監修:株式会社J-CAM 金融アドバイザー AFP認定者 倉本 佳光 Yoshimitsu Kuramoto

慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、山一証券株式会社に入社し金融業界でのキャリアをスタート。その後、メリルリンチ日本証券株式会社マネージメント・コミッティーメンバー、岡三アセットマネジメント株式会社理事などを歴任。
執筆:BitLending編集部 更新日:2026年9月17日

倉本 佳光

USDT(テザー)は、1USDTが1米ドル付近になることを目指してTetherが発行するステーブルコインです。暗号資産取引や国際送金で広く使われていますが、米ドルそのものでも、銀行預金でもありません。

利用前に確認したいのは、価格だけではなく、裏付け資産の中身、発行体の信用、利用する取引所、送金ネットワークです。本記事では、2026年6月末の第三者保証報告書と2026年8月の財務諸表監査に関する発表を踏まえ、USDTの仕組み、危険性、日本での確認方法、USDCとの違いを整理します。

免責事項(投資助言ではありません)

本記事は、暗号資産に関する情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買・投資行動を推奨するものではありません。暗号資産は価格変動が非常に大きく、短期間で大きな損失が発生する可能性があります。投資判断は必ずご自身の責任で行い、必要に応じて専門家へご相談ください。

利益相反に関する開示:本記事を掲載するBitLendingは、暗号資産レンディングサービスを提供しています。記事内には当社サービスへの導線が含まれる場合がありますが、特定の投資行動や暗号資産の貸出を推奨するものではありません。

USDT(テザー)の仕組みを解説するイメージ

USDT(テザー)とは?仕組みと主な用途

USDTは、Tether International, S.A. de C.V.が発行する、米ドル連動型のステーブルコインです。市場価格が1USDT=1米ドル付近になることを目指しています。

「米ドル連動」は日本円で価格が一定という意味ではありません。米ドル建ての価格が安定していても、円換算額はドル円相場によって上下します。また、USDTは米ドル紙幣をトークン化したものではなく、Tetherが保有する複数種類の資産を裏付けとする民間発行のデジタルトークンです。

ステーブルコイン全体の種類や仕組みは、以下の基礎記事で確認できます。

ステーブルコインの種類と仕組みを解説する記事

《出典》
Tether Issuance Primer|Tether

USDTが1米ドル付近を保つ基本構造

Tetherの報告書では、発行済みの法定通貨建てトークンを返金負債として計上し、契約上の償還価値で記録しています。適格な直接顧客による発行・償還と、市場参加者の裁定取引が、取引価格を1米ドル付近へ戻す力になります。

ただし、取引所の板で売買される価格は需給で決まります。Tetherの償還価格と取引所価格は同じ概念ではなく、市場不安や流動性不足があれば一時的に乖離します。

USDTが使われる主な場面

  • 取引:暗号資産同士を売買する際の基準通貨
  • 送金:複数のブロックチェーンを使った価値移転
  • 待機資金:BTCやETHなどの価格変動をいったん避ける用途
  • 決済・DeFi:対応するサービス内での支払いや担保

価格変動が比較的小さいことと、元本が保証されることは別です。用途ごとに発行体、取引所、ウォレット、スマートコントラクトなど異なるリスクが加わります。

USDTが1ドル付近を維持する仕組み|裁定取引と運用の考え方

USDTが1米ドル付近で取引されやすい背景には、Tetherが保有する準備資産だけでなく、市場参加者による裁定取引(アービトラージ)があります。

裁定取引とは、同じ資産に生じた価格差を利用して利益を得ようとする取引です。USDTの市場価格が1米ドルから外れると、その価格差を利益機会と考える適格な直接取引参加者、マーケットメーカー、裁定取引者などが売買に参加する経済的な動機が生まれます。

価格差から利益を得ようとする市場参加者の行動が、USDTを1米ドル付近へ戻す力の一つになります。ただし、常に十分な裁定取引が行われることや、必ず1米ドルへ戻ることを保証する仕組みではありません。

