八木編集長FOCUS

時価総額1,000億円超えのZKsync(ZKシンク)

 6月17日、イーサリアム(ETH)のレイヤー2ブロックチェーン・ZKsync(ZKシンク)が、独自トークン「ZK」のエアドロップを開始した。トークンの45%がすでに225,000以上のウォレットによって請求され、流通供給量は、時価総額が約8億ドル(約1,260億円)、今後転換される可能性があるトークンを含む完全希薄化ベースでは、時価総額は約45億ドル(約7,100億円)に達するともいわれている。

イーサリアムの需要の高まりに伴って、イーサリアムのガス代高騰や処理性能などのいわゆる計算レイヤーの課題解決を目的としたレイヤー2プロジェクトは、今までも多く生まれてきた。なかでもトランザクションを圧縮してまとめるロールアップという技術の内の「zk-Rollup」を活用したソリューションが「ZKsync」だ。ZKsyncには「Era」と「Lite」という2種類のネットワークが存在する。

 イーサリアムのレイヤー2では、DeFi(分散型金融)プロトコルに預けられた暗号資産の価値を示すTVL(Total value locked)を1つの指標としてみれば、同じロールアップのなかでも「Optimistic Rollup」を活用した「Arbitrum one」なども注目を集めているソリューションである。

 zk-RollupやOptimistic Rollupは大きな分類で、そのなかにZKsyncやArbitrumなどのソリューションが存在するというようなイメージを持ってもらえれば良いと思う。

zkSync 仮想通貨

ZKsyncの特徴

 レイヤー2ソリューションは処理速度が早く、手数料が安いというのは枕詞のようによく聞く話であるが、ZKsyncはほかのレイヤー2ソリューションと比べても実際にガス代のコストが低い。先にあげたArbitrumでは1回の送付やスワップ等の取引に2USD弱かかる手数料が、ZKsyncでは0.16USD前後まで抑えられているようだ。

 また、レイヤー2からレイヤー1へとトークンを引き出す期間が、Optimistic Rollupの場合2週間前後かかるものが、ZKsyncでは早ければ10分、遅くても7時間まで短縮することができるようだ。対応しているプロジェクトの数が少ないことやほかのレイヤー2ソリューションに送付できないなど、まだまだ伸び代があるようなソリューションではあるものの、頭の片隅にZKsyncどのような位置付けのモノなのかは置いておいても良い存在だと思う。

BRIL 仮想通貨

話題のBRILのIEOと比較して

 

 先日国内上場を果たした大型ゲームプロジェクト「Brilliantcrypto」独自トークンであるBRILは、国内暗号資産(仮想通貨)取引所コインチェックにてIEOが行われ、購入申し込み開始からわずか13分で調達目標金額の15億1,200万円を突破。この調達額は国内IEO史上最高額となった。Xでも一時トレンド入りするなど注目を集めた一方で、先にあげたZKsyncはクリプトメディアの報道に止まっていた印象だ。

 IEOとエアドロップという全く性質の異なる供給方法であるものの、時価総額が約8億ドル(約1,260億円)と桁が2つも違う規模感で供給され、実需の高いように感じるZKsyncのトークンZKは相場が冷え込んでも一定の需要が残るように思う。

 IEOでの購入金額は1BRIL=21.6円がその日のうちに99.66円まで高騰すれば、投機目的で注目される理由もわかるが、6月24日執筆時点で1BRIL=20.6円。0.31ドル(約49円)でスタートしたZKは1ZK=26.16円と後者の方が下げ幅は限定的だ。

 もちろん、IEO銘柄が今後急速に発展して既存のプロダクトを代替し、それに伴ってトークンの価格が急騰する可能性もあるとは思うが、将来性だけでなく、現時点でどのような実需を満たしているのかも注目したい要素だ。

ZKsync、ZKのエアドロップ実施 時価総額は1,200億円超に

[Iolite記事]
ZKsync、ZKのエアドロップ実施 時価総額は1,200億円超に