今週の結論
今週のビットコイン(BTC)は、先週後半から週末にかけての下落を受け、買い戻しが続くかを見極める局面です。最大の焦点は、日本時間10月29日未明のFOMCの結果発表とFRB議長会見、その後に発表される米GDP速報値と9月のPCE物価指数です。政策金利の決定に加え、今後の追加利上げに対する姿勢が、金利やドルを通じてBTCの方向感を左右する可能性があります。
強気に傾く条件は、インフレへの警戒が和らぎ、米金利の上昇が落ち着くとともに、主要ハイテク企業の決算がAI投資の収益化への不安を和らげることです。一方、物価の上振れや追加引き締めへの警戒、企業決算への失望、地政学リスクの高まりが重なる場合には、下値を探る展開への注意が必要です。
先週の振り返り
先週のBTCは、週初の8万2,000ドル前後から週央にかけて上昇したものの、その勢いを維持できず反落しました。米国時間21日夜から日本時間22日朝にかけて8万4,800ドル近辺を付けた後、8万2,000ドル台へ下落。さらに週末には8万ドルを下回る場面もあり、週央までの買い優勢から、リスクを抑える動きへと流れが変わりました。
価格は1BTC当たりの米ドル建て概数。対象期間は10月19日〜25日(日本時間)で、本文は期間中の値動きを示しています。取引所や日次集計の区切りで差が出るため、厳密な週足の始値・終値としては扱っていません。出典:BTC/USD価格履歴、CoinDesk・週央の市場動向。
決算への期待から、AI投資の採算を見極める展開へ
週前半から週央にかけては、主要企業の決算に対する期待を背景にBTCも上値を試しました。しかし、テスラとメタの決算発表後にはハイテク株先物が軟化し、BTCも上昇分を縮めています。企業業績への期待だけでは、上値を維持しきれない展開でした。
メタは2026年の設備投資について、ファイナンスリース元本返済を含めて1,350億〜1,450億ドルを見込むと発表しました。巨額の投資が続くなか、市場が確認したいのは投資額の大きさだけでなく、それが売上や利益、資金創出力にどの程度つながるかです。なお、決算直後の株価反応は企業ごとに異なり、「AI投資の拡大が一律に売り材料になった」とは言い切れません。BTCについても、企業決算だけで下落の原因を説明せず、株式市場全体のリスク選好の変化と合わせて捉える必要があります。
週末の8万ドル割れで、下値固めの確認が必要に
週後半の下落に続き、日本時間24日夜にはBTCが7万9,700ドル近辺まで下落したと報じられました。同時に、中東で米国関係者の退避が進められているとの報道もあり、地政学リスクへの警戒が市場の重荷になったとみられます。
このため、今週の出発点を「8万ドル台を安定して維持している状態」と決めつけることはできません。節目を回復するかだけでなく、回復後に売りを吸収できるか、悪材料が出ても安値更新を避けられるかが、下値固めを判断する材料になります。
出典:CoinDesk・10月24日の市場動向。地政学情勢と価格変動の因果関係については、市場への影響の解釈を含みます。
今週の経済イベント
対象は10月26日(月)〜30日(金)です。日時は日本時間で記載しています。FOMCは米国現地時間27〜28日の開催で、結果発表は日本時間29日未明となります。
| 月 | 日 | 曜日 | 日本時間 | 国 | 経済イベント | 重要度 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 10 | 26 | 月 | 時刻未公表 | 中国 | 中国共産党第20期中央委員会第5回全体会議(5中全会、29日まで) | ★★★☆☆ |
| 10 | 26 | 月 | 23:30 | 米国 | ダラス連銀製造業活動指数 10月 | ★★☆☆☆ |
| 10 | 27 | 火 | 21:30 | 米国 | 耐久財受注 9月・速報値 | ★★★☆☆ |