《出典》
Tether Issuance Primer|Tether

💡 用語解説:USDTの裁定取引はどのように働く? ▼ 開く

■ 1USDTが1米ドルを下回った場合

市場でUSDTを安く買い、償還条件を満たす参加者がTetherで米ドルへ償還する、または価格が戻った後に売却できれば、手数料などを差し引いた差額が利益になります。この買い需要は、価格を1米ドル付近へ戻す方向に働きます。

■ 1USDTが1米ドルを上回った場合

Tetherと直接取引できる参加者がUSDTを発行して市場で売却できれば、手数料などを差し引いた価格差が利益になります。この売り供給は、上昇した価格を1米ドル付近へ戻す方向に働きます。

誰でも同じ条件で裁定できるわけではない

Tetherとの直接発行・償還には、本人確認、最低取引額、対象地域、手数料などの条件があります。また、市場混乱時には取引所の流動性低下や送金停止によって、裁定取引がすぐに働かない場合があります。

デペッグの説明との違い

このセクションは、USDTが平常時に1米ドル付近へ戻りやすい理由を説明するものです。一方、デペッグのセクションでは、信用不安や流動性低下によって裁定取引が十分に働かず、価格乖離が拡大・長期化する場合を扱います。

裁定取引は価格安定を支える仕組みですが、価格を固定する保証ではありません。裏付け資産への信用、償還機能、取引所の流動性が保たれていることも重要です。

価格変動を抑えた運用先として検討される理由

USDTやUSDCなどの米ドル連動型ステーブルコインは、ビットコインなどと比べて米ドル建ての価格変動を抑えることを目指しています。そのため、暗号資産の数量を貸し出して貸借料を受け取るレンディングでは、元本数量と貸借料の推移を把握しやすいという特徴があります。

  • 米ドル建ての価格が比較的安定:BTCなどに比べて大幅な価格変動を抑えることを目指す
  • 貸借料を数量で把握しやすい:貸し出したUSDT・USDCに対して同じ通貨で貸借料を受け取れる
  • 複利運用と組み合わせられる:付与された貸借料を元本へ組み入れるサービスもある

価格が比較的安定していることと、レンディングの元本が保証されることは別です。USDTの発行体リスクに加えて、貸出先事業者の信用、返還条件、資産管理、対応ネットワークなどを確認する必要があります。

ステーブルコインを貸し出して貸借料を受け取る方法

2026年9月時点におけるBitLendingの貸借料率は、USDT・USDCともに年利率10%(APY)です。対応ネットワークは、USDTがERC-20とTRC-20、USDCがERC-20です。

ただし、貸借料率は固定ではなく、市場環境や運用状況などによって変更する場合があります。利用前に、最新の貸借料率、最低貸出数量、最低貸出期間、返還時期、返還手数料、対応ネットワークをご確認ください。

BitLendingの最新の貸借料率と利用条件を確認する

USDTの裏付け資産を確認するイメージ

USDTの裏付け資産は本当に十分?最新の資産構成と第三者評価

2026年6月30日時点のFinancial Figures and Reserves Reportでは、総資産は約1,877.5億ドル、総負債は約1,836.4億ドル、そのうち発行済みデジタルトークンに関する負債は約1,836.2億ドルでした。資産が負債を上回る差額は約41.1億ドルです。

公表資料上は資産超過ですが、これだけで「取り付けが起きても必ず即時に全額換金できる」とは判断できません。資産の種類、換金性、価格変動、保管先、償還条件まで読む必要があります。

《出典》
Financial Figures and Reserves Report as of 30 June 2026|Tether・BDO

裏付け資産は現金だけではない

同報告書に記載された準備資産の主な構成は次のとおりです。数値は報告基準日時点の評価額であり、その後の価格変動や資産移動を示すものではありません。

資産区分 2026年6月30日時点 確認したいリスク
米国短期国債約1,149.6億ドル金利・市場流動性
翌日物・期間物リバースレポ合計約256.2億ドル担保・取引相手・換金時期
現金・銀行預金約4,031万ドル預金先・即時利用可能性
貴金属約188.4億ドル金価格・保管・売却時の流動性
ビットコイン約58.0億ドル大幅な価格変動
上場株式約37.6億ドル市場価格・間接的な資産エクスポージャー
その他投資約52.4億ドル内訳の透明性・評価方法
担保付融資約134.5億ドル借り手・担保価格・回収可能性

短期米国債とリバースレポが大きな割合を占める点は流動性評価のプラス材料です。一方、金、ビットコイン、上場株式、その他投資、担保付融資も含まれます。したがって「1USDTにつき1米ドルの現金が銀行口座に置かれている」という説明は正確ではありません。

💡 用語解説:アテステーションと監査 ▼ 開く

■ アテステーションとは?

