11月5日の米国大統領選挙でトランプ前大統領が当選し、来年1月に大統領に就任することが決定しました。

トランプ氏の政策の概要

トランプ氏は米国第一主義を掲げ、強い米国の復活を成し遂げるとしていますが、その打ち出している政策の中に暗号資産に対する積極的な支援があります。

ホワイトハウス

SEC委員長解任と規制緩和の行方

選挙前に掲げていた話題として①SEC(証券取引委員会)のゲイリー・ゲンスラー委員長を「就任した初日に解任する」 ②戦略的BTC準備金の創設 ③ビットコイン(BTC)マイニングの推進 ④中央銀行デジタル通貨(CBDC)の阻止 などがあります。

証券取引委員会(SEC)のゲイリー・ゲンスラー委員長解任については、トランプ氏が証券取引委員会(SEC)のゲンスラー委員長に批判的な姿勢を示していたことから、トランプ政権では規制当局のトップが交替し、よりクリプト・フレンドリーな環境に移行すると予想されています。ただSECは独立機関であるため大統領が直接に委員長を解任することはできない仕組みになっています。

アメリカのビットコイン備蓄政策のイメージ

戦略的BTC準備金とビットコイン法案

ビットコインの戦略的な備蓄に関しては、共和党のシンシア・ルミス上院議員が7月末に提出した「国家的な投資最適化によるイノベーション、テクノロジー、競争力の強化法案」いわゆる「2024年ビットコイン法」があります。この法案は、米国が一定期間内に、総供給量の約5%にあたる100万枚のビットコイン(時価12兆円相当)を取得し、戦略的な備蓄資産として保有することを定めています。

ビットコインの戦略的備蓄の重要性

トランプ氏は、7月27日に米テネシー州ナッシュビルで開催された『ビットコイン2024』カンファレンスに登壇し、そこでの演説で、「戦略的な国家ビットコイン備蓄」の立ち上げを約束し、ビットコインの時価総額が将来的に金の時価総額を上回る可能性があるとコメントしています。

トランプ大統領とビットコイン・マイニングの推進

トランプ氏は6月、ビットコイン・マイニング企業の幹部らと会談し、その後「暗号資産が未来を作るものであるなら、米国で採掘、製造されることを望む」と発言し、ビットコインのマイニングに対して積極的な支援の姿勢を示しています。

イーロン・マスク氏の政権参加と暗号資産政策

トランプ氏は、11月12日に今回新たに設置する「政府効率化省」でイーロン・マスク氏とビベック・ラマスワミ氏とトップに起用すると発表しました。この新組織は、政府の支出を見直し、削減を検討するための組織になります。

これまで述べたように、現在、トランプ氏は暗号資産業界を積極的に支援する姿勢を見せており、共和党や政権を支える人材も暗号資産に対して好意的な動きを見せています。

来年にスタートするトランプ政権と連邦議会は、これまでにない暗号資産業界への支援を提供していくと思われます。