| 10 | 27 | 火 | 22:00 | 米国 | S&Pコータリティ・ケースシラー住宅価格指数 8月 | ★★★☆☆ |
| 10 | 27 | 火 | 23:00 | 米国 | コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 10月 | ★★★★☆ |
| 10 | 27 | 火 | 23:00 | 米国 | 新築住宅販売件数 9月 | ★★★☆☆ |
| 10 | 27 | 火 | 23:00〜23:10 | 米国 | リッチモンド連銀製造業指数 10月 | ★★☆☆☆ |
| 10 | 28 | 水 | 開催中 | 米国 | FOMC開催(米国現地時間27〜28日、結果発表は日本時間29日) | ★★★★☆ |
| 10 | 29 | 木 | 03:00 | 米国 | FOMC政策金利・声明発表 | ★★★★★ |
| 10 | 29 | 木 | 03:30 | 米国 | FRB議長記者会見 | ★★★★★ |
| 10 | 29 | 木 | 早朝・米国市場引け後 | 米国 | アルファベット、マイクロソフト決算発表 | ★★★★☆ |
| 10 | 29 | 木 | 21:30 | 米国 | 実質GDP 2026年第3四半期・速報値 | ★★★★★ |
| 10 | 29 | 木 | 21:30 | 米国 | 個人所得・個人消費支出、PCE物価指数 9月 | ★★★★★ |
| 10 | 29 | 木 | 21:30 | 米国 | 新規失業保険申請件数 10月24日終了週 | ★★★☆☆ |
| 10 | 29 | 木 | 22:15 | ユーロ圏 | ECB政策金利発表 | ★★★★☆ |
| 10 | 30 | 金 | 早朝・米国市場引け後 | 米国 | アマゾン、インテル決算発表 | ★★★★☆ |
| 10 | 30 | 金 | 時刻未定 | 日本 | 日本銀行金融政策決定会合・結果発表、展望レポート基本的見解(会合は29〜30日) | ★★★★★ |
| 10 | 30 | 金 | 15:30 | 日本 | 日本銀行総裁記者会見 | ★★★★☆ |
| 10 | 30 | 金 | 21:30 | 米国 | 雇用コスト指数 2026年第3四半期 | ★★★★☆ |
| 10 | 30 | 金 | 22:45 | 米国 | シカゴ購買部協会景気指数 10月 | ★★★☆☆ |
日程出典:FRB、米商務省BEA、ニューヨーク連銀、FRED・住宅価格指数日程、リッチモンド連銀、ECB会合日程、ECB発表時刻、日本銀行、米労働統計局、中国教育部掲載・新華社発表、Scotiabank経済カレンダー。
企業決算出典:決算カレンダー、マイクロソフト、アマゾン、インテル。早朝と記載した企業決算は、説明会の開始時刻とは異なります。日程は10月26日時点の公表予定で、変更される場合があります。重要度はBTC市場への波及を考慮した編集上の評価です。
注目のイベント
今週は金融政策、物価・景気指標、企業決算が集中します。一つの結果だけで方向を決めず、その後の発表によって市場の評価が変わる可能性も意識したいところです。
FOMCは金利決定と、その後の追加引き締め姿勢を確認
FOMCでは政策金利の据え置きを見込む声がある一方、その後の利上げの必要性をFRBがどう説明するかが焦点になります。声明とウォーシュFRB議長の会見では、インフレへの評価、景気・雇用への認識、追加の政策調整を判断する条件を確認したいところです。
据え置きでも、今後の利上げに積極的な姿勢が示されれば、米金利上昇やドル高を通じてBTCの重荷になり得ます。反対に、追加引き締めに慎重な姿勢が示され、金利上昇への警戒が和らげば、買い戻しを支える可能性があります。
仮に利上げが実施されても、「将来の利上げが前倒しされたので好材料」とは直ちに判断できません。今回の判断で十分だという説明なのか、さらに引き締めが必要だという説明なのかによって意味は変わります。会見後の米国債利回りとドル、株式市場の反応まで合わせて確認することが重要です。
