ビットコイン(BTC)週間相場レポート|中東情勢と米大手テック決算が焦点
免責事項(投資助言ではありません)
本記事は、ビットコイン(BTC)に関する情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買・投資行動を推奨するものではありません。暗号資産は価格変動が非常に大きく、短期間で大きな損失が発生する可能性があります。投資判断は必ずご自身の責任で行い、必要に応じて専門家へご相談ください。
また、記事内で扱う価格予測は、将来の価格を保証するものではありません。「当たる/外れる」ではなく、想定レンジと前提条件(何が起きたら強気・弱気に傾くか)を整理する材料として活用してください。
総括・結論
先週の金融市場では、米国とイランの軍事衝突が再び激しくなったことに加え、これまで相場をけん引してきた半導体・AI関連株への警戒が強まり、米国株が下落しました。週間ではNYダウが490.59ドル安、S&P500が117.70ポイント安、NASDAQ総合指数が761.36ポイント安となっています。
一方、ビットコイン(BTC)は週前半に約6万1,800ドルまで下落した後、約6万5,400ドルまで反発しました。週末にかけては6万3,000ドル台を維持し、7月21日の執筆時点では6万6,000ドル前後で推移しています。株式市場、特にハイテク株が大きく下落した割には、BTCの値動きは比較的落ち着いていました。
| 確認項目 | 現在の見方 |
|---|---|
| 先週の米国株 | 中東情勢とAI・半導体株への警戒から主要3指数がそろって下落 |
| BTCの値動き | 約6万1,800~6万5,400ドルで推移し、週後半は6万3,000ドル台を維持 |
| 今週の焦点 | 米国とイランの衝突、原油価格、Alphabet・Tesla・IBM・Intelの決算 |
| BTCの判断軸 | 6万5,000ドル台を維持できるか、株安時にも6万2,000~6万3,000ドル付近で下げ止まれるか |
今週は、BTCが積極的に上昇する局面というよりも、悪材料が出たときにどの程度下落するかを確認する週になりそうです。米国株が不安定でも6万ドル台半ばを維持できれば、BTCの下値が固まりつつあるとの見方が強まります。ただし、中東情勢の一段の悪化や米大手テック企業の決算失速が重なれば、再びリスク回避の売りが強まる可能性があります。
《出典》
AP通信「How major US stock indexes fared Friday 7/17/2026」
CoinGecko「Bitcoin Historical Data」
先週の振り返り
先週は、中東情勢、米国の物価指標、AI・半導体株の調整という3つの材料が金融市場を動かしました。BTCも影響を受けましたが、株式市場ほど一方向には崩れず、週の後半には値動きが落ち着いています。
米国とイランの衝突再開で原油価格が上昇
7月13日(月)は、米国とイランによる攻撃の応酬や、トランプ大統領によるイランへの海上封鎖再開の表明を受け、原油価格が急上昇しました。北海ブレント原油は同日に9.6%上昇し、1バレル=83.30ドルとなりました。
原油価格の上昇は、企業の輸送費や家庭のガソリン代を通じて物価を押し上げる可能性があります。物価上昇が続くと、米連邦準備制度理事会(FRB)が金利を高く保つ、または追加利上げを検討する理由になります。
金利が上がると、安全性の高い米国債などの利回りが上昇するため、BTCやハイテク株といった値動きの大きい資産には資金が入りにくくなります。そのため、中東情勢は単なる地政学ニュースではなく、原油、物価、金利を通じてBTCにも影響する材料です。
《出典》
AP通信「Oil prices jump following the latest fighting in the Middle East, while AI stocks sink」
AP通信「The limits of intensifying attacks emerge as US and Iran dig in」
CPIとPPIは鈍化したが、インフレ懸念は解消していない
7月14日(火)に発表された6月の米消費者物価指数(CPI)は、前月比で0.4%低下しました。前年比では3.5%上昇となり、5月の4.2%から伸びが鈍化しています。食品とエネルギーを除いたコアCPIも前年比2.6%まで鈍化しました。
翌15日(水)の米生産者物価指数(PPI)も前月比0.3%低下しました。PPIは企業が商品やサービスを販売する段階の価格変化を示す指標です。ただし、前年比では5.5%上昇しており、企業側の価格上昇圧力が完全に収まったとはいえません。
