「ビットコインは10万ドル超からさらに上昇余地あり」ジェームス・ターク氏
2025.08.22
ジェームス・ターク氏 ビットコインについて
背景(GoldMoneyと著作)
GoldMoney.comの創設者で会長のジェームス・ターク氏のコメントを紹介します。GoldMoney.comは金、銀、プラチナなどについてデジタル通貨を利用し、 オンラインでの売買サービスなどを提供しています。彼は多くの評論を執筆していますが、『ドルの崩壊と資産の運用:通貨制度の崩壊がもたらすもの』が有名です。
なお、ターク氏は2001年にGoldMoney.comを共同創業し、国際銀行業務や投資分野で長年のキャリアを持つ人物として知られています。
インタビュー要旨
ターク氏はインタビューで次のようにコメントしています。
わたしはかなり初期からビットコインをトレードしてきましたが、2013年からもう何年もの間、ビットコインがいつか10万ドルに到達するとずっと信じてきました。
過去何年ものインタビューで何度もそう言ってきました。そしてビットコインはついに10万ドルを超えました。だが、ビットコインはここからさらに上がるポテンシャルを持っています。
現在、各国の紙幣が持っている購買力や、金や銀が持っている購買力を考えてみると、暗号資産が持っている購買力、それはつまり時価総額という意味ですが、それは世界の購買力全体から見てまだかなり小さいのです。
そして紙幣への信頼が失われてゆき、人々が紙幣を捨ててより安全な資産を探すのであれば、もちろん人々は金や銀を選ぶでしょうが、彼ら、特に若い人々は暗号資産も同時に選ぶでしょう。だから暗号資産の価格にはここからまだ上昇の余地があります。
ターク氏は、他の著名投資家と同じように、米国の債務問題により米国は通貨の価値を薄めざるを得なくなると考えています。
そして注目してもらいたいのは、ドル建ての負債(それは誰かが資産として持っているもの/例:米国債)が103兆ドルあるのに対し、金はまだ23兆ドル、ビットコインは2.3兆ドルしかないことです。
つまり、これからドル紙幣の購買力が失われ、人々がそれに気づいた時、このドル負債の103兆ドルが金の23兆ドルとビットコインの2.3兆ドルに流れ込んでくるとターク氏は予想しています。
今、金を買い増しているのは各国の中央銀行や一部の投資家ですが、これから一般の人々も紙幣を捨てて金を買いに走る瞬間が来ると予想し、そしてその資金の流れはビットコインなど暗号資産にも恩恵を与えるとターク氏は語っています。
補足データ・関連引用
- 「10万ドル突破」は事実認定: ビットコインは2024年末〜2025年初にかけて10万ドル台を初めて明確に突破。2025年1月には10万ドル超を記録し、 その後も史上最高値圏で推移しました。
- ビットコイン時価総額の規模感: 10万ドル前後ではビットコインの時価総額は2兆ドル超の水準となり、主要資産クラスの中では依然として金に比べ小さい存在です。
- 金の市場規模(目安): 金の「地上在庫(above-ground)」の価値合計は算定方法・価格前提により幅がありますが、2025年時点の推定では20兆〜20数兆ドル規模との試算が見られます。 金価格は2025年にかけて過去最高付近(3,300ドル台/oz前後)で推移し、推定総額を押し上げています。
- 中央銀行の金買い: 中央銀行は2023年に1,000トン超の純購入、2024年も1,045トンと高水準の買い越しを継続。 地政学・制裁リスク回避や準備資産の多様化が背景と分析されています。
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米国の債務問題(参照値):
米連邦政府の債務残高は2025年に37兆ドル超へ拡大。ターク氏の指摘する「ドルの希薄化」懸念の文脈として、財政赤字と累積債務の規模は無視できない論点です。
(注:ドル建て負債「103兆ドル」は定義により大きくブレます。BIS統計では「米国外の非銀行部門へのドル建て与信残高」で約13.2兆ドルという狭義の区分もあり、 数字の前提を整理する必要があります)。
編集注:上記の補足は、ターク氏の主張の骨子(法定通貨から金・暗号資産へのシフト可能性)を、 直近の価格推移・市場規模・公的部門の行動(中央銀行の金購入)等で裏づける目的で付記したものです。 各数値は推定や集計範囲の違いにより変動・幅があります。