カマラ・ハリス

バイデン米国大統領が選挙戦からの撤退を表明

カマラ・ハリス米国副大統領は、7月21日にバイデン米国大統領が民主党の大統領選挙への候補者指名を辞退し、選挙戦からの撤退を表明、さらにカマラ・ハリス氏を大統領の後継として推薦した事を受け、大統領選挙に向けた民主党後継候補へ名乗りを上げました。

 こうした動きを受けて米国民主党ではハリス氏支援の動きが活発化し、ペロシ元下院議長、上院と下院のトップであるシューマー上院院内総務とジェフリーズ下院院内総務が相次いでハリス氏支持を打ち出しました。さらに民主党代議員からも瞬く間に過半数を超える支持を獲得し、わずか1日で民主党での大統領選挙の後継候補の座を間違いないものにしています。

カマラ・ハリス氏は1,964年生まれの59歳、ジャマイカ系の父とインド系の母の間に生まれ、女性、黒人、アジア系として初の米国副大統領です。これまでの経歴は、2004年に第27代サンフランシスコ地方検事に選出され、2010年にカリフォルニア州司法長官に当選、2016年に上院議員に当選し、カリフォルニア州で3人目の女性上院議員となりました。黒人女性が上院議員になるのは彼女が2人目で、上院議員としてハリス氏は単一医療保険制度・大麻の連邦政府による合法化・不法移民のための市民権への道・DREAM法・暴行武器の禁止・累進課税制度を支持していました。

ハリス氏は23日、中西部ウィスコンシン州ミルウォーキーの集会に出席しました。この集会はハリス氏にとって初めての集会で、同州は大統領選の結果を左右する激戦州のひとつでハリス氏の演説が注目されました。

ハリス氏は演説で自身を後継候補に推したバイデン氏の功績をたたえ「この選挙に勝利する」と強く語り、さらにサンフランシスコ地方検事やカリフォルニア州司法長官としての実績について話しています。

 

「職務を通じて私はあらゆる種類の犯罪者と対峙してきました。女性に対する虐待者や消費者をだます詐欺師、自分の利益のためにルールを破るものなどです。」と訴え、さらに「ドナルド・トランプのような人間を知り尽くしています。選挙戦で彼と堂々と戦うと約束します。」と力強く話しています。犯罪の取り締まりに精通する検事としての経歴を印象づけ、犯罪者になぞらえるトランプ氏と対決する「検察VS犯罪者」の構図をつくり出しました。トランプ氏が有罪評決を受けたことを改めて浮かび上がらせ、民主支持層を固めるとともに、無党派層の取り込みを目指すものでした。

 また今回の大統領選挙は、これまでバイデン大統領とトランプ氏の対決の構図となっていて、高齢の2人の話に希望が持てず、どちらも嫌いで投票をしない人が多く出る可能性がありました。しかし、ハリス氏の登場により59歳と大きく若返り、女性・非白人・若者の支持をハリス氏が獲得する可能性が出てきています。

またこのように高齢・白人・男性のトランプ氏と対極にある属性で共和党の反トランプ層や無党派層をも取り込める可能性があります。

特に政策として標榜する「銃規制・人工妊娠中絶への中絶の権利」などは無党派層、若者、女性からの支持を強く受けると考えられます。また、選挙戦に使用する楽曲として人気歌手であるビヨンセさんに「FREEDOM」の使用許可を求め、ビヨンセさんから迅速な許可が出た事で多くの若者が引きつけられると思われます。

ドナルド・トランプ候補

カマラ・ハリス vs ドナルド・トランプ

 今月22日-23日にロイターが行った調査では、ハリス氏とトランプ氏への支持率がハリス氏44%、トランプ氏42%とハリス氏が上回っており、さらに米CNNの世論調査では34歳以下の登録有権者の支持は、ハリス氏への支持率が47%とトランプ氏への支持率43%を上回りました。

 ハリス氏は24日、中西部インディアナ州での演説で「私はこの国の未来のために戦う」と強く演説し、「未来」という言葉を繰り返しています。そして共和党のトランプ氏を「過去」、自身を「未来」のリーダーと位置づけ印象づけています。

 11月の大統領選挙まで両氏にとっては短期間での選挙戦となりますが、大接戦になると考えられ、この間、眼が離せない戦いとなります。