ビットコイン(BTC)1週間の分析と見通し|米インフレ再燃と原油高リスクに警戒
当記事は今週(短期予想)のビットコインマーケットのテクニカル分析と見通しです。ビットコインの今後について短期から長期にわたる詳細な分析と見通しは、下記リンクもあわせてご覧ください。
【ビットコインマーケット総合予測】ビットコインの今後はどうなる?|直近のマーケットの見方と2026年以降の将来性・リスクをやさしく徹底解説
重要な経済指標発表の影響
先週の金融市場では、米国の物価指標が最大の注目材料となりました。米4月CPIは前年比+3.8%となり、前月の+3.3%から伸びが加速しました。食品とエネルギーを除くコアCPIも前年比+2.8%と、前月の+2.6%から上昇しています。
さらに、米4月PPIは前年比+6.0%となり、企業側の価格上昇圧力も強く意識される内容でした。特にエネルギー関連価格の上昇が目立ち、原油高が今後の物価に波及する可能性も警戒されています。
CPIとPPIがそろって上振れたことで、金融市場では「利下げ時期の後ずれ」だけでなく、「年内利上げ」の可能性も意識されやすい地合いとなりました。
ビットコインにとっては、インフレヘッジとしての買いが入りやすい場面もあります。ただし、短期的には米金利上昇がドル高やリスク資産のバリュエーション調整につながりやすく、BTCにとっては上値を抑える要因になりやすいと考えられます。
目立った価格の動きとその要因
週初は、トランプ大統領がイラン側の戦争終結提案を拒否したことを受け、中東情勢の長期化が意識され、株式市場・暗号資産市場ともに上値の重い展開となりました。
週央には、クラリティ法案が米上院銀行委員会で前進したことを受け、暗号資産関連銘柄やBTCに買い戻しが入る場面がありました。規制の不透明感が後退するとの期待が、暗号資産市場の支援材料になった形です。
ただし、週末にかけては米中首脳会談で中東情勢や原油価格をめぐる明確な進展が見られなかったことから、リスク回避姿勢が再び強まりました。結果として、株式市場、暗号資産、金銀など幅広い資産に売りが出る展開となりました。
BTCは規制面の好材料で一時的に支えられたものの、週末にかけては原油高・インフレ懸念・金利上昇観測というマクロ要因の影響を受けやすい展開となりました。
金融マーケットで注目すべき動きとその要因
金融市場全体では、原油価格の上昇が改めて大きなリスク要因として意識されています。中東情勢の停滞やホルムズ海峡をめぐる供給不安を背景に、原油価格が高止まりする場合、エネルギー価格を通じてインフレ期待が再燃しやすくなります。
この場合、「原油高 → インフレ懸念 → 米金利上昇 → 株式・暗号資産などリスク資産の調整」という流れが強まりやすくなります。特にBTCは、長期的には法定通貨価値の低下に対する代替資産として見られる一方、短期的にはNASDAQなど成長株と連動しやすい局面があります。
また、今週は米国の税還付シーズンが一巡することによる需給変化や、半導体関連株の上昇一服にも注意が必要です。AI・半導体関連の期待が株式市場を支えてきた分、エヌビディア決算をきっかけに材料出尽くし感が出る場合、BTCにもリスクオフの影響が波及する可能性があります。
規制リスク
暗号資産市場では、米クラリティ法案の進展が注目されました。クラリティ法案は、暗号資産が証券に該当するのか、商品に該当するのかという規制上の位置付けを整理し、SEC(米証券取引委員会)とCFTC(米商品先物取引委員会)の監督範囲を明確化することを目的とした法案です。
米上院銀行委員会は、H.R.3633「Digital Asset Market Clarity Act of 2025」を前進させました。これは暗号資産市場にとって、制度面の不透明感を和らげる可能性がある材料です。
ただし、今後は上院本会議での採決、関連委員会との調整、倫理条項やステーブルコイン利回り規制をめぐる議論が残ります。したがって、短期的には「期待先行の買い材料」として作用しやすい一方、内容が後退する場合や審議が長期化する場合には失望売りにつながる可能性もあります。
地政学リスク
