米株最高値更新の裏でBTCは足踏み:雇用指標を読み解く|ビットコイン予測 今週のポイント2026.01/12-18
2026.01.13
先週の米国金融市場は、FRB(米連邦準備制度)が重視する「インフレ(物価)と労働市場(雇用・失業)」という2つの目標のうち、労働市場に関係する経済指標の発表が注目された週でした。米軍によるベネズエラへの軍事作戦や多くの国際関係団体からの脱退など、トランプ政権の突然の行動で金融市場は揺さぶられました。しかし、軍事作戦が短期間で成功したことなどから市場には安心感が広がり、米国株式市場は週を通じて堅調でした。金や銀などの貴金属は上昇しましたが、暗号資産市場は上値を試す場面があったものの、材料不足で伸びきれませんでした。
米株が強い一方でBTC(ビットコイン)が伸びきれない週は、「リスクオン(株高)」と「金利・ドル(暗号資産の上値をおさえやすい要因)」が同時に進むことがあります。特に雇用関連指標は、利下げ期待(=金融環境の緩和期待)を通じて株式にも暗号資産にも影響しやすい材料です。
日別の値動き(米株・暗号資産)
| 日付 | 米株概況 | 暗号資産概況 | 要旨 |
|---|---|---|---|
| 1月5日(月) | ダウ+594/S&P500+43/NASDAQ+160 |
BTC 91,500ドル→94,700ドル→93,800ドル(目安) ETH 51万円→50.5万円 XRP 320円台後半→370後半→340円台半ば |
株は前週ムードを引き継ぎました。ベネズエラ軍事作戦にも動揺せず堅調でした。 |
| 1月6日(火) | ダウ+484/S&P500+42/NASDAQ+151(最高値更新) | BTC 94,400ドル台へトライも93,700ドル台半ば/ETH 51.6万円台/XRP 340円台半ば | 米株は大幅続伸で最高値を更新しました。BTCは上値を試しましたが伸びきれませんでした。 |
| 1月7日(水) | ダウ-466(上昇一服) | BTC91,300ドル台/ETH49.7万円程度/XRP340円割れ程度 | ADPとJOLTSが予想を下回り、雇用に若干の不安感が出ました。 |
| 1月8日(木) | 防衛関連中心に上昇 | BTC91,000ドル近辺/ETH48.7万円台/XRP330円台 | 防衛費増額コメントで株高でした。暗号資産は小幅下落で様子見でした。 |
| 1月9日(金) | 失業率の低下を評価して上昇 |
BTC92,000台→90,600ドル台 ETH48.7万円近辺/XRP330円近辺 |
雇用統計はNFPが予想を下回りましたが、失業率の改善で株は堅調でした。 |
日別詳細
1月5日(月)株式市場は前週2日の上昇ムードを引き継ぎ、ベネズエラ軍事作戦にも動揺せず堅調でした。NYダウ平均は+594ドル、S&P500は+43、NASDAQは+160と、3指数とも上昇しました。暗号資産市場ではBTCが91,500ドル近辺(1,430万円台)から始まり、94,700ドル台(1,480万円程度)まで上昇しましたが、93,800ドル台半ば(1,470万円程度)で終わりました。この日ETHは51万円近辺まで付けた後、50.5万円近辺で終わりました。XRPは320円台後半から始まり、370円台後半まで急伸しましたが、340円台半ばで終わりました。
1月6日(火)株式市場は前日のムードを引き継ぎ、大幅続伸で最高値を更新しました。(NYダウ平均+484ドル、S&P500+42、NASDAQ+151)暗号資産市場はBTCが堅調に94,400ドル台(1,470万円台後半)へトライしましたが、伸びきれずに93,700ドル台半ば(1,470万円近辺)で終わりました。ただETHは51.6万円台と堅調でした。XRPは340円台半ばでした。
