ビットコイン週間相場レポート|CPI・PPIと米国・イラン和平交渉が焦点
免責事項(投資助言ではありません)
本記事は、ビットコイン(BTC)に関する情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買・投資行動を推奨するものではありません。暗号資産は価格変動が非常に大きく、短期間で大きな損失が発生する可能性があります。投資判断は必ずご自身の責任で行い、必要に応じて専門家へご相談ください。
また、記事内で扱う価格見通しは、将来の価格を保証するものではありません。「当たる/外れる」ではなく、想定レンジと前提条件(何が起きたら強気・弱気に傾くか)を整理する材料として活用してください。
総括・結論
先週の米国株は、米国とイランの交渉進展への期待、原油価格の落ち着き、企業業績、弱い米雇用統計を受けた利上げ観測の後退などを背景に、主要3指数がそろって大幅上昇しました。週間ではNYダウが1,551.51ドル(3.0%)、S&P500が267.92ポイント(3.6%)、NASDAQ総合指数が1,316.76ポイント(5.2%)上昇しています。
ビットコイン(BTC)も先週初めの6万3,000ドル前後から上昇し、週末には6万5,000ドル前後へ到達しました。8月10日の執筆時点では6万5,000ドル前後(約1,030万円前後)で推移しています。ただし、株式市場の大幅高と比べるとBTCの上昇は緩やかであり、米国株の強さがそのままBTCへ波及したとは言い切れません。
結論からいえば、今週は「6万5,000ドル前後を維持して上値を伸ばせるか」を確認する局面です。上昇を支える条件は、米CPI・PPIがインフレ再加速を示さず、米国債利回りが低下または安定すること、米国とイランの交渉が具体的に前進することです。反対に、物価指標が市場予想を上回る場合や、ホルムズ海峡を巡る緊張から原油価格が再上昇する場合は、利上げ警戒が強まり、BTCの上値を抑える可能性があります。
先週の雇用統計では非農業部門雇用者数が2万3,000人減少し、市場予想を大きく下回りました。これを受けて利上げ観測は後退しましたが、雇用減は景気の弱さも示します。そのため、「弱い経済指標なら必ずBTCにプラス」とは限りません。今週はCPI・PPIの数字だけでなく、発表後の米国債利回り、ドル、NASDAQ、BTCの反応をセットで確認する必要があります。
| 確認項目 | 現在の状況 |
|---|---|
| 先週のBTC | 6万3,000ドル前後から6万5,000ドル前後へ上昇 |
| 先週の米国株 | 主要3指数が週間で3.0~5.2%上昇 |
| 今週の重要材料 | 8月12日のCPI、13日のPPI、14日のミシガン大学消費者信頼感指数、米国・イラン交渉 |
| 基本的な見方 | 6万5,000ドル前後を維持できれば上値を試す余地、維持できなければ6万4,000ドル台への反落に注意 |
《出典》
AP通信「How major US stock indexes fared Friday 8/7/2026」
CoinGecko「Bitcoin Price History」
米労働省労働統計局「Employment Situation Summary」
先週の振り返り
先週は、米国株が週初めから大きく上昇した一方、BTCは6万3,000~6万5,000ドル台の範囲で段階的に値を戻しました。米国とイランの交渉、原油価格、米経済指標、FRB関係者の発言が交錯し、日によって相場の焦点が変わった1週間です。
8月3日:米国株は原油安を好感、BTCは6万3,000ドル台
3日(月)の米国株は大幅に上昇しました。NYダウは約693ドル(1.3%)、S&P500は110.78ポイント(1.5%)、NASDAQ総合指数は2.1%上昇しています。米国とイランの交渉に対する期待から原油価格が落ち着き、インフレへの警戒がやや和らいだことが株式市場を支えました。
同日に発表された7月のISM製造業景況指数は55.6となり、6月の53.3から2.3ポイント上昇しました。これは2022年5月以来の高水準です。新規受注、生産、雇用はいずれも拡大を示しましたが、仕入価格指数は71.1と依然高く、景気の強さとインフレ圧力の両方を示す内容でした。
一方、クラリティ法案は上院の審議日程に入らず、夏季休会前の進展期待が後退しました。ただし、BTCは同日におおむね6万3,000ドル台で推移しており、法案日程だけを値動きの原因と断定することはできません。
