最近のイスラエルによるガザ侵攻をはじめ、地政学リスクの上昇に伴い世界情勢の不安定化が深まるなかで、人気を集めている仮想通貨(暗号資産)があります。それは金の価値に連動する金連動型ステーブルコインです。この記事では金連動型ステーブルコインがなぜ注目されているのか、またその特徴と投資に当たってのメリット・注意点について解説します。


金連動型ステーブルコインとは?

200gのゴールドバー

金連動型ステーブルコインは、その名の通り金の価値と連動して価格が変動する仮想通貨(暗号資産)です。米ドルに価値が裏付けられたテザー(USDT)などのステーブルコインと同様に、金連動型ステーブルコインも金の現物を裏付け資産として発行されています。

もともと金は投資対象として投資家からの信頼が非常に厚い資産で、日々取引が活発に行われています。では、なぜ金連動型ステーブルコインが今注目を集めているのか、金に投資される理由と金価格の推移をもとに解説します。

金はなぜ投資対象になっている?

金が投資対象として人気を集めている理由は、金の投資に以下ようなのメリットがあり、主に経済的リスクを回避するために保有する投資家が多いためです。

  • 万国共通で価値が認められている
  • 今後も需要が根強いと期待されている
  • 希少性が高く値崩れしづらい

万国共通で価値が認められている

投資家が金に投資する理由の1つとして、世界のどこでもその価値が認められているという点があげられます。日本円や米ドル、ユーロといった各国で発行されている法定通貨は、各国の経済状況や政策によって価値が変動し続けています。これらの法定通貨は、戦争などによる地政学リスクの上昇に伴う世界情勢の悪化や、経済危機の影響を受け、価値が大幅に下がってしまう可能性があります。その一方で、金はさまざまな用途で需要があり、世界中で価値が認められた資産クラスであるため、いざという時の経済的リスクを回避する手段にもなりえます。そのため、投資家から厚い信頼を得ています。

今後も需要が根強いと期待されている

金は見た目が良く、その性質から錆びずに長期間保存できることから、アクセサリーとしての需要も強いです。その他にも、電気をよく通すため電子部品用の材料としての用途や、人体に優しい素材であるため歯科治療用の素材としても使用されるなど、多種多様な需要があります。今後もこの需要は継続していくと想定されるため、価値が下がりにくいものと見込まれています。

希少性が高く値崩れしづらい

金は採掘量に限りがある資産で、地球上に残された埋蔵量は5.4万トン程度しかないとされています。数が限られていることで金の希少性は今後一層高まっていくともいわれていることから、値崩れしにくいと考えられています。

金価格のこれまでの推移

では、実際に市場で金がどの程度の価格で取引されてきたのか確認してみましょう。1973年から2024年3月までの価格の推移のグラフが下の図です。

1973年から直近までの金価格のチャート

引用元:https://www.dai-ichi.co.jp/gold/price.asp

グラフの推移を見てみると、2003年あたりから現在に至るまで長らく金の価格は上昇し続けています。特に2022年に始まったロシアによるウクライナ侵攻などの戦争・紛争や、2008年のリーマンショック、2020年のコロナショックなど、あらゆる事象により世界的な金融危機に直面した際に金価格が連動して大きく上昇していることがわかります。このような状況と上昇トレンドも相まって、金連動型ステーブルコインに投資する投資家が増えているというわけです。


金連動型ステーブルコインの例

金の延べ棒の上のビットコイン

ここからは金連動型ステーブルコインに興味を抱いた方に向け、現在仮想通貨(暗号資産)市場で取引することができる主な金連動型ステーブルコインとして、以下の4銘柄を紹介します。

  • ジパングコイン(ZPG)
  • Kinka Gold(XNK)
  • Tether Gold(XAUT)
  • PAX Gold(PAXG)

ジパングコイン(ZPG)

ジパングコインのロゴ

引用元:https://www.zipangcoin.com/

ジパングコイン(ZPG)は、日本の五大商社の一角である三井物産株式会社の子会社・三井物産デジタルコモディティーズ株式会社が発行している金連動型ステーブルコインです。日本で初めて誕生した金連動型ステープルコインであり、金1g当たりの価格と連動しています。また、唯一日本国内の仮想通貨(暗号資産)取引所で購入できる金連動型ステーブルコインでもあります。ジパングコイン(ZPG)は以下の取引所を通じて購入することができます。

  • SBI VC トレード
  • CoinTrade
  • bitFlyer
  • DMM Bitcoin

Kinka Gold(XNK)

キンカコインのアイコン

引用元:https://kinka-gold.com/get-xnk/

Kinka Gold(XNK)は、金地金取引を専門とする第一商品株式会社の海外子会社が発行している金連動型ステーブルコインです。金1トロイオンス(約31.1g)の価格に連動して価格が変動します。日本国内の仮想通貨(暗号資産)取引所での取り扱いはなく、海外の取引所を介して購入できます。例として以下の取引所にて購入することができます。

  • CoinW
  • BitMart
  • MEXC

Tether Gold(XAUT)

テザーゴールドのロゴ

引用元:https://gold.tether.to/

Tether Gold(XAUT)は、香港企業のTether Limited社が発行している金連動型ステーブルコインです。Tether社は米ドルに価値が裏付けられたテザー(USDT)など、法定通貨と連動したステーブルコインを発行していることで知られています。Tether Gold(XAUT)は金1トロイオンス(約31.1g)の価格と連動しており、現物の金と交換できることが特徴です。日本国内の仮想通貨(暗号資産)取引所での取り扱いはなく、海外の取引所を介して購入できます。その一例としては、以下の取引所が挙げられます。