ケビン・ウォーシュFRB議長も、高いインフレを容認しない姿勢を示す一方、7月28~29日の連邦公開市場委員会(FOMC)で金利をどうするかについては明確な方向を示しませんでした。物価指標の鈍化はBTCにとって安心材料ですが、中東情勢による原油高が今後の物価を再び押し上げる可能性には注意が必要です。
《出典》
米労働統計局「Consumer Price Index – June 2026」
米労働統計局「Producer Price Indexes – June 2026」
AP通信「Warsh says Fed has no tolerance for high inflation」
AI・半導体株の調整が世界の株式市場へ波及
週後半は、AIや半導体関連企業の株価が大きく下落しました。これらの銘柄は将来の高い成長を前提に買われてきたため、決算や事業見通しが市場の期待に少し届かないだけでも売りが広がりやすい状態です。
17日(金)には、中国のAIスタートアップ企業Moonshotが発表した「Kimi K3」も注目されました。比較的低コストの中国製AIが米国企業のモデルに近い性能を持つとの見方から、米国のAI投資や半導体需要が現在の高い期待どおりに伸び続けるのかという疑問が強まりました。
週間ではNASDAQ総合指数が2.9%下落しています。BTCはハイテク株と同じように、投資家がリスクを取れる局面で買われやすい傾向があります。そのため、AI株の調整が長引く場合は、BTCにも短期的な売り圧力が波及する可能性があります。
《出典》
AP通信「AI stocks keep falling, while oil prices keep climbing」
BTCは一時6万1,000ドル台まで下落した後に回復
BTCは中東情勢への警戒が強まった週前半に約6万1,800ドルまで下落しましたが、米物価指標の鈍化を受けて約6万5,400ドルまで反発しました。その後、AI・半導体株が売られるなかでも、週末にかけて6万3,000ドル台を維持しています。
この値動きから、BTCの下値が完全に固まったと断定することはできません。ただし、NASDAQが週間で大きく下落した割にBTCの週間変動が限定的だったことは、売り圧力が以前より弱まっている可能性を示す材料です。
米国の暗号資産市場に包括的なルールを設けるCLARITY法案については、上院銀行委員会が5月14日に15対9で法案を可決し、上院本会議での扱いを待つ段階に進んでいます。今週の正式な審議日程が確認されたわけではありませんが、今後の進展への期待はBTC市場の支えになり得ます。
《出典》
CoinGecko「Bitcoin Historical Data」
米上院議員Mike Crapo公式サイト「Senate Banking Committee Approves Bipartisan Digital Asset Legislation」
テクニカル分析は別ページへ移行しました
さらに専門的なチャート分析をお届けするため、本記事でのテクニカル分析パートを切り離し、別ページにて掲載することといたしました。
最新のビットコイン(BTC)テクニカル分析や詳細な価格予測は、以下のリンクよりご確認いただけます。
今週の経済イベント
| 月 | 日 | 曜日 | 日本時間 | 国 | 経済イベント | 重要度 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 07 | 21 | 火 | 18:00 | ユーロ圏 | ZEW 景況感指数 7 月 | ★★★☆☆ |
| 07 | 23 | 木 | 21:15 | ユーロ圏 | ECB 政策金利 | ★★★★★ |
| 07 | 23 | 木 | 21:30 | 米国 | 新規失業保険申請件数 7/12-7/18 | ★★★☆☆ |
| 07 | 24 | 金 | 08:30 | 日本 | 全国消費者物価指数(CPI)6 月 | ★★★★☆ |
| 07 | 24 | 金 | 17:00 | ユーロ圏 | サービス業 PMI(購買担当者景気指数)7 月 | ★★★☆☆ |
| 07 | 24 | 金 | 23:00 | 米国 | 新築住宅販売件数 6 月 | ★★★☆☆ |
注目のイベント解説
今週は、CPIや雇用統計のような市場全体を大きく動かしやすい米国の経済指標が比較的少なく、米大手企業の決算が注目材料になります。特に、AI投資への期待が揺らいでいるため、売上や利益だけでなく、経営陣が示す今後の見通しが重要です。
