中国の経済問題は米国と世界経済にとって逆風

8月16日米国アデエモ財務副長官が「中国の経済問題は米国と世界経済にとって逆風であることが証明されつつあり、こうした中国の現状は自らの政策選択が招いた結果である。」と述べています。

今月に入って発表されている中国の経済指標は軒並み悪化しています。

中国国家統計局が発表した一連の結果は次の通りです。

  • 7月31日:7月購買担当者景気指数
    • ① 製造業49.3  6ヶ月連続50割れ
    • ② 非製造業51.5  6月 53.2から悪化
    • ③ 建設業51.2  3月 65.2から急低下(不動産業の低迷を受ける)
  • 8月8日:
    • 生産者物価(PPI)7月前年同月比 ▲4.4%  10ヶ月連続低下
    • 消費者物価(CPI)7月前年同月比 ▲0.3%  2年5ヶ月ぶりに低下
    • 輸出7月 前年同月比 ▲14.5%  米国による規制の影響など
    • 輸入7月 前年同月比 ▲12.4%  内需の低迷ぶりと反映
  • 8月15日:
    • 鉱工業生産7月 前年同月比+3.7% 6月+4.4%から鈍化
    • 小売売上高7月 前年同月比+2.5% 6月+4.4%から鈍化
  • 8月16日:不動産価格7月 主要70都市のうち7割の49都市で前月比下落 6月から11都市増加
中国の不動産不況

中国の成長モデルの限界

このような状況の中、8月8日には不動産最大手の碧桂園(カントリーガーデン)社がドル建て社債の利払いをしなかったと報じられ、資金繰りの悪化が懸念されています。さらに8月15日には中国の信託大手である「中融国際信託」で期限を迎えた信託商品の支払いが滞っていると判明しました。

中国経済は不動産不況とコロナ禍をきっかけとして、長年依存してきた成長モデルに限界がきたと考えられ、今後の舵取りは大変難しい局面を迎えていると思われます。

日本を始めとして世界経済への大きな影響が考えられるだけに、今後の中国政府の対応が注目されます。