USDT(テザー)とは?仕組み・安全性・買い方・USDC比較【2026年最新】
2026.01.28
ビットコインなどの価格変動リスクを避けるための「避難先」として、今や欠かせない存在となったステーブルコイン。 テザー(USDT)は、米ドルの価値に連動(1USDT ≒ 1USD)することを目指して設計された、世界最大級のステーブルコインです。(2026年1月28日現在)
ただし、仮想通貨に馴染みのない方にとっては「なぜ価格が変わりにくいのか?」「運営会社は本当に信用できるのか?」「日本で持っていて問題はないのか?」といった不安も多いはずです。
本記事では、2026年1月時点の最新データに基づき、USDTの仕組み、裏付け資産(準備金)の透明性、日本国内での法規制の位置づけ、 そして具体的な入手・送金・運用ルートまで、中立的な視点で整理して解説します。
この記事でわかること
USDT(テザー)とは?仕組みと最新の市場規模
1ドル ≒ 1USDTを維持する「法定通貨担保型」の基本
テザー(USDT)は、Tether社(Tether Limitedを含むグループ)が発行するステーブルコインです。 「発行したUSDTと同等以上の準備資産(米国債・現金同等物など)を保有する」という設計思想により、1USDTが概ね1米ドル付近で推移することを目指しています。
仕組みとしては、準備資産の存在に加え、市場で1USDTが1ドルから乖離した際に「裁定取引(アービトラージ)」が働くことで、 価格が戻りやすい構造になっています。ただし、常に完全に1.0000ドルを保証する仕組みではなく、短期的な乖離(デペッグ)が起こり得る点は重要です。
ステーブルコイン市場でのUSDTの存在感
USDTはステーブルコインの中でも最大級で、暗号資産全体でも上位に位置します。 たとえばステーブルコインカテゴリの集計では、USDTの時価総額は約1,860億ドル規模で、カテゴリ全体の約6割を占める水準です(表示時点の変動あり)。
投資家にとっては、利益確定時の「一時的な退避先」や、海外取引所での「基軸通貨(取引ペアの土台)」として、 インフラのように使われる場面が多いのが特徴です。
《出典》
Stablecoins by Market Capitalization|CoinMarketCap
Transparency|Tether公式
USDTのチャート・価格推移:デペッグ(USD乖離)が起きた局面
「デペッグ=即破綻」ではないが、短期乖離は現実に起きる
ステーブルコインは「常に1ドル固定」と誤解されがちですが、実際の取引は市場で行われるため、 需給・流動性・信用不安によって短期的に1ドルから外れることがあります。 USDTも例外ではありません。
代表的な乖離の例(目安)
- 2022年5月:Terra(UST)崩壊の連鎖不安で、USDTが一時0.95ドル前後まで下落したと報じられました(その後回復)。
- 2022年11月:FTX破綻局面で、USDTが一時0.96ドル付近まで下落したと報じられました(その後回復)。
こうした局面では、準備資産の真偽だけでなく「取引所の流動性」「投資家心理」「他のステーブルコインの連鎖不安」などが絡み、 価格が一時的に歪むことがあります。
チャートで確認するポイント(初心者が見るべき3点)
- 価格:1.00ドルからの乖離幅(例:0.99 / 1.01程度は日常的に起こり得る)
- 出来高:急増している場合は「逃避・取り付け」の兆候になりやすい
- ニュース:規制・取引所破綻・ハッキング・準備資産評価の悪化など
まずはCoinMarketCap等のチャートで「乖離が起きた日」を後追いし、同日に何が起きていたか(UST/FTX等)をセットで見ると理解が深まります。
《出典》
Tether briefly lost its peg amid crypto market turmoil|Business Insider
Tether (USDT) briefly traded below $1 during FTX contagion|Investopedia
Stablecoins by Market Capitalization(チャート参照)|CoinMarketCap