1月7日(水)株式市場は上昇が一服し、NYダウ平均は反落しました。(NYダウ平均-466ドル)この日はADP雇用者数とJOLTS求人件数の発表もありました。ADPは+4.1万人と11月の-2.9万人から大きく増加しましたが、予想の+5万人は下回りました。またJOLTSは714.6万件と前月から-30.3万件で、こちらも予想の760万件を下回りました。若干、労働市場での雇用に不安感が出たようです。暗号資産市場も下落し、BTCは91,300ドル台(1,430万円台)で終わり、ETHは49.7万円程度、XRPは340円割れ程度となりました。
1月8日(木)トランプ大統領が防衛費に関して、2027年の国防予算を1兆ドルから1.5兆ドルへと5割増やすとコメントしたため、防衛関連を中心に株式市場は上昇しました。暗号資産市場は動きが少なく、小幅下落でした。BTCは91,000ドル近辺(1,420万円台後半)、ETHは48.7万円台、XRPは330円台でした。
1月9日(金)この日は雇用統計の発表があり、今週の労働市場関係の経済指標を締めくくる材料として注目されていました。結果は非農業部門就業者数が+5万人と、予想の+7.3万人を下回りました。また失業率は前月の4.5%から4.4%へ低下しました。株式市場は失業率が低下したことを評価し、今後の金融政策の方向性に大きな変化はないと受け止めて上昇しました。暗号資産市場はBTCが92,000ドル台(1,450万円台)へ上昇しましたが、続かずに90,600ドル台(1,430万円台)で終わりました。ETHは48.7万円近辺、XRPは330円近辺でした。
米株最高値更新の裏でBTCは足踏み:雇用指標を読み解く
先週のポイントは、米株(特にNASDAQ)が最高値更新を挟みつつ堅調だった一方で、BTCが94,000ドル台へのトライで頭をおさえられ、週後半に失速した点です。同じ「リスク資産」に見えても、株とBTCは「材料」と「金利への感応度」がズレる局面があります。ここでは、雇用指標(ADP・JOLTS・雇用統計)がどう期待を動かし、結果としてBTCの上値を重くし得るのかを整理します。
FRBの「雇用」データは、結局「金利見通し」を動かします
FRBは「物価の安定」と「最大雇用」を重視するため、雇用データは金融政策(利下げ・利上げ・据え置き)の確度を高める材料になります。市場参加者は、雇用の強弱そのものよりも、「次のFOMCで何が起きそうか」を再計算します。
“The Fed has a dual mandate of price stability and maximum employment.” — St. Louis Fed
BTC側の見立て:利下げ期待が強まる(金融環境が緩む)と、一般にリスク資産に追い風になりやすい一方、雇用が強すぎると「利下げが遠のく/長期金利が高止まり」と受け止められ、BTCの上値が重くなることがあります。ここで重要なのは、BTCが企業利益ではなく、流動性・実質金利・ドル需給の影響を受けやすい点です。
ADP・JOLTS・雇用統計を「セット」で見ると、メッセージが割れやすいです
本文では、1月7日(水)にADPが増加へ転じた一方で予想を下回り、JOLTSも予想を下回ったとしています。翌9日(金)の雇用統計では、非農業部門就業者数(NFP)が予想を下回る一方、失業率は改善しました。こうした「強弱がまちまち」な状況は、金融政策の読みを一方向に寄せにくく、BTCにとっては「買いの決め手になりにくい」週になりがちです。
| 指標 | ざっくり何を見ますか? | BTCに効きやすい経路(例) |
|---|---|---|
| ADP雇用者数 | 民間雇用の温度感 | 強い→利下げ後ずれ観測→金利が高止まり→上値が重くなりやすいです |
| JOLTS求人 | 労働需要(求人の多寡) | 弱い→景気減速観測→リスクオフまたは利下げ期待→反応が割れやすいです |
| 雇用統計(NFP・失業率) | 雇用の確報的な評価 | 失業率改善+NFP弱い=「軟着陸」期待→株高、BTCは材料出尽くしになりやすいです |