地政学面では、中東情勢の長期化が引き続き最大の焦点です。イランをめぐる緊張が続き、原油供給への懸念が高まる場合、金融市場ではエネルギー価格上昇とインフレ再燃が同時に意識されやすくなります。
一般的に、地政学リスクが高まると金やドルなどの安全資産に資金が向かう傾向があります。BTCも一部では「デジタルゴールド」として意識されますが、短期的には流動性確保の売りやレバレッジ解消の影響を受けることがあります。
今週は、地政学リスクそのものよりも、それが原油価格・インフレ期待・米金利にどう波及するかを見る必要があります。
Sources:Consumer Price Index Summary – U.S. Bureau of Labor Statistics / Producer Price Index News Release – U.S. Bureau of Labor Statistics / Chairman Scott: Senate Banking Committee Advances CLARITY Act in Historic Bipartisan Vote / Markets begin eyeing Fed rate hike around turn of year – Reuters
免責事項(投資助言ではありません)
本記事は、ビットコイン(BTC)に関する情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買・投資行動を推奨するものではありません。暗号資産は価格変動が非常に大きく、短期間で大きな損失が発生する可能性があります。投資判断は必ずご自身の責任で行い、必要に応じて専門家へご相談ください。
また、記事内で扱う価格予測は、将来の価格を保証するものではありません。「当たる/外れる」ではなく、想定レンジと前提条件(何が起きたら強気・弱気に傾くか)を整理する材料として活用してください。
【BTC/JPY】日足で見る今後1週間のテクニカル分析

現状の認識と結論
BTC/JPY日足では、足元の価格が1,220万円台にあり、短期の上昇トレンドがいったん失速している局面です。直近では、1,240万円台の短期移動平均線を下回り、1,210万円台の中長期移動平均線に接近しています。
今週は、1,210万円台を明確に維持できるか、それとも1,200万円割れを試すかが重要な分岐点になりそうです。
MACDはシグナルを下回る形となっており、ヒストグラムもマイナス圏にあります。これは、上昇モメンタムが鈍化し、短期的には調整圧力が残りやすいことを示します。
日足チャートで確認したいポイント
日足チャートでは、4月以降の反発局面で上昇基調を維持してきたものの、5月中旬にかけて上値が重くなっています。短期移動平均線を下回ったことで、買いの勢いは一服していると見られます。
- 1,240万円台を早期に回復できる場合、短期調整にとどまる可能性があります。
- 1,210万円台を維持できる場合、押し目形成から再度上値を試す展開が想定されます。
- 1,200万円を明確に割り込む場合、1,150万円台方向への調整リスクが高まります。
BTC/USDの日足も短期的な勢いの鈍化が見られるため、円建てだけでなくドル建てでも調整色が強まっている点には注意が必要です。
今後1週間の重要ライン
今週のBTC/JPYは、下値では1,210万円台と1,200万円、上値では1,240万円台と1,300万円台が重要な価格帯になります。
- 上値メド:1,240万円台。ここを回復できるかが、短期反発の第一条件です。
- 次の上値メド:1,300万円台。回復できれば、再び上昇基調への復帰が意識されます。
- 下値メド:1,210万円台。ここを維持できるかが、今週の地合い判断の中心です。
- 警戒ライン:1,200万円。明確に割り込むと、短期の投げ売りやレバレッジ解消が出やすくなります。
シナリオ別:今後1週間の見立て
今週は、マクロ環境の不透明感が強いため、単純な上昇シナリオではなく、条件分岐で見ていく必要があります。