《出典》
AP通信「US stocks rally near a record as falling oil prices ease Wall Street’s worries about inflation」
Institute for Supply Management「July 2026 ISM Manufacturing PMI Report」
CoinDesk「U.S. Senate puts off crypto Clarity Act for now」
8月4日:企業業績と原油安で米国株が最高値、BTCは6万4,000ドル台へ
4日(火)の米国株は、企業業績と原油価格の低下を背景に上昇し、主要指数は最高値を更新しました。NYダウは約907ドル(1.7%)、NASDAQ総合指数は2.6%上昇しています。半導体株の上昇もS&P500とNASDAQを押し上げました。
同日に発表された6月のJOLTS求人件数は735万9,000件となり、前月から17万8,000件減少しました。求人は減少したものの、急激な雇用悪化を示す水準とまではいえず、市場は翌日のADP雇用統計と7日の雇用統計を待つ展開となりました。
BTCは6万3,000ドル台から6万4,000ドル台へ上昇しました。ただし、株式市場より値動きは小さく、米国株と同じ勢いで上昇したわけではありません。
《出典》
AP通信「US stocks hit records as profits keep piling up for Palantir and others, while oil prices ease」
米労働省労働統計局「Job Openings and Labor Turnover Summary」
CoinGecko「Bitcoin Price History」
8月5日:弱いADP雇用統計と利上げ発言が交錯、BTCは6万4,000ドル台後半
5日(水)に発表されたADP雇用統計では、7月の民間雇用者数が4万4,000人増となりました。雇用は減少していませんが、6月の9万8,000人増を下回り、民間部門の雇用増加ペースが鈍ったことを示しました。
同日にはミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が、インフレを抑えるため政策金利を小幅に引き上げ始める必要があるとの考えを示しました。弱い雇用指標は利上げ観測を後退させる材料ですが、FRB内にはインフレ抑制を優先する意見も残っています。
米国株はまちまちで、NASDAQ総合指数は0.8%下落しました。BTCは一時6万4,000ドル台後半まで上昇し、終盤も6万4,000ドル台で推移しました。雇用指標だけで上昇したと断定せず、米国債利回りや中東情勢とあわせてみる必要があります。
《出典》
ADP Media Center「ADP National Employment Report」
AP通信「US stocks hold near records on hopes of an agreement with Iran」
ミネアポリス連邦準備銀行「Statement on My FOMC Dissent」
8月6日:原油高と決算を受け米国株は小幅安、BTCは底堅く推移
6日(木)の米国株は、週前半の大幅上昇後に小幅下落しました。原油価格の上昇と企業決算への反応が重なり、NYダウは0.9%、S&P500は0.2%、NASDAQ総合指数は0.1%下落しています。ブレント原油は3.8%上昇して1バレル82.49ドルとなり、中東情勢がインフレへ及ぼす影響が再び意識されました。
BTCは6万4,000ドル台を中心にもみ合いました。米国株が小幅に下落するなかでも大きく崩れなかった点は底堅さを示しますが、翌日の米雇用統計を控えて積極的に上値を追う動きも限られました。
《出典》
AP通信「US stocks edge lower as oil prices rise and more earnings reports roll in」
CoinGecko「Bitcoin Price History」
8月7日:米雇用者数は2万3,000人減、利上げ観測が後退
7日(金)に発表された7月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月から2万3,000人減少しました。市場では8万5,000人程度の増加が予想されていたため、大幅な下振れです。6月分も5万7,000人増から2万人増へ、5月分も12万9,000人増から6万3,000人増へ下方修正されました。
