サムライギタリスト・MIYAVI 〜引き立てる職人たちの仕事
2023.12.21
2022年11月末・1月号、Iolite(アイオライト)前身の雑誌で初めて表紙に著名人を起用した。ちょうど丸1年が経った発行で表紙を務めていただいたのは、サムライギタリストという異名を持つアーティストのMIYAVIさん。編集長という現職についてからは約2年、表紙に著名人を起用するという決断に至ってからは先月で1年が経ったことになる。
書店に行って雑誌という大きな括りでみれば、表紙に芸能人やモデル、著名人を起用している雑誌は多い。しかしビジネス誌という括りでみれば、ほとんどの雑誌が見出しで売っていて、ファッション誌のように人が雑誌のイメージとして起用される雑誌は少ない。弊誌がビジネス雑誌のコーナーに陳列される、という絶対的に普遍なルールを逆手にとってまずは手に取ってもらうことを考えた。最近では新NISA、確定申告という見出しのビジネス誌が書店に並んでいることだろう。ここにMIYAVIさんが表紙の雑誌が1部混ざれば明らかに目立つ。これが昨年の表紙に関する決断に至った理由だ。
表紙に利用されていた紙質も変更した。光沢のある加工からマッド感ある加工への変更だ。光沢が出ないため色合いを表現する難易度は増すとされているものの、手に持って読んでいる時の手触り感を追求したかった。
先日次号の表紙撮影があった。MIYAVIさんの撮影を担当したカメラマンのSUZUさんと撮影をした時に「マッド加工でよくこの色合いを出せましたね」と喜んでいた。紙への印刷はインクを飛ばすが、雑誌の制作は主にPCで行うため色の再現方法が違う。モニターでみたあがりを再現するための調整は、カメラマンとデザイナー、印刷工の努力の賜物だと頭が下がる。プロにも伝わるディテールへのこだわりが、Ioliteの1つの武器であることを確信できた瞬間だった。
実際にインタビューと撮影を終えて感じたMIYAVIさんの凄みを、雑誌の紙面用に切り取ることなく、ほとんど原文で載せたインタビューを通して皆さんにも感じてほしい。時に異端ともみられるアーティストが、最も調和をもたらす存在なのかもしれないことが感じられると思う。
[Iolite記事]
サムライ・ギタリスト MIYAVI ギターとの出会い、挫折と苦悩の先で掴んだMIYAVIらしさに迫る—