出典:FRB・10月の予定、AP・今週の金融政策と経済指標の展望。BTCへの波及経路と条件分岐は筆者の分析です。
米GDP・PCEは、景気の底堅さと物価圧力の組み合わせが重要
29日21時30分には、米国の第3四半期GDP速報値と9月の個人所得・個人消費支出が発表されます。GDPでは個人消費など内需の強さ、PCE物価指数では総合と食品・エネルギーを除くコアの前月比、前年比に注目します。同時発表のため、景気と物価を組み合わせた評価が必要です。
景気が大きく崩れず、物価の伸びが市場予想を下回れば、追加引き締めへの警戒が和らぎ、BTCを含むリスク資産を支えやすくなります。一方、強い需要と物価の上振れが重なれば、金利の高止まりを意識させる可能性があります。
ただし、景気指標の弱さが常にBTCの好材料になるわけではありません。景気悪化への不安が強まれば、金利が低下してもリスク回避の売りが優勢になる場合があります。翌30日の雇用コスト指数も、賃金などを通じた物価圧力が残っているかを確認する材料です。
主要企業の決算は、AI投資を利益につなげる道筋に注目
日本時間29日早朝のアルファベットとマイクロソフト、30日早朝のアマゾンとインテルの決算では、AI関連の需要、設備投資計画、利益率やキャッシュフローの見通しが注目されます。先週は投資の採算に対する不安が相場の重荷となっただけに、売上拡大と投資負担の両面を確認する必要があります。
投資拡大に見合う需要や収益の伸びが示され、株式市場の評価が改善すれば、リスク選好の回復を通じてBTCにも追い風となる可能性があります。逆に、投資負担が増す一方で収益見通しが弱ければ、ハイテク株の調整がBTCにも波及し得ます。決算数値だけでなく、事前予想との差と発表後の株価反応が判断材料です。
出典:上記イベント表の企業決算出典。投資負担・収益化を確認する意義とBTCへの波及は筆者の分析です。
日銀・ECBは為替と資金調達環境への波及を見極める
29日のECB政策金利発表と、30日の日銀会合の結果・展望レポート・総裁会見にも注意が必要です。日銀では今後の政策調整に対する姿勢が、円相場や日本の金利を通じて市場に波及する可能性があります。予想以上に引き締めに積極的な内容なら、円で調達した資金を用いる取引の縮小などが、リスク資産の重荷になる場合があります。
また、円建てBTC価格は、ドル建てBTC価格に加えてドル円相場の影響も受けます。円高が進めば、ドル建て価格が持ち直しても円建ての上昇は抑えられる可能性があります。ECBについても、政策判断がユーロとドルの関係をどう変えるかを確認し、BTCへの影響を一方向に決めつけないことが大切です。
今後の見通し
先週は、週央までの上昇が決算後の市場心理の変化と週末の地政学リスクへの警戒によって崩れました。そのため、今週は価格が一時的に反発するかよりも、反発を支える環境が整うかを確認することが重要です。8万ドルという節目の回復だけで下値固めが完了したとせず、その後も買いが続くかを見極めたいところです。
上昇を支える組み合わせは、FOMC後に追加引き締めへの警戒が和らぎ、PCEで物価圧力の落ち着きが確認され、企業決算がAI投資の収益化への信頼を回復させることです。ただし、FOMC直後の反応は、翌日以降の経済指標や決算によって変わる可能性があります。米金利、ドル、ハイテク株とBTCの反応が整合しているかを確認する必要があります。
反対に、物価の上振れと引き締めへの警戒が強まり、決算への失望や中東情勢への不安も続く場合には、下落が長引く可能性があります。今週をあらかじめ「下値固めの週」と決めず、金融政策、物価、企業収益、地政学リスクの変化に応じて見方を更新する姿勢が求められます。具体的な支持線・抵抗線などのチャート分析は、以下の別ページをご確認ください。
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