期待外れのサミットで暗号資産市場に陰り… 今後のシナリオを予測！｜ビットコイン予測 今週のポイント2025.3/10-16

先週の暗号資産市場の動向

先週の暗号資産市場は週末に開催されるホワイトハウス暗号資産サミットの期待から堅調なスタートを見せましたが、株式市場の大きな下落の影響もあり、週を通じて軟調な展開となりました。さらに7日（金）に開催された暗号資産サミットで暗号資産の追加購入について否定的なスタンスが示されたことから市場の期待が外れた展開となり、下落して終わっています。

ビットコインの値動き

ビットコインは3月3日（月）、88,000ドル（約1,320万円）近辺から始まり95,000ドル（約1,430万円）近辺まで上昇しましたが、株式市場の下落を受けて軟調な動きとなり、90,000ドル（約1,350万円）近辺まで下落しました。翌4日（火）も株式市場の下落は止まらず、その影響からビットコインも83,000ドル（約1,230万円）近辺まで下落しています。5日（水）にメキシコ、カナダへの関税措置が自動車を中心に1ヶ月延期となったことを好感し、6日（木）には92,700ドル（約1,380万円）近辺まで反発しましたが、その後は上値が重く下落して88,000ドル近辺で週を終えました。

その他の主要暗号資産の動向

ETH、XRPも週初は堅調なスタートでしたが、週を通じて軟調なもみ合いとなり、それぞれ2,100ドル（約31万円）台後半と2.4ドル（約353円）近辺で週を終えています。

米国金融市場の動向

米国の金融市場は、経済指標の発表と関税発動に大きく揺さぶられる週となりました。週初3日はメキシコ、カナダへの関税発動のニュースと、ISM製造業景気指数が50.3で市場予想の50.9と前月の50.6を下回り、景気判断の基になる50を超えているものの、予想を下回る結果になったことを受けて景気後退懸念が強まり、株式市場は大幅な下落となりました。

関税発動と市場の反応

翌4日もメキシコ、カナダへの関税と中国への+10％の追加関税を発動し、それを受けた3カ国が報復措置を表明したことで、インフレ再燃、消費の低下、企業業績の減速などの懸念が強まり、さらに株式市場は下落しました。2日間でNYダウ平均は約1,320ドル、S&P500は約175ポイント、NASDAQは約560ポイント下落しています。

ISM指数と市場の動き

5日に発表されたISM非製造業景気指数が53.5と、市場予想と前月を上回ったことで安心感が広がり、株価は反発しました。しかし、翌6日には再度関税による景気悪化懸念が台頭し株価は下落しました。

FRB議長の発言と雇用統計

7日にパウエルFRB議長がシカゴ大学での講演で「トランプ政権の政策への影響が明確になるまで利下げは急がない」と述べましたが、「米国経済は依然として堅調な動きを見せている」とコメントし、市場に景気への安心感が広がったことで株価は上昇して週を終えました。

また、同日発表された米国の雇用統計では、非農業部門就業者数は15.1万人増、失業率4.1％、平均時給前月比+0.3％、前年同月比+4.0％で大きなぶれがなく、市場の反応は特に見られませんでした。

ホワイトハウス暗号資産サミットの開催

暗号資産にとってビッグイベントとして捉えられたホワイトハウスでの暗号資産サミットが7日に開催されました。

サミットの目的と主要発表

今回のサミットは「トランプ政権がデジタル資産業界と友好的な関係を保とうとする姿勢を打ち出すこと」が目的で、まず2026年に開催されるFIFAワールドカップに向けて「FIFAコイン」のローンチが発表され、FIFAとの連携が強調されました。

さらに、トランプ大統領は「前大統領の暗号資産に対する戦争に終止符を打つ」「8月の休会前にステーブルコイン法案に署名したい」と述べ、さらに「今日からアメリカはすべてのビットコイナーがよく知っている『決して、ビットコインを売るな』というルールに従うだろう」とコメントしました。

市場への影響と失望

今回のサミットでトランプ大統領は政権による長期にわたる暗号資産業界への支援についてコミットした形をとったと思われます。

しかし、サミットでは戦略的ビットコイン準備金に関連するビットコインなどの追加購入計画や、今後の暗号資産業界改革に関する言及は控えられました。ただ、大統領令で指示している準備金のために、多くのビットコインを購入する新たな方法を模索していくと言及しています。

また、「新たな税金を使った政府による追加購入はしない」との発表があり、暗号資産業界や投資家にとっては期待はずれとなりました。このニュースによりビットコインを始めとして暗号資産は下落しています。

来週の重要経済イベント

• 3月18〜19日｜米国FOMC、日本銀行金融政策決定会合

今週の市場の注目ポイント

今週は、来週18日（火）と19日（水）に米国でFOMC（連邦公開市場委員会）、日本で予定されている日銀の金融政策決定会合を意識しつつ、米国で12日（水）と13日（木）に発表される消費者物価指数（CPI）と生産者物価指数（PPI）に注目が集まります。

FOMCと政策金利の見通し

ただ、パウエルFRB議長は先週のシカゴ大学での講演で述べているように「トランプ大統領の政策による影響が明確になるまで利下げは急がない」と発言しており、前回のFOMC後の記者会見とスタンスは変わっていないと思われます。そのため、米国金融市場が予想しているように、政策金利は据え置きになる可能性が高いとみられます。

米国株式市場の見通し

米国の株式市場については、JPモルガン・チェースが3月4日に出したグローバル・マーケット・インテリジェンス責任者のアンドリュー・タイラー氏のレポートで「貿易摩擦激化で米国GDP予想は大きく下振れし、利益見通しが大幅に下方修正される可能性が高く、年末の予測を見直す」との見解を示しました。

また、「今後の株価見通しを戦略的弱気に変更する」としており、米国経済と株価の先行きに対する不安感が強まっています。そのため、米国株式市場は今週も弱含む可能性があります。

暗号資産市場の今後の展開

暗号資産市場は、株式市場の影響を受けて軟調な動きとなっており、先週のホワイトハウス暗号資産サミットが市場の期待を下回る内容だったことも重なり、投資家心理の悪化が続いています。特に、政府による新たなビットコイン購入計画が否定されたことで、強気材料を欠く状態が続いています。ただし、10日（月）の日本時間早朝にはBTCが一時8万ドル、円ベースで1,200万円を割り込む場面があり、短期的な調整が一巡した可能性も考えられます。

市場の材料と今後の見通し

現在、暗号資産市場は新たなトリガーとなる材料を模索している状況です。トランプ政権の暗号資産作業部会による報告・提言の発表が今後の市場動向に影響を与える可能性が高く、政策の方向性次第では市場のセンチメントが一変する可能性もあります。さらに、米国のFOMCや消費者物価指数、生産者物価指数などの経済指標の発表が控えており、これらが金利政策に与える影響によって暗号資産市場のボラティリティが高まることが予想されます。

一方で、テクニカル面では80,000ドル（約1,180万円）付近が心理的なサポートラインとして意識されており、ここでの底固めが成功すれば、一時的な反発の可能性もあります。ただし、株式市場の動向が引き続き影響を与えるため、リスクオフの流れが継続する場合、さらなる下落リスクも考慮する必要があります。

今後は、政策動向やマクロ経済指標、主要機関投資家の動きなどを注視しながら、市場のセンチメントを慎重に見極めることが重要となるでしょう。