- 強気シナリオ:1,210万円台を維持し、1,240万円台を回復する場合、短期調整が一巡したとの見方が強まり、1,300万円台方向を試す可能性があります。
- 中立シナリオ:1,200万円台前半で推移し、MACDの悪化が止まる場合、方向感を探るもみ合いが続く可能性があります。この場合、今週の経済イベントや原油価格の動向が次の材料になります。
- 弱気シナリオ:1,200万円を明確に割り込む場合、1,150万円台方向への調整が意識されます。原油高や米金利上昇が続く場合、BTC単独の材料では下支えしにくい局面になる可能性があります。
現時点では、上昇再開を決め打ちするよりも、1,210万円台の攻防を確認しながら、1,200万円割れの有無を慎重に見る局面です。
チェック項目
- 1,210万円台を終値ベースで維持できるか
- 1,240万円台を回復できるか
- MACDの下向きが止まり、ヒストグラムのマイナス幅が縮小するか
- 原油価格の高止まりが続くか
- 米金利上昇がNASDAQや暗号資産市場に波及するか
- クラリティ法案をめぐる上院本会議・関連委員会の議論に進展があるか
まとめ
BTC/JPY日足は、4月以降の反発基調を完全に崩したわけではありませんが、短期移動平均線を下回り、MACDも弱含んでいるため、今週は慎重な相場認識が必要です。
規制面ではクラリティ法案の進展が支援材料となる一方、マクロ環境では米インフレ再燃、原油高、金利上昇観測が重荷になっています。したがって、今週のBTCは「規制期待による下支え」と「リスク資産全体の調整圧力」の綱引きになりやすいと考えられます。
Sources:TradingView BTC/JPY日足+MACDスクリーンショット(2026.05.18 15:05 JST) / TradingView BTC/USD日足+MACDスクリーンショット(2026.05.18 15:05 JST)
今週の経済イベント
| 月 | 日 | 曜日 | 日本時間 | 国 | 経済イベント | 重要度 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 05 | 18 | 月 | 10:30 | 中国 | 新築住宅販売価格 4月 | ★★★☆☆ |
| 05 | 18 | 月 | 11:00 | 中国 | 小売売上高、鉱工業生産指数 4月 | ★★★★☆ |
| 05 | 19 | 火 | 08:50 | 日本 | 2026年第1四半期実質GDP | ★★★★☆ |
| 05 | 19 | 火 | 13:30 | 日本 | 鉱工業生産指数 3月 | ★★★☆☆ |
| 05 | 19 | 火 | 23:00 | 米国 | 中古住宅販売成約指数 4月 | ★★★★☆ |
| 05 | 19 | 火 | - | G7 | G7 財務相、中央銀行総裁会議(18日-19日) | - |
| 05 | 20 | 水 | 18:00 | ユーロ圏 | 消費者物価指数(HICP)4月 | ★★★★☆ |
| 05 | 20 | 水 | 27:00 | 米国 | FOMC(連邦公開市場委員会)議事録 | ★★★★★ |
| 05 | 21 | 木 | 17:00 | ユーロ圏 | 製造業・サービス業 PMI(購買担当者景気指数)5月 | ★★★★☆ |
| 05 | 21 | 木 | 21:30 | 米国 | 住宅着工件数 4月 | ★★★★☆ |
| 05 | 21 | 木 | 21:30 | 米国 | 新規失業保険申請件数 5/10-5/16 | ★★★★☆ |
| 05 | 21 | 木 | 21:30 | 米国 | フィラデルフィア連銀景況指数 5月 | ★★★★☆ |
| 05 | 21 | 木 | 22:45 | 米国 | 製造業・サービス業 PMI5月 | ★★★★★ |
| 05 | 22 | 金 | 08:30 | 日本 | 全国消費者物価指数(CPI)4月 | ★★★★☆ |
| 05 | 22 | 金 | 23:00 | 米国 | ミシガン大学消費者信頼感指数 5月 | ★★★★☆ |
注目イベントの理由
