サイバーセキュリティ対策 トラベルルールについて
2024.05.01
トラベルルールをめぐって
二分されたトラベルルール
国内暗号資産取引所のSBI VCトレードとビットポイントは11日、現状のトラベルルール対応ソリューション「Sygna」に加えて、あらたに「TRUST」を導入する予定であると発表した。マネーロンダリングやテロ資金対策を目的として、2023年の6月から取引所間の顧客情報の共有が義務付けられたのが俗にいうトラベルルールだが、国内で採用されるソリューションが二分することとなった。
トラベルルール対応のソリューションである「TRUST」と「Sygna」は、それぞれ別の事業者が開発していることもあってか互換性がない。これにより、異なるソリューションを採用している取引所同士で暗号資産の送付・受け取りの注文ができない状況にある。日本国内の取引所同士でも、組み合わせによっては暗号資産を送ったり受け取ったりすることができないという不思議な構造となっているのだ。正直なところ、シームレスにやり取りができる暗号資産の特性が取引所のさじ加減で失われるのはお粗末な話だ。
歪んだ業界の課題の1つが解消されつつある
このような状況を鑑みて、4月11日にSBI VCトレードとビットポイントが現在採用している「Sygna」に加えて「TRUST」の導入を発表した。
4月23日にSBI VCトレード社 近藤代表は「トラベルルールソリューションTRUSTの導入(出庫開始)につきまして、明日4/24を予定しておりましたが、TRUST側の準備に時間を要しており5/1に延期させていただきます。」と声明を発表しており対応が遅れているようだが、3月のIoliteの取材に対して「私たちは、国内暗号資産の大きなハブのような役割を果たすことを目指しています。4月には、二極化による分断を解消するサービスの提供開始を発表できると考えています。」と語っていたように、同社が長らく業界の発展のために注力していた課題の1つだと考えている。
今後は異なる2つのソリューションを導入する暗号資産交換業者がHUBのような存在となって同領域が更なる発展をすることに期待したい。
トラベルルールとは?
日本の仮想通貨取引所で採用されている「トラベルルール」とは、金融活動作業部会(FATF)によって推奨された規制の一つで、仮想資産サービスプロバイダ(VASP)間で顧客情報を共有することを義務付けるものです。このルールは、テロ資金供与やマネーロンダリングの防止を目的としています。
具体的には、VASPが仮想資産を別のVASPへ送信する際、送信者と受信者の情報を交換しなければならないと定められています。これにより、取引の透明性が向上し、不正行為のリスクを低減することが期待されます。
日本では、金融庁がこのルールの導入を推進しており、国内の仮想通貨取引所は適切な顧客情報の管理と共有が求められています。
[Iolite記事]
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