中国経済見通し 注目ポイントとは?
2023.08.03
OECD経済見通し改定から
9月26日OECD(経済協力開発機構)が世界経済見通しを改定しました。
それによると世界経済の2023年の成長率は、2.2%と前回より0.6%ダウンし、ユーロ圏0.3%(-1.3%)、米国0.5%(-0.7%)などと軒並み前回から引き下げられました。
「世界経済は欧州を筆頭に勢いを失い、経済回復は停滞する。」とコメントしています。
ウクライナ侵攻から米欧は経済制裁を行っており、インフレの進展とともにその影響が成長率へ現れています。
一方、こうした米欧の動きに一線を画している中国は、異なった要因により経済成長率が低下しています。OECDの見通しでは2022年3.2%(-1.2%)、2023年4.7%(-0.2%)と1970年代以来の低い成長率となっています。
中国の低成長は「ゼロコロナ政策」の影響によると言われていますが、実際には不動産業界の低迷による影響が大きいと見られています。
今年前半(1-7月期)の不動産業界の状況を見ると前年同期比で住宅販売面積-27.1%、売上高-31.4%、個人住宅ローン借入総額-25.2%、住宅竣工面積-22.7%、住宅新着工面積-36.8%と軒並み大きく悪化しているのが分かります。
2021年の不動産投資総額は14.4兆元(約283兆円)でGDPの約14%を占めており、波及効果も含めれば30%程度と見られており、不動産業界の失速は中国経済へ大きくのしかかる問題と思われます。
また財政収入の約6割を土地譲渡金に依存している地方政府の財政は、かなり厳しいものとなっています。今年前半(1-7月期)の土地譲渡金総額は2兆879億元で前年同期比
-31.7%と大きく減少しました。このような状況から地方政府の公務員給与が減給されています。全国に公務員716万人、準公務員約5,000万人いるとされ、こうした人たちの消費が抑えられると言われています。
中国では来月に共産党大会の開催が予定されており、今後の経済運営が注目されます。