経営者が作成した特定の情報が、定められた基準に照らして適正に表示されているかを第三者が保証する業務です。

  • 今回の対象:2026年6月30日時点のFinancial Figures and Reserves Report
  • 注意点:対象日時以外の残高や取引を継続的に保証するものではありません

財務諸表監査との違い

財務諸表監査は、貸借対照表だけでなく、損益、キャッシュフロー、取引、内部統制に関する証拠など、より広い財務報告を対象にします。どちらも対象期間・基準・意見の範囲を確認することが重要です。

BDOの第三者保証で確認されたこと

BDO Advisory ServicesはISAE 3000(改訂)に基づく合理的保証業務を行い、2026年6月30日時点の報告書が、重要な点において定められた基準に従い適正に表示されているとの結論を示しました。

手続きには、銀行・保管機関への残高確認、帳簿との照合、重要なサンプルの評価、ブロックチェーン上の資産・負債との照合、担保付融資の一部について契約・担保を確認する作業などが含まれます。

これは単なるTetherの自己申告だけではない一方、会社全体の財務諸表監査と同じ範囲ではありません。BDOは報告日時以外について保証を行わず、注記部分も保証対象外としています。

報告書に明記された限界

  • 評価は2026年6月30日23時59分(UTC)の一点に限定される
  • 継続企業を前提とした評価について、BDOは保証を提供していない
  • 通常の市場環境を前提とし、異常な市場環境や主要保管先・取引相手の深刻な流動性悪化を反映していない
  • 資産価値と、実際に必要な時点で現金化できる速度は同じではない

超過準備は損失吸収の余地になりますが、総負債に対して無制限の余裕があるわけではありません。金、ビットコイン、株式などが同時に値下がりした場合や、資産の現金化に時間がかかる場合も考える必要があります。

2025年度の財務諸表監査は透明性の前進

Tetherは2026年8月13日、KPMG USが2025年12月31日終了年度の財務諸表に無限定適正意見を出したと発表しました。同社の説明では、監査対象には資産、負債、取引、システム、所有記録、評価、取引相手、損益、持分変動、キャッシュフローが含まれます。

これは四半期の準備資産保証より広い検証が行われたことを示す重要な更新です。ただし、2025年末の財務諸表監査は、2026年6月末の資産構成や将来の償還を保証するものではありません。対象期間を分けて評価する必要があります。

《出典》
Tether Completes the Largest Inaugural Financial Audit in History|Tether

S&Pの慎重な評価は、評価日と根拠を併記する

S&P Global Ratingsは2025年11月26日、USDTが米ドルとの連動を維持する能力を5段階中「5(Weak)」と評価しました。同社の評価手法は、資産の質だけでなく、過剰担保、償還・流動性、ガバナンス、法規制、第三者依存、技術、実績を総合します。これは信用格付けではなく、ステーブルコイン間で連動維持能力を比較する評価です。

ただし、この評価は2026年の財務諸表監査完了より前のものです。監査後の評価改定が確認できない限り、「監査後もS&Pが同じ評価を維持している」とは表現しません。

《出典》
Stablecoin Stability Assessment|S&P Global Ratings

USDTの価格推移とデペッグを確認するチャート

USDTのデペッグとは?1米ドルから外れる理由

デペッグとは、取引価格が連動目標である1米ドルから外れることです。取引所の売り注文が急増したり、信用不安で買い手が減ったりすると、十分な準備資産が報告されていても、市場価格は一時的に1米ドルを下回ることがあります。

