの供給ペースが4年に一度縮小される半減期が実施されました。このタイミングで、マイニング報酬は6.25BTC → 3.125BTCに減少。新規供給が抑制されることで、需給バランスは中長期的に「価格上昇に有利」な構造となります。

BTC/JPYは「ドル建て価格 × 為替レート」で決まるため、円安が影響

2024年の特徴として、ビットコインの円建て価格(BTC/JPY)は為替の影響を強く受けた点が挙げられます。同年は円安が進行し、1ドル ≈ 150円前後で推移したため、ドル建てのビットコイン価格が同程度でも、円換算ではより高い価格として表示されました。

たとえば、

  • 1BTC = 60,000ドル → 1ドル = 110円 の場合:約660万円
  • 1BTC = 60,000ドル → 1ドル = 150円 の場合:約900万円
といったように、為替差だけで数百万円の差が生じることになります。

そのため、2024年の「BTCは日本円建てで史上最高値更新」は、①ドル建て価格の上昇に加えて、②円安が後押ししたことによるものです。

こうした制度・需給・為替が同時に作用したことで、2024年はビットコインが実需・金融商品・資産保全手段として世界市場に定着した象徴的な年となりました。

2025年のビットコイン価格:トランプ大統領就任により、米国は“ビットコイン大国”へ舵を切る

1BTC = 約12,300,000円 〜 約18,670,000円
(1BTC = 約78,000〜126,000ドル|当時のドル円レート[1ドル = 約150円]で計算)

2025年は、米国の暗号資産(クリプト)政策が大きな転換点を迎えた年となりました。新たにトランプ大統領が就任し、暗号資産産業を「国家戦略産業」として明確に位置づける政策が示されたことで、ビットコイン(BTC)への期待と資金流入が世界的に加速しました。

① 「ビットコインはアメリカが主導する」——国家戦略レベルへ

トランプ政権は、ビットコインを国際金融・エネルギー・産業の基盤となりうる戦略資産として捉え、従来の「規制対象としての暗号資産」から、国家競争力に直結する成長産業として政策方針を転換しました。

この転換により、

  • 暗号資産・ブロックチェーン企業の米国内誘致
  • ドル防衛と価値保存手段としてのBTC採用議論
  • 長期保有を前提とした金融機関向けルール整備
が一斉に加速し、“米国はビットコインの最前線に戻る”という強いメッセージが市場に伝わりました。

② 米国版「戦略的ビットコイン備蓄計画」案の浮上

米国はこれまで、金(ゴールド)を国家戦略備蓄として保有してきましたが、2025年にはこれに相当する“Bitcoin Strategic Reserve(ビットコイン戦略備蓄)”の構想が議論され始めました。

狙いは明確で、

  • 基軸通貨ドルの信認維持(通貨の価値防衛)
  • 国際金融市場でのリーダーシップの回復
  • 中国・中東諸国のBTC保有加速に対する主導権確保
といった地政学・金融戦略レベルの目的が背景にあります。

これにより、市場は「国家レベルでの資産保有が現実に起こりうる」という見方を強め、ビットコイン価格は一段と上昇圧力が高まりました。

③ 米国は“ビットコインマイニングとエネルギー政策”を結び始める

さらに、米国は余剰エネルギーの活用・電力インフラの安定化・再エネ投資促進を目的に、ビットコインマイニング産業をインフラ産業として組み込む政策を進めています。

  • 石油・天然ガス採掘時のフレアガスをマイニングに活用
  • テキサスを中心に再生可能エネルギー × マイニングハブを形成
  • マイニングは「電力需要調整装置(Grid Balancer)」として活用
これにより、米国は世界最大のビットコインハッシュパワー保有国としての地位をさらに強固にしています。

④ 価格形成:なぜビットコインは過去最高を更新したのか

2025年にかけてのビットコイン価格上昇は、投機的なものではなく、構造変化に基づく需要拡大によるものです。

主な上昇要因は、

  • 現物ETF → 機関資金が大量流入
  • 半減期 → 供給量が自然に減少
  • 米国が暗号資産産業を戦略産業に指定
  • 戦略的備蓄議論 → 国家による需要発生の可能性
であり、特に供給減 × 需要増が同時に発生したことで、価格は跳ね上がりました。