読み方のコツ:BTCは「景気がよい=上がる」と単純ではありません。むしろ短期では、「景気がよい→金利が下がらない→BTCは上がりにくい」という逆回転が起きることがあります。一方で株は「景気の底堅さ」や「企業業績の見通し」で買われやすく、同じ週でも株高・BTC足踏みが同居します。
なぜ「株高の週」にBTCが伸びきれなかったのですか(需給・材料・心理)
- 材料の質の違い:株は「最高値更新」というモメンタム自体が材料になりやすい一方、BTCは上値を更新するには追加の資金流入・規制面の好材料・現物需要が必要になりやすいです。
- 節目の利確圧力:本文の通り、94,000ドル台近辺まで上昇した後に伸びきれない動きは、短期筋の利確・戻り売りが出やすい典型例です(「上値トライはあるが続かない」動きです)。
- 金利・ドルの綱引き:雇用指標が強弱まちまちだと、利下げ期待は残る一方で「今すぐ強烈に緩和」というシナリオになりにくいです。結果としてBTCは「上がる理由」が薄く、足踏みしやすいです。
- 代替ヘッジの存在:本文で貴金属(特に金・銀)が上昇している点は、リスクイベントへの備えが残っているサインにもなります。ヘッジ資金が金へ向かう局面では、BTCへの資金流入が分散することがあります。
BTCマーケットを予測する上で押さえるべき追加チェックリスト
週次レポートとして読み手が「次に何を見るべきか」を明確にするため、BTC目線でのチェック項目を補足します。
- 米金利(短期・長期)と実質金利:金利が上がる(高止まりする)と、無利息資産であるBTCには逆風になりやすいです。
- ドル指数・為替(USD/JPYなど):ドル高はBTCの上値をおさえやすく、円建ての体感値にも影響しやすいです(同じBTC価格でも円安なら円建ては上がります)。
- 米株(特にNASDAQ)のボラティリティ:ハイテク株と同様に、BTCはリスク許容度の変化に敏感な場面があります。
- 現物・デリバティブ需給:先物の資金調達率(過熱感)、建玉、オプションの建玉集中(ストライクの節目)は短期の値動きを作りやすいです。
- オンチェーン指標:取引所流入(売り圧力)・長期保有者の動き・ステーブルコイン供給などは、中期の地合い把握に役立ちます。
- 規制・制度ニュース:ETF、会計・税制、取引所ルール、市場構造法案などは「材料不足」を一気に解消し得るため、今週の主役になり得ます。
今週の経済イベントカレンダー
Calendar of Economic Events This Week
| 月 | 日 | 曜日 | 日本時間 | 国 | 経済イベント | 重要度 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 01 | 13 | 火 | 22:30 | 米国 | 消費者物価指数(CPI) 12月 | ★★★★☆ |
| 01 | 13 | 火 | 24:00 | 米国 | 新築住宅販売件数 09月 | ★★☆☆☆ |
| 01 | 13 | 火 | 24:00 | 米国 | 新築住宅販売件数 10月 | ★★★★☆ |
| 01 | 14 | 水 | 22:30 | 米国 | 生産者物価指数(PPI) 10月 | ★★★☆☆ |
| 01 | 14 | 水 | 22:30 | 米国 | 生産者物価指数(PPI) 11月 | ★★★☆☆ |
| 01 | 14 | 水 | 22:30 | 米国 | 小売売上高 11月 | ★★★★★ |
| 01 | 14 | 水 | 22:30 | 米国 | 国際収支(経常収支) 2025年 第3四半期 | ★★★★☆ |
| 01 | 14 | 水 | 24:00 | 米国 | 中古住宅販売件数 12月 | ★★★★☆ |
| 01 | 15 | 木 | 22:30 | 米国 | 新規失業保険申請件数 01/04 - 01/10 | ★★★☆☆ |
| 01 | 15 | 木 | 22:30 | 米国 | NY連銀製造業景気指数 01月 | ★★★☆☆ |