一時的な乖離だけで直ちに破綻とはいえませんが、乖離の幅・継続時間・償還状況を確認する必要があります。

過去の乖離から分かること

2022年5月のTerraUSD崩壊時や、同年11月のFTX破綻局面では、暗号資産市場全体の信用不安と流動性低下を背景にUSDTも一時的に1米ドルを下回りました。発行体の準備資産だけでなく、取引所ごとの板の厚さや市場参加者の行動も価格に影響します。

チャートで確認する3項目

  • 乖離幅と期間:小さな瞬間的乖離か、長時間続く大幅な乖離か
  • 取引所横断の価格:一つの市場だけか、複数市場へ広がっているか
  • 償還と開示:Tetherから償還停止や準備資産の問題が発表されていないか

「1USDTが何円か」を見る場合、USDT/USDの乖離とUSD/JPYの為替変動を分けて確認します。

《出典》
Tether briefly lost its peg amid crypto market turmoil|Business Insider
Tether briefly traded below $1 during FTX contagion|Investopedia

USDTは日本の国内取引所で買える?確認方法と制度

国内で法定通貨連動型ステーブルコインを取り扱う事業には、電子決済手段等取引業などの制度が関係します。2026年6月1日には、所属業者の委託を受けて一定の媒介行為を行う「電子決済手段・暗号資産サービス仲介業」の制度も始まりました。

制度があることと、特定の国内取引所がUSDTを売買・入出庫できることは別です。取扱銘柄、提供サービス、対応ネットワークは変更されるため、利用直前に公式画面で確認してください。

《出典》
暗号資産・電子決済手段関係|金融庁

国内取引所で確認する4項目

  1. 売買可否:販売所・取引所・コンバートのどこで扱うか
  2. 日本円ペア:USDT/JPYがあるか、別の暗号資産との交換だけか
  3. 入出庫可否:売買できても外部ウォレットへ送れない場合がないか
  4. 対応ネットワーク:Ethereum、Tronなど、送付先と同じネットワークか

銘柄名が画面に表示されるだけで判断せず、最新の取扱銘柄一覧、取引ルール、入出庫画面、手数料表を確認します。取引所選び全体は、国内取引所の手数料と比較ポイントも参考になります。

海外サービスやDEXを利用する前の注意

日本居住者の利用可否、本人確認、地域制限、出金制限、税務記録を確認してください。国内取引所で別の暗号資産を購入し、海外取引所へ送りUSDTに交換する方法を、誰にでも適した標準ルートとしては扱いません。

DEXではスマートコントラクト、偽トークン、スリッページ、ウォレット管理のリスクも加わります。利用する場合はコントラクトアドレスとネットワークを公式情報で確認します。

USDTとUSDCの違いを比較するイメージ

USDTとUSDCの違いは?用途・開示・流動性を比較

USDTとUSDCはいずれも1米ドル付近の維持を目指しますが、発行体、準備資産、情報開示、利用場所が異なります。一方を常に安全と決めるのではなく、用途と利用サービスに合わせて比較します。

比較項目USDTUSDC
発行体TetherCircle
主な特徴世界の取引所・送金で高い流動性規制対応と準備資産開示を重視
裏付け資産短期米国債・レポを中心に、金、BTC、融資等を含む現金と短期米国債を中心とする準備資産
主な確認点資産構成、償還条件、発行体・凍結リスク発行体、保管銀行、規制、ネットワーク
選び方必要な取引ペアや送金先の対応を優先必要なサービスの対応と開示方針を優先

USDCの国内取引所、デペッグ、USDTとの比較は、USDCの仕組み・危険性・国内での扱いで詳しく解説しています。

《出典》
Transparency & Stability|Circle

USDTを複数ネットワークで送金するイメージ

USDTの買い方・送金方法:ネットワークと手数料を確認

USDTを入手する方法は、利用可能な取引所で購入・交換する方法や、対応するDEXで交換する方法などがあります。重要なのは、購入方法より先に「保管場所」「利用目的」「受取先ネットワーク」を決めることです。

