世界銀行の旗

世界銀行、中国の最新経済見通しを下方修正

世界銀行は10月2日に東アジア・太平洋の新興国・地域の最新経済見通しを公表し、その中で中国の2024年の経済成長率が4.4%に減速するとして前回予測から0.4%下方修正しました。中国の2023年経済成長率見通しについては5.1%のまま据え置いています。

これは新型コロナウイルス禍からの景気浮揚効果が薄れ、中国国内の景気回復が遅れている事や価格下落が続く住宅不況により不動産セクターの苦境が続いている事などに起因しています。

世界銀行はこの報告の中で中国の家計資産に占める不動産の割合が65%に達し、住宅価格が下落を続ける状況に警鐘を鳴らしました。このような不動産の状況は個人の家計における支出を抑え消費の減速に繋がると考えられています。実際、貯蓄率が33%まで上昇し消費が伸びにくいとコメントしています。

世界銀行は最新経済見通しで、「中国で何が起きるかは地域全体にとって重要で、中国成長率の1%低下は、地域の成長率の0.3ポイント縮小に結び付く」と指摘しています。

総合研究所の試算イメージ

中国経済の日本への影響

野村総研(NRI)の試算によると日本の経済成長率への影響は、中国が1%低下すると0.65%下振れするとしています。2023年の予測は+1.3%ですので半減することになります。もし、2%の低下なら日本の成長率は「ゼロ成長」になってしまいます。

中国の景気減速は、東アジア・太平洋の新興国・地域へも影響を与え、この地域の経済成長率は2023年が4.6%、2024年が4.7%とそれぞれ0.3%と0.2%下方修正されました。このような影響は、今後世界各国へ広がる可能性があり十分な注意が必要となってきます。

また世界の投資ファンドは、中国の景気減速を見込み中国株式の保有を減らし、容赦なく売りを続けており、既にMSCI中国株指数は今年11%の下落となっています。今後、世界経済へ影響が広がるとすると主要な株式市場への影響も考えておく必要があると思われます。