ビットコイン(BTC) 先週の分析と今週の見通し|雇用統計後にBTC急落、FOMC・日銀会合が次の焦点
免責事項(投資助言ではありません)
本記事は、ビットコイン(BTC)に関する情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買・投資行動を推奨するものではありません。暗号資産は価格変動が非常に大きく、短期間で大きな損失が発生する可能性があります。投資判断は必ずご自身の責任で行い、必要に応じて専門家へご相談ください。
また、記事内で扱う価格予測は、将来の価格を保証するものではありません。「当たる/外れる」ではなく、想定レンジと前提条件(何が起きたら強気・弱気に傾くか)を整理する材料として活用してください。
先週(2026.06/01-07)のビットコイン(BTC)は、大幅に下落しました。週初には70,000ドル台で推移していましたが、6月5日には一時60,000ドルを割り込み、59,000ドル台まで下落する場面がありました。
暗号資産市場では、StrategyによるBTCの一部売却、経営破綻した暗号資産取引所Mt.Goxに関連する大規模なBTC移動、米国上場の現物ビットコインETFからの資金流出が重なりました。さらに、予想を上回る米雇用統計を受けて米金利の上昇観測が強まり、BTCを含むリスク資産の上値を抑えました。
今週(2026.06/08-14)は、BTCが60,000ドル台を維持し、急落後の底入れを探ることができるかが焦点です。
6月10日の米消費者物価指数(CPI)、11日の米生産者物価指数(PPI)、12日の米ミシガン大学消費者信頼感指数に加え、SpaceXのNASDAQ上場が予定されています。翌週には日銀金融政策決定会合と米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えているため、金融政策をめぐる思惑によって値動きが大きくなる可能性があります。
出典:
Bitcoin Falls Below $60,000|The Wall Street Journal
Bitcoin’s star fades, as investors flock to lustre of AI and megacap IPOs|Reuters
先週のビットコイン相場
重要な経済指標発表の影響
6月5日に発表された5月の米雇用統計では、非農業部門就業者数が前月比17万2,000人増となりました。非農業部門就業者数とは、農業以外の企業や政府機関などで働く人の増減を示す指標です。米国景気の強さを測る重要な統計として、金融市場から注目されています。
失業率は前月と同じ4.3%にとどまりました。雇用者数が市場予想を大幅に上回ったことで、米国経済は依然として底堅いとの見方が広がりました。
景気の底堅さは、通常であれば株式市場にとって好材料です。しかし、インフレ圧力が残る局面では、米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利を高い水準で維持する、または利上げを検討する可能性を意識させます。
先週は、強い雇用統計が「景気の安心材料」ではなく、「金融引き締めが長期化する可能性」を意識させる材料として受け止められました。
その結果、米国株式市場ではハイテク株を中心に売りが強まりました。6月5日の取引では、NYダウ平均が695ドル安、S&P500が2.64%安、NASDAQ総合指数が4.18%安となりました。
出典:
Employment Situation Summary – 2026 M05 Results|U.S. Bureau of Labor Statistics
Wall Street ends sharply lower as chips slide, jobs data fuels rate hike bets|Reuters
目立った価格の動きとその要因
BTC/USDは週初の70,000ドル台から下落し、6月5日には一時59,112ドルまで下落しました。60,000ドル割れは、2024年10月以来の水準です。
BTC/JPYも下落し、週末には一時900万円台まで値を下げました。円建て価格はBTC/USDだけでなく、米ドルと円の為替レートにも左右されます。円安が進む場合はBTC/JPYの下落が一定程度抑えられる一方、円高が進む場合は円建て価格の下落幅が拡大しやすくなります。
下落要因の一つとして注目されたのが、BTCを大量に保有する米上場企業StrategyによるBTCの売却です。同社は5月26日から31日にかけて32BTCを売却し、約250万ドルを調達したと公表しました。
売却量は同社の保有量と比較すると限定的です。しかし、BTCを積極的に買い増してきた企業が売却に転じたことで、投資家心理に影響を与えました。
さらに、Mt.Goxに関連するウォレットから約10,422BTCが移動しました。大部分は新しいウォレットへ送金されており、直ちに市場で売却されたことを示すものではありません。ただし、債権者への返済期限を控える中で、将来的な売り圧力への警戒感が強まりました。
Strategyによる売却は規模よりも象徴的な意味合いが強く、Mt.GoxのBTC移動は実際の売却を確認できない段階でも需給悪化への警戒材料となりました。
出典:
Bitcoin Falls Below $60,000|The Wall Street Journal
Explore Strategy’s Investor Relations|Strategy
Mt. Gox moves 10,422 bitcoin worth $739 million to a new wallet as deadline nears|CoinDesk
