Ripple社のブリーフィングにて
2024.03.13
昨日、Ripple社のクローズドなブリーフィングにご招待いただいたのでシェアしたい。今回のスピーカーはアジア太平洋地域 公共政策責任者のラフール・アドバニ氏だ。彼はBloomberg L.P.にて、外貨取引及びデリバティブ商品の市場評価、事業開発、営業など複数の職務を経験した経歴を持っており、12年以上金融サービスに従事しているようだ。
資料のなかで、APACの規制動向とRipple社の取組みについて触れられていたので手短に説明したい。シンガポール金融管理局(MAS)は、デジタルペイメントトークン(DPT)の取り扱いと交換に重きをおいたDPTライセンスのフレームワークが存在。香港は、証券先物委員会(SFC)の下、暗号資産取引プラットフォーム(VATP)のライセンスがあり、Ripple社は同ライセンスを申請、取得する体制だ。
オーストラリアに関しては、豪州取引報告センター(AUSTRAC)へのデジタル通貨取引所(DCE)の登録制度があり、暗号資産固有のライセンス制度はない。つまるところ、各国で暗号資産関連のライセンスがさまざまな形態で存在していることがわかると思う。
日本国内においては、2017年に資金決済法及び犯罪収益移転防止法が改正され、仮想通貨交換業者の登録制が導入されてから、2020年には金融商品取引法適用除外とされていた暗号資産が金融商品として認められ、2023年で銀行・資金移動業者・信託会社をステーブルコインの発行体として認める枠組みが導入されるといった歴史がある。
前述した各国の暗号資産に関するライセンス事情をみれば、既存の法律の枠組みを調整する形で暗号資産関連のライセンスが整備されてつつあり、グローバルで統一のルールは現状も存在しない。しかし、2024年12月からEUで適用される予定のMiCA(Market in Crypto Assets)は、事実上EU加盟の27カ国で統一のルールが設けられると捉えることはできるだろう。
質疑応答の時間に「暗号資産に関してはグローバルで共通の規制の必要性もあると感じています。グローバルで統一のルールを設ける上で、Ripple社として感じている課題があれば教えてください」とラフール氏に直接聞いてみた。
グローバルで明確なルールを設けることは非常に重要だとした上で、IMF等もグローバルなガイドラインを検討している状況であり、昨年には、クリプトサービスとDeFi、バーチャルアセットのガイドラインをRipple社として提供したとのことだ。
一方で、グローバルな規制はハイレベルで非常に細かいものが必要だと感じていて、「国際的に一貫した分類法の採用/導入」「リスクを考慮したフレームワークの導入」「イノベーションが促進する仮想環境の場作り」「官民連携の促進」「協力と情報共有に基づいた比較可能性の確保」の5つ理念が国をまたいで浸透する必要が考えていると述べた。
国際送金手段手段として、優れたパフォーマンスを発揮するXRPのビジネスサイドが共有認識で統一のルールを整理するために活動されているのが節々に伝わってきた本ブリーフィングは非常に好感を持てるものだった。
[Iolite記事]
欧州議会、暗号資産規制MiCAを可決