暗号資産市場に新たな波乱?米国がアルトコインを組み入れる可能性
2025.02.05
米国拠点のアルトコインが戦略的準備金に?
トランプ大統領就任前のタイミングで、「トランプ氏が米国拠点のアルトコインによる戦略的準備金に前向きな姿勢を示している」と、NYタイムズが報じた。現時点で、米国において暗号資産の準備金が創設されるかどうかは最終決定されていないことを念押ししておきたいが、アルトコインを含む準備金の創設となるとさまざまな問題が起こり得る。
ビットコインの分散化思想とアルトコインの役割
本来ビットコインは、中央集権的な管理者を持たないという思想を、テクノロジーを使って分散型のデジタル通貨という形で体系化したものという理解だ。アルトコインはさまざまな目的や用途があるため、完全に分散化されている必要もないわけだが、米国が仮に恣意的に米国拠点のアルトコインを戦略的準備金のなかに組み入れるとなると、暗号資産業界に分断が起こってしまうかもしれないという懸念がある。
分散化の判断基準と「トラストレス」の概念
「分散化されている」ということを軸に組み入れを検討するなら筋は通るものの、何を持って分散化されていると判断するのかについては、有識者でも判断が別れるところだろう。
特定の第3者に対する信頼を必要としない「トラストレス」というビットコインの思想や概念が、徐々に米国ないしトランプ大統領への信頼が材料視されるようにへと移行していくのは、若干の不気味さを孕む。

アノマリーでは強い時期へ
ビットコインが最高値圏で長らく揉み合いを続けるなか、先日の米国の経済指標発表を機に、市場は徐々に年内利下げの可能性を意識し始めた様子だ。2月1週目には、米国の失業率や非農業部門雇用者数等の重要な経済指標が発表されるため、この発表において予想よりも低い数値が出ることになれば、一層利下げへの期待感から暗号資産には良い風が吹く可能性がある。
では、利下げが行われるとなぜ、ビットコインを始めとした暗号資産の価格には良い影響があるのか。これについては、添付の仮想NISHI氏の記事を読んでもらえると、非常にわかりやすく説明してくれている。
株式市場における季節性の投資格言、「Sell in May and go away, but remember to comeback in September(5月に売って市場を離れ、9月に戻るのを忘れないように)」というフレーズなど、暗号資産市場も韻を踏むアノマリーがいくつか存在する。今年ビットコインはさらに最高値をつけることがあるとすれば、2月から4月が本命だと予想するアナリストも多い。
米国への期待感が材料になりつつある現在に警戒感を持ちつつ、一定の期待感を持って暗号資産市場を眺めたい時期に突入する。

[Iolite記事]
仮想NISHIが解説! 暗号資産の相場動向と読み解くポイント 第1回「米国政府と金利の動向」