今年はミームコインやAIエージェントのトレンドがさらに加速し、一層一般化されることが予想される。税制や規制の課題は依然として多いものの、この大きな流れに逆らうことは難しいだろう。

DEXの台頭と市場の変化

こうした市場の動向のなかで、今後さらなる盛り上がりをみせると考えられるのが、DEX(分散型取引所)である。一昔前のUniswapやCurveといったDEXは、UI/UXの面でやや取っ付きにくい印象があった。正直なところ、筆者自身もUniswapしか利用したことがない。

暗号資産を保有している投資家のなかでも、積極的にDEXを活用する、いわゆるクリプトネイティブなユーザーは多くても数十%程度にとどまるだろう。

エアドロップがもたらしたDEXの成長

しかし、状況は変わりつつある。2024年11月に「Hyperliquid(ハイパーリキッド)」によってエアドロップされたネイティブトークン「HYPE」の価格は、一時7.1ドル(約1,063円)まで上昇し、多くの参加者が数百万円から数千万円の報酬を受け取ったとされている。これほどまでに明確なマーケティング戦略をエアドロップを通じて実現したのは、暗号資産市場における成功事例の1つとして数えられるだろう。

高額なエアドロップをきっかけに、多くのユーザーに認知されたHyperliquidは、実際に利用してみると、世界的に有名な中央集権型取引所(CEX)と遜色のない優れた取引体験を提供している。

八木編集長FOCUS

中央集権取引所からDEXへ

完全なオンチェーンのDEXには、いくつかの明確なメリットが存在する。個人的にも、主に3つの理由からDEXを利用する価値があると考えている。

1. 自分の資産を自己管理できる

中央集権的な管理者に依存する必要がなく、取引所の破綻や不正による資産凍結のリスクを避けられる。自身の資産の主権を維持できることは大きなメリットだろう。

2. スマートコントラクトによる自動化

従来の中央集権型取引所では、取引ごとに仲介者が介在し、それに伴う手数料が発生する。しかし、DEXでは取引がプログラムによって実行されるため、仲介コストが不要となり、結果として取引手数料が抑えられる。

3. 透明性の向上

すべての取引がブロックチェーン上に記録されるため、透明性が高い。取引履歴がパブリックに公開されることで、ユーザーは自身の取引状況を容易に確認できるだけでなく、不正行為や市場操作の監視も可能となる。中央集権的な取引所では、内部での不透明な取引や資金の流れが問題視されることがあるが、DEXではそのような懸念が払拭される。

これらの理由から、DEXは従来の取引所に対する有力な代替手段となり得る。特にセキュリティや透明性を重視するユーザーにとっては今後さらに重要な存在になり、数年後、暗号資産の取引の主体がDEXになるようなことも、的はずれな話ではなさそうだ。

高額エアドロップで話題のハイパーリキッド(HyperLiquid)を解説

[Iolite記事]
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