雇用の弱さを受けて米国債利回りは低下し、FRBによる追加利上げを急ぐ必要が薄れたとの見方から米国株は上昇しました。S&P500は0.6%、NASDAQ総合指数は1.3%、NYダウは0.3%上昇しています。
BTCも一時6万5,000ドル台へ上昇しました。ただし、雇用者数の減少は景気悪化リスクでもあります。今後、企業業績や個人消費まで弱くなる場合は、利上げ観測の後退より景気不安が優勢となり、BTCを含むリスク資産に逆風となる可能性があります。
《出典》
米労働省労働統計局「Employment Situation Summary」
AP通信「US stocks jump as employers unexpectedly cut 23,000 jobs」
CoinGecko「Bitcoin Price History」
テクニカル分析は別ページへ移行しました
さらに専門的なチャート分析をお届けするため、本記事でのテクニカル分析パートを切り離し、別ページにて掲載することといたしました。
最新のビットコイン(BTC)テクニカル分析や詳細な価格予測は、以下のリンクよりご確認いただけます。
今週の経済イベント
| 月 | 日 | 曜日 | 日本時間 | 国 | 経済イベント | 重要度 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 08 | 10 | 月 | 08:50 | 日本 | 国際収支6月(貿易収支、経常収支) | ★★☆☆☆ |
| 08 | 11 | 火 | 23:00 | 米国 | 中古住宅販売件数7月 | ★★★☆☆ |
| 08 | 12 | 水 | 21:30 | 米国 | 消費者物価指数(CPI)7月 | ★★★★★ |
| 08 | 13 | 木 | 18:00 | ユーロ圏 | 鉱工業生産指数6月 | ★★☆☆☆ |
| 08 | 13 | 木 | 21:30 | 米国 | 新規失業保険申請件数8/2-8/8 | ★★★☆☆ |
| 08 | 13 | 木 | 21:30 | 米国 | 生産者物価指数(PPI)7月 | ★★★★☆ |
| 08 | 14 | 金 | 18:00 | ユーロ圏 | 2026年第2四半期GDP | ★★★★☆ |
| 08 | 14 | 金 | 21:30 | 米国 | 小売売上高7月 | ★★★★★ |
| 08 | 14 | 金 | 23:00 | 米国 | ミシガン大学消費者信頼感指数8月 | ★★★★☆ |
注目のイベント解説
今週は、12日の米CPI、13日の米PPI、14日のミシガン大学消費者信頼感指数が、米国のインフレと金融政策を判断する重要材料です。加えて、米国とイランの交渉がホルムズ海峡の航行再開や原油価格の安定につながるかも、BTCの方向を考えるうえで重要です。
8月12日:米消費者物価指数(CPI)
米労働省労働統計局は、12日午前8時30分(米東部時間)に7月のCPIを発表します。市場では、総合CPIが前年同月比3.4%程度となり、6月の3.5%からわずかに伸びが鈍ると予想されています。ただし、市場予想は発表前に変化するため、実際の結果との差を確認する必要があります。
CPIが予想を下回り、米国債利回りも低下すれば、追加利上げへの警戒が後退し、BTCを支える可能性があります。反対に、CPIが予想を上回った場合は、先週の弱い雇用統計よりインフレ懸念が重視され、金利上昇を通じてBTCの上値を抑える可能性があります。
CPI発表後に確認したいこと
- 総合CPIだけでなく、食品とエネルギーを除くコアCPIが鈍化したか
- 米国債利回りとドルが上昇したか、低下したか
- BTCが6万5,000ドル前後を維持できるか
《出典》
米労働省労働統計局「Schedule of Selected Releases for August 2026」
AP通信「US stocks jump as employers unexpectedly cut 23,000 jobs」
8月13日:米生産者物価指数(PPI)
13日には7月のPPIが発表されます。PPIは、企業が販売する商品やサービスの価格変化を示す指標です。原油、輸送費、関税、半導体などの価格上昇が企業の販売価格へどの程度波及しているかを確認できます。
