日本の貿易赤字
2023.08.03
10月20日(木)に財務省より9月の貿易統計速報が発表されました。9月月間の貿易収支は2兆0940億円の赤字となり、今年度上半期(4-9月期)では11兆0074億円の赤字で2013年度下半期の8兆7600億円を超え、1979年度以降最大の赤字となりました。
この間の輸出額49兆5762億円(+19.6%)・輸入額60兆5837億円(+44.5%)と輸入額が大きく増加しています。
輸入額の大きなものはエネルギーになります。具体的には前年上半期比で原油が輸入量+12.7%・輸入額+106.3%、LNGが輸入量-3.5%・輸入額+94.1%、石炭が輸入量+3.9%・輸入額+212.8%と輸入額が円安の影響を大きく受けて倍増もしくは石炭のように3倍増となりました。
また小麦などの穀物類についても増加しており輸入量は+1.0%に対して輸入額+48.1とこちらも円安の影響を大きく受けているのがわかります。
140円台前半での動きとなっていたドル円相場は、為替介入に警戒をしながらも、今月に入り徐々に円安に動き、昨日149円台へ進んできました。本日の貿易収支発表を受けて、文章を書いている現在149.90円台になっており、9月にコメントしていた150円台が目の前に迫ってきました。
今後の円相場については、1)日米金利差の動向 2)日本のエネルギー政策 3)インバウンドによる効果 などが目先のポイントとして影響を与えるものと考えられます。
日米金利差については、日本銀行の金融緩和政策は少なくとも黒田総裁在任中の変更は考えにくいと思われますが、米国の金利上昇は年内にさらに2回の利上げが想定されるものの、その後の米国内の物価動向や景気減速の状況によって、更なる引締め懸念は薄らぐと考えています。
日本のエネルギー政策は原発稼働へ舵を切り始めましたので、来年以降のエネルギー輸入は減少へ向かうと考えています。インバウンドについては外国人観光客の中核である中国人観光客が難しい環境にあって、あまり期待出来ない中で他の国々の観光客をどれだけ呼び込めるのかがポイントになりそうです。
こうした中でドル円相場は150円台前半での展開が目先想定されるものの、年末もしくは年初あたりからの反発が見られるのではないでしょうか。