USDTの安全性:準備金の透明性と懸念点
「アテステーション」による開示:監査(Audit)とは別物
Tether社は四半期ごとに第三者によるアテステーション(一定時点での数値の証明)を公表し、 準備資産や負債の概要を開示しています。
ここで重要なのは、アテステーションはフル監査(Audit:過去の取引まで含めた広範な精査)とは範囲が異なる点です。 透明性は改善している一方で、「どの程度まで外部から検証できるのか」は、リスク評価の争点になりやすい部分です。
最新の準備資産・供給規模(例)
たとえばTether社の公表情報では、2025年9月30日時点で 準備金(Reserves)が約1,812億ドル、負債(Liabilities)が約1,744億ドルとされ、 差分(超過準備)がバッファとして存在する旨が示されています。 また、米国債エクスポージャー(直接・間接)は約1,350億ドル規模と説明されています。
ただし、格付・リサーチ機関は、準備資産の構成や開示水準について慎重な評価を示す場合もあります。 「ゼロリスクのドル預金」ではなく、あくまで民間発行のステーブルコインである点は押さえておきましょう。
《出典》
Tether Attestation Reports Q1–Q3 2025|Tether
Stablecoin Stability Assessment|S&P Global Ratings
日本国内での扱い:買える取引所と法規制
ステーブルコインは「電子決済手段」として制度整備が進行中
日本では、法定通貨に連動するステーブルコインについて、改正資金決済法等を踏まえた制度整備が進んでいます。 いわゆる「電子決済手段」として、発行・流通・仲介に関するルールが設けられ、関連する政令・内閣府令の整備も継続的に行われています。
その結果、海外発行ステーブルコイン(USDTを含む)の国内流通は、 「誰がどの形で取り扱うのか(保全・説明責任・AML/CFT対応等)」が論点になりやすく、 国内取引所での取り扱いは銘柄・サービス形態ごとに差が出やすい状況です。
現実的な入手ルート(一般的な例)
- 国内取引所でBTC/ETH等を購入 → 海外取引所へ送金 → USDTに交換
- メタマスク等のウォレットを使い、DEXでUSDTに交換(ガス代・スリッページ注意)
いずれの場合も、利用するサービスの規約・本人確認・送金制限・リスク表示を確認したうえで、無理のない範囲で行いましょう。
《出典》
令和7年資金決済法改正に係る政令(案)等|金融庁
Japan stablecoin regulations (2023)|EY
USDTと他のステーブルコイン(USDC・PYUSD)の比較
用途に応じた使い分けが重要
ステーブルコインにはUSDT以外にも有力な選択肢があります。最終的には「どこで使うか(取引所/DeFi/決済)」「透明性をどう重視するか」で決めるのが現実的です。
| 銘柄 | 強み | 懸念点 |
|---|---|---|
| USDT | 圧倒的な流動性/取引所の取引ペアが非常に多い | 中央集権的/開示は主にアテステーションで、監査範囲は限定的 |
| USDC | 規制準拠・透明性を重視した運営で評価されやすい | USDTに比べると、取引所・チェーンによって流動性が劣る場合 |
| PYUSD | PayPalが提供/決済・送金系のユースケース拡大が期待 | 普及途上で取引ペア・対応サービスが限定的なケース |
《出典》
PayPal Launches PayPal USD (PYUSD)|PayPal
Stablecoins by Market Capitalization|CoinMarketCap
USDTの入手と送金(買い方):ネットワークの選択に注意
購入の基本ステップ(代表例)
- 国内取引所でBTC/ETH等を購入
- 海外取引所またはウォレットへ送金
- USDTに交換(現物・DEX等)
手順自体はシンプルですが、送金ミス=資産消失(セルフGOX)につながりやすいのが落とし穴です。 特にUSDTは複数チェーンで発行されるため「ネットワーク選択」を誤らないよう注意してください。
ERC20、TRC20、TON…どれを使うべき?