項目 内容 意味
政策転換 ビットコインが「国家戦略資産」に昇格 規制対象 → 産業保護対象へ
戦略備蓄構想 米国がBTCを準備資産として検討 ドル基軸の維持と地政学の再構築
マイニング政策 エネルギー政策と接続 BTCは金融 × 産業インフラへ
価格 1,200万円〜1,800万円帯まで上昇 供給減+機関資金+国家戦略が揃った結果
ビットコインの価格変動が起きやすい4つのタイミング

ビットコイン(BTC)の価格変動が起きやすい4つのタイミング

ビットコイン(BTC)を効果的に運用するなら、価格変動が起きる具体的なタイミングを押さえておくことが欠かせません。ビットコイン(BTC)をはじめ仮想通貨(暗号資産)では、以下のタイミングで価格変動が起きやすいとされています。

  1. ビットコイン(BTC)の利用できる範囲が広がるとき
  2. 行政や企業での利用やハッキング事件などがメディアで報道されるとき
  3. マイニングの報酬が半減する期間の影響があるとき
  4. 法定通貨への信用が低下したとき

各タイミングにおいて、ビットコイン(BTC)の価格がどう変動するか解説します。

1.ビットコイン(BTC)の利用できる範囲が広がるとき

ビットコイン(BTC)の利用できる範囲が広がった際、価格が上昇する傾向にあります。世界規模では多くの大手企業がビットコイン(BTC)決済を導入しており、その都度ビットコイン(BTC)の価格に影響を与えています。企業が決済手段に導入すると、市場や投資家からの注目度が高まり、ビットコイン(BTC)購入の動きが加速し需要が高まるためです。

直近の例では、GAFAMの一角であるマイクロソフトや大手決済サービスのPayPal、電気自動車メーカーのテスラによるビットコイン(BTC)決済導入の報道を受け、価格が上昇しました。

徐々に利用可能範囲が広がっているビットコイン(BTC)の普及度を調べるには、アクティブアドレス数を確認するといいでしょう。アクティブアドレスとは、一定期間内にウォレット間の送受金があるアドレスです。オンチェーン分析ができるglassnode studioによると、ビットコイン(BTC)の価格上昇と相関してアクティブアドレス数も増加しています。

また、企業が決済手段に導入した際だけではなく、法定通貨に採用された際もビットコイン(BTC)の価格は上昇します。

2021年9月、中南米のエルサルバドルでビットコイン(BTC)を法定通貨に採用する法律が施行されました。世界で初めて仮想通貨(暗号資産)が法定通貨に採用されたこともあり、大きな注目を集め、同年11月には史上最高額の約770万円を記録しています。

その後、中央アフリカやスイスのルガーノ市で法定通貨に採用されており、国をあげての普及が進んでいます。今後、大国でビットコイン(BTC)が法定通貨となるなら、大きな価格上昇を見せるでしょう。

2024年1月に米国証券取引委員会(SEC)によって現物ビットコインETFが承認されたことは、ビットコインの利用可能範囲を大幅に拡大しました。この承認により、ビットコインへの投資がより広い層の投資家、特に機関投資家にとってアクセスしやすくなったのです。

従来、ビットコインに投資する際には、デジタルウォレットを設定し、暗号通貨取引所で直接購入し、そのセキュリティを管理する必要がありました。これは、特に機関投資家にとっては、運用上のリスクや規制の複雑さが障壁となっていました。しかし、現物ビットコインETFの導入により、投資家は従来の証券口座を通じて、ETFを通じて間接的にビットコインに投資することができるようになりました。

このETFは、ビットコインを直接保有することなく、その価格動向に連動するリターンを得る方法を提供します。これにより、投資家はビットコインの保管やセキュリティに関する心配から解放され、また、税務や規制の面での取り扱いも簡単になります。さらに、ETFの形式であるため、価格の透明性が高まり、流動性も向上します。

このように、現物ビットコインETFの承認は、ビットコイン投資の新たな段階を象徴しており、暗号通貨が一般の投資商品としての地位を確固たるものにしていることを示しています。この変化は、ビットコインだけでなく、広範な暗号通貨市場においても、更なる資本の流入と投資の機会を生み出す可能性があります。

