先週の暗号資産市場の動向

先週の暗号資産市場は、前半は予想したようにもみ合いから始まりました。ただ週を追って暗号資産市場へフォローと思われる材料の発表があり、週末に向けて堅調な展開となりました。

ブラックロック社屋

ビットコイン(BTC)の価格動向

BTCは18日(月)1,390万円近辺からのスタートとなり、20日(水)朝方まではもみ合い的な展開となっていましたが、19日(火)にブラックロックの現物ビットコインETFのオプション取引がNASDAQ市場で始まった事を受けて徐々に堅調な展開となりました。

20日(水)にあったエヌヴィディアの決算発表は好決算の発表となりましたが、一部の予想を下回ったことにより株価は下落する流れとなりました。しかし、株式市場・暗号資産市場ともに大きな影響を受けるには至りませんでした。

トランプ新政権と暗号資産市場

21日(木)にはトランプ新政権が暗号資産特命のポストを設置することを検討しているとのニュースが流れ、BTCは1,500万円台、ドルベースで97,000ドル台へ進みました。

さらに22日(金)にはSECのゲイリー・ゲンスラー委員長が来年1月20日のトランプ新大統領就任と同時に退任する事が発表され、上昇を続けていたXRPがさらに上昇を加速し220円台へ進みました。またこのニュースによりBTCも1,540万円台、ドルベース99,000ドル台まで進みました。

週末は、BTCが1,530万円台、ETHが51万円台半ば、XRPが228円台で終えています。

暗号資産特命ポスト(the crypto czar position)

トランプ次期政権は、ホワイトハウス内に暗号資産(仮想通貨)政策に特化したポストを新設することを検討しています。

現時点では正式な決定や具体的な人事発表は行われいないものの、このポストの設置に向けて、政権移行チームはデジタル資産業界と協議を進めており、適任者の選定も行われているとのことです。

このポストの就任候補として、現在(2024.11.25執筆時点)、以下の人物が噂されています。(出典:FOXビジネス)

  • クリス・ジャンカルロ

    ジャンカルロ氏は現在、ウォール街の法律家であり、ブロックチェーン推進団体のデジタル商工会議所とステーブルコイン企業パクソスの諮問委員会のメンバーでもある。同氏は長年にわたりブロックチェーン技術の開発とデジタル資産の発展について、提唱、執筆してきたことから、「クリプト・ダッド」と呼ばれることが多い。

    ステーブルコインや中央銀行デジタル通貨(CBDC)など、デジタル化された米ドルの未来を探るデジタルドルプロジェクトの創設者兼ディレクター。

霧立ち込めるサンフランシスコの風景

米国金融市場の動き

米国金融市場では、材料不足の週として予想されていたように比較的落ちついた展開となっていました。

主要経済指標の結果

経済指標の発表では、19日(火)に10月の米国住宅着工件数の発表がありました。年率換算131.1万戸で前月比マイナス3.1%と予想の133.4万戸や前月の135.3万戸と下回りましたが、ハリケーンの影響で南部での着工が減少した為との判断で悪材料にはなりませんでした。

また21日(木)発表の米国中古住宅販売件数は年率換算396万戸と+3.4%で予想の393万戸を上回り、最悪期を脱したのではないかとのコメントも見られる内容となっています。一方、同日発表のフィラデルフィア連銀景況感指数11月はマイナス5.5と予想の+8や前月の+10.8を下回りましたが、22日(金)発表の米国PMIでは、製造業が予想と一致の48.8で前月の48.5を上回り、非製造業が57.0と前月の55.0や予想の55.2を上回り、景況感の落ち着きを見せる内容と判断されました。

株式市場の反応

米国株式市場は、こうした経済指標の発表に大きく反応する事はなく、週後半に発表された小売業の決算が比較的堅調であったことからNYダウ平均を中心に21日(木)、22日(金)と堅調な展開となって週を終えています。

今週の注目経済指標

今週の経済指標の発表では、26日(火)のFOMC議事録要旨と27日(水)の米国個人消費支出(PCE)の発表が注目されます。

前回のFOMCの概要と利下げの影響

前回の11月6日-7日のFOMCでは、トランプ新大統領の当選が決まった後での会合となり、金融当局がトランプ新政権による政策の影響をどのように判断していくのか注目されましたが、結局2会合連続での利下げとなり、政策金利を0.25%引き下げています。

パウエルFRB議長の発言

この時にパウエルFRB議長は、「雇用市場が全般的に減速する中、インフレ率はFRBが目標とする2%に向けて継続的に低下している」と指摘し、「経済活動は引き続き堅調なペースで拡大している。」としました。この日の利下げの決定については「経済と労働市場の強さを維持するのに役立ち、時間とともにより中立的なスタンスに向かうにつれてインフレ面の更なる進展を可能とするだろう」と説明しました。

また「経済とわれわれの政策は非常に良い状態にあると考えている。」と述べています。ただ今後の利下げの程度やペースについては手がかりを示しておらず、「今後も入手するデータを次第で判断する。」とコメントしました。

そして「来年以降の政策変更の影響は不透明で金融政策への影響は不明だ。」としています。

金融市場と景気の動向

その後の金融市場では、米国10年国債利回りは4.4%台まで上昇し、一方、株式市場は株価指数の3指数が市場最高値を更新する動きを続けています。

製造業では景気鈍化の指標が相次いでいますが、トランプ新政権への期待が強く、景気の先行きについて楽観的な見方が広がりつつあると思われます。

ニューヨークの街並みを背景にドルが上下するイメージ

注目される今後の経済指標

そのような中で、前回のFOMCの利下げは前回一致で決定していますが、会議の中で今後に向けてどのような意見が出されたのか、今後の方向性を探る点で注目されるところとなります。