- Ethereum(ERC-20):最も普及。DeFiで使いやすいがガス代が高くなりやすい。
- Tron(TRC-20):手数料が安く、取引所間送金で定番。
- TON:Telegram連携を背景に存在感が増加。対応ウォレット・取引所の確認は必須。
送金時は、「送り元のネットワーク」と「受け取り側のネットワーク」を必ず一致させてください。 心配なら少額テスト送金 → 本送金の順が安全です。
古いチェーンは「新規発行終了」になっている場合も
Tether公式の案内では、Kusama、Omni Layer等の一部チェーンについて、新規発行や償還義務の対象外として扱われる旨が明記されています。 「どのチェーンのUSDTか」を必ず確認しましょう。
《出典》
Supported Protocols(対応チェーン一覧・移行案内)|Tether公式
Tether Attestation Reports Q1–Q3 2025|Tether
USDTのメリット・デメリット(気になる点を先に整理)
メリット:避難先・送金・基軸通貨として強い
- 価格変動が小さい:BTC/ETHに比べて資産価値を固定しやすい
- 流動性が非常に高い:多くの海外取引所で取引ペアが豊富
- マルチチェーン対応:用途に応じて送金コスト・速度を選びやすい
デメリット:中央集権・規制・凍結・取り付け不安は残る
- カウンターパーティー・リスク:発行体(運営)の信用に依存
- 透明性の限界:開示の中心はアテステーションで、監査範囲は限定的
- 凍結(ブラックリスト)の可能性:設計上、特定アドレスが凍結されることがある
- 大きな値上がり益は狙いにくい:現物保有だけでは増えない
「安全なドル預金」ではなく、“価格が安定しやすい暗号資産”として、用途とリスクをセットで理解して使うのがポイントです。
《出典》
Stablecoin Stability Assessment|S&P Global Ratings
Tether (USDT) briefly traded below $1 during FTX contagion|Investopedia
よくある質問(FAQ)
Q. USDTは安全ですか?価値が0になることはありますか?
理論上、準備資産への信用不安や取り付け(同時売却)が起きた場合、デペッグが長引くリスクはゼロではありません。 過去にも一時的に1ドルを下回った局面が報告されています。リスクをゼロにしたいなら、用途を限定し、保有期間を短くするなどの工夫が現実的です。
Q. USDTを保有しているだけで税金はかかりますか?
日本では一般に、保有しているだけで直ちに課税されるとは限りません。 ただし、暗号資産を「売却・使用(決済)・交換」して利益が確定する場合、課税関係が生じ得ます。 実務は取引形態で変わるため、国税庁の最新資料も参照しつつ、必要に応じて専門家に確認してください。
Q. Tether社にウォレットを凍結されることはありますか?
USDTは中央集権的な設計のため、発行体が不正利用の疑いがあるアドレスをブラックリスト化し、移転を止めるケースがあります。 そのため、DeFiでの利用や第三者から受け取る際は、出所・相手先リスクにも注意が必要です。
《出典》
暗号資産等に関する税務上の取扱い及び計算書(令和7年12月)|国税庁
Stablecoin Stability Assessment|S&P Global Ratings
まとめ:USDTは「正しく怖がり、賢く使う」通貨
テザー(USDT)は、圧倒的な流動性と利便性により、2026年の仮想通貨市場でも主要な基軸通貨として利用されています。 一方で、準備資産の透明性は改善しているものの、開示の中心はアテステーションであり、ゼロリスクではありません。
また、短期的なデペッグや、中央集権設計ゆえの凍結リスク、国内制度との関係など「気になる点」も存在します。 だからこそ、USDTは“万能な安全資産”ではなく、用途を限定して賢く使う道具として位置づけるのが合理的です。
《出典》
Stablecoins by Market Capitalization|CoinMarketCap
Tether Attestation Reports Q1–Q3 2025|Tether