金融マーケットで注目すべき動きとその要因
先週は、暗号資産市場に固有の需給要因だけでなく、金融市場全体のリスク回避姿勢もBTCの下落を加速させました。
米雇用統計の発表後には、米国の10年国債利回りが4.5%台まで上昇しました。国債利回りは、市場金利の代表的な指標です。米金利が上昇すると、預金や債券などの利息を得られる資産の魅力が増し、BTCやハイテク株など値動きの大きい資産には売り圧力がかかりやすくなります。
米国株式市場では、NYダウ平均が比較的底堅く推移する一方、S&P500とNASDAQ総合指数は下落しました。企業決算の発表が一巡し、IT・ハイテク株の上昇を支えてきた材料が乏しくなる中で、利益確定売りが増加しました。
6月12日には、宇宙開発企業SpaceXがNASDAQ市場へ上場する予定です。大型IPOに備えた資金確保の動きや、AI・ハイテク関連株への資金移動が、暗号資産市場の需給に影響した可能性があります。
米国上場の現物ビットコインETFからは、6月1日から5日までの5営業日で合計約17億2,000万ドルの資金が流出しました。現物ビットコインETFとは、BTC価格に連動することを目指して運用される上場投資信託です。ETFからの継続的な資金流出は、BTCの需給を悪化させる要因となります。
BTCが持続的に反発するためには、米金利の上昇が一服することに加え、現物ビットコインETFの資金流出が落ち着くことが重要です。
出典:
Stocks fall sharply as strong jobs data fuels rate hike bets|Reuters
Bitcoin ETF Flow (US$m)|Farside Investors
SpaceX tells banks it won’t move its $135-a-share IPO price|Reuters
規制リスク
米国では、暗号資産市場の包括的なルール整備を目指すクラリティ法案の審議が進んでいます。
クラリティ法案は、暗号資産が証券に該当するのか、商品に該当するのかを整理し、証券市場を監督するSEC(米証券取引委員会)と、商品先物・デリバティブ市場を監督するCFTC(米商品先物取引委員会)の役割分担を明確化することを目的とした法案です。
5月には、米上院銀行委員会が法案を本会議へ進めることを決定しました。ただし、成立までには上院本会議での審議や追加調整が必要です。
法案が成立に向けて前進する場合は暗号資産市場の安心材料となる可能性があります。一方、審議が停滞する場合や規制強化につながる修正が加わる場合は、投資家心理を冷やす可能性があります。
出典:
Executive Session:Digital Asset Market Clarity Act of 2025|U.S. Senate Committee on Banking, Housing, and Urban Affairs
Senate Banking Committee advances Clarity Act to full Senate|CoinDesk
地政学リスク
中東情勢は引き続き、金融市場全体を左右する重要な要因です。
米国とイランの間では、戦闘停止に向けた協議が続いています。ただし、ホルムズ海峡をめぐる問題、イランの核開発、弾道ミサイル、経済制裁、レバノン情勢など、複数の論点が残されています。
ホルムズ海峡は、中東地域から原油や液化天然ガスを輸送する際の重要な航路です。情勢が悪化して原油価格が上昇すると、インフレ圧力が強まり、各国の中央銀行が金融引き締め姿勢を維持しやすくなります。
一方、停戦や和平合意に向けた前進が確認され、原油価格が落ち着く場合は、株式やBTCなどのリスク資産にとって支援材料となる可能性があります。
中東情勢はBTCへ直接影響するというより、原油価格、インフレ見通し、米金利、投資家心理を通じて間接的に影響します。
出典:
What issues do the US and Iran need to resolve for any peace deal?|Reuters
Oil prices fall on mounting hopes for de-escalation in US-Iran War|Reuters
テクニカル分析パートの外部移行について
今号よりテクニカル分析は別ページへ移行しました
今号より、さらに専門的なチャート分析をお届けするため、テクニカル分析パートを切り離し、別ページに掲載することといたしました。
最新のビットコイン(BTC)テクニカル分析や詳細な価格予測は、以下のリンクよりご確認いただけます。
今週の経済イベント
| 月 | 日 | 曜日 | 日本時間 | 国 | 経済イベント | 重要度 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 06 | 08 | 月 | 08:50 | 日本 | 2026年第1四半期実質GDP | ★★★☆☆ |
| 06 | 08 | 月 | 08:50 | 日本 | 国際収支(経常収支、貿易収支)4月 | ★★☆☆☆ |
| 06 | 09 | 火 | 12:00 | 中国 | 貿易収支 5月 | ★★★☆☆ |
| 06 | 09 | 火 | 23:00 | 米国 | 中古住宅販売件数 5月 | ★★★☆☆ |
| 06 | 10 | 水 | 10:30 | 中国 | 生産者物価指数(PPI)、消費者物価指数(CPI)5月 | ★★★☆☆ |
| 06 | 10 | 水 | 21:30 | 米国 | 消費者物価指数 5月 | ★★★★★ |
| 06 | 11 | 木 | 21:15 | ユーロ圏 | ECB政策金利決定会合 | ★★★★★ |