今週は、米FOMC議事録、欧米のPMI、日本の全国CPI、米住宅関連指標、G7財務相・中央銀行総裁会議などが注目されます。特に、米国でインフレ再燃が意識されるなか、FOMC議事録で金融当局が物価上振れや原油高リスクをどの程度警戒しているかが焦点になります。
- 5月18日(月):中国の新築住宅販売価格、小売売上高、鉱工業生産指数。中国景気の減速懸念が強まる場合、リスク資産全体の重荷になる可能性があります。
- 5月19日(火):日本の2026年第1四半期実質GDP、鉱工業生産指数、米中古住宅販売成約指数。日本経済や米住宅市場の鈍化が確認される場合、為替や金利に影響する可能性があります。
- G7財務相・中央銀行総裁会議:今週は、G7で各国の財政・金融政策、為替、インフレ、地政学リスク、対中政策などが議論される可能性があります。声明や要人発言で「インフレ抑制を優先する姿勢」が強く示される場合は、金利上昇観測を通じて株式やBTCの上値を抑える要因になりやすい一方、金融安定や市場混乱への配慮が示される場合は、リスク資産の下支え材料になる可能性があります。
- 5月20日(水):ユーロ圏HICP、米FOMC議事録。米国の利上げ観測がさらに強まるかどうかを見極める材料になります。
- 5月21日(木):ユーロ圏・米国のPMI、米住宅着工件数、新規失業保険申請件数、フィラデルフィア連銀景況指数。景気減速とインフレが同時に意識される場合、スタグフレーション懸念が強まる可能性があります。
- 5月22日(金):日本の全国CPI、米ミシガン大学消費者信頼感指数。インフレ期待や消費者心理の悪化が見られる場合、株式・暗号資産市場のリスク回避につながる可能性があります。
今週の見通しのまとめ
今週のBTCは、クラリティ法案の進展という暗号資産固有の好材料を抱えつつも、米インフレ再燃、原油高、米金利上昇観測が上値を抑えやすい相場です。短期的には、規制面の期待だけで上昇を継続するというよりも、株式市場や米金利、原油価格の動きに左右されやすい1週間になると考えられます。
特に注意したいのは、「原油価格の高止まり → インフレ懸念の再燃 → 米金利上昇 → リスク資産の調整」という流れです。米CPIとPPIがそろって強い内容となった直後だけに、原油高が続く場合は、FRBの利下げ期待がさらに後退し、場合によっては利上げ観測が意識される展開も想定されます。この場合、NASDAQなど成長株の調整を通じて、BTCにも売り圧力が波及しやすくなります。
一方で、クラリティ法案の進展は、BTCや暗号資産市場にとって中期的な支援材料です。米国でSECとCFTCの監督範囲が整理される方向に進めば、取引所、カストディ、ETF、機関投資家の参入環境が整いやすくなります。ただし、今週の相場では法案の期待が下値を支える可能性はあるものの、マクロ環境の悪化を一気に打ち消すほどの材料になるかは慎重に見る必要があります。
テクニカル面では、BTC/JPYが1,200万円台を維持できるかが第一の焦点です。1,210万円台を保ちながら下げ渋る場合は、短期的な押し目形成として見られやすく、1,240万円台の回復を試す展開が想定されます。反対に、1,200万円を明確に割り込む場合は、短期筋の損切りやレバレッジ解消が入りやすくなり、1,150万円台方向への調整リスクが高まります。
今週の上昇シナリオは、中東情勢の緊張緩和、原油価格の落ち着き、米金利上昇の一服、精度面の追い風を評価しつつも、短期的には原油高・米金利・株式市場の調整というマクロリスクを優先して確認する局面です。
したがって、基本スタンスとしては、BTC/JPYが1,200万円台を維持できるかを軸に、1,210万円台で下げ止まるなら中立からやや強気、1,240万円台を回復するなら上昇再開期待、1,200万円を割り込むなら調整継続に警戒、という条件分岐で見ていく1週間になりそうです。
Sources:Calendar of Economic Release Dates – Scotiabank / Economic Calendar – Trading Economics / CME FedWatch Tool – CME Group