先週発表されたISM製造業景況指数では、仕入価格指数が71.1と高い水準にありました。PPIでも物価上昇圧力が確認されれば、CPIが落ち着いていても追加利上げへの警戒が残る可能性があります。反対にPPIも鈍化すれば、インフレが徐々に減速しているとの見方を補強します。
《出典》
米労働省労働統計局「Schedule of Selected Releases for August 2026」
Institute for Supply Management「July 2026 ISM Manufacturing PMI Report」
8月14日:ミシガン大学消費者信頼感指数
14日には、8月のミシガン大学消費者信頼感指数の速報値が発表されます。指数そのものに加え、消費者が予想する1年先と長期のインフレ率が重要です。
7月の確報値では消費者信頼感指数が55.2となり、6月の49.5から改善しました。一方、1年先の期待インフレ率は4.2%と、6月の4.6%から低下したものの高い水準にあります。8月も期待インフレ率が低下すれば金利面ではBTCの支えとなる可能性がありますが、再上昇すればFRBのインフレ警戒を強める材料になります。
米国・イラン交渉:ホルムズ海峡の航行再開につながるか
米国とイランの交渉では、ホルムズ海峡を巡る合意が焦点です。イランとオマーンは船舶の新たな航行ルートについて協議していますが、交渉が進んでいることと、海峡が実際に全面再開することは同じではありません。
合意によって航行不安が和らぎ、原油価格が低下すれば、インフレと米国債利回りの上昇を抑え、株式やBTCを支える可能性があります。一方、協議が難航したり攻撃が再開したりすれば、原油高とインフレ警戒を通じてBTCの逆風となる可能性があります。
中東情勢で確認したい3点
- 米国とイランが攻撃停止を維持できるか
- ホルムズ海峡の航行再開について具体的な合意が示されるか
- 合意期待が実際の原油価格低下につながるか
《出典》
AP通信「A deal with Iran over the Strait of Hormuz may require a compromise from Trump」
AP通信「More details emerge on the Strait of Hormuz and other Mideast news」
今週の見通しの総括
今週のBTCは、6万5,000ドル前後を維持し、上値を伸ばせるかを確認する週です。8月10日の執筆時点では約6万5,000ドル(約1,030万円)で推移しており、先週初めの6万3,000ドル前後からは回復しています。
上方向へ動く条件は、CPIとPPIがインフレ再加速を示さないこと、米国債利回りが低下または安定すること、米国とイランの交渉が進み原油価格が落ち着くことです。これらの条件がそろい、BTCが6万5,000ドル台を維持できれば、6万6,000ドル方向を試す余地が生まれます。
下方向へ動く条件は、CPI・PPIが市場予想を上回ること、中東情勢の悪化で原油価格が再上昇すること、弱い雇用統計が利上げ観測の後退ではなく景気不安として意識されることです。BTCが6万5,000ドル前後を維持できなければ、まず6万4,000ドル台、さらに下では先週の下値圏である6万3,000ドル前後で買いが入るかを確認する必要があります。
今週確認したい3つの条件
- BTCが6万5,000ドル前後を維持し、6万6,000ドル方向へ上昇できるか
- CPI・PPI発表後に米国債利回りとドルが上昇するか、低下するか
- 米国・イラン交渉が原油価格の低下と航行再開につながるか
特に注意したいのは、経済指標の数字だけでBTCの方向を決めつけないことです。CPIが予想を下回っても、景気不安から株式が下落すればBTCも売られる可能性があります。反対に、CPIがやや強くても、すでに市場が織り込んでおり米国債利回りが上がらなければ、BTCへの影響が限られる場合があります。
今週は「物価指標の結果」「金利とドルの反応」「BTCが6万5,000ドル前後を維持できるか」を順番に確認することが重要です。先週の上昇だけを根拠に強気へ傾けるのではなく、上昇条件と下落条件のどちらが実際にそろうかを見極める必要があります。
《出典》
米労働省労働統計局「Schedule of Selected Releases for August 2026」
ミシガン大学「Surveys of Consumers」
AP通信「A deal with Iran over the Strait of Hormuz may require a compromise from Trump」