| 01 | 15 | 木 | 22:30 | 米国 | フィラデルフィア連銀景況指数 01月 | ★★★★☆ |
| 01 | 15 | 木 | 24:00 | 米国 | 新築住宅販売件数 12月 | ★★★★☆ |
| 01 | 16 | 金 | 23:15 | 米国 | 鉱工業生産 12月 | ★★★★☆ |
見通し
先週はFRBの目標の1つである労働市場(雇用・失業)についての指標が発表されました。結果はまちまちな部分もありましたが、失業率が改善したことで景気の減速やAIの進展による雇用への影響などの懸念は一旦遠のいた感があります。しかし、今後の景気への警戒感は残るため、利下げ期待は変わっていません。今週はFRBのもう1つの目標であるインフレ(物価)に関して発表があるため、利下げに関する方向性を固める週となるのではないでしょうか。
インフレ指標は「利下げの時期」と「利下げ回数」の見通しを直接動かしやすく、BTCにとっては週内のボラティリティ要因になりやすい材料です。特に、(1)インフレが想定より鈍化(利下げ前倒し)なのか、(2)粘着的(高止まり)で利下げが遠のくのかで、BTCの上値追いの勢いが変わり得ます。
一方、株式市場は利下げ動向の見通しにより上下すると思われます。暗号資産市場も同様な動きが想定されますが、暗号資産市場にとっては、今週15日に開かれる上院銀行委員会と上院農業委員会での暗号資産市場構造法案の審議が注目されます。銀行委員会では「米国を暗号資産の中心地とする」ことを目的としており、暗号資産市場にとって今年の大きなポイントとなる法案です。審議状況によって相場が上下する可能性があります。
規制・制度の確度が上がる局面では、暗号資産市場は「リスク(不確実性)プレミアムが縮小」し、資金が入りやすくなることがあります。特に市場構造(どの資産が証券/コモディティとして扱われるのか、取引所・カストディの要件、開示の枠組みなど)が明確化されると、機関投資家の参入障壁が下がり、「材料不足」を一気に埋める可能性があります。逆に、審議が難航して先送りとなる場合は、期待で上げた分がはく落しやすいため、ヘッドラインには敏感でいる必要があります。
本年の方向性については、先週のこのコラムと、国際経済の見どころ記載させていただきましたので、そちらもぜひご覧ください。
本記事は情報提供を目的としています。特定の金融商品・暗号資産の売買を推奨するものではありません。記載内容は作成時点の情報に基づいており、正確性・完全性を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。暗号資産は価格変動リスクが大きく、元本割れとなる可能性があります。
BTC積立企画
2023年6月から月毎に10万円分の暗号資産を実際に積み立てていき、そのポートフォリオを公開する企画です。ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、日本の取引所でも取り扱われており、米ドルとペッグ(連動)するステーブルコインであるダイ(DAI)を対象としています。
これまでの暗号資産積み立ての状況
Accumulation Status
[期間:2023.06.05 〜 2026.01.26]
ポートフォリオの現在の資産価値
円
含み益(現在の資産価値 - 合計積立金額)
円
利益率
%
積み立て回数
16 回
合計積立金額
1,600,000 円
ポートフォリオの構成
ポートフォリオ
| 銘柄 | シンボル | 対円レート | 保有数量 | 日本円換算 | 構成比 |
|---|---|---|---|---|---|
| ビットコイン | BTC | [BTC/JPY]円 | 0.1523 BTC | 円 | % |
| イーサリアム | ETH | [ETH/JPY]円 | 1.8884 ETH | 円 | % |
| ダイ | DAI | [DAI/JPY]円 | 80 DAI | 円 | % |