IPO初日に株価3倍超!注目集まるステーブルコイン「USDC」の未来
2025.06.12
Circle社がIPO初日に株価3倍超!ますます注目集まるUSDC
2025年6月5日、ステーブルコイン「USDC」の発行元として知られるCircle Internet Financial(ティッカー:CRCL)がニューヨーク証券取引所に上場を果たしました。公募価格は31ドルでしたが、初値は69ドルをつけ、当日中には一時90ドルを超えるなど、IPO初日にして株価が3倍近くまで急騰しました。
この上場により、Circle社は10億ドル(約1,500億円)以上の資金調達に成功。完全希薄化ベースでの企業評価額は80億ドルを超えるとされ、USDCを軸とする次世代金融の注目度の高さが改めて浮き彫りとなりました。

USDCとは?その仕組みと他のステーブルコインとの違い
銘柄名 | Tether(USDT) | USD Coin(USDC) |
---|---|---|
発行年 | 2015年 | 2018年 |
発行元 | Tether Limited | CircleとCoinbaseが共同で発行 |
時価総額 | 約22.7 兆 | 約8.9 兆 |
暗号資産時価総額ランキング | 3位 | 6位 |
ステーブルコインの分類 | 法定通貨担保型 | 法定通貨担保型 |
ブロックチェーン | イーサリアム | イーサリアム |
※2025/06/21現在
米ドルに1対1で裏付けられたステーブルコイン
USDC(USD Coin)は、米ドルと常に1:1の価値で連動するよう設計されたステーブルコインです。つまり、1USDCは常に1ドルとして交換可能な設計となっており、価格の安定性を実現しています。
この安定性により、暗号資産市場のボラティリティ(価格変動)の影響を受けにくく、決済や送金といった用途にも適しています。
Circle社による信頼性の担保と運用体制
発行元であるCircle社は、ステーブルコインの中でも特に高い透明性と信頼性を重視しています。毎月、準備資産(米国債や現金等)に関する監査済みレポートを公開しており、すべてのUSDCが実際に裏付け資産によって保証されていることを証明しています。
こうした姿勢は、政府・規制当局・機関投資家からの信頼獲得につながっており、USDCの広範な採用を支える要素の一つとなっています。
競合ステーブルコインとの違い:USDT(テザー)との比較
USDCの最大のライバルとして挙げられるのが、Tether社が発行するUSDTです。USDTは市場規模こそ最大級ですが、準備資産の開示や監査体制において不透明さが指摘されてきました。
これに対し、USDCは法規制への対応・ガバナンス体制の明確化・財務報告の公開性において優れており、特に機関投資家や規制環境下での利用が求められる場面で高い評価を得ています。
市場シェアと成長ペース
2025年3月時点におけるUSDCのステーブルコイン市場シェアは約29%、時価総額は600億ドルを突破しました。年初の430億ドルから急成長を遂げており、着実に存在感を高めています。
この成長は、規制準拠・高い透明性・金融機関との連携といった特長による信頼性の高さが評価された結果といえるでしょう。
USDCの市場動向と成長の背景
USDCの時価総額は、2025年初頭の約430億ドルから6月には610億ドル超へと、わずか半年で40%以上の成長を遂げています。これは、Circle社の規制対応と市場信頼の獲得が大きな後押しとなっています。
特にEUでは、2024年より「MiCA(Markets in Crypto-Assets Regulation)」が施行され、USDCはこれに準拠。一方でUSDTを発行するTether社は対応の遅れが見られ、相対的にUSDCの評価が高まっている状況です。

日本市場への進出とSBIグループとの提携
日本においてもUSDCの展開は進んでいます。2025年3月にはSBI VCトレードがUSDCと日本円の直接取引を開始し、個人投資家が円建てでUSDCを売買できる環境が整いました。
この取り組みを契機に、Circleは日本法人の設立に向けた準備を進めており、主要な暗号資産取引所でのリスティングや、決済・送金インフラの構築も並行して進行中です。
背景には、2023年6月に施行された改正資金決済法により、外国ステーブルコインの国内流通が合法化されたことがあります。これにより、法的な明確性と安全性の高いUSDCが選好されやすくなっているのです。
USDCの信頼性と規制対応
USDCの最大の強みは、その信頼性にあります。Circle社は米国政府や監査法人と連携し、常に準備資産の監査を受けており、資産の裏付け状況を毎月公表しています。
また、USDCはFATF(金融活動作業部会)のガイドラインや、MiCAなど主要法域のルールに準拠する形で開発・運用されており、規制面でも非常に強固な立ち位置を築いています。

まとめ:USDCが切り開くデジタル金融の未来
Circle社のIPO成功は、単なる企業上場にとどまらず、ステーブルコインUSDCが金融インフラの一翼を担う未来を示唆しています。世界各国で規制整備が進む中、透明性と信頼性を備えたUSDCのニーズはますます高まっていくでしょう。
商取引、資産運用、国際送金といった実需の広がりを受け、USDCは「信頼性あるデジタルドル」として、次世代金融の基盤となる可能性を秘めています。今後の動向に注目です。

[Iolite記事]
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