2.行政や企業での利用やハッキング事件などがメディアで報道されるとき

仮想通貨(暗号資産)に関する報道がメディアやニュースでされると、ビットコイン(BTC)をはじめ市場全体に影響を与えます。価格に好影響を及ぼすときもあれば、場合によっては価格が下がることもあるので、具体的な内容を把握しなければなりません。

例えば、行政や企業での利用が進んでいるニュースが報道されると、仮想通貨(暗号資産)の知名度が向上します。その結果「まずはビットコイン(BTC)を購入してみよう」「ビットコイン(BTC)には期待できる」などの変化が見られ、需要が高まり価格が高騰するでしょう。

一方で、仮想通貨(暗号資産)取引所のハッキング事件や流出事件などが報道されると、市場全体が冷え込み、価格が下落する可能性があります。

3.マイニングの報酬が半減する期間の影響があるとき

先述したようにビットコイン(BTC)には発行上限があり、4年に1度マイナーに支払われる報酬が半減します。

一般に、半減期が訪れた後は新規で発行される枚数が減り、希少価値が高まるため価格も上がりやすいとされています。実際、過去の半減期ではビットコイン(BTC)の価格は高騰しました。

しかし、マイニング報酬が減らされることでマイナーが減少することも懸念されています。そうなると、マイナーが資金のある団体や組織に限られることになり、ネットワークの安全性が低下します。この影響が強いと、半減期後に価格が低下する可能性も考えられるでしょう。

ビットコイン(BTC)の半減期は価格に影響を与える重要なイベントなので、市場動向を常にチェックすることが大事です。

4.法定通貨への信用が低下したとき

法定通貨への信用が低下したとき、資産の避難先としてビットコイン(BTC)が注目を集めるときがあります。

2013年3月、キプロスでの金融危機が起きた際、ビットコイン(BTC)は急激に高騰しました。ユーロへの信頼が落ち、ビットコイン(BTC)へ分散投資する機運が強まったためだとされています。

2023年には、取り付け騒ぎがSNSを中心に拡大した結果、シリコンバレー銀行が経営破綻に陥りました。一時的にステーブルコインと米ドルがディペッグした影響もあり、資金がビットコイン(BTC)に流れます。その結果、破綻した3月10日の価格は1BTC=約270万円だったのが、1週間後の3月17日には360万円にまで高騰しています。

ビットコイン(BTC)を預けて価格変動に対応しよう

本記事では、ビットコイン(BTC)の概要や特徴をはじめ、これまでの価格推移などを解説しました。

誕生当初はピザ2枚を10,000BTCと交換するほど、ほとんど通貨としての価値はなかったものの、その後は史上最高額約1870万円をつけるまで価格が高騰しています。法定通貨や決済手段に採用されたり、イーサリアム(ETH)の分散型システムのベースになったりと、その影響は計り知れません。今後にも期待し、運用を考えている方もいるでしょう。

しかし、ビットコイン(BTC)の歴史と価格変動のところで紹介したように、ビットコイン(BTC)は価格変動が大きい点には注意しなければなりません。現物取引では参入タイミングが良ければ利益を狙える一方、価格を正確に予測するのが難しい分、損失を出すリスクもあります。

そこでおすすめの運用方法が、保有する仮想通貨(暗号資産)を第三者に貸し出し利息を得るレンディングです。レンディングではプロの手に運用を任せられるため自分で運用する手間がかからず、銀行預金よりも高い利率で運用できます。

レンディングサービスを提供するBitLendingでは、以下の銘柄を表記の利率で運用できます。

ビットコインBTC

ビットコイン

BTC

8%

イーサリアム ETH

イーサリアム

ETH

8%

リップル XPP

リップル

XRP

7%

USテザー USDT

USテザー

USDT

10%

USDコイン USDC

USDコイン

USDC

10%

ダイ DAI

ダイ

DAI

10%

今回紹介したビットコイン(BTC)は年利8%で運用できるので、運用自体はプロの手に任せつつ利益をしっかり狙いたい方は、BitLendingのご利用をぜひご検討ください。

また、時価総額ランキング第2位のイーサリアム(ETH)や主要銘柄のリップル(XRP)、価格が安定して推移するステーブルコインのUSテザー(USDT)・USDコイン(USDC)・ダイ(DAI)も取り扱っています。ビットコイン(BTC)をはじめ、多くの銘柄を分散して運用したい方にもおすすめです。

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