| 06 | 11 | 木 | 21:30 | 米国 | 新規失業保険申請件数 5/31-6/6 | ★★★☆☆ |
| 06 | 11 | 木 | 21:30 | 米国 | 生産者物価指数(PPI)5月 | ★★★★☆ |
| 06 | 11 | 木 | 28:00 | 米国 | サッカー・ワールドカップ開幕 | ☆☆☆☆☆ |
| 06 | 12 | 金 | 13:30 | 日本 | 鉱工業生産指数 4月 | ★★☆☆☆ |
| 06 | 12 | 金 | 23:00 | 米国 | ミシガン大学消費者信頼感指数 6月 | ★★★★☆ |
| 06 | 12 | 金 | 22:30 | 米国 | スペースX NASDAQ上場 | ☆☆☆☆☆ |
注目イベントの理由
今週は、翌週に予定されている日銀金融政策決定会合とFOMCを前に、インフレ関連指標とSpaceXのNASDAQ上場が注目されます。
- 6月10日(水):米消費者物価指数(CPI)
CPIは、消費者が購入する商品やサービスの価格変動を示す指標です。市場予想を上回る場合は、米国の利上げ観測が強まり、BTCに下押し圧力がかかる可能性があります。一方、市場予想を下回る場合は、米金利上昇への警戒感が和らぐ可能性があります。 - 6月11日(木):米生産者物価指数(PPI)
PPIは、企業間で取引される商品やサービスの価格変動を示す指標です。原材料費やエネルギー価格の上昇が企業の販売価格へ波及しているかを確認する材料となります。 - 6月12日(金):米ミシガン大学消費者信頼感指数
消費者の景況感やインフレ見通しを確認する指標です。家計が物価上昇を強く意識している場合、FRBが金融引き締め姿勢を維持する可能性が意識されます。 - 6月12日(金):SpaceXのNASDAQ上場予定
大型IPOに伴う資金移動が、株式市場や暗号資産市場へ影響する可能性があります。上場後にハイテク株へ資金が集中する場合は、BTCの上値を抑える要因となり得ます。一方、上場を前にした換金売りが一巡する場合は、BTCの需給改善につながる可能性があります。 - 6月14日(日)~16日(火):G7サミット
フランスのエビアンでG7サミットが開催される予定です。中東情勢、エネルギー安全保障、世界経済への対応が議論される場合は、原油価格や投資家心理に影響する可能性があります。 - 6月15日(月)~16日(火):日銀金融政策決定会合
日銀は、原油高や円安による物価上昇リスクを踏まえ、利上げの是非を議論するとみられます。日銀が利上げに前向きな姿勢を示す場合は円高圧力が強まり、BTC/JPYの上値を抑える可能性があります。 - 6月16日(火)~17日(水):FOMC
FOMCは、米国の金融政策を決定する会合です。雇用統計が強い結果となったため、今週発表されるCPIやPPIが市場予想を上回る場合は、利上げや高金利の長期化を意識した売りが強まる可能性があります。
今週は、米インフレ指標の結果を確認しながら、翌週の日銀会合とFOMCに向けた市場の織り込みがどのように変化するかを注視する必要があります。
出典:
Schedule of Selected Releases 2026|U.S. Bureau of Labor Statistics
Surveys of Consumers|University of Michigan
Meeting calendars and information|Federal Reserve Board
Monetary Policy Meetings|Bank of Japan
今週の見通しのまとめ
今週のBTCは、急落後の底入れを探る局面となります。
6月5日には一時60,000ドルを割り込みましたが、週明けには63,000ドル前後まで戻しています。BTC/JPYは、おおむね1,000万円台で推移しています。ただし、短期間で大きく値下がりしたため、反発が持続するかは慎重に見極める必要があります。
BTCが60,000ドル台を維持し、現物ビットコインETFからの資金流出が落ち着く場合は、急落後の自律反発が続く可能性があります。
一方、CPIやPPIが市場予想を上回り、米金利が再び上昇する場合は、BTCが再度60,000ドルを割り込む可能性があります。中東情勢の悪化によって原油価格が上昇する場合も、インフレ再燃への警戒感が強まりやすくなります。
また、日銀が翌週の会合に向けて利上げに前向きな姿勢を示し、円高が進む場合は、BTC/USDが横ばいでもBTC/JPYが下落する可能性があります。
- 反発が続きやすい条件:米インフレ指標が市場予想を下回る、米金利が落ち着く、中東情勢が改善する、ETFの資金流出が一服する、SpaceX上場を前にした換金売りが一巡する。
- 下落が続きやすい条件:米インフレ指標が市場予想を上回る、米金利が上昇する、中東情勢が悪化する、ETFからの資金流出が続く、円高が進行する。
今週は、短期的な値動きだけで方向性を判断せず、米インフレ指標、ETFフロー、中東情勢、日米の金融政策を組み合わせて確認することが重要です。
本記事は一般的な情報提供であり、特定銘柄の売買推奨ではありません。投資判断は自己責任で行ってください。暗号資産は価格変動リスクが大きく、元本保証ではありません。
出典:
Bitcoin ETF Flow (US$m)|Farside Investors
BOJ should signal clear rate path after June hike, SMFG markets chief says|Reuters
IMF urges Fed caution on inflation as Warsh prepares to chair first policy meeting|Reuters