購入前から着金後までの確認手順

  1. 利用するサービスが日本居住者へ提供されているか確認する
  2. USDTの売買・入出庫・対応ネットワークを確認する
  3. 取引手数料、スプレッド、出庫手数料、ネットワーク手数料を確認する
  4. 送付元と受取先で同じネットワークを選択する
  5. 宛先、ネットワーク、必要なメモやタグを再確認する
  6. 可能なら少額をテスト送金し、着金後に本送金する
  7. 取得価格、数量、手数料、送金記録を保存する

ERC-20・TRC-20・TONは同じUSDTでも互換ではない

USDTはEthereum、Tron、TONなど複数のネットワークで発行されています。銘柄名がUSDTで同じでも、異なるネットワークのアドレスへそのまま送れるとは限りません。

手数料の安さだけで選ばず、受取先が入金に対応するネットワークを選びます。ウォレットの基本操作は、MetaMaskの使い方と安全上の注意も確認してください。

《出典》
Supported Protocols|Tether

USDTの手数料は3種類に分ける

  • 取引コスト:売買手数料または販売所のスプレッド
  • 出庫手数料:取引所が設定する外部送金の料金
  • ネットワーク手数料:ブロックチェーン上で処理するための料金

同じネットワークでも混雑やサービス方針で変動します。本文に固定額を置かず、実行直前の確認画面を正本とします。

USDTのメリットを示すイメージ

USDTのメリットと危険性を分けて確認

USDTの利便性は高い一方、リスクは一つではありません。「USDT自体」「送金ネットワーク」「保管・利用サービス」を分けると、どこに問題が起こり得るか理解しやすくなります。

USDTの主なメリット

  • 多くの取引市場で使われ、売買相手を見つけやすい
  • BTCやETHより米ドル建ての値動きが小さいことを目指す
  • 複数ネットワークに対応し、用途に合う送金経路を選べる
  • 取引、送金、決済、DeFiなど利用場面が広い
USDTの危険性と注意点を示すイメージ

USDTの主な危険性

  • 発行体リスク:準備資産、ガバナンス、法規制、事業継続に依存する
  • デペッグ:市場価格が1米ドルから乖離することがある
  • 凍結:Tetherが対象アドレスの移転を制限できる
  • 送金ミス:異なるネットワークや誤った宛先へ送ると回収できない場合がある
  • サービス事業者リスク:取引所・ウォレット・レンディング事業者の障害や破綻は別の問題
  • 為替リスク:日本円換算額はドル円相場で変動する

保有するUSDT自体の安定性と、USDTを預ける事業者の安全性は分けて判断します。レンディングを検討する場合は、暗号資産レンディングのリスクと比較ポイントを確認してください。

USDTの今後・将来性は何で判断する?

USDTは1米ドル付近を目指すため、大幅な値上がりを期待する銘柄として評価するものではありません。将来性は、価格予想ではなく、安定して利用を続けられる条件が維持されるかで判断します。

準備資産、規制、流動性、対応ネットワークの4点を継続して確認することが基本です。

評価が変わる4つの確認項目

  • 準備資産:資産超過、構成、換金性、第三者保証・監査の更新
  • 規制:主要国と日本における発行・流通・仲介の制度
  • 流動性:取引所、送金、決済で継続して利用されているか
  • ネットワーク:対応チェーンの追加・終了、ブリッジ、技術上の問題

これらの悪化が複数重なる場合は評価を見直します。時価総額の増加だけで安全性や将来性を断定しません。

USDTに関するよくある質問

裏付け資産、国内での利用、送金、税金について、利用前に残りやすい疑問を整理します。

USDT(テザー)とは何ですか?

1USDTが1米ドル付近になることを目指してTetherが発行するステーブルコインです。米ドルそのものや銀行預金ではなく、Tetherの準備資産と償還の仕組みを基礎とするデジタルトークンです。

USDTは1枚につき1米ドルの現金で裏付けられていますか?

現金だけで裏付けられているわけではありません。2026年6月末の報告書では、短期米国債とリバースレポが中心ですが、金、ビットコイン、上場株式、その他投資、担保付融資なども含まれています。

Tetherの準備資産は負債を上回っていますか?

2026年6月30日時点の報告書では、総資産約1,877.5億ドルに対し総負債約1,836.4億ドルで、資産が約41.1億ドル上回っています。これは同日時点の数値であり、将来の状態を保証するものではありません。

超過準備があればUSDTは絶対に安全ですか?

