米国のFOMC(公開市場委員会)は12-13日に、日本銀行の金融政策決定会合は18-19日に開催予定

注目の金融政策会合

今月、注目される日米の金融政策会合が相次いで開催されます。米国のFOMC(公開市場委員会)は12-13日に、日本銀行の金融政策決定会合は18-19日に予定されています。

 米国金融市場では、これまでに発表された経済指標の状況などから「来年3月に利下げを開始し、来年末までには政策レートが4%未満まで低下する。」との見方が強く台頭してきています。市場関係者の間では約7割が1Q(第1四半期)での利下げを予想し、政策金利は年末までに5回利下げするとしています。

このような見方を反映してNY株式市場は一時高値を更新し、10年国債利回りは4.10%まで低下してきました。

米国では今度のFOMCが開催されるまでの間に8日(金)に雇用統計、12日にCPI(消費者物価指数)の発表があります。この2つの指標の結果はFOMCでの検討で重要な位置を占める事になると思われます。

また今度のFOMCでは、四半期に一度示されるFOMCメンバーによる政策金利予想が行われドット・チャートが示されます。前回の9月では2024年末時点の予想中央値が5.125%でした。今回出される2024年末時点の予想中央値の水準で、2024年に利下げが行われるのか、行われるとすればその回数と水準はどうなるのかといった点が想定される事になります。予想中央値の水準が4%より高くなれば金融市場にとってネガティブなものとなるだけに注目されます。

今月1日にアトランタで講演したパウエルFRB議長は、「金融緩和の時期について憶測するのは時期尚早。追加の金融引締めが適切だと判断する場合は、引締めをする用意がある。」と金融市場の見方を牽制しました。

 今回のFOMCでは「政策金利は据え置き、米国景気を評価する時間を持つ」と考えられ、来年の政策動向について会合後の議長講演とドット・チャートが大変注目されます。

 FOMCメンバーによる政策金利予想が行われドット・チャート  

一方、米国の会合を受けて日銀の金融政策決定会合が開催されます。米国の結果次第でドル円相場の動向も影響を受けるだけにこちらの会合も注目されます。

日銀政策決定会合

日本銀行は植田総裁の下、大規模金融緩和の出口に向けて徐々に整備を行ってきました。

7日には参院財政金融委員会において植田総裁が半期報告の概要説明を行い、その中で「現時点で物価目標の持続的安定的な実現を十分な確度を持って見通せる状況には至っておらず、今後、賃金と物価の好循環が強まっていくか注視していく事が重要。粘り強く金融緩和を継続することで経済活動を支え、賃金が上昇しやすい環境を整えていく。」とコメントしました。また質疑で「物価目標達成の見通しが立つようになれば、マイナス金利の解除、イールド・カーブ・コントロール(YCC)のフレームワークの見直しが視野に入ってくる。」と述べています。植田総裁は明確に「条件が整った時は動く」と示したと思われます。

 

 一方、11月16日に行われた第二地方銀行トップとのヒヤリングで銀行側からマイナス金利解除について強く要望を受けました。銀行側は「景気回復に見合って金利上昇するのであれば銀行経営にとってもプラスに働く」と金融緩和出口とマイナス金利解除に対する期待感を表しました。

 このような中、日本銀行の氷見野良三副総裁が「大規模金融緩和をやめる際の家計や企業への悪影響が懸念されているが、金融緩和が出口を迎えた場合でも家計や企業にとって良い結果につなげる事は十分可能。その時期については特段の予想は持っていない。」と講演で発言し、市場では金融政策の正常化が近いことを示唆したとの見方が出ています。

 今月の会合で日本銀行が金融政策の正常化に向けた方向性を示していくのか注目されています。