米国FRB 年内に追加利上げ?
2023.10.17
昨日(9/13)米国のCPI8月が発表されました。内容は総合CPIで前月比+0.6%と7月の+0.2%を上回り1年2ヶ月ぶりの高さとなりました。また前年同月比は+3.7%と7月の+3.2%、6月の+3.0%を上回る結果となりました。
ただこの結果はエネルギー価格の上昇が反映されたものと考えられます。一方、食料・エネルギーを除いたコアCPIは前月比+0.3%と予想の+0.2%を上回りましたが、前年同月比は+4.3%と7月の+4.7%を下回りました。コアCPIは過去1年間下落傾向が続いています。
コアCPIはFRBが金融政策を決定する際に重視している指標で、物価上昇率のトレンドは低下傾向を辿っており、FRBが目先の追加利上げを見合わせることを正当化する内容になりました。今月19日-20日に開催されるFOMCでは追加利上げを見送る可能性が高いと思われます。
しかし、FRBパウエル議長は「物価上昇率が2%の目標に向かう持続的な道筋がはっきりするまで、政策の軸足は引締めにあり、より長く引き締めを続ける」と強調しており、「全体としてさらなる行動を求める事を告げるデータが出れば我々は動く」と発言していますので、今回が見送りとなっても11月に追加利上げを行う可能性は十分に残されています。
こうした中、サマーズ元財務長官が「FRBが政策決定においてデータ次第としている事は正しい」と述べる一方、「ソフトランディングの可能性は非常に低く、追加利上げが必要になる可能性が高い。」との見解を示しました。さらに「株式市場に関しては極めて注意が必要だ」とし、株式は「将来の楽観的な予想に基づいた価格水準になっている可能性がある」と指摘しています。
米国の金融政策が最終局面を迎えていると考えられる状況ですが、米国ならびに世界の金融市場は緊張感を持った展開がしばらく続くと思われます。