絶対に安全とはいえません。資産価格の下落、現金化の遅れ、保管先・取引相手の問題、法規制、償還の集中などが起こり得ます。超過準備は評価材料の一つです。

アテステーションと監査は何が違いますか?

アテステーションは特定の報告書や基準日時点の情報を対象とする保証業務です。財務諸表監査は財務諸表全体や関連する証拠をより広く検証します。対象期間と意見の範囲を確認する必要があります。

Tetherは正式な財務諸表監査を受けていますか?

Tetherは2026年8月、KPMG USが2025年12月期財務諸表に無限定適正意見を出したと発表しています。これは透明性の前進ですが、2026年6月末以降の状態やUSDTの将来価値を保証するものではありません。

S&PがUSDTを「Weak」と評価したのはなぜですか?

S&Pの評価は資産の質だけでなく、過剰担保、償還・流動性、ガバナンス、規制、第三者依存、技術、実績を総合します。2025年11月の評価であり、2026年の監査より前である点にも注意が必要です。

USDTは安全ですか?価値が0になる可能性はありますか?

価格安定を支える準備資産と償還の仕組みはありますが、元本保証はありません。発行体や準備資産への重大な信用不安、規制、償還、取引所の問題などで価格が大きく下がる可能性は否定できません。

1USDTは日本円でいくらですか?

おおむね1米ドルを日本円へ換算した金額ですが、USDT/USDの小さな乖離、ドル円相場、取引所のスプレッドや手数料により実際の売買価格は異なります。

USDTは日本の国内取引所で買えますか?

取扱状況は取引所とサービスによって異なり、変更されます。公式の取扱銘柄一覧だけでなく、売買方法、日本円ペア、入出庫、対応ネットワーク、手数料を利用直前に確認してください。

USDTとUSDCは何が違いますか?

発行体、準備資産の構成、情報開示、規制上の位置付け、対応する取引所・ネットワークが異なります。USDTは高い流動性が特徴ですが、一方を絶対的に安全と決めず、用途に必要な取扱状況まで比較してください。

USDTの送金手数料はいくらですか?

取引所の出庫手数料とブロックチェーンのネットワーク手数料で決まり、利用先・ネットワーク・混雑状況により変わります。固定額ではないため送金確認画面を確認してください。

ERC-20とTRC-20のUSDTは何が違いますか?

利用するブロックチェーンが異なります。送付元と受取先が同じネットワークに対応していなければならず、手数料、処理時間、対応するサービスも異なります。

Tetherにウォレットを凍結されることはありますか?

あります。USDTには発行体が特定アドレスの移転を制限できる仕組みがあり、Tetherは制裁・犯罪捜査等に関連する凍結事例を公表しています。第三者から受け取る場合は相手先や資金の出所にも注意が必要です。

《出典》
Tether Supports Freeze of More Than $344 Million in USD₮|Tether

USDTを保有しているだけで税金はかかりますか?

日本では、一般に保有だけで直ちに利益が確定するとは限りません。ただし、売却、他の暗号資産との交換、決済、報酬受領などで課税関係が生じる場合があります。取引記録を保存し、個別判断は税務署や専門家へ確認してください。

税務の全体像は、暗号資産の税率・計算・確定申告で確認できます。

《出典》
暗号資産等に関する税務上の取扱いについて|国税庁

まとめ:USDTは裏付け資産・利用先・送金経路を確認する

USDTは、暗号資産市場で高い流動性を持ち、取引や送金に広く利用される米ドル連動型ステーブルコインです。2026年6月末の第三者保証報告書では資産が負債を上回り、2025年度には財務諸表監査が行われたとTetherが発表しており、透明性は前進しています。

一方、裏付け資産は現金だけではなく、保証報告書には基準日時点・正常な市場環境という限界があります。デペッグ、発行体による凍結、ネットワーク間違い、取引所や保管先の問題も残ります。

「1米ドル付近だから安全」と考えず、準備資産の最新報告、取扱先、対応ネットワーク、手数料、保管方法を利用前に確認することが重要です。