  • Binance
  • Bybit

PAX Gold(PAXG)

PAX Goldのロゴ

引用元:https://paxos.com/wp-content/uploads/2019/09/PAX-Gold-Whitepaper.pdf

PAX Gold(PAXG)は、米国のステーブルコイン発行企業であるPaxos社が発行している金連動型ステーブルコインです。金1トロイオンス(約31.1g)の価格と連動しており、現物の金と交換できることが特徴です。共通点が多いため、Tether Goldと人気を二分しています。日本国内の仮想通貨(暗号資産)取引所での取り扱いはなく、海外の取引所を介して購入することができます。例として以下の取引所が挙げられます。

  • Binance
  • Bybit

今回紹介した4つの金連動型ステーブルコインの特徴を比較表にまとめると、以下のようになります。

ジパングコイン
(ZPG)
Kinka Gold
(XNK)
Tether Gold
(XAUT)
PAX Gold
(PAXG)
時価総額 順位
(2024/5/20現在)
8096位 3211位 117位 149位
国内取引所での
取り扱い
あり なし なし なし
購入できる
主な取引所
bitFlyer
DMM Bitcoin
MEXC
BitMart
Binance
Bybit
Binance
Bybit
金現物との交換 できない できる できる できる

金連動型ステーブルコインに投資するメリット

金の延べ棒が背景の折れ線グラフ

金投資という面では、当然現物の金に投資するという方法もありますが、高額な投資金を準備する必要や、保管手数料を気にしなければいけない点など、初心者が投資にとってはハードルが非常に高いといえます。その一方で、金連動型ステーブルコインには以下3つのメリットがあります。

  • 少ない額からでも投資できる
  • 保管手数料がかからない
  • 24時間365日取引ができる

少ない額からでも投資できる

現物の金に投資する場合、最低でも数万円以上の投資金が必要になるうえに、割高な購入手数料を取られてしまうデメリットがあります。それに比べ、金連動型ステーブルコインであれば数百円レベルの少額から金に投資することができます。例えば、金連動型ステーブルコインの1つとして紹介したジパングコインは、5月19日現在で以下の売買レートとなっており、1,234円から購入ができます。

ジパングコインの5月19日時点の売買レート

引用元:https://bitcoin.dmm.com/about/zpg

保管手数料がかからない

現物の金に投資する場合、保有する金を安全に保管しておくために自分の家ではなく、企業や専門業者の金庫などで厳重に管理してもらいます。そのため、保管に必要な保管手数料を取られるデメリットがあります。一方で、金連動型ステーブルコインは仮想通貨(暗号資産)であるため、保管手数料がかかる心配はありません。

24時間365日取引ができる

現物の金は、金の取引市場が開いている時にしか売買できないデメリットがあります。一方で、金連動型ステーブルコインは仮想通貨(暗号資産)であるため、取引所などを通じて24時間365日いつでも売買することができます。


金連動型ステーブルコインに投資する際の注意点

金の延べ棒と宝箱を前に倒れる人形

一方で、金連動型ステーブルコインに投資する際には、以下の3つのデメリットがあるため注意しましょう。

  • 発行元企業の信用リスク
  • 取引手数料が発生する
  • 短期トレード向きではない

発行元企業の信用リスク

金連動型ステーブルコインを発行する企業は、金の現物を保有しておりそれを担保にしてステーブルコインを発行します。一方で、本当に今市場に出回っているステーブルコインの総数に見合う金現物を発行元企業が保有しているのかは不透明です。そのため、発行元企業に運用管理上の問題が発生すると、価値が暴落するリスクがあります。発行元企業によっては定期的にレポートを出すことで、正当に運用していることを示しているため、信用できる発行元の金連動型ステーブルコインを購入するようにしましょう。

取引手数料が発生する

金連動型ステーブルコインは、仮想通貨(暗号資産)の1つである以上、購入時や売却時に取引手数料が発生します。この取引手数料は取引所によって異なり、また自分のウォレットなどに送金する際にも送金手数料が発生します。金連動型ステーブルコインを発行するブロックチェーンによって送金手数料も異なりますので注意しましょう。

短期トレード向きではない

ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)といった他の仮想通貨(暗号資産)と比べ、金連動型ステーブルコインは日々の値動きが小さいため、短期間のトレードで大きな利益を上げることが難しいです。そのため、中長期的な目線で投資することをオススメします。


まとめ

金の延べ棒に囲まれたビットコインタワー

この記事では世界情勢の不安定化に伴い、人気を集めている金連動型ステーブルコインについて、その特徴や金連動型ステーブルコインの種類、投資する際のメリット・注意点についてお伝えしました。内容をおさらいすると、金連動型ステーブルコインが注目を集めているのは、イスラエルのガザ侵攻やウクライナ戦争といった地政学リスクの上昇に伴い加速する世界情勢の不安定化に備え、金の価格が上昇傾向にあるからです。

また、金連動型ステーブルコインには、金の現物に投資するよりも少ない金額で投資することができ、24時間365日取引が可能といった仮想通貨(暗号資産)ならではのメリットがあります。一方で、金連動型ステーブルコインの発行元企業が信用に値する企業かなど、ある程度情報を調べてから購入することをオススメします。

今までの金投資は現物やETFを通じて投資するしかありませんでしたが、これからは仮想通貨(暗号資産)である金連動型ステーブルコインを通じて投資が可能です。金連動型ステーブルコインに投資することで金を保有するという概念は、新たな投資の選択肢として検討する価値が十分にあるといえるでしょう。