また個人消費支出価格指数(PCE)は金融当局が最も注目している指標であり、これまで順調に進んできたインフレ抑制がどのように変化しているのか、注目されるところとなります。

次のFOMCは12月17日-18日に開催されますが、その会合で利下げが継続されるのか、そして今後の金融政策の方向性はどのようになっていくのか、注目される指標の発表となります。

ビットコインの輝かしい未来のイメージ

今週のビットコイン及び仮想通貨(暗号資産)市場の見通し

主要な経済指標の発表を控え、ビットコインと暗号資産市場は一時的なボラティリティが予想されますが、全体的には安定した推移が想定されます。

とはいえ、株式市場、仮想通貨(暗号資産)市場は現在最高値圏で推移していますので、経済指標の結果により、投資家のリスク許容度が変化する可能性があります。特に、米国個人消費支出(PCE)の結果が市場心理に影響を与えると考えられますので注意が必要です。

マーケットに変化の兆し

また、直近で起きている市場の変化のきざしとして、繰り返しになりますが、先週、ブラックロックの現物ビットコインETFのオプション取引がNASDAQ市場で開始され、BTCは1,500万円台(約97,000ドル)に到達しました。 暗号資産市場全体で取引量の増加が見られ、特に機関投資家の参入が活発化しています。これは市場の成熟と信頼性の向上を示唆しています。

そして、米国証券取引委員会(SEC)のゲイリー・ゲンスラー委員長の退任の発表は、特にXRPなどの規制に悩まされてきたアルトコイン市場の取引が活発化しています。

アルトコイン市場は、規制の不確実性が薄れることで、より多くの投資家が参入する可能性が高まっています。特に、既存の訴訟が解決に向かうことは価格上昇の要因となるでしょう。

《規制に悩まされてきたアルトコイン》

  • リップル(XRP)

    現在SECは、リップル社がXRPを未登録証券として販売したとして訴訟を起こしています。一部勝訴により、XRPは再び取引所での取扱いが再開され、価格も回復基調にあり、ゲンスラー退任後、規制の方向性が緩和される可能性が期待されています。

    11月の騰落幅(2024|対米ドル):231.54%

  • テゾス(XTZ)

    テゾスは2017年に実施したICO(Initial Coin Offering)が未登録証券に該当するのではないかという懸念をSECに指摘されていました。SECによる規制の影響が残っていますが、プロジェクトは安定して進行しています

    11月の騰落幅(2024|対米ドル):179.88%

  • カルダノ(ADA)

    SECはカルダノのネイティブトークンであるADAを証券と見なす可能性を示唆したことで、一部の取引所では規制のリスクを回避するため、ADAの取扱い停止を検討する動きもありましたが、明確な規制には至っていません。

    11月の騰落幅(2024|対米ドル):262.05%

  • ソラナ(SOL)

    ソラナは規模の大きなプロジェクトであるため、SECの規制リストに加わる可能性が懸念されており、特に、投資家保護の観点から未登録証券として分類されるリスクがあるとされています。

    11月の騰落幅(2024|対米ドル):70.54%

投資家への注意喚起

投資家の皆様には、2024年の締めくくりの時期を迎え、どのように今年を終えていくのか、そして来年に向けてどのような考えで投資を行っていくのか,重要な時期でもあるだけに経済指標の結果とその後の市場の動向には十分に注意をしていただきたいと思います。

今週の経済イベントカレンダー
Calendar of Economic Events This Week

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曜日日本時間経済イベント重要度
11 26 23:00 米国 S&Pケースシラー住宅価格指数9月 ★★★☆☆
11 26 24:00 米国 新築住宅販売件数10月 ★★★★☆
11 26 24:00 米国 CB(コンファレンスボード)消費者信頼感指数11月 ★★★★☆
11 26 24:00 米国 リッチモンド連銀製造業指数11月 ★★★☆☆
11 26 28:00 米国 FOMC11月議事録要旨 ★★★★☆
11 27 22:30 米国 2024年第3四半期GDP成長率 ★★★★☆
11 27 22:30 米国 耐久財受注10月 ★★★★☆
11 27 23:45 米国 シカゴ購買部協会景気指数(PMI)11月 ★★★☆☆
11 27 24:00 米国 個人消費支出(PCE)10月 ★★★★☆
11 29 19:00 欧州 ユーロ圏消費者物価指数(HICP)11月 ★★★☆☆

これまでの暗号資産積み立ての状況
Accumulation Status

[期間:2023.06.05 〜 2024.12.10]

2023年6月から月毎に10万円分の暗号資産を実際に積み立てていき、そのポートフォリオを公開する企画です。ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、日本の取引所でも取り扱われており、米ドルとペッグ〔連動〕するステーブルコインであるダイ(DAI)を対象としています。

ポートフォリオの現在の資産価値

含み益(現在の資産価値 - 合計積立金額)

利益率
%

積み立て回数
16

合計積立金額
1,600,000

ポートフォリオの構成

    ポートフォリオ

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    銘柄 シンボル 対円レート 保有数量 日本円換算 構成比
    ビットコイン BTC [BTC/JPY] 0.1523 BTC %
    イーサリアム ETH [ETH/JPY] 1.8884 ETH %
    ダイ DAI [DAI/JPY] 80 DAI %