7月22日(水):Alphabet・Tesla・IBMの決算
米国時間7月22日(水)には、Googleの親会社Alphabet、Tesla、IBMが2026年4~6月期の決算を発表します。
Alphabetでは、Google Cloudや生成AI関連サービスの成長に加え、データセンターやAI向け半導体への設備投資が利益に見合っているかが焦点になります。Teslaでは、自動車販売だけでなく、AI、自動運転、ロボット関連事業についての説明が注目されます。IBMについても、AI関連サービスとクラウド事業の成長が確認点です。
これらの決算が市場予想を上回り、AI投資の収益化に対する安心感が広がれば、NASDAQを中心に株式市場が反発し、BTCにも買いが入りやすくなる可能性があります。反対に、設備投資だけが膨らみ、利益や将来見通しが期待に届かなければ、AI・半導体株の調整が続き、BTCにも売りが波及するおそれがあります。
《出典》
Alphabet Investor Relations「Second Quarter 2026 Financial Results Conference Call」
Tesla Investor Relations「Second Quarter 2026 Financial Results」
IBM Newsroom「IBM to Announce Second-Quarter 2026 Financial Results」
7月23日(木):Intelの決算
米国時間7月23日(木)にはIntelが決算を発表します。半導体株は先週大きく売られたため、Intelの決算は同社だけでなく、半導体業界全体への投資家心理を左右する可能性があります。
注目したいのは、AI向け半導体やデータセンター需要、製造事業の採算、今後の売上見通しです。好決算であっても市場の高い期待に届かなければ、株価が下落する場合があります。そのため、発表された数字だけでなく、決算発表後の株価やNASDAQ先物の反応を確認することが重要です。
BTCは24時間取引されているため、米国株の通常取引終了後に発表される決算にもすぐ反応する可能性があります。日本時間では夜間から早朝の急な値動きに注意が必要です。
《出典》
Intel Newsroom「Intel to Report Second-Quarter 2026 Financial Results」
今週の見通しの総括
今週のBTCは、中東情勢と米大手テック企業の決算に左右される展開が予想されます。執筆時点では6万6,000ドル前後まで上昇していますが、まだ上昇基調が確立したとはいえません。
米国とイランは外交の可能性を残しているものの、攻撃は続いており、衝突が沈静化したと判断できる状況ではありません。原油輸送に関わる海峡やタンカーへの攻撃が増えれば、原油高、インフレ懸念、金利上昇観測という流れから、BTCにも売り圧力がかかる可能性があります。
一方、市場参加者が中東情勢の長期化をある程度織り込み、原油価格や米国株の反応が次第に小さくなれば、BTCは企業決算や暗号資産関連法案など、別の材料に反応しやすくなります。
今週確認したい3つの条件
- BTCが6万5,000ドル台を維持し、6万6,000~6万7,000ドルへ上値を広げられるか
- 株式市場が下落した場合でも、BTCが6万2,000~6万3,000ドル付近で下げ止まれるか
- AlphabetやTeslaなどの決算後に、AI・半導体株への売りが落ち着くか
金については、中央銀行による2026年1~3月期の純購入量が推計244トンに達しており、長期的な買い需要が確認されています。ただし、同じ買い手構造がBTCにも存在するとまではいえません。BTCが金以上に底堅く見える場合でも、その理由を中央銀行需要と同一視せず、価格、出来高、米国株との連動、暗号資産関連法案の進展を分けて確認する必要があります。
現時点の基本的な見方は「下値を固めつつある可能性はあるものの、積極的な上昇を確認する前の段階」です。悪材料が出ても6万ドル台前半を割り込まず、好材料に対して6万6,000~6万7,000ドルを超える動きが続けば、相場の基調が強まりつつあると判断しやすくなります。
《出典》
AP通信「The limits of intensifying attacks emerge as US and Iran dig in」
米連邦準備制度理事会「Calendar: July 2026」
World Gold Council「Central Banks – Gold Demand Trends Q1 2026」